2021年4月14日(水)開催 FINANCE WEBINAR ニューノーマル時代におけるワークスタイル変革<アフターレポート>


2021年4月14日(水)、セミナーインフォ主催FINANCE WEBINAR「ニューノーマル時代におけるワークスタイル変革」が開催された。 コロナ禍を経て、金融業界においても本部・営業店問わず、テレワークやペーパーレス化など多様で柔軟な働き方の推進を迫られている。With/Afterコロナ時代においては、テクノロジーの活用により効率性や生産性を高めるだけではなく、働き方改革を進める顧客のニーズに対応しうる体制整備が不可欠となっている。本セミナーでは、りそなホールディングスや大同生命保険によるワークスタイル変革の事例をご紹介いただいた。その他先進企業各社による講演を通じて、金融機関各社がニューノーマル時代における働き方改革成功の端緒をつかむ為の一助となれば幸いだ。

  1. りそなグループのワークスタイル変革
  2. あなたの会社はAI-Ready?New Normalの金融×AI戦略
  3. 大同生命保険のリモートワークと働き方の刷新
  4. Blue prismビジネス・トランスフォーメーション(BX)のヒント
  5. 【紹介動画】ニュータニックス・ジャパン合同会社
目次

りそなグループのワークスタイル変革

渋谷 恒一

基調講演➀

【講演者】
株式会社りそなホールディングス

人財サービス部 グループリーダー

渋谷 恒一 氏

<はじめに>
りそなグループでは、従来から対面と非対面を融合させていくというオムニチャネル戦略に力を入れてきた。DXによりデジタル分野での働き方は変わる一方で、伝統的な銀行店舗における働き方は試行錯誤が続いている。
コロナ禍の現在にあっても、働き方改革の試みは継続中である。今回は実際に当社が取り組んできた試みについて紹介したい。

<弊社における働き方改革の歩み>
弊社は金融危機の際、いわゆる「りそなショック」と呼ばれる公的資金の注入を受けたことを契機に、担い手の確保を迫られたこともあって、従来の人事制度を大胆に刷新した。ダイバーシティ、同一労働同一賃金、年功序列からの脱却、といった考え方を当時から取り入れていたもので、こうした制度は人事運営に成果をもたらしたが、一方で「働き方」に関してはほとんど変わらなかったというのが実情だ。

<ワークライフバランス向上からワークスタイル変革へ>
弊社が「ワークライフバランスの向上」というテーマを意識して働き方改革に取り組みだしたのは、2016年頃のことである。
外部環境としては労働行政の厳格化や長時間労働への批判の高まりといった社会情勢にあり、社内的にも育児や介護などで時間に制約のある担い手が増加していたことから、「残業に依存をする組織運営は経営上のリスクである」との強い危機感を持ち、働き方そのものを見直すことになった。
働き方は企業文化そのものとも言える。変えていくためには地道な取り組みが必要で、強制退館時刻の設定や、残業削減・休暇取得実績などを支店間で競わせるなど、硬軟織り交ぜた策を打った。
また、減少した時間外手当については賞与の増額で従業員に還元し、ワークライフバランス向上への取り組みマインドを醸成した。

<ワークスタイル変革と新型コロナ対応>
こうした働き方改革の取り組みは、残業時間▲2割、休暇取得+4割など一定の成果をもたらした。2019年頃からはさらに発展させる形で、テレワークを軸としたワークスタイル変革に取り組むことになった。
その矢先に発生したのが、2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミックである。
本部においては先行してテレワークに取り組んでいたものの、当時はリソースの不足やテレワーク困難な業務の存在といった事情から、特に店舗においては、テレワークによるコロナ対応は難しい状況だった。弊社ではテレワーク可能な業務の従事者と困難な業務の従事者が混在しており、従業員の感情面でも対応に苦慮したというのが実際のところである。

<ワークスタイル変革の実現に向けて>
緊急事態宣言を経て、2020年9月から営業店へのテレワークの拡大、必要なリソースの増強といった施策を実施した。ここでは、オムニチャネル戦略を踏まえ、ワークスタイルも対面と非対面の両方を充実させ融合していく方針を打ち出した。また、テレワークを柔軟で生産性の高い働き方を追求する「平常時」と、業務継続や感染予防への配慮の観点からの「緊急時」に改めて整理した。
現在は雇用形態などに関わらず全従業員がテレワークの対象者となっており、本人の希望や家庭環境に応じてテレワークの頻度が選べるような仕組みが整っている。
情報管理に関しては、紛失・盗難などの情報漏洩リスクと、故意の情報持出など不祥事リスクを分けて整理し、それぞれシステムセキュリティと人事管理の両面で統制を図ることで、テレワークでもオフィスと同等の情報を取り扱える体制を整えた。
このような地道な取り組みを続けた結果、テレワークの実施率は大幅に向上し、さらに生産性の向上といった成果があらわれはじめている。
さらなる効果促進・課題克服のため、定着化に向けた取り組みを進めている。

