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FINANCE FORUM 金融機関におけるテクノロジーを駆使した業務改革 <アフターレポート>

2021年1月21日(木)、セミナーインフォ主催「FINANCE FORUM 金融機関におけるテクノロジーを駆使した業務改革」が開催された。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、金融機関ではテレワークの導入をはじめとする働き方改革が急速に拡大している。ペーパーレス化やハンコレス化、対面を前提とした業界慣行見直しや時間短縮の実現を図るなど、単なるテレワーク運用に留まらない、テクノロジーを活用した新たな業務プロセスの確立が求められている。本フォーラムでは、金融機関におけるテクノロジーを駆使した業務改革に焦点をあて、基調講演にて横浜銀行にデジタル技術を活用した業務改革についてご講演いただき、特別講演では、東京海上ホールディングスのデジタル戦略についてご講演いただいた。その他、先進各社によるさまざまな業務領域において披露する最新技術を活用した事例などをご紹介いただいた。

FINANCE FORUM 金融機関におけるテクノロジーを駆使した業務改革 <アフターレポート>
  1. 横浜銀行におけるデジタル技術を活用した業務改革
  2. キーエンスの高収益を支えるデータ活用法と金融機関への適用事例
  3. セールスビックデータによる次世代の営業人材育成
  4. 『オンライン顧客対応で使えるCX向上につながるテクノロジー活用最前線』~自己解決と業務自動化を促進するオンライン対応の仕組みづくり~
  5. テレワーク環境での金融機関における文書審査業務の効率化について
  6. 東京海上グループのデジタル戦略

横浜銀行におけるデジタル技術を活用した業務改革

本山 貴康 氏
基調講演
【講演者】
株式会社横浜銀行
デジタル戦略部 副部長
本山 貴康 氏

当行のデジタル戦略は、業務プロセスの改革、付加価値の向上、新規事業やイノベーションの創出、顧客体験の革新の4つの象限で構成されている。本日はこのうち、業務プロセスの改革についてお話しする。

地銀を取り巻く環境変化について、外部環境ではマイナス金利・デジタルプラットフォーマーの出現といったリスクがある。その一方で、デジタル技術の進展や規制緩和といったチャンスも存在する。内部環境として当行では、貸出金の利ザヤ低下、投資・保険の収益性低下、来店客数の減少やそれに伴う店舗統廃合の流れ、ペーパーや事務の多さといった要素がある。地銀における課題として、今後の生産性向上は必須だ。

横浜銀行における業務改革の狙いは、「チャンスを活かし、ピンチを防ぐ土台作り」としている。具体的には、店舗統廃合に耐えうる体制の構築、人的資源やコストの捻出だ。また人的資源やコストを、先述した他のデジタル戦略分野に投入することも目的としている。

当行の場合、業務改革で必要なものは3つある。まずはマインドセットを変えることで、先入観や固定観念、企業文化を変えていくことだ。事務を減らすのは難しいが増やすのは簡単という状況があり、それに対するけん制として取り組んでいる。本当に必要なのかしつこく問いかけること、個人しか分からない業務をなくすことも大切だ。2つ目は社内が同じ方向を向く体制だ。本部を横断する委員会を設け、生産性向上を目的とし、月に1度進捗会議を行う。また各営業店において、生産性を向上させるための地域委員会もある。当行では事業部門とリスク部門が改革に積極的だったのも成功要因と考える。3つ目は特に重要と考える要素で、徹底したシステム投資だ。

業務改革を行うために2019年に実装したのがデータ連携基盤だ。例えばWebページ上の手続きにおけるお客様の認証を行い、勘定系システムに指示を送るといった機能などがある。勘定系に手を入れないため、スピーディーかつ安易に実装できた。

ここから業務改革の取り組み事例をいくつかご紹介する。事例の1つ目は店頭の据え置き型のタブレットで、口座開設・定期・住所や電話番号変更などをお客様の操作で行える。一問一答形式で、高齢の方も簡単に入力できるようになっている。入力情報は内部APIを通じて勘定系を書き換えに行くので、特別なオペレーションは不要だ。

