2021年6月17日(木)開催 FINANCE WEBINAR 金融機関におけるSalesTechがもたらす営業の効率化<アフターレポート>


2021年6月17日(木)、セミナーインフォ主催FINANCE WEBINAR「金融機関におけるSalesTechがもたらす営業の効率化」が開催された。昨今のコロナ禍を経て、金融業界においてもこれまで常識とされていた対面での営業活動は制限されている。この趨勢は今後も継続すると考えられており、営業現場では新たな生活様式を見据え、セールステックなどの技術を活用した非対面営業の体制整備や効率化の実践を迫られている。そこで今回株式会社ふくおかフィナンシャルグループ、三井住友海上火災保険株式会社に営業活動の効率化の最新動向をご紹介いただくほか、先進企業による最新事例をお届けした。本セミナーが金融機関各社の営業活動の効率化や業務改革の一端を担えれば幸いだ。

  1. デジタルを活用した顧客コミュニケーションの実現
  2. キーエンスの高収益を支えるデータ活用術
    ~金融機関での活用事例~
  3. 三井住友海上のDG戦略(デジタルグローバリゼーション戦略)
    ~デジタルアセットを活用したグローバルベースでのイノベーションの創出~
  4. 成功事例から学ぶ!金融機関のデータ活用最前線!
目次

デジタルを活用した顧客コミュニケーションの実現

宮里 大 氏

基調講演➀

【講演者】
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
営業統括部 マーケティンググループ
部長代理

宮里 大 氏

< はじめに >
DXの重要性が指摘されて久しいが、既存の銀行の現状としてはなかなか厳しいものがある、というのが実情ではないだろうか。データ分析をしようにもデータが複数のシステムに散在している、チャネル機能を改善しようにもベンダーロックインの状態になっており戦略的な開発が難しいといった課題を抱えて、実際にCXやUI/UX改善に取り組んでいる皆様の中にはやきもきした気持ちになっている方もいることと思う。当行でも状況は同じであり、これまでチャネル同士の連携やデータ分析に試行錯誤しながら取り組んできた。本日は「デジタルを活用した顧客コミュニケーション」と題し、当行のこれまでのDXの取り組みについてご紹介できればと思っている。

< ふくおかフィナンシャルグループについて >
ふくおかフィナンシャルグループは福岡銀行と当時の熊本ファミリー銀行の経営統合により2001年に発足した、九州を拠点とする金融グループである。現在は長崎の十八親和銀行を加えた三行体制を築き、さらに地元の証券会社を子会社化することで証券事業にも進出している。そして、2016年からは「DXに向けた積極的なチャレンジ」をしていくということで、日本初のネオバンクであるアイバンクマーケティング株式会社によるスマホ専用アプリ「Wallet+」を軸とした金融領域のビジネス展開、スマホ完結で銀行サービスを提供する「みんなの銀行」といった取り組みを行っている。Wallet+については他の金融機関にもシステムを提供しており、現在10行の参画が決定している。

< ふくおかフィナンシャルグループが目指すオムニチャネル戦略 >
ふくおかフィナンシャルグループでは、銀行が持つ多様なチャネルに対し、最適な商品・サービスの提供によって顧客満足度・CXを向上させるため、また対面チャネルと非対面チャネルのシームレスな連携による、情報の利活用を実現するため、オムニチャネルシステムを導入している。
オムニチャネルシステムとは、すべてのチャネルがリアルタイムで情報を共有し、お客様に適切なコミュニケーションを行うためのマーケティング自動化ツールと定義されている。対面チャネルとデジタルチャネルを有機的かつリアルタイムに連携させることでお客様ひとりひとりのニーズの理解を深め、最適な金融取引をお手伝いしていくことを目的に導入している。
導入の背景としては、「デジタル化」「接点の減少」「差別化」これら3つの課題解決のためである。「デジタル化」については、スマートフォンの普及により、アプリやインターネットバンキングの利用者が増加しており、顧客の銀行取引の選択肢が増えている点がある。「接点の減少」については、コロナの影響や若年層を中心とした非対面へのシフトが進んでいる。福岡銀行でも1~2年前に比べると窓口対応が大幅に減っている。「差別化」については、銀行の取り扱う商品が似通っており、コモディティ化が進んでいる背景や、異業種の参入が進んでいる背景がある。
このような状況にあってビジネスの成長をはかるために、デジタル領域において、営業店の優れた営業マンのコミュニケーションと同レベルの顧客コミュニケーションを実現するためオムニチャネルを活用していく次第だ。

