「業務プロセスを変革するコンテンツハブとは?」

浅見 顕祐 氏
【講演者】
株式会社 Box Japan
アライアンス・事業開発部
エバンジェリスト
浅見 顕祐 氏

Boxについて

Boxはコンテンツクラウド、ファイルを管理するための様々な機能を提供するクラウドサービスである。ビジネスユースに特化しており、個人向けではなく企業のお客さまにお使いいただくことを想定したサービスであるため、セキュリティに強く、従業員だけでなく、お客さまやパートナーなど社外関係者との情報共有、コラボレーションに向いているサービスである。

現在、全世界10万社以上、国内1万1,000社のお客さまがBoxを使用している。金融機関においても、銀行、カード会社、証券会社など、多数の企業に採用いただいている。

業務の生産性を低下させる情報サイロ化の原因

銀行・証券・保険・カードなどのビジネスで扱われるさまざまな情報はデータだけでなく、コンテンツも多く存在しており、これらの散在が、業務の生産性を低下させている一因と考えている。

定型業務の領域では、業務や用途ごとにシステムが稼働している。そこで扱われるコンテンツは、各業務システムが保持しているというケースが多く、情報サイロ化の原因となっている。また、コンテンツはデータと異なり、アップロードする、しないが人間判断になることが多いため、ユーザーのPCが「サイロ」の1つになってしまう問題点も挙げられる。非定型業務の領域におけるコンテンツ管理は、コラボレーションツールやクラウドストレージで行うケースが多いが、マルチクラウド時代ならではの課題がそこにはある。例えば、取引先にコンテンツを共有したいとき、自社と先方とで標準ツールが異なる場合、どちらのツールを使うかはケースバイケースとなり、コンテンツの所在が分からなくなるのである。定型業務と非定型業務の両側面で情報サイロ化の対策を考える必要があるという点が、データ管理とは異なる、コンテンツ管理の難しさと言えるであろう。

CIO/CDOに支持される「四象限」フレームワーク

box

情報のサイロ化を解消すべく、当社が提案している考え方のフレームワークが「四象限」である。社内と社外、定型業務と非定型業務、2×2の4マスでコンテンツ管理のAs-Is(現状)とTo-be(あるべき姿)のギャップを捉えていく考え方だ。

右上のマスでは、顧客接点を担うアプリケーションなど、業務や用途ごとにさまざまなシステムが立ち並び、扱われるコンテンツも、それぞれでバラバラに管理されているケースが多い。左上のマスについても右上同様だが、こちらはIT部門がまとめて管轄し、ECM(エンタープライズコンテンツ管理)システムを導入しているケースもある。左下のマスは、ファイルサーバーや情報共有ツールなどが完備されていて、何も問題がないと認識されている領域である。しかし、右下は、旧態依然としたメール添付によるコンテンツ共有、いわゆるPPAPがいまだに主流だったりする。また、社員が個人向けのクラウドストレージを会社に無断で使用してしまう「シャドーIT」の温床になってしまっているケースも少なくない。

コンテンツ管理は、マスごとに異なる手段で行われているのが典型的な実態であり、多くのCIO/CDOが問題視している。特にCDOの観点からは、革新的なDXを実現するため、この4マスを一気通貫するようなビジネスプロセスを描きたいという声も聞くが、情報の源泉であるコンテンツが各マスでバラバラに管理しまっている状況を打開しない限りその実現は難しいと言えるだろう。

これらを解決するために、4マス全域のコンテンツを一元管理する「コンテンツハブ」という考え方が必要であり、Boxはそのために必要な機能を全て備えている。

まず、下の2マスでは、使いやすいUIやロケーションフリーで使える便利な機能により、業務効率を高めるデジタルワークプレースとして、社内外で利用可能だ。Boxは 、ISMAPやFedRAMPの認定ソリューションであり、その高いセキュリティレベルが、シャドーITやPPAPを撲滅する。1,500以上のソリューションと連携できるため、マルチクラウド時代の「異機種間接続」の問題も解決できる。そして、上の2マスでは、APIやUI部品が提供されており、業務システムや顧客向けアプリとの統合が可能だ。これにより4マス全域のコンテンツを1カ所で管理する「コンテンツハブ」を実現できるのである。

Boxで実現する「コンテンツハブ」事例紹介

国内の損害保険会社の事例となるが、Webサイト上のマイページや、モバイルアプリケーションにBoxを組み込むことで、自動車保険の契約者が保険金請求をする際に必要な書類やドラレコ映像などのコンテンツをアップロードすることを可能にしている。また、業務システムにもBoxが組み込まれているため、コールセンターの担当者はシステム画面からBoxに直接アクセスすることができ、ストレスなくコンテンツを扱うことができる。

また、Salesforceとの連携機能や、Boxのコラボレーション機能を活用し、相手方の保険会社担当者や自動車修理工場などの社外関係者ともコンテンツをセキュアに共有できるようにすることで、非定型業務の領域でも効率を高めることに成功した。そして、保険金の請求から支払いまでの時間を短縮することで、顧客満足度向上も実現している。

上2マスを実現するために必要不可欠だった機能が、UI部品である。Boxの画面上の便利な機能が部品化されており、これをWebサイトや業務システムの画面の中に簡単に組み込むことができる仕組みである。コンテンツの最大の弱みは「ダウンロードしなければ開けない」という点だが、UI部品を使えば、Box内のコンテンツをダウンロードせずに中身をプレビューできる。この「ダウンロードレス」の実現で、ストレスなくコンテンツを扱うことができるのである。このユニークな機能が評価され、米国ではMorgan Stanley、ATB Financial、STATE STREETをはじめとする多くの金融機関にBoxを採用いただいている。

FinTechの流れが加速し、顧客獲得競争が激化している米国では、危機感を持った経営者がトップダウンでDXを強く推進しており、コンテンツハブの構築は急務と認識されている。そして、その実現へ向けた最良な選択肢としてBoxが採用されるケースが多くなってきている。

◆講演企業情報
株式会社 Box Japan:https://www.boxsquare.jp/