事例の2つ目は住所などの変更手続きで、WEBで受け付けた後の工程は完全自動化している。お客様の利便性向上とともに事務コストの圧縮を実現した。当行全体の受付件数のうち、35%がこのスキームにシフト済みだ。金融機関としては認証に細心の注意を払う必要があり、なりすまし対策も重要となる。最低でもOTPを付けることが必要だ。さらに当行ではNTTドコモ様の認証機能も活用させて頂いている。

3つ目にご紹介する事例はRPAによる業務合理化で、現在注力している領域だ。年間累計削減時間は15万3千時間で、77人分の業務に相当する。営業店業務に関しては直接RPAを置かず、本部の部署などに集中させてRPAで刈り取っている。本部業務について、まず主要業務はプロセスを可視化してからRPAで刈り取る。個別業務に関してはRPAを内製化できる人材を40名用意し、各部でロボット作成に取り組んでいる。

4つ目の事例は電子契約で、住宅ローンの契約書を電子化し、業務効率化を実施している。対象ローンセンターでの利用率は89.3%に達し、削減された印紙税は1億円以上になった。

行内の業務改革はまだ道半ばで、今後も継続して実施していく。さらに他行との連携や県内企業・団体への支援にも取り組んでいきたい。

キーエンスの高収益を支えるデータ活用法と金融機関への適用事例

峯尾 翔太 氏
【講演者】
株式会社キーエンス
データアナリティクス事業グループ
峯尾 翔太 氏

キーエンスは1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値商品を通じて、生産現場の「生産性・品質向上」に貢献してきた。自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において25万社以上のお客様にお取引いただいている。また、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では46カ国220拠点で事業を展開している。

キーエンスは、今まで世の中になかった価値を生み出し続けること、「付加価値の創造」によって社会へ貢献するという考えのもと事業活動に取り組んでいる。おかげさまで、さまざまな業界のお客様に商品をご採用いただき、過去25年間、平均10%を超える成長を遂げることができた。新商品の約7割は世界初、もしくは業界初で、Forbes 社の“世界で最も革新的な企業TOP100”には8 年連続でランクインしている。

さて、このようなキーエンスのデータ活用の歩みについて説明する。現在、企業では様々なデータを保有している。例えば営業やマーケティングの現場には、お客様のマスターデータや売上データに加え、過去の販売施策のデータ、営業活動の記録など多くのデータがある。これらを企業のビジネス課題の解決や改善に上手く使用できれば、より精度の高い意思決定や施策につながることが期待できる。一方で、データを有効に活用し、具体的な施策やアクションにつなげられている企業は多くない。キーエンスでは従来から、企業活動をデータで科学的にとらえ、合理的な判断をおこなうことを心掛けてきた。しかし、データの質や量が増えるにつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。ビジネス部門のユーザーが、データを用いてより良い施策につなげていくにはどうすればよいか。社内での活用を通じ、見えてきたのは、仮説を多く作り出し、ビジネス課題との関係性を明示すること。そうすることによって、実際の施策がデータから見つかるようになった。そして、そんなキーエンス社内での活用経験を元に、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるソフトウェア「KI」を自社開発した。現在はKIを外部にも提供し、幅広い業界の企業に活用されている。

続いて、金融におけるデータ活用について説明する。まず、営業活動において、お客様理解の重要性が高いことを強調しておく。各種調査では、顧客が金融機関に求めることとして、法人の場合「貴社や事業に対する理解」、個人の場合「あなたに合った商品の提案」が、ともに上位にある。このように重要なお客様理解に対し、データ活用が有効だ。

お客様の理解に役立つのがトランザクションデータで、いつ・誰が・何をしたかが1行ごとに記録される履歴データのことだ。金融業界においては、たとえば金融商品の重点営業先・狙い先を決める際に、トランザクションデータが活用されるケースが非常に多い。投資に積極的な層を狙うために、運用商品履歴・入出金明細・ネットバンキングのログなどを、利用して絞りこむといった方法だ。営業担当では見出しにくい隠れた投資に積極的なお客様を見つけ出し、より効率的な営業活動を展開できる。

