みずほフィナンシャルグループにおけるオープンイノベーションの取り組み
- 基調講演
【講演者】
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みずほフィナンシャルグループ
兼 Blue Lab アドバイザリーボード大久保 光伸 氏
拡大する巨大テック企業の影響築いてきた信用力を生かす戦略を
欧州を中心に、ネオバンクやチャレンジャーバンクといった銀行と外部事業者の連携という新たなサービス形態が盛り上がりを見せています。日本でも銀行の接続仕様を外部事業者に公開し、安全な情報のやり取りを可能にする「オープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の普及が促進され、金融のマイクロサービス化や外部業者との連携が増えてきました。さらに、同じく増加傾向にある銀行系決済サービスにおいても、送金金額の上限を設けていた資金移動法の緩和が検討されるなど、既存金融機関のデジタル化には大きな後押しとなっています。
近年では、決済サービスへIT(情報技術)企業の参入が盛んになってきました。特にグーグルやアマゾン・ドット・コム、アップルなど巨大テック企業は、すでに決済市場で影響を拡大しています。
こうした巨大テック企業の影響力拡大に対して、我々既存の金融機関が新規事業領域で新規顧客を取りに行くのは難しい。一方、従来領域でビジネスを続けてもイノベーションがありません。そこで、「既存の顧客層×新規事業」あるいは「新規の顧客層×既存事業」という戦略が重要になるでしょう。
金融機関がこれまで築き上げてきた信用力や安心感といったものを最大限生かすことが、今後の活路になると考えています。
規制緩和で異業種間連携に追い風FinTech×○○Techに注目
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2016年の中期経営計画で金融イノベーションへの積極的取り組みを掲げ、2017年にはFinTechやIoT(モノのインターネット化)全般を対象に新規ビジネスを開発する合弁会社Blue Labを立ち上げました。さらにFG内の既存組織にデジタル化を浸透させるため、グループ内完結型のクラウド構築、外部人材を含めたITナレッジ有識者コミュニティの立ち上げなど、デジタル化を強く推進できる組織作りに尽力しています。
ビジネスとして実現してきたオープンイノベーションへの取り組み例を挙げれば、IBMや損害保険ジャパンと連携して実現したブロックチェーンを用いたトレードファイナンスや、ソフトバンクと共同で立ち上げたFinTech企業「J.Score」で提供するAIスコア・レンディング、AIを応用したOCR(光学文字認識)での業務効率化など、多くの例があります。
レガシーといわれるような企業もデジタル化に進出してきて、大きなビジネスチャンスが広がっている異業種間のデジタル連携。規制緩和によって、不動産など従来銀行単独では法律上できなかった業種との連携も検討できるようになりました。金融以外で市場を拡大するうえでチャンスとなるでしょう。
当グループの異業種間ビジネス戦略は、やみくもに新規事業を立ち上げるのではなく、「FinTech╳○○Tech」といった、金融と他業種テクノロジーの組み合わせで構築しています。特に、すでにテクノロジーが充実している不動産や交通といった業種は「ビジネスモデルが成立しやすい領域」とみなし、展開を早めるようにしています。
今後、異業種間でデジタル化を通じた連携を深めるために、まず同業種間でのデータ連携が不可欠。金融機関同士で可能な限り協力し合っていきたいと考えています。
北陸銀行のワークスタイル変革への取り組み
- 特別講演
【講演者】
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北陸銀行
システム統括部システム戦略グループ 副部長富永 英司 氏
業務・人事・システムの三位一体で改革と投資を推進
北陸銀行は、2016年スタートの前中期経営計画からワークスタイル改革を実施し、現在も継続しています。当行での実績を紹介しますと、業務改革では、ペーパーレス化や、営業店後方事務の本部への集中、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)などを進めてきました。さらに人事改革では、管理職の休日在宅勤務や、テレワークの導入などがあります。システム改革の部分では、ハイパー・コンバージド・インフラ(HCI)を用いた仮想化と、タブレット導入をしています。
特にペーパーレス化では、会議の運営が楽になっただけでなく、稟議書の回覧の際、どこまで決済が進んでいるのかシステム上で簡単に確認できるメリットもあり、行内から好評です。ただ導入当初、印刷枚数は減っていたのに印刷コストは増加するという現象が起きました。後でシステムがカラー印刷を優先していた事が原因とわかったのですが、このことから、KPI(重要業績評価指標)だけでなくKGI(目標達成指標)もきちんと見るべきだと認識を改めました。
基本的なことですが、こうした改革はコスト削減や、顧客サービス向上による収益拡大、従業員の満足度向上と結びついてはじめて意味があると考えています。ワークスタイル改革をうまくやっていくには、業務改革、人事改革、システム改革が三位一体となる必要があります。
今後の話としては、行内のIT推進と併せて、ノウハウをコンサルティングとして顧客に提供し、収益に貢献するサービスの立ち上げも視野に入れています。
もう一つの展望として、私の専門のシステム改革の話をしますと、「収益向上やデジタル化推進のための投資」を充実させたいとの考えがあります。そのために、維持コストの削減で投資資本を準備する必要がありますが、実際には、「どこに費用がかかっているのか」がきちんと分析できていなかったり、「これで仕方ないよね」といった見逃しによって、無駄な維持コストがそのままになっている現状を実感しています。
当行では、費用の精査と併せて、営業店にある勘定系端末や有線ネットワーク、磁気媒体など、無くすことは難しいといわれる部分に対し、あえてデジタル化などで効率化を図ることを挑戦として掲げております。
過激に思われるかもしれませんが、システム戦略は「捨てる」くらいの気持ちで、レガシーへの二重投資を避けて新たなシステムに転換することが非常に大事だと考えています。
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