海外のBNPLサービス企業を解説
海外の主なBNPL事業者は以下の通りです。
- Affirm(アメリカ)
- Klarna(スウェーデン)
- Afterpay (オーストラリア)
Affirm(アメリカ)
Affirmはペイパルの創業者でもあるマックス・レブチン氏が創業したフィンテック企業です。
Affirmでは利用者の信用度を「商品を購入する現在の支払い能力」として、AIを活用して判断しているのが特徴です。これにより、従来の与信審査では過去の支払い実績から、信用度が低いとされていた層にも、サービスの提供が可能になっています。
Affirmでは無利息での分割払いサービスの他に、アファームと提携していない店舗ではクレジットカードのように利用できる「バーチャル・クレジットカード」や、利用者の購入履歴に応じて、オススメの商品をお得に購入できる「マーケットプレイス」などのサービスを展開しています。
Klarna(スウェーデン)
Klarnaは1年半で企業価値が5.5倍に成長したフィンテックサービス企業です。
同社は2019年8月に時価評価額が55億ドルでしたが、2021年3月には310億ドルまでに成長し、欧州でのフィンテック企業でトップに立っています。
Klarnaのサービスでは4回までの分割払いが無利子になるサービスや、商品到着から30日以内の購入であれば無利子となる「30日以内・後払いプラン」などを提供しています。さまざまなサービスの中でも、最も注目したいのが「即時ファイナンス(貸付)サービス」です。
このサービスは利用者が商品を購入時に、Klarnaが購入代金を貸し付けて、6カ月から36カ月の分割返済を求めるサービスです。利用者側は即時に商品の購入ができ、店舗側は即日入金がされます。そのため利用者はリスクの少ない返済プランが立てられ、店舗側は現金不足の不安が解消されるのが特徴です。
Afterpay (オーストラリア)
Afterpayは2015年にオーストラリアのメルボルンに本拠を置く決済サービス企業です。
BNPLサービスを、オーストラリアをはじめ、ニュージーランドやアメリカなど5カ国で提供しています。利用者は1,600万人以上にまで上っており、他のBNPLサービスと同様に、無利子での分割払いサービスなどを登録するだけで利用が可能です。
このAfterpayは2021年8月、アメリカのモバイル決済企業であるSquareによって290億ドル(3兆円越)で買収されることが合意されました。今後はAfterpayをSquareが提供している「Cash App」に統合することで、利便性を高めていきたい考えです。
国内のBNPLサービス企業を解説
ここでは国内のBNPL事業者を解説します。
- GMOペイメントゲートウェイ「GMO後払い決済」
- Paidy「後払いPaidy」
- ネットプロテクションズホールディングス「atone」
- ネットプロテクションズホールディングス「NP後払い」
GMOペイメントゲートウェイ「GMO後払い決済」
「GMO後払い決済」は、GMOペイメントサービス株式会社が提供している後払い決済サービスです。
上限金額55,000円(税込)を限度額に利用が可能で、商品の購入からおよそ1週間程で請求書が届き、請求書発行から14日以内にコンビニなどで支払うものです。加えてGMO後払い決済では、従来では5分ほどかかっていた与信審査をリアルタイムで行える、リアルタイム与信サービスを導入し、スムーズな決済を実現しています。
Paidy「後払いPaidy」
「後払いPaidy」は株式会社Paidyが提供する、ネットショッピングで利用できる決済サービスです。Paidyへの加盟店舗は70万を超えており、AmazonやApple、ビックカメラなどでも利用が可能です。
利用者は電話番号とメールアドレスを登録するだけで利用が開始でき、支払い方法も分割払いから翌月まとめて払いなども選択ができます。またアプリで利用状況が管理できる利便性や、クレジットカードのような年会費がないことで人気を集め、利用者数は2021年6月時点で550万以上となっています。
ネットプロテクションズホールディングス「atone」
「atone」は、株式会社ネットプロテクションズホールディングスが運営している後払い決済サービスです。
atoneの最大の特徴は利用金額に応じてポイントが貯まることです。具体的には200円の利用で1ポイント(1円相当)が貯まり、請求金額への割当てやNPポイントクラブでの商品交換などに利用ができます。
最短1分で登録ができ、登録すれば誰でもすぐに50,000円分の後払い枠が利用できるため、その場で買い物を行いたい場合などに向いています。
ネットプロテクションズホールディングス「NP後払い」
「NP後払い」は日本で初めて、未回収リスク保証型の後払い決済サービスをスタートさせた、株式会社ネットプロテクションズが提供するサービスです。
NP後払いは2002年にサービスをスタートしており、20年の歴史を誇るサービスです。加えて、導入店舗は69,000店舗に上っており、累計取引数は2.8億件までになっています。
またNP後払いでもNPポイントが貯まり、商品交換や懸賞応募などに利用ができます。
BNPLサービスにてよくある質問を解説
ここではBNPLにてよくある質問にお答えします。
- 企業間でもBNPLは使えるのですか?