こうしたトランザクションデータを金融機関で活用する際に、多くご相談をいただく課題がある。データの前処理に手間がかかること、手掛かりに関する仮説立案とその絞り込みが難しいことだ。この課題解決のため、野村證券様やみずほ銀行様など、多くの金融機関にキーエンスのKIを活用いただいている。KIは、人では思いつくことが困難な切り口を、機械学習を使って無数に自動生成し、効果の高い順に提示する。さらに、施策の改善効果をシミュレーションできる。従って、統計知識やデータサイエンティストでなくても、隠れた優良顧客のリスト化が可能だ。

データ活用によりお客様の理解を深め、より効率的な営業活動を展開することを、当社は提案する。

講演企業情報
株式会社キーエンス:https://www.keyence.co.jp/ki
 

セールスビックデータによる次世代の営業人材育成

横山 豊 氏
【講演者】
ベルフェイス株式会社
エンタープライズグループ
第四営業局リーダー
横山 豊 氏

当社の事業はオンライン営業システムの開発と販売がメインで、非対面営業のコンサルティングも一部行っている。オンライン営業システムの「ベルフェイス」は、事前準備が一切不要で接続が簡単なことが特徴だ。新型コロナも追い風となり、これまでに導入頂いたお客様は3,000社を突破し、国内No.1の導入実績となっている。

Beforeコロナの営業に関して、90%の企業が人材不足であり、特に営業職が不足していたという状況があった。2000年以降、営業職の人員は130万人減少したというデータもある。インサイドセールスが注目され、現在も月間検索数が増加している。さまざまな業界において、限られた人員で効率よく営業を推進したい企業が多いことが分かる。その一方でオンライン会議に関して、社内利用目的は50%の企業で経験があるものの、営業活動で利用する企業は25%のみにとどまる。

2020年、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業で対面営業ができない状況に陥った。大手の金融機関でも訪問営業の自粛、店舗の休業が全国に広がった。7割近くの企業で業績にマイナスの影響が及び、特に不動産・金融といった業界でインパクトや環境の変化が大きかったと考えられる。

当社は2020年3月から5月までの2か月間、新型コロナウイルス対策として、オンライン商談システム「ベルフェイス」の無償提供を実施した。3カ月間で1万2,000件のお申込みをいただいた。当社のサービスはB to Bの業界での導入が多かったが、無償提供に関しては、B to C業界の割合が多くなった。お申込みいただいた企業のうち6割近くでオンライン商談を導入もしくは検討中との回答があった。Beforeコロナではオンライン商談はごく一部であったが、Withコロナでは顧客に会いに行けないため、オンラインでの商談が当たり前の時代になるのではないかと考えている。

オンライン商談はコロナ禍の一時的な対応と捉える方も多いが、さまざまなメリットがあることを改めて強調しておきたい。オンライン商談は獲得したリードの掘り起こしを始め、セールスやカスタマーサポートまで対応している。移動時間の削減や交通費の削減につながることは皆さまもご存じのとおりだ。さらに、ご利用いただいているお客様がメリットとして挙げることが多いのが、商談数の大幅増加と営業スキルの標準化だ。

オンライン商談はデータ化して保存ができるため、営業人材の育成やスキル標準化につながる。営業現場は教育時間の確保ができず、競合との差別化ができないままに苦しむ企業が多い。このような課題に対応するため、デジタル化による営業現場の可視化が求められている。

ベルフェイスにはレコログという機能があり、商談データを録画・録音できる。利用者自身による商談の振り返り、上司から部下へのフィードバックなどに活用可能だ。具体的な話の内容、お客様の表情、見せた資料などが一目瞭然で分かる。さらにベルフェイスには分析しやすい機能がある。たとえば料金プランを見せている箇所などを検索できるため、効率的な動画のチェックが可能だ。

音声もすべて文字起こしされ、ブラックボックスだった商談内容がデータ資産になる。たとえばトップ営業の方が退職してしまっても、商談データが残っていれば、メンバーの教育に活用可能だ。レコログの使い方の事例の1つ目は相互フィードバックだ。受注要因のシェアをしたり感想を寄せあったりできる。2つ目はセルフスタディー活用で、あるお客様は研修用レポート一覧にレコログのURLを流し込んでリスト化している。学ぶ内容、ポイント、商談結果が一目でわかるのがメリットだ。