<終わりに>
新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言という不測の事態はあったものの、「ワークスタイル変革の実現」という当初の目標に変わりはない。
働き方は企業文化そのものである。これまで弊社でも制度を変えただけでは簡単に変わらない、ということを痛感してきたところだ。しかし、その一方で、企業文化は地道な取り組みによって変わる、ということをも感じている。
弊社のワークスタイル変革は道半ばであり、コミュニケーションの改善をはじめとして今見えている課題も多数ある。今後も試行錯誤しながら、継続して働き方、ワークスタイルの変革に取り組む所存だ。

あなたの会社はAI-Ready?New Normalの金融×AI戦略

平野 未来

【講演者】
株式会社シナモン
代表取締役社長CEO

平野 未来 氏

山村 萌

【講演者】
Business Development Manager

山村 萌 氏

<はじめに>
AIというと、メディアでは「人間の仕事を奪うもの」として描かれることが多い。しかし、日本の場合、2030年には1000万人の労働人口が不足するという話もあり、むしろAIが人間をサポートしていかないと、日本のGDPを維持できないという状況なのだ。
そこで、私たちシナモンは「創造あふれる世界をAIと共に」というミッションを掲げ、AIを活用した企業のデジタルトランスフォーメンション戦略を支援してきた。

<AI-Readyとは>
AI-Readyは「企業がどれくらいAIを活用できているのか」を表す指標である。レベル1〜5までの5段階評価となっており、レベル1では「まったくAI活用に着手していない」、レベル2では「少し実証実験を行った程度」、そして最高評価のレベル5では「企業の経営戦略にAIが組み込まれ、業界をリードする存在である」というように定義されている。
残念ながら、今の日本企業の大多数はレベル1・2の段階にとどまっている状況である。これは、国としても大きな損失であると我々は考えている。
では、どのようにすればレベル5まで上げられるのか。それは、ひとえに成長戦略にAIを活用できるのか、という点にかかっている。
現状ではAIを「コスト削減のためのツール」ととらえている企業が多いが、単なるコスト削減ではなく、成長戦略としてAIを取り入れたとき、同じ業務に関しても、活用の仕方によっては、コストリーダーシップ戦略などを取ることも可能となり、ビジネスインパクトが大きく変化をする。

<AI時代の働き方>
我々としては、今後「AIが人の仕事を奪う時代」ではなく「AIが人と一緒に働く時代」が来ると考えている。
というのも、AIには誤差があり、精度100%ということはありえないからだ。ひとつひとつのモジュールやアルゴリズムの精度が高くても、複数のモジュールやアルゴリズムを組み合わせた結果、最終的な精度が60%程度になるということも起こり得る。
そこで、重要となるのが、Human-in-the-loopという考え方である。これはAIに人間をアシストしてもらう一方で、人間の側はAIの精度が100%にならなかった部分を確認・修正作業していく、というものだ。
我々も実際この思想にもとづき、これまでさまざまなソリューションを提供してきた。

<成長戦略としてのAI活用とは>
成長戦略としてAIを活用することは、新たな事業創出につながる。その経済的効果は、コスト削減のためにAIを使った場合とは比較にならない。
AIが実現できるエンドバリューとしては、業務の効率化、リスク削減、売上増大、UX向上、R&Dの推進の5つが挙げられる。海外の企業の中にはAIを活用することで、事業におけるこれらのエンドバリュー向上に成功しているケースも出てきている。
実際にAIの活用を成功させるためには、アプローチ、顧客体験、エンドバリュー、データの蓄積・再学習、機能改善という一連のプロセスにおいてループを組むことが重要となる。
このフレームワークはHarvest-Loopと呼ばれるものだ。ハーベストループによって得られたエンドバリューを戦略に転換していくことが、AIを活用した事業戦略の肝となる。
弊社でもさまざまなデータを活用し、クライアント企業のハーベストループ構築を支援するソリューションを提供してきた。

<終わりに>
我々はこれまで多くのAIソリューションを提供してきた。AI-Readyのレベルによって求められるソリューションは変わるが、それぞれのお客様の状況に適した現実的な提案が可能である。
今後も各企業様の状況に応じ、AIを使った取り組みの支援をさせていただければ幸いだ。

講演企業情報
株式会社シナモン:https://cinnamon.is/

 