< オムニチャネルシステムの導入までの流れ >
2015年4月から開発に着手。リアルタイムの処理に耐えうる、システムの最適化の実現に向け、ひとつひとつのチャネルを繋げる取り組みを進めた。2年半の歳月を経て、2017年の8月にインターネットバンキング・ホームページ・メール配信のデジタルチャネルをリリース、同年11月には、非対面の行動履歴をCRMやコンタクトセンターに連携する機能をリリースした。2018年8月には、SMSの連携が完了している。

< オムニチャネル化で目指す姿 >
オムニチャネルシステムが提供する価値は3つあると考えている。
まずは、「マーケティング自動化/リアル化による、顧客ニーズへの即応力向上」である。従来の手作業にて行っていた、施策のアクションが自動化され、リアクションがリアルタイムで連携されるため、情報の鮮度が上がり、お客様の熱が冷める前に次のアクションを行う事ができる。次に、「顧客情報向上のためのマーケティング分析力の向上」である。各チャネルのトランザクションも集約化できるため、使える情報量が増加した。流動性取引情報などもデータから把握できるようになり、顧客のライフステージを推測することにより、最適な提案をすることができる。最後に、「営業現場に対するチャネル接触情報提供による適切な顧客対応」である。デジタル=非対面というわけでなく、対面チャネルにおいてもデジタライゼーションを進めることが大事であり、インターネットバンキングの利用履歴やATMの利用情報などを一元的に管理し、CRMを通じて、営業現場で確認することができる。対面・非対面を問わず、顧客と銀行が1対1で繋がるような状況を目指し、快適なコミュニケーション構築を目指してく。

< 最後に >
スマホの普及やデジタルシフトが加速する昨今ではあるが、銀行にはこれまでお客様に安定して金融サービスを提供するべく築いてきた多様なチャネルがある。窓口、ATM、インターネットバンキング、コールセンターといった従来のチャネルにおける顧客接点を大切にし、お客様としっかりコミュニケーションを取っていくことは、今後、銀行業の成長を考える上では重要なテーマになるのではないかと考えている。収集したお客様のデータを最大限に活用し、お客様に対して最高のおもてなしをして還元していく。それがデジタル活用の目指す形ではないだろうか。お客様側のデジタルシフトが進むにつれて、当行の担当者の間でもオムニチャネル戦略やそれを活用した顧客アプローチへの意識が高まっている。

キーエンスの高収益を支えるデータ活用術
~金融機関での活用事例~

峯尾 翔太 氏

【講演者】
株式会社キーエンス
データアナリティクス事業グループ

峯尾 翔太 氏

< キーエンスとは? >
当社は、1974年の設立以来、FA用センサーをはじめとする高付加価値商品を通じて、製造業の現場の生産性・品質向上に貢献してきた。自動車や半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野に30万社以上の顧客を持つ。過去25年間、平均10%を超える成長を遂げ、50%を超える営業利益率を支えているのがデータ活用にほかならない。
キーエンスは、以前から企業活動を科学的に捉え、合理的な判断をおこなうことを心掛けてきた。しかし、データの質や量が増えるつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。それをどのように解決するか。見えてきたのは、仮説を多くつくり出し、ビジネス課題との関係性を明示すること。そうすることで、施策をデータから見つけられるようになった。その経験を基に、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるように『KI』というデータ分析ソフトを自社開発して活用している。

< 「データをもとに組織の生産性を高めるプログラム」の金融業界の活用例について >
KIは、現在、伴走型の支援サービス「カスタマーサクセス」とともに外部に提供し、幅広い企業で活用されている。金融分野でも、みずほ銀行様といったメガバンクや都市銀行、岩手銀行様や京都中央信用金庫様をはじめとする地方銀行および信用金庫、さらには野村證券様やSMBC日興証券様などの証券会社や、エムエスティ―保険様などの保険会社など、広範なユーザーを獲得している。
例えば、投資信託の販売、消費性ローンや事業性融資を提供するための顧客分析、店舗統合時の離脱顧客の予測など、テーマに合わせたアドホックな分析、渉外担当者の底上げを目指したハイパフォーマーの営業標準化分析などに役立てられている。

