2023年4月25日開催ONLINE EXECUTIVE CONFERENCE「金融業務をもっとシンプルに。~AIを活用した意思決定とワークフローの自動化で加速させる金融DXとその効果とは~」<アフターレポート>

2023年4月25日開催ONLINE EXECUTIVE CONFERENCE「金融業務をもっとシンプルに。~AIを活用した意思決定とワークフローの自動化で加速させる金融DXとその効果とは~」<アフターレポート>

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2023年4月25日(火)、セミナーインフォ主催 ONLINE EXECUTIVE CONFERENCE「金融業務をもっとシンプルに。~AIを活用した意思決定とワークフローの自動化で加速させる金融DXとその効果とは~」が開催された。

金融業界にもデジタル化の波が押し寄せ、大きな変革が求められている。
Pegaのお客様は近年の不透明な社会環境においてもDXを推進し、多くの企業・組織において競合を引き離し、顧客サービス向上のための革新を継続されている。

本セミナーでは、国内メガバンク、クレジット業界のお客様、海外大手金融機関事例をご紹介し、お客様がPegaで実現されたDXについて解説した。
基調講演では、アフラック生命保険様をお招きし、業務変革を支えるDX推進のお取り組みについてご紹介いただいたほか、事例講演では、SOMPOひまわり生命様より開発期間、コスト大幅削減につなげたPegaの活用方法についてお話しいただいた。
業務のスマート化を促進し、コストや開発期間の削減から収益向上につなげるためのインサイトを得られるセミナーとなった。

  1. 「業務変革を支えるアフラックのDX推進」アフラック生命保険株式会社 松尾 栄一 氏
  2. 「大手金融機関事例から学ぶAIを活用したプラットフォームで実現する業務効率化」ペガジャパン株式会社 笹沼 満 氏・勝俣 花菜 氏
  3. 「~開発期間、コスト大幅削減~SOMPOひまわり生命のローコード開発導入事例」SOMPOひまわり生命保険株式会社 金田 幸男 氏

「業務変革を支えるアフラックのDX推進」

松尾 栄一 氏
【講演者】
アフラック生命保険株式会社
執行役員
松尾 栄一 氏

<アフラックとは>

『「生きる」を創る。』をブランドプロミスに掲げ、1974年に日本初のがん保険とともに創業した。2022年3月時点で、契約者数は1,473万人、保有契約件数は2,368万件だ。

社員数は5,099名、そのうちIT・デジタル部門は約470名、協力会社より約2,440名を迎え一緒に働いている。本日は弊社の規模感を念頭に置いて、ご清聴いただければと思う。

<アフラックのDX推進(DX@Aflac)>

アフラックでは3本の柱を軸に「DX@Aflac」の名のもと、DXを加速している。

1つめはコアビジネス、生命保険事業に資する領域だ。お客様のニーズをとらえた新たな商品やサービスを、デジタル技術を活用して提供することが中心になる。

2つめは、データエコシステムの構築、ヘルスケアサービス、スマートシティなど生命保険事業領域の枠を超えた新たな領域だ。これら2つの領域において、新たな価値の創出を目指す。

3つめの柱として大事にしているのが、DX推進態勢の基盤となるインフラ、組織、人財、管理だ。プラットフォームの構築のみならず、シンプルかつ柔軟性のあるITアーキテクチャの実現、データ分析基盤の強化、専門組織の設置や文化の醸成、人財の育成を基盤としてDX推進に注力している。

<ADaaS-顧客接点における変革>

弊社は顧客接点における変革を進めている。リアルとデジタルを融合し、いつでも・どこでも・だれでも必要なサービスを受けられる仕組みを構築し、お客様に感動的なユーザー体験を提供することが、弊社の目指すDXの全体像だ。

たとえばリアルな代理店店舗では電子申込、XRデバイス、アフラックミラー(店舗用)やARサービスを提供し、デジタルの代理店ではオンライン相談、AIを活用した募集人の紹介、バーチャルセミナーなどのサービスを提供している。

このようにすべての顧客接点において一貫性をもった体験価値を提供するのが、ADaaS/Aflac Digital as a Service(以下、ADaaS)だ。ADaaSはお客様、販売代理店、ビジネスパートナー・行政・自治体など各ステークホルダーを一つのプラットフォーム上で連携させるクラウド型サービスであり、必要な人が必要な時に必要なだけ利用できる。
ここではADaaSの主要サービス5つをご紹介する。

1. アフラックミラー

いわゆるスマートミラーであり、お客様との新たな接点を創出する。店舗用は販売代理店業務のサポートを目的としており、相性診断や保険料のシミュレーション、ゲームなどのコンテンツを含む。アフラックミラーで関心をひき、保険の相談など店内への着座につなげるものだ。

自宅用のアフラックミラーは顔の表面温度や脈拍が測定できる機能やエクササイズ動画など健康増進に関連するさまざまなコンテンツを提供しており、お客様の運動促進やQOLの向上に貢献することを目指している。

アフラックミラーはゼネラ株式会社が提供主体であり、弊社はその取り組みの支援として保険や健康に関わるアプリを提供する

2. ARサービス(商品紹介・自己紹介)

保険相談のきっかけやお客様との接点を創出することを目的に、ARを活用したサービスを提供している。チラシや名刺、メール等にある二次元コードをスキャンすると、3Dでアバターが登場して音声や動画で保険の内容を紹介する。また、営業社員や募集人が手渡す名刺に印刷された二次元コードをスキャンすると、3Dで本人映像が映し出され、声と動きで自己紹介をする。このサービスは募集人のことを鮮明に覚えていただけるとして好評を得ている。

