※本稿は株式会社インフキュリオンの許可を得て、転載・編集しています。
APIとは?
APIの定義
API(エーピーアイ)とは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」の略。アプリケーションから、OS等のプラットフォームの機能を呼び出して利用するための、橋渡し(インターフェース)となる仕組みのことをAPIと呼ぶ。
例えばGoogleは「Google Maps API」というAPIを公開しており、これを使うことで、スマホアプリ等の製作者はGoogle Mapの機能を呼び出し、利用することができる。
このように、汎用性や利便性が高いプログラムをAPIとして公開することで、同様の機能をゼロから開発するためのコストが削減され、多くのサービスや製品の開発が促進される。
拡大するAPIの公開
APIという概念自体は新しくはない。だが、近年のクラウドやモバイルの急速な普及に後押しされ、様々なコンピュータシステムが相互に連携する機会が増え、API連携によるサービス提供の機会が過去5年間で爆発的に拡大した。
現在、12,000のAPIがWeb上で公開されていると言われ、これは2006年から30倍に増大している。
なぜAPIを公開するのか
API公開のメリット
APIを公開すると、企業は、自社のITシステムが持つデータやサービスへの外部からのアクセスを許可したことになる。なぜFinTechに絡み、金融機関もAPIを公開すべきという議論がなされているのか。
一般に、API公開のメリットとしては、以下の2点が考えられる。
- 自社が保有するデータやシステム機能を有償で提供することにより、既存ITシステムを収益源に変えることができる。
- 自社のデータやシステム機能を組み込んだ新サービスを、外部者が創ってくれるようになるという、オープンイノベーション効果が狙える。
金融分野以外でのAPI公開
金融分野以外のAPI公開企業では、Google、Twitter、Facebook、Netflix、eBayなどが挙げられる。これらは、1日に10億回以上APIを呼び出し処理を行っている。先述のGoogle Maps APIもAPI公開の一例である。
金融分野のFinTechとAPI公開
金融分野では、例えば金融情報サービスのトムソンロイター。2015年に、同社のデータフィードやサービスにアクセスできるElektronという名のAPI群を公開している。
また、金融データフィードに関するFinTechスタートアップとしては米国Xignite社がAPIを公開している。
APIを使ったFinTechサービス事例
2016年5月に米国で開催されたFinovateSpring2016ではすでに、APIによる異業種リアルタイム連携を用いたサービスのデモがいくつか出ている。
FINOVA Financial
https://www.finovafinancial.com/
リアルタイム自動車担保融資。店舗来店不要でスマホ完結の自動車融資に、API連携を活用している。車両情報照会や審査をリアルタイムで実行することができる。
Roostify
リアルタイムで住宅ローン。確定申告アプリとの連携で、スマホ上での住宅ローン申込を円滑に完了させ、リアルタイムで与信審査を行っている。
CUneXus
モバイルバンキングを入口とする自動車購入と自動車ローン。ローン事前審査完了済の顧客による、自動車探しと購入、下取り、自動車保険購入までを、APIによるリアルタイム異業種連携で実現が可能となっている。
まとめ
金融サービス利用の裾野を広げ、金融業界を活性化させようという日本のFinTech。スマートフォンはその重要なチャネルだが、データ入力などは大きな障壁となっている。
今回紹介した3社は、異業種とのAPI連携で、スマホ操作の煩雑さを低減し、よりよいUX(ユーザーエクスペリエンス)を実現している。
外部の異業種とのAPI連携を活用したサービスも出現している海外FinTech。日本においても、今後のAPIによるオープンイノベーションに向けて、大きく動いていく年となりそうだ。
転載元:infcurion insight(株式会社インフキュリオン)
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The Finance編集部