「多くの成功事例から学ぶ!急成長チャネル『SMS(ショートメッセージ)』を活用した生損保業界DX化の進め方」

 

【講演者】
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
ビジネスメッセージ・サービス部
部長/エバンジェリスト
黒田 和宏 氏

顧客コミュニケーションにおける4つの課題

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションでは、デジタルマーケティング事業、データ&アナリティクス事業、ビジネスメッセージ・サービス事業を三本柱として事業を展開。ビジネスメッセージ・サービス事業では、主にSMS(ショートメッセージサービス)の活用を中核として企業のコミュニケーション課題の解決に取り組んでいる。

生命保険、損害保険を主とする保険業界では、大規模自然災害の増加、コロナ禍による影響などからコンタクトセンターへの問い合わせが急増。その影響によりエンドユーザーとのコミュニケーションにおいて、さまざまな課題が表面化した。

分類すると①顧客からの連絡、②顧客への連絡、③商談などの顧客対応、④フィードバックの4つだ。それぞれの場面で、迅速な対応、利便性の向上、オペレーターの負荷軽減を図るべく、コンタクトの効率化に要望が寄せられていた。

<それぞれの課題を解決したソリューション事例>

これらのコンタクト効率化の課題解決策として、効果を上げているのがSMS送信だ。携帯電話番号を知る相手に簡単に送ることができ、相手は都合の良い時間に確認することができるので反応率も高い。導入後に効果を実感したクライアントは80%以上にのぼる。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションでは、SMS送信をはじめとして、顧客コミュニケーションの支援に取り組んでいる。現場の課題をどのように解決に導いたのか、事例を元に紹介する。

顧客からの連絡「窮迫したコールセンターのあふれ呼対応」

顧客からの連絡時における課題は入電対応の効率化だ。コロナ禍の影響により、応対のための人員が減っているにも関わらず、入電数は増加している。繁忙期は特に入電数が増える。ある事例では、災害発生時のコールセンターのひっ迫に危機感を感じていた。

地震や台風、大雨などの自然災害発生時にはコンタクトセンターへの問い合わせが急増し、時には回線がつながらなくなる事態に陥ることもある。顧客が保険を必要とする際に、コンタクトセンターの機能が低下することに危機感を感じ、対策を求められていた。

この課題解決に貢献したのは「ビジュアルIVR(自動音声応答システム)」だ。電話問い合わせをWebページやアプリに誘導することで、自動音声ガイダンスを可視化し、最適なチャネルに誘導するサービスだ。

少額短期保険会社の解決例「ビジュアルIVRとSMS送信サービス導入」

例えば、コールセンターへの入電数が多くて対応が追い付かない「あふれ呼」状態に陥った際に、SMSを用いてビジュアルIVRに誘導するURLを記したメッセージを送信。適切なサイトコンテンツやチャネルへ誘導することで、電話がつながるのを長時間待っていただかなくても、自己解決を促すことができる。

住所変更や契約更新、事故受付、折り返し電話予約など、よくある手続きの簡易動線として有効で、受付時間外の電話問い合わせに活用すれば24時間365日の対応が可能になる。

生命保険会社の解決例「SMS送信サービス(空電プッシュ)導入」

契約者数の増加、コロナ対応に伴いコールセンターへの入電が急増。対応を強化して繁忙期を乗り切るために、SMSを活用して手続きの15~20%(全8000件の問い合わせ内の1700件以上)をWEBへと誘導することでカバーした。コールセンターの営業時間外に、自己解決したい顧客へのニーズにも対応が可能になった。

<事例②顧客への連絡「郵送物や電話、メールなどでは連絡がつながりづらい相手に」>

顧客への連絡における課題は確実なコンタクト。電話や郵送物、メールなどを送っても保険申し込み者や事故被害者と連絡が取れず、手続きを進めることができない。コンタクトの効率化が求められていた。

傷害火災保険会社の解決例「SMS送信サービス(空電プッシュ)の導入」

事故状況の確認や追加書類の送付依頼のために顧客への連絡を要していたが、こちらから連絡しても電話に出てくれない、メールの返信がないなどの状況が危惧されていた。

電話がつながらなかった顧客にSMSを送信することでコンタクトが取りやすくなり、電話折り返し率が1割から4割に向上。口頭では伝えづらいメールアドレスなども、SMS送信なら文字で伝えられるので誘導が円滑になる。結果として、手続きの効率化、エンドユーザーのUX改善を実現している。

