ChatGPTの使い方の例
(1)謝罪メールの作成をお願いする
クライアントに対して、謝罪メールの送付する際の文章作成が可能です。ChatGPTの回答を例文として、少し手を加えると、具体性のある謝罪メールになります。
(2)長編小説を書いてもらう
条件を設定して質問を行えば、長編小説のようなクリエイティブ作品を書いてもらうことも可能です。以下のように小説のタイトルから概要までを数分で文字起こししてくれます。
(3)Excelの関数を教えてもらう
ビジネスで利用するExcelの関数を教えてもらうことも可能です。以下の質問は簡単なものですが、より複雑な条件がある場合でも、条件を指定して質問することで回答がもらえます。
なお、以下の質問をした際には例も出してくれたため、理解が早まります。
(4)最新の金融トレンドについて教えてもらう
最新の金融トレンドについてもChatGPTで回答がもらえます。なお、正確な予測ができないと回答していますが、この回答から自身で調べる取っ掛かりには十分な内容です。
なお、ChatGPTが回答した「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」やESG投資に関連した「TCFD」については、以下の記事をぜひ参照してみてください。
参考
・CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは?先行国と日本の状況【2022年版】
・TCFDとは?概要・国内外の事例まで総解説【2022年版】
(5)個人情報保護法のポイントを要約してもらう
自社で個人情報を取り扱う際に留意すべき、個人情報保護法のポイントについても、要点をまとめて回答をしてくれます。
(6)AIチャットがビジネスに与える影響について質問する
ChatGPTのようなAIチャットがビジネスに与える影響についても質問してみました。自社の今後の展開として、AIチャットの導入を考えている際などに役立ちます。
(7)デジタル人民元の中国国内での利用状況について質問する
中国が進めているデジタル人民元についての活用も、ChatGPTに聞いてみると概要を回答してくれます。なお、デジタル人民元についてより詳細に知りたい方は、以下の記事も参照してみてください。
参考:デジタル人民元とは?現状・影響・問題点を解説【2022年版】
金融業界における活用事例
(1)SBI⽣命保険株式会社(2023年12月1日 追記)
SBI⽣命保険株式会社は、AmazonKendraにOpenAI社のChatGPTの最新モデルであるGPT-4を搭載し、Amazon Kendraによる検索結果の内容をGPT-4が要約表示する新機能を開発し、コールセンターのオペレーター向けセルフボットとして、現在では全オペレーターへ導入され運用されています。
この取り組みにより、検索結果からマニュアルや帳票を表示させる、要約表示部分を読み上げるだけで顧客対応が可能となる、といったコールセンター業務の効率化を大きく発展させています。さらにはオペレーターの研修や自習にも活用されており、可能性は多岐にわたることが予想されます。同社取締役兼執行役員 池山徹氏によれば「今後はBCP対応も視野に合成音声でのお客さまサービスを発展させる予定」とのことです。
また、2023年10月18日には、戦略的パートナーシップを結ぶアミフィアブル社と共同でGPT-4を組み込んだテスト工数削減AIアプリの新機能の開発と運用開始を発表しています。これにより、生成AIモデルのファインチューニング時に質問文を大量に自動生成したり、回答文と正解文の類似度をスコア化するなど“生成AIをAIで鍛える”ユニークな取組みを行っています。
参考
・Amazon KendraとGPT-4を組み合わせた新機能を開発コールセンターのオペレーター向けセルフボット(sbilife.co.jp)
・池山氏登壇「TheAcademy」講演から一部抜粋
・GPT-4を組み込んだテスト工数削減AIアプリの新機能について(sbilife.co.jp)
(2)GMOあおぞらネット銀行株式会社(2024年1月10日 追記)
「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」をコーポレートビジョンに掲げるGMOあおぞらネット銀行株式会社は、2018年の事業開始時より「AIチャットBOT」を導入していましたが、2020年にtripla株式会社の「多言語AIチャットボットサービス(triplaチャットボット)」導入により、コールセンターとの連携やAIの運用管理等を行っていただいた結果、回答の正解率が80%に到達するなどサービス品質を向上させています。
同社では、お客さま対応にとどまらず、マネーローンダリングおよびテロ資金供与防止対策においてもAI技術を活用しており、自社にてAI技術を活用した口座不正利用モニタリングツールの開発・チューニングを行うなど、セキュリティ面にも積極的にテクノロジーを活用しています。
同社執行役員 金子邦彦氏は、「次世代のテックバンクとして、日々チャレンジを続けていますが、AIは一つのキーワードに過ぎず、ただ取り入れることが目的ではなく、AIを使いこなし、それによって何を生み出し、結果を出すのかということが重要。AI分野でもNo.1を目指し、試行錯誤を繰り返しながら、今後もAIを活用した業務改善・サービス向上を目指す」とのことです。
(引用:金子氏登壇 TheAcademy講演『AIを日常業務に!』)
ChatGPTの課題
ChatGPTは、質問したことに対して素早く回答をしてもらえますが、すべてが正しい情報とは限りません。実際に1,000円札のデザインについて質問をしてみると、描かれている人物は野口英世ではなく、福沢諭吉という回答がされました。
こうした明らかな間違いであれば、すぐに気づくことはできますが、専門性が深い分野だと判断が難しいケースもあるでしょう。そのため、ChatGPTの回答を鵜呑みにせずに、自身でも正しい回答かどうかを調べることが大切です。
しかし正確性の課題は、ChatGPTがより学習を積むことや、ユーザーの訂正が入ることで、より精度が上がり、早期に解決していくことも予想されます。
また、金融に目を向けるとChatGPTを制限する動きが広がっています。中国をはじめ、アメリカでも規制の動きがあり、機密性の高い財務データがチャットボットと共有されてしまう懸念や、ユーザーに対して金融の誤情報が渡ってしまう可能性などを示唆しています。
現在は、ChatGPTの「安全かつ効果的な使用方法」としているため、金融機関における活用には、もう少し時間がかかることが予想されます。将来的には、金融サービスにおけるChatGPTを活用したユーザー対応なども考えられるでしょう。
参考
・中国、ChatGPTの利用停止 アリババやテンセントに指示
・「ChatGPT」に警戒強めるウォール街、大手行で利用禁止の動き相次ぐ
まとめ
ChatGPTの活用方法は、さらに広がっていくことが考えられます。2023年2月には、マイクロソフトが開発元のOpenAIに対して、1兆円規模の追加投資を行うと発表しました。そのため、今後はさらにChatGPTが洗練され、効果的に活用すれば、自社の業務効率化や施策などにも活かすことも可能でしょう。
金融では規制の動きが広がっていますが、将来的には無視できない技術であると言えます。今後、ChatGPTを活用した新たな金融サービスが生まれていく可能性もあるでしょう。
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株式会社セミナーインフォTheFinance編集部