金融機関が実行すべきdXとは

デロイトでは、金融機関が実行すべきdXを「Goal & Aspiration」、「5 Elements」、「Capabilities」の3つの観点で捉えている。

「Goal & Aspiration」とは、dXを通じて目指す姿のことを示しており、定量・定性の観点から具体的なゴールが策定されていること、その実現に向けたロードマップが具体的になっていることが求められる。その際に、金融機関が長期的に目指す姿とdXを通じて目指す姿がアラインしており、其々の位置づけが明確になっていることが重要である。金融機関によっては、dXと言いつつも全体像個別施策のボトムアップ的な寄せ集めになっており、dXのゴールや定義が曖昧なまま進めているケースも多くみられる。ここで重要なのは、dXを通じて目指す姿については、中長期的な目線を持ってトップダウンで策定することである。

「5 Elements」とは、金融機関がdXを通じて目指す姿(Goal & Aspiration)をビジネス、オペレーション、IT、データ、組織・人材の5つの観点に分解し、具体的にどのようなことをするべきか示したものである。

  • ビジネス
    ・既存事業においては新たな顧客体験を基に売上増、顧客満足度向上が実現していること
    ・新規事業においては新たな収益の柱になっていること
  • オペレーション
    ・柔軟かつリーンなオペレーション態勢が構築され、生産性が高まっていること
  • IT
    ・安価かつアジリティの高いアーキテクチャ等の最新技術の活用が進んでいること
    ・dXを支えるIT態勢が実現していること
  • データ
    ・社内外のデータを一元的に集約し、AI等の最新技術を活用して分析が実現していること
  • 組織・人材
    ・デジタル・IT人材が十分に育っており、ベンダー依存が解消されている
    ・顧客中心思考、失敗を許容する文化、新たな働き方が定着している

「Capabilities」とは、5 Elements其々の目指す姿を実現する上での必要なケイパビリティを示しており、経営が変革にコミットし推進主体の下で実行管理されていることが求められる。

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