- BNPLのアプリはありますか?
- BNPLの導入手順を教えてください
- BNPLに分類される支払い方法を教えてください
- BNPLとの関連が深いビジネスを教えてください
- BNPLとの関連が深い業界を教えてください
- 生活保護を受けている人でもBNPLは使えるのですか?
企業間でもBNPLは使えるのですか?
企業間取引きでも、BNPLは問題なく使えます。『BtoBの請求業務を代行』と明記しているBNPL事業者もいるからです。実際にBNPLサービスを提供しているNP掛け払いでは、以下のように明記されています。
NP掛け払いは、業界最大級の導入実績を持つネットプロテクションズが提供するBtoB・企業間後払い決済代行サービスです
引用元:NP掛け払い|請求書後払い取引ならNP掛け払い(2023年11月10日時点)
そのためBtoBのような企業間取引でも、BNPLサービスは安心して使うことができます。NP掛け払いであれば24時間365日利用可能であり、コンビニ払いにも対応しています。非常に便利ですので企業間取引が多いのであれば、一度使ってみてはいかがでしょうか。
BNPLのアプリはありますか?
BNPLのアプリはあります。詳細は以下の通り。
アプリ名 | GooglePlay評価 | 運営企業 |
---|---|---|
Paidy (あと払いペイディ) | 3.1 14,700件のレビュー |
株式会社Paidy |
atone (アトネ) | 4.2 2,770件のレビュー |
株式会社ネットプロテクションズホールディングス |
2023年11月10日時点
スマホでパパっと請求情報を確認したいのであれば、上記アプリのいずれかをインストールすると良いでしょう。
BNPLの導入手順を教えてください
導入するBNPLサービスにもよりますが、基本的には以下の手順になっています。
- Webから申し込む
- 必要書類を提出する
- 加盟店審査を受ける
- 契約を正式に締結する
- 自社サイトに対象BNPLサービスの決済追加作業を行う
- 利用開始
Paidy・GMO後払い・NP後払いの場合だと、申し込みから約10日前後で利用開始できるとのことです。決済追加作業にどれぐらい時間がかかるかにもよりますが、導入を完了するまでにそれほど時間はかからないことが予想されます。詳しくは各BNPL事業者に問い合わせてみると良いでしょう。
BNPLに分類される支払い方法を教えてください
国民生活センターの資料によりますと、BNPLに分類される支払い方法は以下のようになっています。
後払い決済の分類 | 詳細 |
---|---|
クレジットカード | 国際カード(カードタイプ、カードレスタイプなど) |
コード決済等スマホ決済 | コード決済(クレジットカード紐付けアプリ決済など) |
キャリア決済 | コンテンツ利用料などを通信料とあわせて支払う方式 |
コンビニ払い | NP後払い、ZOZOTOWNツケ払いなど |
発展系後払い | ・アプリで支払い、同じアプリに設定した銀行口座から支払う方式など ・海外には「後払い」の代金の支払いをアプリに登録したクレジットカードで行えるものもある |
引用元:国民生活センター|後払い決済(BNPL)(2023年11月10日時点)
記事の前半でBNPLとクレジットカードの特徴の違いについて言及しましたが、広義ではクレジットカードもBNPLに分類されるとのことです。要は即時払いではなく、商品購入後に料金を支払うのであれば、それはBNPLに含まれるということですね。覚えておきましょう。
BNPLとの関連が深いビジネスを教えてください
BNPLとの関連が深いビジネスは、以下のようになっています。
BNPLとの関係が深い代表例 | 具体例 |
---|---|
QRコード決済アプリ | PayPayや楽天ペイなど |
フリマアプリ | メルペイスマート払いなど |
APIエコノミー | Stripe※1のペイメントAPIなど |
BaaS※2 | 住信SBIネット銀行のNEOBANKなど |
※1:Stripeとはオンライン決済・決済代行プラットフォームのこと。
※2:BaaSとは銀行が提供している口座登録などの銀行機能やサービスを、APIを通じてクラウドサービスとして提供する仕組みのこと。
BNPLと言いますと決済アプリやフリマアプリの印象が強いのですが、現在ですとそれだけではありません。Stripeなどの決済プラットフォームやBaaSなどの銀行機能を備えたクラウドサービスも、BNPLとの関係が深いです。搭載した機能にもよりますが、APIエコノミー・BaaSの両者でも後払いを実現できるからです。そして先述しましたようにBNPL市場は増加の傾向を示しています。そのため今後、BNPL関連のビジネスは上記以外にも新しく出てくるかもしれません。