講演企業情報
ベルフェイス株式会社:https://bell-face.com/reason/

『オンライン顧客対応で使えるCX向上につながるテクノロジー活用最前線』 ~自己解決と業務自動化を促進するオンライン対応の仕組みづくり~

石井 智宏 氏
【講演者】
モビルス株式会社
代表取締役社長
石井 智宏 氏

当社のミッションは「The Support Tech Company」で、テクノロジーによってサポート領域に変革を起こすことが目標だ。ツールの提供だけでなく、オペレーションの設計までサポートしている。サポート関連の技術トレンドの変化は主に4つある。チャットボットの活用のされ方の変化、有人対応と自動応答の連携、RPAやOCRなど各種機能の精度向上、ボイスとノンボイス(チャット)の連携だ。

チャットに関して、オペレーターによるチャット対応とシナリオ型・AIチャットボットのハイブリッド対応が求められている。シナリオ型チャットボットで分岐を作り、分岐で対応できない場合はAIにエスカレーションする。それでも解決できない場合はオペレーターへつなぐ流れだ。定型の手続きはシナリオ型チャットボットに任せ、オペレーターの負荷を減らす。

これまでチャット導入の目標KPIとしては、チャットボットに20%誘導できると概ね成功であった。多くの会社はチャットへの誘導が10%以下に留まり、電話呼量が減ったのか判断できず失敗パターンとなっていた。本当の意味での成功となるのは、ノンボイス比率が50%を超えるパターンだ。この場合オペレーター対応は全体の15%であり、そのうちシナリオ型チャットボットによる自動対応が40%を占め、さらにAHTを削減している。

負荷の多い手続き系業務を、いかにチャットボット対応させるのかもカギとなる。しかしすべてをボットで自動化するのはなく、有人対応も視野に入れるのが重要だ。ペット保険のアニコム損害保険株式会社様はLINEでの保険金請求手続きのチャットボットによる自動化を導入し、以前は2週間かかっていた手続きを4分ほどで完了が可能となった。LINEの手続きは利用率15%の目標を1年で達成し、現在は45%近くとなっている。株式会社セブン銀行様では、住所変更手続きがチャット対応で完結する仕組みを、RPAと連携する形で実証実験を行った。

2020年はボイスボットが脚光を浴びた年でもあった。当社のAI電話自動応答システム「MOBI VOICE」はトークスクリプトを一次受けボットにすることができる。日本ロードサービス株式会社様は電話の対応業務時間を前年比60%削減に成功され、株式会社マイアクア様は毎月1000件の一次対応を自動化することに成功された。

スマートルーティングとは、顧客を適切なチャンネルに誘導するための当社の考え方だ。問合せをする前にWEBページを見た時に、予め顧客の知りたいことに応じて分岐を作って誘導する仕組みで、問合せチャネルや案内先を分散できるので、顧客労力だけでなく対応の負荷・コストも削減できる。スマートルーティングの果たすべき役割は、分かりやすさと即時反映の2つの要素だ。それをどうやって実現するのかについて、現在注目されているのがビジュアルIVRだ。当社は更新がしにくい電話音声のビジュアルIVRではなく、Webで完結するビジュアルIVRを提供している。HTMLの知識は必ずしも必要なく、現場でタイムリーに運用できる内容だ。また顧客の導線フローを可視化して状況を把握し、導線変更の分析もできる。

これらのオペレーションを新しく導入する時に、顧客がユーザーの高齢化や情報セキュリティを懸念することも多い。例えば、LINEの活用について、高齢者でも60代・70代であればスマホ所有者が多く、LINEを入れている方も多い。企業ページのアクセスも増えており、高齢者でもLINE操作は問題ないと考えている。また、LINE活用での個人情報に関したセキュリティについても、心配であればLINEを通さないでWEB環境にアクセスし、情報をやり取りすることも可能だ。これらはあくまでも例であり、最初から無理だろうと諦めず、フローを構築していくことは可能だ。