損害保険会社の解決例「SMS送信サービス(空電プッシュ)の導入」

個人向けの保険商品を扱うダイレクト型の損保会社は、非対面でスピーディに連絡できることが強み。スムーズなコミュニケーションを提供するため、顧客接点のデジタル化を推進すべく、新しいサービスを模索していた。

最初はお客様センターで導入。その後、事故対応の営業時間内に、電話がつながりにくいという課題解決のために、損害サポート部でも運用を開始。車検証などの契約関連に必要な書類の返送依頼では、返送率が45%から80%へと大幅な改善がみられた。

インターネット銀行の解決例「SMS送信サービス(空電プッシュ)の導入」

マネーロンダリング対策の一環として継続的な顧客管理が急務に。メールで反応のない顧客にはSMSで認知し、義務付けられた継続的な顧客管理に役立てている。

<事例③顧客対応「電話対応では分かりづらい状況の把握や商談の効率化」>

自然災害が発生すると、保険金請求が短期的に集中する。幅広く損害保険事業を展開する保険会社では各地から人を集めて人海戦術で乗り切っていたが、大規模災害が発生すると、被災状況の確認にかかる人員と時間が増大し、日常業務にまで支障をきたすほど影響が出ていた。コロナ禍で、鑑定人の現地確認も懸念されていた。

損害保険会社の解決例「ビデオ通話サービス(ビデオトーク)の導入」

アプリやアカウントの登録不要でビデオ通話を可能にする「ビデオトーク」の活用を提案。事故報告の連絡をしてきた顧客宛にビデオトークからビデオ通話用URLをSMS送信。顧客からビデオ通話で事故報告をしてもらうことで、損害状況をビデオ越しに映像で確認できるようにした。

サービス導入により鑑定人が訪問不要となり、手続きの効率化を実現した。鑑定人は移動にかかっていた時間を他の業務に活用できるようになり、コストの削減という効果も生まれた。

<事例④フィードバック「電話対応では分かりづらい状況の把握や商談の効率化」>

コンタクトセンターの対応品質向上を図るためにも、顧客からの声を収集するフィードバックは重要だ。アンケート結果を踏まえることで、お客様フォローやオペレーターの業務改善につなげることができる。アンケート結果で高評価をいただけば、オペレーターのモチベーションアップ効果も期待できる。そのため、効率のいいフィードバック手段が求められていた。

生命保険会社の解決例「WebアンケートとSMS送信サービス(空電プッシュ)導入」

コンタクトセンターには常時300人のオペレーターが在籍し、1日に1500~2000件の問い合わせに対応するにもかかわらず、顧客アンケート調査に課題があり、十分な回答が得られないことから、顧客満足度の評価が把握しきれずにいた。

そこで顧客からのリアルな声を収集するために、問い合わせ後にSMSを利用してWebアンケートを送信することで、専用フォームからアンケート回答を促す仕組みを構築した。

手書きのアンケートを返送するよりも、ずっと手軽に回答できることから、顧客アンケートの回収率が2倍に向上した。リアルタイムで集計結果を確認できるので、高評価が得られればオペレーターのモチベーションが上がり、品質改善行動につなげやすいという利点が生まれた。

火災保険会社の解決例「WebアンケートとSMS送信サービス(空電プッシュ)導入」

事故受付後の現状確認などをアンケートで回答いただくフローにしたことで、顧客に負担をかけることなく、都合の良いタイミングで回答が得られるという相乗効果を生んだ。

今ではオペレーターの対応品質アンケート、事故内容のヒアリング、新規契約や保険金給付時の応対品質アンケートなどにも活用シーンを広げている。

このように、ビジュアルIVR、SMS送信、ビデオ通話、Webアンケートなどのサービスを組み合わせることで、さまざまなシーンで顧客とのコンタクト効率化を実現。これからも、コンタクトセンターなどで発生しがちな課題に向き合い、さらなる顧客満足度向上につなげられるようなソリューションの提案に努めていく。

◆講演企業情報
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社:https://www.karaden.jp/contactcenter/