< 「データ分析ソフトKI」の用途 >
ここからKIのデモンストレーションをご覧いただく。専門的なスキルを持たないビジネスユーザーでも使いこなせることを前提に開発されたKIは、非常に高い操作性を誇っている。
例えば、金融機関ならCIF(Customer Information File)番号や預金残高などを含む顧客の属性データ、口座の入出金データ、運用商品にかかわる購入履歴データ、そして顧客のWeb上での行動履歴などをKIに取り込めば、KI がデータの内容を自動的に認識して、様々な分析テーマを自動的に提示する。ユーザーは、そこから任意のものを選択して、AI/機械学習技術を駆使した分析をすぐにおこなうことができる。
どんなお客様が投資信託などの金融商品を購入する可能性が高いか、預金残高や口座の入出金の特徴に応じた確率を定量的に示すなど、KIを通じてインサイトを簡単に得ることができる。
また、分析結果は簡単な操作で各営業店に配信できる顧客ターゲットリストにすることも可能。分析を即座に施策につなげていくことができる。ある金融機関は、リストの有力顧客にどれだけアプローチしているかを、営業担当者の評価に組み込んでいる。
いち早くデータの重要性とビジネスユーザーの課題に気付き、それをAI/機械学習技術を駆使した分析で進化してきたKI。既に現場での成果が証明されたツールを活用できるメリットは大きい。
また、当社が分析ソフトウェアKIとともに提供する「カスタマーサクセス」は、データサイエンティストなどによる伴走型の支援プログラムだ。単なるツール提供にとどまらず、他社事例やキーエンスの経験を踏まえたデータ活用ノウハウを活かしたサポートが、多くの金融機関様の支持を得ている。また、eラーニングによるデータ分析育成支援なども準備されており、データ人材育成の観点でも評価をいただいている。金融機関がデータを成長につなげるための最短距離のアプローチとしてほしい。

講演企業情報
株式会社キーエンス:https://www.keyence.co.jp/ki

 

三井住友海上のDG戦略(デジタルグローバリゼーション戦略)
~デジタルアセットを活用したグローバルベースでのイノベーションの創出~

荒木 裕也 氏

基調講演➁

【講演者】
三井住友海上火災保険株式会社
デジタル戦略部
DGチーム長 (Digital Globalization 統括)

荒木 裕也 氏

池田 久美子 氏

【講演者】
デジタル戦略部
DGチーム主任(米国市場推進リーダー)

池田 久美子 氏

< 会社概要 >
本日は三井住友海上のDG(デジタルグローバリゼーション)戦略について、ご案内できればと考えている。当社は国内のみならず海外にもネットワークを持ち、国内で展開したAIをはじめとするDX取り組みの成果を海外に展開し、逆に海外の成功事例を国内に逆輸入する取り組みを推進している。こうした取り組みを総称してDG戦略と呼んでいるが、こちらの概要について簡単に紹介できればと思っている。

< 社会課題とDXの加速、新たなビジネスチャンスの登場 >
当社は社内のDXを進めるのみならず、さらに未来にわたって世界のリスク課題解決でリーダーシップを発揮するイノベーション企業を目指している。グローバルな社会課題にはさまざまなものがある。そして、今、世界中の企業がこの課題を解決するためにさまざまなソリューションを開発し、世の中に展開しているところである。たとえば、ウォーレン・バフェット氏は、社会課題の解決のために事業を立ち上げた各種スタートアップのために、「THREE」というデジタルアタッカーを立ち上げた。従来の保険に比べ、はるかにシンプルで簡素化された保険をスタートアップに提供する試みだ。バフェット氏の取り組みはすぐに真似できるものではないが、このような発想を持って日本の保険やビジネスを変えていく、さらにそれを海外に展開する。そして海外に展開した結果を日本に持ち帰ってくる――これらの一連のサイクルを推進することで、自社ビジネスの拡大および社会貢献につなげていきたいと考えている。

< DXによるバリューアップとグローバル展開コンセプト >
これまで国内金融機関においては、インオーガニックに海外の保険会社やスタートアップを買収するという形で行われていた。しかし、これからは既存の保険会社・海外の保険子会社をオーガニックにDXを使ってバリューアップさせていくという戦略が求められると考えている。この際に採用されるモデルは各社の特性によっていくつか候補があるが、当社ではグローバル融合型を採用している。これは、日本の拠点から海外拠点にある現地法人に日本の取り組みを輸出し、逆に各国で行った新しい取り組みを持ち帰ってくる仕組みだ。この枠組みにのっとり、当社では現在進行形で、各拠点間のシナジーを高めているところである。

< 三井住友海上におけるデジタライゼーション推進 >
当社のデジタライゼーションは、サービスの向上や業務プロセスの効率化に加え、グループビジネス全体の変革につなげる取り組みを指す。保険ビジネスのデジタライゼーションを推進するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)、DI(デジタルイノベーション)、DG(デジタルグローバリゼーション)の3つの領域に分け、取り組んでいる。またそれらの土台として、デジタル人材の育成や、システム基盤のデジタル対応、デジタルガバナンスの整備に注力をしている。