問合せ対応を考える上で、ツールを導入の際には、まずコールリーズンを分解し、コールリーズンごとに打ち手を考えるのがおすすめだ。取り組むべき課題を整理することも大切で、当社では初期診断メニューもご用意している。顧客サポートのDXを進めるうえで、何が課題か、どのような打ち手があるかを整理するメニューだ。取り組むべき課題が多く、優先順位を検討する企業様にも、ぜひお気軽にお試しいただければと思っている。

講演企業情報
モビルス株式会社:https://mobilus.co.jp/
ご相談窓口:https://mobilus.co.jp/contact

テレワーク環境での金融機関における文書審査業務の効率化について

柿沼 利行 氏
【講演者】
ミールソリューションズ株式会社
執行役員 営業統括
柿沼 利行 氏

当社は文書関連を管理するシステムの開発・運用サービスを提供し、製造業から金融機関までさまざまなお客様にご利用頂いている。金融機関では、これまで数多くの保険会社をはじめとして、メガバンクやクレジットカード会社等で当社のサービスを導入頂いた。

文書審査業務においては、決裁されるまで何度も修正が繰り返される。これまでは紙やエクセルなど複数の手段を利用していることもあり、手間やコストがかかり、ミスが発生しやすい状況であった。課題を3つにまとめると、正確性とスピードが求められること、文書管理、テレワークでの対応が挙げられる。

テレワークにフォーカスした際に、どのような業務改善が考えられるか。考え方で重要なのは、情報一元化と関係部門のネットワーク化、ペーパーレス化の推進、完成文書の電子アーカイブの3点だ。単に電子化するのではなく、無駄な作業を省き、新しい審査フローの効率が必要だ。

ここで、実際の審査ソリューションのデモンストレーションを見て頂こう。まず募集審査の作成・審査では、申請状況一覧がリスト表示され、上部には仕事の流れがタブで表示される。文書の属性に合わせて、複数の部署が同時並行で審査が行えるようになっている。まず新規の文書を作成したうえで審査依頼をすると上長の方にメールが届く。審査権限のある方がログインすると、新規作成された文書がTo Doリストで表示される。リストの文書をクリックすると基本的な審査情報や、アップロードされたPDFファイルなどを確認できる。内容に問題があれば不承認をクリックすると担当者に差し戻しができ、問題なければ承認して事務局へ送ることができる。事務局が直接文書の中身を修正・追記し、審査へと進む。審査の依頼先を複数選ぶことも可能だ。

審査部門の方がログインすると審査状況のリストが表示され、審査ボタンを押すと文書に赤入れをすることができる。紙でコピーして赤入れをされている会社様も多いが、システム上ですべてできるようにしている。エディターにはマーカーペンの機能があり、指摘したいところに文章の入力が可能だ。同時に、指摘のレベルも設定できるので重要度もすぐに分かる。他の部門の指摘事項も表示され、参考にすることも可能だ。

審査が終わると文書の作成者に返却され、修正確認箇所をリストで見られる。文書を開くと、指摘事項が赤い付箋で貼られた状態で表示されるので、どこを修正すべきかすぐに分かる。指摘事項をそのまま修正することも、関係者間で対応を協議することも可能だ。指摘事項についてすべて対応すると、再申請ができる。最終承認が完了すると登録済みとなり、文書がアーカイブに保存される。また画像やテキストの差分チェック機能もあり、原稿を複数回修正した際に修正依頼した箇所が対応されているか、2つの原稿の差分を確認することも可能だ。

ソリューションは各社の業務に合わせたカスタマイズを提供できる。ご利用頂いたお客様からは、全ての審査をシステム内で完結できる、テレワークでも問題なく作業ができる、やり取りがすべて記録されるといった点でプラスの評価を頂いている。当社ではまず現状文書審査業務の内容や問題点を確認し、改善提案を行う。設計・開発・納品は4カ月~6カ月ほどで完了する。導入に向けてのシステムフローは、各社の事情に合わせて柔軟に変更可能だ。保険会社様では、事後申請といったイレギュラーなフローを要望されることもあるが、そのようなニーズにも対応できる。