大同生命保険のリモートワークと働き方の刷新

中尾 健治 氏

基調講演➁

【講演者】
大同生命保険株式会社

人事総務部 人事企画課長

中尾 健治 氏

<はじめに>
当社はこれまで中小企業市場における生命保険事業のリーディングカンパニーとして、「日本の中小企業を守る」という使命のもとに企業活動を行ってきた。
現在は東京・大阪に本社拠点、全国102カ所に営業拠点を有し、中小企業関連団体と連携しながら中小企業の経営者・従業員向けの生命保険を提供している。
また、今回のコロナ禍にあってはコロナ助け合い保険の無償提供など困難な状況にある中小企業を支援する試みも行ってきた。

<テレワーク導入の経緯>
当社では以前より、メリハリのある働き方を目指して働き方改革を行ってきた。2013年にタブレット端末「エース・ウィズ」を全ての営業担当者に配備したほか、2014年には在宅勤務制度を導入し、今では個人情報を扱うものを含め、ほとんどの業務をテレワークで行える仕組みとなっている。
実際の取り組みを進めるにあたって、基本的なシステムは「シン・クライアント技術」を導入し、情報漏洩対策を徹底しながらスピーディに、そして現場の声も取り入れて柔軟な対応を心がけてきた。
また、当社における在宅勤務制度導入のスタンスは「できることからはじめる、お金はできるだけかけない、情報漏洩対策は万全に」というものである。現在では他企業から在宅勤務の導入についてお問い合わせをいただくこともあるが、そのときも上記のコンセプトを伝えるようにしている。
そうした結果、2017年度に総務省のテレワーク先駆者百選、2018年度に日本テレワーク協会のテレワーク推進賞、2019年度に厚生労働省の輝くテレワーク賞をそれぞれ受賞し、大変大きな励みになっている。

<コロナ禍におけるテレワーク>
テレワークの先駆者という評価もいただいている当社ではあるが、それでもコロナ禍が起きた当初は全社的にテレワークを行うだけのインフラが足りていない状況にあった。
ただ、もともと在宅勤務に関する制度設計が整っていたこともあり、インフラ整備を進めるうちにコロナ禍にあってもスムーズに在宅勤務への移行ができたのではないかと考えている。
当社のリモートワークの取り組みの中でも、特に特徴的な挑戦といえるのが「コールセンターにおける受電業務のテレワーク化」である。コールセンターの受電業務は、業務の中でももっともテレワークが困難な業務である。お客様からの受電対応を行うコールセンターの業務には、出社する人数を減らして応答率が低下すると顧客満足度が低下する、業務継続を過度に優先すると従業員である受電者が犠牲になる、というジレンマがある。
そこで当社のコールセンターでは、こうした課題に対して職場環境、勤務制度、入受電対応の整備という3つの側面から改善を進めてきた。クラウド型のパッケージシステムの導入や受電者のサポートといった対策を進めた結果、現在は平時で50%、ロックダウン時のような非常時には100%在宅を実現できる体制が整っている。
次にリモートワークへの移行が困難とされる営業活動について紹介する。
オンライン商談と対面商談のメリット/デメリットがあるため、状況に合わせた使い方が重要と認識している。そこで、営業職員のホスピタリティを最大限発揮できる「対面」はニーズ喚起・クロージング部分のみとし、その他の場面はお客様に対面か非対面を使い分ける「営業活動モデル」に取り組んでいる。
ほかにも、新規申し込みの査定や保険金の支払いに関する業務についても、非対面で行えるように挑戦を続けてきているところだ。

<「ウィズコロナ」におけるリモートワーク>
今後もコロナウイルスとの共存が続くといわれるウィズコロナ時代にあっては、コロナ禍前の働き方に戻るということは考えられない。当社では働き方改革の一環としてリモートワークを前提とする働き方の環境整備を行っていくつもりである。
そして、リモートワークの定着が生産性の向上や会社の魅力度向上に繋がっていくように、労務管理や人事制度などの抜本的な見直しを進めているところだ。
今後の課題として、従業員アンケートの結果から、リモートワークは出社勤務より非効率と回答した理由や原因を確認し、生産性の向上に向けた対策を実施している。その中で、リモートワークにおけるコミュニケーションの工夫については、Teamsを活用したすべての業務関係者と「等距離」のコミュニケーションを心掛けているほか、機会を積極的に設けることで、意図的にコミュニケーションを活性化している。
人事評価制度では、各職員の働くスタイルに応じて、成果・プロセス評価のウェイトを柔軟に設定し、成果・貢献度を適切に評価できるように取り組んでいる。