ちなみにですが、上記4つの中で一番興味深いのはBaaSです。現サービスに銀行機能を付与することで、利便性が大きく向上するためです。そのこともあり、日本国内ですと以下の銀行がすでに取り組んでいます。
銀行名 | 具体例 |
---|---|
住信SBIネット銀行 | JAL NEOBANK |
三菱UFJ銀行 | dスマートバンク |
三井住友銀行 | UNIQLO Pay |
従来ですとクーポンの配布・お知らせの通知・予約機能しかなかったアプリが、BaaSによって銀行口座の登録・支払いなどのサービスも利用できるようになったわけですね。その他にもアプリによってはポイントを貯める機能も搭載されています。
利便性の向上およびお得な機能を兼ね備えた結果、従来のアプリに比べてインストール増加や利用者層の拡大を各企業は期待できるでしょう。BaaSは非常に興味深い取り組みですので、今後の動向に要注目です。
BNPLとの関連が深い業界を教えてください
BNPLとの関連が深い業界は以下の通りです
BNPLとの関連が深い業界 | 具体例 |
---|---|
ネットショップ | Amazon・楽天など |
銀行 | りそな銀行・みずほ銀行など |
IT系サービス | 第一生命情報システム株式会社など |
もともとBNPLは、支払い方法の1つです。そのため商品を購入後に支払い方法を選択することになるネットショップとの関係は、非常に深いです。法規制次第になるかもしれませんが、BNPLとネットショップの関係は今後も続くことが考えられます。
またBaaSという概念が登場したことにより、銀行業界もBNPLとのつながりが非常に深くなりました。BaaSの成功事例が日本国内で増えれば、三菱UFJ銀行などのように参入する銀行が今後も増えるかもしれません。テクノロジーの発展により開発コストが抑えられるようになれば、全アプリがBaaSのような機能を備える日が来るかもしれません。
そして当たり前の話なのですがネットショップの支払いにBNPLを導入、および自社サービスにてBaaSを実現させるには、一定のシステム開発力が必要です。IT関連の知識・プログラミング技術・テクノロジーが必須になるということですね。そのためIT系業界も、BNPLとは切っても切り離せない関係と言えます。
生活保護を受けている人でもBNPLは使えるのですか?
理論上は、生活保護を受けている方でもBNPLを利用することは可能です。これまで何度も述べてきましたように、BNPLは氏名などの情報を入力するだけで利用可能だからです。
それに付け加えてBNPLには原則、与信審査がありません。そのためクレジットカードよりも、利用できる可能性は非常に高いです。
ただし、万が一滞納が続いてしまった場合、以下のようにBNPLサービスの利用を拒否されるおそれがあります。
利用者が当社に支払うべき債務につき未払いがある場合、その他当社が不適切と認めた場合などには、当社は定期購入の承認を行わないことがあります。この場合、当社は該当の販売店に対して承認を行わない旨を通知するものとし、利用者は、本サービスによる決済を利用することはできず、販売店との間で直接決済するものとし、当社に対して異議を申し立てることはできないものとします。
引用元:Paidy|ペイディ利用規約|【定期購入の注意事項】(2023年11月10日時点)
利用状況によっては、BNPLを使えなくなることも考えられます。したがってBNPLはあくまで、自分の収入に見合った使い方をすることが基本です。簡単に後払い・分割払いを利用できるからといって使い過ぎないよう、販売事業者は利用者(一般ユーザー)に対して注意喚起を行うのが良いでしょう。
まとめ|BNPLは事業者・利用者におすすめのサービス
BNPLは、世界はもちろんのこと、日本でも現代のニーズに即したサービスとして広まっていくことが予想されています。スマホを持っていれば、誰でも簡単にその場で登録から利用できるBNPLはキャッシュレス社会の促進を、さらに加速させるかもしれません。
それだけでなく、BNPLは販売事業者・利用者(一般ユーザー)に対して様々なメリットがあることもわかりました。デメリットや注意点もありますが、それを上回る利点があると言えます。BNPL市場は拡大の傾向を示し、幅広い世代に利用されているのが何よりの証拠です。一度使ってみてはいかがでしょうか。
- 寄稿
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株式会社セミナーインフォTheFinance編集部