まとめとして当社の文書審査システムはペーパーレスで、並行して審査業務が行えるので時短が図れる。修正連絡票やフォーラム機能などにより、テレワークでも出社と変わらない作業効率を実現可能だ。

講演企業情報
ミールソリューションズ株式会社:http://meal-solutions.co.jp/index.html

東京海上グループのデジタル戦略

生田目 雅史 氏
特別講演
【講演者】
東京海上ホールディングス株式会社
執行役員 兼 デジタル戦略部長
生田目 雅史 氏

東京海上グループは1879年に創業し、「世界のお客様に”あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ」を長期ビジョンとしている。世界45以上の国・地域で保険事業を展開し、収入保険料では3割、事業別利益では約半分を海外が占めている。海外に関してはオーガニックな成長に加え、買収によって得た成長も大きい。2008年の英国キルンや米国フィラデルフィア、2012年の米国デルファイなどの大規模買収により、海外保険事業を拡大してきた。

当社のデジタル戦略の全体像は、テクノロジーとデータの徹底的な活用による、競争優位に繋がるDXだ。大きく2つに分けると社内体制の変革(DX)と提供価値の変革(DX)で、生産性を高めるとともに、新たな成長軸の創出や課題解決力の強化を図る。

価値創出のDXについては、社会やお客様に新たな付加価値を提供するべく、内外の保険会社やスタートアップ企業等とも連携しながら取り込んでいる。たとえば米国のデジタル保険会社「レモネード」と業務提携しており、モバイル完結や保険金の迅速な支払い方法等について国内での商品・プロセス開発に生かす。貿易実務については複数の国内企業とアライアンスを組み、トレードワルツへの共同出資に参加し、ブロックチェーンを活用した貿易プラットフォームの構築にも取り組む。また医療情報サービスの「ケアネット」との資本業務提携では、両者のデータやノウハウを掛け合わせることで、新たな保険商品・サービスの開発に活用する。

社会課題解決のDXの取り組みについては、衛星データとAIを活用した防災減災ソリューションがある。浸水高をAIで推定し、地図上に表現することで被害の予測を可視化する。災害時だけではなく、平時にもデータを収集することにより、兆候の発見や防災に活用できると考えている。次に紹介するのは、企業向け防災・減災アラートシステムの「NADIAct」だ。リアルタイムに近い形で災害情報を取得し、地図上に表現できる。水産事業者様のリスク回避のため、衛星画像を活用した赤潮発生予測に関する研究開発も実施している。その他、MaaSやヘルスケア等の同様に、多方面で取り組みを行っている。

社内体制のDXでは、業務プロセス・オペレーションの高度化により、保険業務の付加価値向上に取り組む。ドラレコデータとAIを活用した事故状況の再現により、自動車事故対応の進化を図る。事故時の損害状況の査定の際に、AI活用を実装している。保険契約のプロセスについては、QRコードを活用することで完全リモートでの手続きを可能にした。

グローバルにおけるDXの取り組みに関して、海外グループ会社が一同に会する「デジタルラウンドテーブル」を定期的に開催する。知見やネットワークを横展開し、グローバルでシナジーを生み出すよう取り組んでいる。具体的な事例として、米国のデジタル保険会社「メトロマイル」の技術を活用したスマホでの保険請求やスマホでの事故報告などがある。またパラメトリック保険の開発を進めており、全米初となるハリケーンを対象にした個人向けの保険を開発した。ハリケーンの強度や中心地からの距離などの条件をトリガーに保険金を支払う仕組みで、迅速な支払いが可能となる。

最後に企業文化・風土のDXにも触れておきたい。デジタルの力を最大限に発揮するためには、社員全員がデジタルに対する感度を高め、デジタル価値を最大限に引き出すような能力開発や情報共有を進める必要がある。高度専門人材の育成に関して、外部人材の登用やデータサイエンティストの育成・輩出の強化に取り組んでいる。データサイエンティスト育成は、東京大学・松尾豊教授による監修の元、密度の濃い育成プログラムとなっている。その他に社内起業を後押しするプログラム、社内副業プログラムも進め、人材育成と働き方改革を図っている。

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