保険業界のこれからを、世界のInsurTechやスタートアップのトレンドに学ぶ


昨今、世界では新しい考え方が求められつつある。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ニューノーマルという新しい言葉ができ、私たちの生活は大きく変化した。利益や事業拡大だけでなく、SDGsといった持続可能な世界の構築に向けた取り組みが求められている。少子高齢化が進み市場全体の縮小も予測される中、新しい市場開拓も必要になっている。日本の保険業界においても、新しい取り組みが求められている今、急激な変化を生み出そうとするスタートアップの動き方は参考になるのではないだろうか。世界でも有名なスタートアップやInsurTech(インシュアテック/保険×テクノロジー)スタートアップに着目し、今後の保険業界の歩むべき道筋を考えてみたい。

目次

InsurTech企業としての挑戦

弊社も今では乗合保険代理店向けの顧客契約管理サービスとして、一点突破型の企業となったが、現在のサービスまでに4度方向を転換した。初めは、消費者の保険証券の画像を回収し、保障内容を分析するサービスを提供した。残念ながら、消費者が自らすすんで保障の分析を行いたいという強いニーズが無く、断念した。ここで消費者の保険に対する関心の薄さに課題を感じ、二度目は同様のシステムを募集人に向けにすることを検討したが、やはり需要がなかった。しかし、募集人と話すにつれて、顧客管理に大きな課題が判明し、三度目に募集人が一人一人で利用できる顧客管理システムを提供した。だが実際は、企業としての顧客管理や活動管理が求められていることがわかり、企業単位で活用できる現在のシステムに辿り着いた。ここまで3年要し、何度も挫けそうになったが、強いニーズのある領域の発見のために必要なステップだったと考える。しかし、私たちも自社だけで業界を牽引する存在にはなり得ない。当然、乗合保険代理店の支援には保険会社から選ばれるシステムになる必要があり、協力や連携も必要不可欠である。今後は保険会社が保険代理店を支援しやすくなる機能の拡充を検討すると共に、別の形で代理店支援を実施している企業とも連携していきたいと考える。

保険は人の営みに根付いており、この先仕組みがなくなることはない。保険業界が魅力的な業界であり、優秀な人材が活躍し続けられるように、新しく取り組みをする企業と革新的な協業を望む。保険業界をアップデートする身として、これまでの軌跡を紡ぐために大きく貢献したい気持ちは誰にも負けていない。新たな価値を創造できるInsurTech企業として挑戦していきたい。

脚注 ※
※1 2020年を振り返って/Zoom
※2 https://www.pfma.org.uk/news/pfma-releases-latest-pet-population-data#_edn1
※ Willis Towers Watsonhttps://www.willistowerswatson.com/en-GB/Insights/2021/10/quarterly-insurtech-briefing-q3-2021
※ $1=113円にて計算

寄稿
株式会社hokan
代表取締役CEO
尾花 政篤 氏
1991年東京都生まれ。2013年東京大学経済学部卒。同年株式会社ベイカレント・コンサルティングへ入社。保険業界を中心にマーケティング戦略・IT戦略立案・投資管理・PMOなどに従事。2017年8月に株式会社hokanを設立。保険業界でのコンサルティング経験およびIT企画経験を活かし、保険代理店向けの顧客・営業管理システム「hokan」の開発・提供のほか、海外のInsurTech動向を紹介するWebサイト「InsurTech Japan」を運営する。
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