2026年9月9日(水)開催 FINANCE CONFERENCE「AIを駆使した金融機関の業務改革―AXの本質―」開催レポート


2026年9月9日(水)、株式会社セミナーインフォ主催のFINANCE CONFERENCE「AIを駆使した金融機関の業務改革―AXの本質―」が、JA共済ビルカンファレンスホールにて開催されました。

多くの金融機関でAI活用の重要性が認識される一方、個別業務の効率化にとどまらず、組織全体を巻き込んだAX(AIトランスフォーメーション)へと発展させるためには、データ基盤やセキュリティ、運用、ガバナンス、人材育成、現場への定着など、さまざまな壁を乗り越える必要があります。急速に進化するAIを、いかに実際の業務や組織変革へ結び付けていくかが、金融機関にとって重要なテーマとなっています。

本イベントでは、こうした背景を踏まえ、生成AIの全社展開やAI Readyなデータ基盤、AIエージェントの活用、セキュアなAI利用環境、AIアバターを活用した顧客対応・人材育成、さらには業務プロセスそのものの再設計まで、AXを実現するための幅広い論点が取り上げられました。AIを単なるツール導入で終わらせず、現場に定着させながら持続的な業務変革へつなげるための考え方や実践知が共有されました。

AI基盤の整備から組織・人材、業務プロセス、顧客接点の変革まで、金融機関がAXを推進するうえで押さえておきたいテーマが凝縮されたイベントとなりました。本レポートでは、各セッションで語られたポイントをご紹介します。

目次

SMBCにおけるAIトランスフォーメーションの取り組みについて

基調講演

【講演者】
株式会社三井住友銀行
AIトランスフォーメーション推進部 副部長
大村 拓也 氏

株式会社三井住友銀行の大村拓也氏が登壇し、生成AIをはじめとした先進技術を活用し、全社的な業務改革を実現する「AIトランスフォーメーション」の取り組みについて解説されました。

講演では、2023年に社内専用の生成AIプラットフォーム「SMBC GAI」を立ち上げて以降、AI活用を全社へ広げてきた歩みと、2026年4月に発足したAIトランスフォーメーション推進部が掲げる7つの重点領域が紹介されました。 7つの領域は、AIの柔軟な開発・安定稼働を支える「システム基盤」、AI活用の前提となるデータ整備・基盤構築を進める「データ」、活用拡大に伴う仕組み・体制を整える「ガバナンス」、全員がAIを自然に使い生産性向上につなげる「カルチャー」、AI時代を前提に人の役割や配置を考える「人材」、各部門と連携しながら新たな価値創造を目指す「ユースケース」、そして外部企業の知見や技術も取り込みながら推進する「パートナーシップ」で構成され、これらを同時並行で進めていることが語られました。

また、Copilotをグループ会社や海外を含む約7~8万人へ展開するとともに、「ツールの使い方」ではなく「AIによって仕事をどう変えるか」を重視した研修やナレッジ共有を進めるなど、AIを組織に根付かせるための取り組みが語られました。

さらに、CFO Agentなどの具体的なユースケースに加え、部分最適やベンダー依存、データ・基盤の未成熟、効果測定といった実装段階で直面する課題にも触れられました。 AI時代の金融機関において、基盤やデータ、自社固有の文脈や判断基準をいかに競争力へつなげるかという今後の展望も語られました。

AXを加速するAI基盤~なぜAXは進まないのか、その壁を超える次の一手~

【講演者】
Sky株式会社
テックリーディング部 技術部長代理
毛利 圭吾 氏

Sky株式会社の毛利圭吾氏が登壇し、AX(AIトランスフォーメーション)が進まない背景にある「データ基盤」「コスト・セキュリティ」「運用」という3つの壁と、それらを乗り越えるための実践的なアプローチについて解説されました。

講演では、AI導入自体をゴールとせず、実際の業務で活用され、組織に定着し、成果創出につながるまでがAXであるとの考えが示されました。その実現に向けて、AIがデータの意味や文脈を理解できる「AI Ready」なデータ基盤や、金融のように機密性の高い現場での活用を意識した権限管理、ローカルLLM・フルオンプレミス環境などが紹介されました。

さらに、全社員向け研修や活用事例の共有、市民開発によるAIエージェント作成、ネットワーク分離環境での先端AI技術の検証など、AIを現場に定着させるための施策が語られました。市民開発では、導入から5カ月で2万個を超えるエージェントが作成され、AI定着率98%を実現した実績も紹介されました。

