「ロビンフッド」の衝撃
米国では株式投資アプリ「ロビンフッド」が話題となっている。ユーザーはすでに1,300万人に拡大しており、コロナ禍における巣ごもり株式投資ニーズの受け皿となっている。ロビンフッドがここまで大きな存在となったのは、コロナの影響に加え、最低取引単位がなく売買手数料が無料であることで投資のハードルを下げていることや、ゲーム感覚で株式投資が可能な操作性にある。具体的には、シンプルかつスタイリッシュな画面構成や、プッシュ通知の活用による閲覧頻度向上などだが、「進みやすく戻りにくい」といった顧客誘導的なデザイン(ダークパターン)であるとの批判的な指摘もある。ロビンフッドで株式投資に熱中した学生が、損益表示を見誤り、大きな損失が発生したとショックを受け自殺するとの痛ましい事件も発生している。
米国の資本市場では個人投資家が金融・資本市場で個別株式の直接取引を行うことはあまりなく、投資信託や年金資産のインデックス投資が中心だったが、ロビンフッドの登場により、状況が変わりつつある。ゲームストップ株の高騰が話題になったように、個人投資家がSNSなどで情報共有を行い個別株への集中的な売買を行うといった新たな動きも注目されよう。
- 寄稿
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SBI金融経済研究所村松 健 氏
事務局次長