3. XRデバイス(VRゴーグル・ARグラス)

お客様にがんやがん検診、介護のことを考えるきっかけにしていただくことを目的に、VRゴーグルやARグラスを活用したサービスを提供している。3Dコンテンツでがんに関する映像コンテンツやクイズ、授業を楽しんだり、介護を受ける方の食事のしづらさを疑似体験したりすることができる。このサービスの提供を通じて、がんの「早期発見・早期治療」の大切さや、介護に関する理解を深めていただくことができる。

4. デジタルほけんショップ

デジタル空間上に開設した保険ショップで、相談予約ができたり、保険や健康に関する情報を収集したりすることができるサービスだ。がん保険に興味がわいた方に対して、AIを活用して募集人とマッチングするサービスを導入し、オンラインもしくはリアルな保険相談につなげていく。

近い将来は、メタバース空間上にデジタルほけんショップを開設する予定だ。若年層をはじめ、これまで当社との接点が少ない層にアプローチしていく。

5. AIを活用したマッチングサービス

生命保険事業の領域ではお客様の趣味嗜好、相談ニーズを考慮し、最適な募集人をAIが提案する。AIによるマッチングの結果、会話がスムーズに運ぶと見込んでいる。

また、このソリューションを活かして、保険以外の領域で、たとえば介護を受けたい人と介護者や医師をマッチングするサービスが提供できるかを検討中だ。

<保険契約管理業務の抜本的再構築>

保険契約管理業務の抜本的再構築の目的は、①感動的なユーザー体験の創出、②コスト削減、③業務継続性・安定性の確保だ。

この目的を実現するために、次の6つの原理原則を定めている。①デジタルファースト、②時間・場所を問わないアクセス、③ヒトとAIの協業、④災害・変化に強い業務基盤、⑤業務・経営指標の見える化、⑥データに基づいた理解・応対だ。

保険契約管理業務の抜本的再構築を達成すると、販売代理店とお客様双方の負担軽減につながる。実際に場所や時間を問わずに保険契約申込の手続きができる「いつでもデジモ」なら、申込手続きから最短3日で契約が完了する。給付金請求においてもAANETを介した手続きから、わずか1日で支払いが完了するケースもある(コロナの影響などがない最短のケース)。

以上のような業務改革には、デジタルツインの導入を検討している。デジタルツインを活用して現在の業務プロセスを徹底的に可視化した上で、シミュレーションをし、予測をする。これらをメタバース上でさらに見やすくし、使う側が課題を特定・分析することによって既存フローの最適化を目指す。

今後はメタバース空間にオフィスを再現し、アバターを介した従業員同士のコミュニケーションの活性化を目指して、取り組みを進めていく。

AANET:販売代理店における業務で必要となる各種機能や情報を搭載したポータルサイト。契約保全手続きや、顧客情報の参照が可能。

<業務変革をサポートする社内システムのDX>

新型コロナウイルス感染症への対応が、弊社の取り組みを強力に推し進めるトリガーになった。保険金・給付金の支払い業務、申込・請求手続きやお問い合わせでお客様をお待たせしない、さらに従業員の健康を守るためにリモートワークを推進するための新たなファシリティマネジメントなどの取り組みの必要性から社内システムのDXが加速した。

業務を在宅で行うとなると、セキュアな環境が必要になる。そこで従来は2段階だったセキュリティレベルを3段階へと変更し、在宅でも中レベルの業務を遂行できるようデータや環境を整備した。

在宅やサテライトで業務を行うとなると、紙の管理は阻害要因となる。そこでペーパーレス化の検討開始から2020年末までの6か月間で、全体の60%にあたる2,400帳票の電子化に成功した。

オンライン相談も、2020年2月の検討開始からわずか6か月で他社に先駆けてサービスの提供を開始した。スマートフォン上で手続きが完結するサービスを開発したことで、時間や場所に制約されない新しい保険申込プロセスを提供できるようになった。

コールセンター業務のリモート化にも取り組んだ。社用iPhoneを各オペレータに配り、在宅環境でもお客様や販売代理店からの問い合わせに対応できるようにしたものだ。働き方改革を実現する環境整備として、5,000名を超える全社員にも社用iPhoneを2020年12月までに急ぎ配布した。

安定的なサービスレベルを維持するために、2,000名を超える協力会社20社からの要員にも、在宅あるいはサテライトで働ける環境を用意した。緊急事態宣言の実施が終了してからも、優秀な人材に定着してもらうためには働き方の選択肢を提供すべきという観点から継続している。

<DX推進を支えるDX人財育成>

DXを推進する上で、極めて重要なのが「DX人財」だ。弊社ではDX人財を「テクノロジーの知識を有し、ビジネスに変革をもたらすことができる人財」と定義している。

弊社ではDX人財を2つに分類している。主にビジネス部門に所属し、ビジネスとテクノロジーの双方を理解してDXを推進する「ハイブリッド人財」と、主にIT・デジタル部門に所属し、テクノロジーとデータを使いこなす「テック人財」の2つであり、両者が隔たりなく一体で働くことを目指して育成している。

また、DXを推進するために必要な能力や特性を16種類のケイパビリティとして定義し、レベルごとにカリキュラムを設定して育成している。知識を習得して演習を受け、OJTを通じて実践力を養うのが特徴だ。ケイパビリティごとに、DX人財として社内認定していく。

2022年は150名を認定する計画に対して243名を認定した。2024年末までには、社員の30%である1,500名をDX人財にすることを目指している。

2023.05.19時点では17種類のケイパビリティ

<結びに>

本日は、弊社のDXの取り組みについてご紹介した。DXを最大限に活用し、働く人の幸せと業務効率化の向上の双方を実現していきたいと考えている。

実際に弊社だけの力で実現するのは難しい状況だ。社内外の多くの皆さんと連携し、新しい働き方を追求・実現していく所存だ。

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