金融業界におけるAIアバター活用の成功事例と人的資本経営
~採用・育成・就労——人材領域におけるAI活用の最新事例をご紹介~

【講演者】
AVITA株式会社
取締役副社長 COO 兼 CFO
西口 昇吾 氏

AVITA株式会社の西口昇吾氏が登壇し、AIアバターを活用した窓口対応や人材育成など、金融業界における具体的な活用事例と、採用・育成・就労を通じた人的資本経営への展開について解説されました。

講演では、AIと人が役割を分担するアバター窓口や、AIアバターを用いたロールプレイなどが紹介されました。金融業界の事例として、保険相談・見積もりへのアバター活用、銀行Webサイトの問い合わせ窓口、新入職員の窓口対応トレーニング、店舗ロビーでの案内など、顧客接点と人材育成の双方で活用が広がっていることが語られました。

さらに、AI面接やロールプレイを通じて蓄積されるコミュニケーションデータを、採用や教育、顧客対応へ活用していく考え方も紹介されました。AIアバターを現場へ定着させるうえでは、短期的な業務改善と、中長期的な競争力や人材への投資という異なる時間軸からROIを捉える重要性が語られました。

あおぞら銀行の生成AI変革への挑戦
〜導入から全行展開、業務実装へのリアルな課題と取り組み〜

特別講演

【講演者】
株式会社あおぞら銀行
執行役員CIO副担当
楠田 佳嗣 氏

株式会社あおぞら銀行の楠田佳嗣氏が登壇し、生成AIの試行から全行での活用拡大、さらに業務そのものへの実装を見据えた取り組みと、その過程で直面した課題について解説されました。

講演では、当初のSaaS利用を通じて「業務利用の難しさ」や現場ごとに異なるカスタマイズニーズを把握し、2024年からオンプレミスのAI基盤とローカルLLMの構築に着手した経緯が紹介されました。さらに、外部情報を扱う専用クラウド環境との使い分けや、現場が自ら用途に合わせてAIを作る「市民開発」へと活用を広げてきたプロセスが語られました。

市民開発では、導入から約半年で800を超えるアシスタントが作成され、全役職員の7割強が継続的に利用していることも紹介されました。一方、次の段階では部署単位の部分最適にとどまらず、銀行業務を工程ごとに可視化し、「AIが担う仕事」と「人が担う仕事」を再設計することが新たなテーマとして語られました。

株式会社メンバーズによるブース展示

会場では、株式会社メンバーズによるブース展示が行われました。「金融業界の作法を熟知した『あたかも社員®』がDXを推進!安全な環境を使いAI活用を推進するBPaaS型PMOサービス」をテーマに、「金融特化型PMO支援サービス(AI活用・内製化BPaaSプラン)」が紹介されました。
同サービスは、金融業界における30年の知見を生かし、大手金融機関の大規模プロジェクトを推進してきた「金融業界特化型PMO」が現場のDX推進を支援するものです。安全な専用環境とともに支援を行う「BPaaSプラン」や、グループ会社ajikeが持つ金融UI/UXの知見を組み合わせ、金融機関のAI活用や内製化、自走力の向上を支援するサービスとして紹介されました。

株式会社Helpfeelによるムービー放映

イベント中には、株式会社Helpfeelによるムービー放映も行われました。対顧客・社内双方で生じる問い合わせの逼迫や人手不足といった課題に対し、「AI×人」で解決を目指すサービスが紹介されました。
自己解決に特化したAIがさまざまなタッチポイントで疑問の解消を支援するとともに、ナレッジ構築まで実行し、独自のメソッドと専属チームによって導入から運用・課題解決まで伴走する点が特徴です。企業規模や業種・業態を問わず1,000サイト以上で活用されているほか、2026年6月からは、AI Readyなデータ整備に向けたナレッジコンサルティング支援も提供されていることが紹介されました。

交流会

イベントの最後には交流会が開催され、講演企業と参加者の間で、講演内容や各社の取り組みをテーマとした活発な情報交換や名刺交換が行われました。また、参加者同士でも、金融業界におけるAI活用や業務変革をはじめとするテーマについて意見を交わす姿が見られ、講演だけでは得られない交流の機会となりました。

生成AIの全社展開やAI基盤の整備、AIエージェントの活用、AIアバターによる顧客対応・人材育成、業務プロセスの再設計まで、金融業界におけるAIトランスフォーメーションの多様な取り組みが紹介された本イベント。
各社が実践の中で直面した課題や、AIを現場に定着させるための工夫、今後の展望など、金融機関がAI活用を次の段階へ進めるうえで参考となるさまざまな知見が共有され、盛況のうちに幕を閉じました。

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