メタバースとは?過熱する投資と最新動向【2022年8月版】


いま話題のメタバースとは一体何か?本稿では、メタバースの起源から現在の状況について解説するとともに、認知度の高いプラットフォームやメリット、課題等を紹介しながら、メタバースに関する情報をお届けします。

目次

メタバースのプラットフォーム・サービス

フォートナイト

フォートナイトはアメリカのEpicGames社が2017年から配信しているシューティングゲームです。理想的なメタバース空間を創出しているとも言われており、フォートナイトが流行したおかげでメタバースの認知度が向上したと言っても過言ではありません。現在の登録アカウント数は5億人を超えており、日本の総人口を大きく超えています。
フォートナイトにはオンラインゲームの他に、パーティロイヤルモードが備わっており、他のユーザーと自由に交流ができるモードが搭載されています。このパーティロイヤルモードを利用して、星野源さんや米津玄師さんがオンライン上でのコンサートを行っています。また世界を見渡せば、トラビス・スコットのオンラインコンサート時の同時接続数は1,230万人にまで上ったとされており、仮想空間としての大きな役割を果たしています。

マインクラフト

マインクラフトは、マイクロソフトの子会社であるMojang Studiosが提供するオンラインゲームです。ユーザーは仮想空間上で、自由に建物などを建設できるなど自分だけのオリジナルの世界を構築することが可能です。
マインクラフトのゲーム性として決まったものはなく、他のユーザーと協力をして世界を創る、ゲーム内に出てくる生物と闘うなど自由度の高いものになっています。
マインクラフトではブロックチェーンの技術が採用されており、将来的にはデジタル資産である「Enjin platform」と連携を行い、ゲーム内で作成したアイテムや獲得したアイテムを売買できるように開発が進んでいます。

あつまれ どうぶつの森

「あつまれ どうぶつの森」は、2020年に任天堂からリリースされたゲームソフトです。「あつまれ どうぶつの森」では、ユーザーが自身のアバターを作成して、無人島での自由な生活を楽しめるようになっています。
ゲーム内では野菜を育てる、自身の家の家具を作成するなどして自身の島を自由に創作することが可能です。本ゲームはコロナ禍の『おうち時間』の需要とマッチしたことで、大流行しました。現実世界と同じようにアバターにおしゃれをさせるなど、メタバースの魅力が詰まったゲームとなっています。

Decentraland

「Decentraland」は、2020年に公開がされたブロックチェーン技術を用いたVRプラットフォームです。プラットフォーム内では、土地の売買を専用のトークンを用いて行うことができ、ユーザーは自由にコンテンツ作成を行うことが可能です。「Decentraland」の土地は『LAND』と命名されており、土地の価格は2019年に1LANDで5万円程だったのが、2021年には約60万以上で取引されるようになるなど、値上がりも見せています。
また土地だけではなく、ブラットフォーム内で作成したコンテンツの売買もできます。加えてフォートナイトと同様に音楽イベントの開催などもされています。

バーチャル渋谷

バーチャル渋谷は、2019年に掲げられた「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」によって、一般社団法人渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会、KDDIが中心に行なっているものです。
メタバース空間内に渋谷の街並みを再現し、ユーザーにオンライン上での交流を図ることを目的にしています。ユーザーが自由に世界観を作れる他のメタバースサービスとは異なり、看板の位置などが正確に再現されています。
コロナ禍においては、現実世界で難しかったハロウィンイベントをバーチャル渋谷で実施を行い、2020年には40万人、2021年には55万人が参加しました。注目度の高さから参加企業は70社を超えており、さらなる成長が期待されています。

