DX化は急務。しかし、なぜ金融機関でDX化がうまくいかないのか

大前提として、DX化とはシステム・ツールを導入することではなく、業務そのものをデジタル技術により仕組み化すること、という点があげられるだろう。つまりそもそも論としての「DX化」というものに対する解釈・認識がずれているのだ。

例えば、よくある金融機関における営業DX化の例をあげてみたい。

  • 定期的に顧客へ連絡しフォローしていきたいが、いつも電話に出てくれるわけではなく、効率よく架電することが困難だ。そのため、コールロボットでPUSHコールをする仕組みをいれ、効率化した
  • コロナ禍により対面でお話ができないのでWEB会議ツールを導入して、非対面でもお話できるようにした

前者は物理的なコールそのものを変えているが、この施策が悪いという意味ではなく、大事なことは検討において、「PUSHコールをする」という業務そのものを見直し、本来はどうあることで顧客体験を底上げできるのかと根底からDXを通して考えていく必要がある。

後者では対面の接客をWEBに置き換える、としたときに果たしてユーザーが問題なくWEB会議ツールを使うことができるのか、対面と同じような顧客体験が提供できるのかという点を考えなればならない。

上記の例のように業務の一部をデジタル技術をつかって切り替えたに過ぎない施策が多く、本質的なDX化とはほど遠いといえるだろう。

金融機関は個人・法人が顧客対象になるが、すべての顧客がデジタルに親和性が高いわけではない。金融資産を多く持つ富裕層や準富裕層のマジョリティを考えればよりその傾向が顕著だろう。昨今のDX化は「本来大事にすべき顧客を蔑ろにし、顧客を置いてきぼりにするDX化」すなわち「置いてきぼりDX化」が進んでいるといえるだろう。

また金融機関をはじめとして店舗運営を行う責任者は自分たちの業務を抜本的にデジタル化していこうとはなかなか考えにくい。なぜなら自分たちの業務をなくすことも視野にいれて抜本的に考えることが難しいからだ。やはり自分たちの業務ありきで、どこが改善できるのか、効率化できるのかを考えるのは当然だろう。だからこそ、経営が横断的に現場理解をし、DX化を実行していくことが重要だと言えるだろう。