当社としては、リモートワークの拡大を契機として、業務の効率化、さらには場所にとらわれない働き方が実現できるのではないかと期待している。
今後も弊社ではコロナ禍を一つのチャンスととらえながら、働く時間や場所にとらわれずに従業員が能力を十分に発揮できるように取り組んでいくつもりだ。

Blue prismビジネス・トランスフォーメーション(BX)のヒント

伊藤 能一 氏

【講演者】
Blue Prism 株式会社

エンタープライズ営業本部 金融営業部 部長

伊藤 能一 氏

<はじめに>
我々Blue Prismは英国4大銀行の1行の自動化プロジェクトより発祥したRPAの生みの親であり、四半世紀にわたり、RPAツールの開発・提供を通じて企業の業務改善をサポートしてきた。
本日は国内RPAマーケットの課題、さらにこれまでの導入事例から得られた情報をみなさまと共有できればと考えている。

<国内RPA市場が抱える課題と現状>
まず現在の国内マーケットの状況について共有させていただきたい。
これまで日本国内では、デスクトップ型のRPA、我々がRDAとよんでいるものが主流の製品であった。
しかし、RDAを採用した場合、RDAが入っている状態のデスクトップが社内に200台、300台と増えていくと、コンプライアンスやガバナンス上の問題が起きやすい。さらにRDA導入から数年経過したお客様の中には「RDAだけだと組織の課題解決が難しい」という方も出てきている。
日本のRPA市場そのものは大きく伸びつつあるが、これまで主流であったデスクトップ型RPAについてはさまざまな課題が浮き彫りになってきている状況である。
現在弊社ではエンタープライズ向けにプラットフォームとしてのRPAを提供している。今、国内でも先進的な企業ではDXの一環としてRPAとAIと組み合わせて業務の入り口から出口に至るまでのプロセスの一切を自動化しようという試みがはじまっているところである。
こうした企業の要望に合わせ、我々もAIとの組み合わせを意識したRPA製品の開発を行っている。

<導入事例>
これまで弊社では金融機関様をはじめ、さまざまな業界ソリューションを提供してきた。その中でもユニークな成功事例をいくつかご紹介したいと思う。
まずご紹介したいのは、国内大手生命保険会社様のケースである。このお客様のユニークな点は、時間削減、顧客満足度向上、従業員満足度向上の3つのKPIを設定して取り組みを進められていることだ。RPAツールの導入というと業務効率化、時間削減というメリットが注目されやすいが、このお客様の場合はそれだけにとどまらない取り組みをされている。
RPAの活用によってカスタマーサービスのデジタル化、さらに非生産的業務をロボットに任せることで従業員もより付加価値の高い業務に従事できる。
各部門各部署にRPAアンバサダーを配置し、随時RPAに適した業務の洗い出しを行える体制を整えており、さらにITのバックグラウンドがない社員が現場の開発運用を担い、内製化を実現しているという点も特徴的だ。
その他の事例として、時間削減のみならず「組織としての時間の使い方」にKPIを設定したカナダのTDバンク様の事例、業務の標準化にRPAツールを活用されたJAL様の事例などもある。

<JAL様の導入後の反響>
RDAからの乗り換えで弊社製品を導入されたJAL様からは、「業務はデジタルテクノロジーが行うことを前提とし、そのためにあるべき姿に向かって業務自体をゼロから再構築する。その視点に驚きと気づきがあった」という言葉をいただいた。
ほかにも導入された企業からは、「業務そのものが整理され、全体的な改善にもつながった」「不必要な作業から解放されることでモチベーションにも良い影響があったのではないか」といったコメントもいただいている。

<おわりに>
業務時間の削減、顧客満足度の向上、働き方の質を変えることによる従業員満足度の向上など、企業にとって業務の自動化は多くの効果をもたらす。在宅勤務やリモートワーク時にも業務継続を実現できるエンタープライズ向けの業務自動化プラットフォームとして、Blue Prism をご活用いただきたいと考えている。

講演企業情報
Blue Prism 株式会社:https://www.blueprism.com/japan/​

 

Nutanix Enterprise Cloud

【MOVIE SOPNSOR】ニュータニックス・ジャパン合同会社
 

Nutanix Enterprise Cloudは、プライベートクラウド、マルチクラウドを対象に、単一のプラットフォームにて場所・規模を問わないアプリケーション管理を実現します。汎用的なサーバー上で利用でき、Nutanixが無償提供するハイパーバイザーAHV に加え、VMwareやHyper-Vなども利用できます。さらに AWS、Azure、GCPなどとのハイブリッド/マルチクラウド運用が図れるため、さまざまなプラットフォームのベンダーロックインを回避する戦略に最適なITソリューションです。

企業情報
ニュータニックス・ジャパン合同会社:https://www.nutanix.com/jp
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