メタバースの最新動向・ニュース

メタバースを用いた医療サービス構築に向けての共同研究

順天堂大学と日本アイ・ビー・エム株式会社が、メタバースを活用した医療サービスの研究・開発に取り組んでいます。
具体的にはメタバース空間内で「順天堂バーチャルホスピタル」を構築し、患者やその家族が来院前に病院を疑似体験できる空間を提供します。バーチャルホスピタル内では医療従事者や他の患者との交流を図ることで、外出が難しい患者の不安を取り除くことや、治療の疑似体験を行うことで不安や心配を軽減したいとしています。加えて中長期的なテーマとして、メタバース内での活動がメンタルヘルスの改善につながるかも見ていきたいとのことです。

参考:順天堂大学とIBM、メタバースを用いた医療サービス構築に向けての共同研究を開始

自民党がメタバース演説会

自由民主党は、2022年6月にメタバースプラットフォーム「Cluster」を活用した「メタバース演説会を開催しました。河野太郎現デジタル大臣などがVRゴーグル「HTC VIVE Pro」を装着し、現実世界と変わらぬ演説を行なっています。参加者は1,000人近くまで上ったとされており、河野氏は「これで全国に行けるし、全国から来てもらえる。政策の説明にも十分使えると思う」と語っています。
また同じくメタバース演説会に参加した小泉氏は「選挙運動にはぜひメタバースを使っていきたい。実際に公職選挙法などの法律に抵触しない形でメタバース上の運動ができるのかを研究する必要がある。」と語っており、今後はメタバース上での選挙活動が一般化する可能性もあります。

参考:自民党がメタバース演説会、リアルの選挙活動や法律との整合性に課題も

メタバース上での新型電気自動車お披露目

日産自動車は2022年5月に、同年夏頃に発売を予定している新型電気自動車「日産サクラ」の発表をメタバース上で行いました。
『バーチャル発表会およびバーチャル試乗体験会』と名を打ち、VR SNSプラットフォーム「VRChat」を利用して、実際に最新車両に乗っているような体験が行われました。日産ではメタバース上でのサービスとして「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」を公開しており、今回の新車発表はメタバース空間上に作られた「NISSAN SAKURA Driving Island」で行なっています。
具体的には実際に運転席に座って仮想的に運転が行える、後部座席にアバターを移動させて車両の空間の広さを確認するなどが行えたとしています。
日産では今後、コロナ禍における顧客と車のファーストコンタクトの場として、メタバースを活用していきたいとしています。

参考:日産自動車、メタバース上で新型軽電気自動車「日産サクラ」をお披露目
参考:日産が取り組んだメタバース新車発表会の舞台裏 「アバターワーク」が重要

メタバースの将来性

メタバースの将来性は現時点で明確にはなっていません。なぜなら専門家の間でも、単なるバズワードで終わってしまう可能性も指摘されているからです。現在でも短期的な視点に立てば、ゲーム分野などでビジネスとして成立していますが、一部のジャンルに限られているのが現状です。しかしメタバースの市場は過熱しており、前述したように将来的には1兆ドル(約130兆円)市場になるとも予想されています。

また日本総研の「メタバースの概要と動向 ビジネスシーンでの活用に向けて」によれば、メタバースの将来予測として、中長期的には地球規模の広範なユーザーを持つ数個のメタバースを使い分けるようになることや、メタバースで得られる体験や心理的豊かさが、物理世界を上回るようになるとしています。
メタバース内での労働や商取引も増えることで、現実世界では最低限の衣食住のみで暮らし、メタバース内を主軸として活動する人も増えるとしています。

参考:メタバースの概要と動向 ビジネスシーンでの活用に向けて

そのため将来的には、現在の課題を解決するイノベーションなどが起こり、新たなインフラとして定着していく可能性もあるでしょう。

まとめ

高速通信などの普及、Facebook社(現Meta)の方針などによってメタバースへの注目は、どんどん増しています。さらにコロナ禍によって、人々はオンラインでのコミュニケーションが定着したことで、自身の分身とも言えるアバターを使ってコミュニケーションが取れるメタバースへの需要は増しているとも言えます。
メタバースには大きな可能性があることは間違いありません。今後は技術的な課題や法制度の整備などを整えることで、より広く普及し、インフラとして定着していくことも考えられるでしょう。

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