< 三井住友海上のDXの取り組みの事例 >
当社におけるDXの取り組みについて、2つ重要な取り組みがある。1つ目は、当社が提供するMS1 Brainであり、損保業界初のAIを搭載した代理店営業支援システムである。AIによるビッグデータ分析にもとづき、顧客のニーズの予測、提案サポートなどを行い、顧客一人一人に対して最適な提案を行うことを可能にし、代理店経営や営業社員の役割に大きな変革をもたらしている。2つ目は「Risk」と「Technology」を掛け合わせた「RisTech」の取り組みである。当社のデータサイエンティストによるデータ分析を通して、取引先企業の課題を解決するサービスだ。これまで取引先のリスクマネジメントを支援し、保険契約の獲得に注力してきた。現在は、当社の保険データと取引先データを活用した分析や取引先の新サービスの開発、生産性向上の取り組みに注力している。さらに、従来の保険業の範疇を超えて、スマートモビリティ、自然災害リスク、気候変動などを含む社会課題を解決するための取り組みに活用している。

< 三井住友海上のDG >
当社はグローバルにDXを推進するにあたって、世界の先進技術との協業を実現するべくさまざまなスタートアップ投資を行っている。海外に設けた各拠点で、先進的な事業に取り組む優良スタートアップに投資を行っており、また業務提携にも積極的に取り組んでいる。
具体的な取り組み事例としては、子会社であるMS&ADベンチャーを通じたアーリーステージのスタートアップ企業への戦略的な投資、アジアのリテール市場における有力なプラットフォーマーとの連携などがあげられる。

< 各企業との戦略的提携 >
米国のインシュアテックスタートアップHippo社との提携を紹介する。Hippoのビジネスは火災保険が中心であり、住宅に取り付けるIoTデバイスを配布し、得られるデータと衛星情報や不動産情報など外部データと掛け合わせ、分析し、優れたサービスを提供している。実際に、IoTデバイスから電力・水道データを分析し、水漏れや屋根の腐食の兆候を予測し、台風などの被害を最小限に抑えるなどのサービスを提供している。このようなノウハウを生かし、当社でも新たなサービスを展開できるよう取り組みを進めている。これからの時代は、保険金の支払いだけでなく、デジタル技術を利用した、事故の予防・被害の最小化が求められている。これにより、お客様に安心・安全を提供することがこれからの保険会社のあるべき姿だと思っている。

< アジアリテール市場の戦略的提携:シンガポール発Carro >
シンガポールのCarroはカーテックとフィンテックを掛け合わせたサービスを提供している。東南アジアで自動車購入のバリューチェーンすべてをデジタル化することに成功した唯一のプラットフォーマーでもあり、シンガポールを代表するスタートアップである。中古販売だけでなく、修理、メンテナンス、カーローン、保険など、すべての関連ビジネスをデジタルで提供している。また、独自のアルゴリズムで融資を実施し、即日で車を販売できるという特徴もある。これらは保険ビジネスと極めて親和性が高く、提携のシナジーを発揮しやすいと考えており、今後の実勢のビジネスに繋げていく狙いだ。

< イスラエルでの戦略的提携:Upstream >
Upstreamはコネクテッドカー向けのサイバーセキュリティソリューションを提供しており、自動車メーカーなど世界中の様々な企業が注目している。当社は将来の自動運転車の社会実装を見据え、Upstreamの技術を活用した、新サービスの開発や保険金の支払いの高度化を実現していく。今後の社外パートナーとのアライアンスにより、安心・安全なモビリティ社会の実現へ貢献していく。

< アジア事業のデジタライゼーション >
当社はアジアのリテールビジネスに強みがあり、世界各地で蓄積したノウハウを活用し、マーケットフォルダとの提携をしていく。銀行口座を持たないがスマートフォンを持っている人も多く、IaaS(Insurance as a Service)戦略として、オンラインにて接点を持っている銀行などビジネスパートナーを介し、接点を構築し、顧客の最適な提案を行っていく事が重要だ。実際にフィリピンではBPI銀行の持っている顧客データを活用してAIで分析し、成約率の高い顧客リストを生成。銀行窓販や銀行アプリを通じ、最適な提案を行えるという仕組みを実現した。また、ベトナムではテレマティクス技術をベンダーと実証実験を行っており、提携したカーディーラーを通じ、車と自動車保険を購入できる、テレマティクス機能を持つアプリを配布。アプリ内で、運転性向データを分析し、安全運転を奨励し、事故のない社会を目指すため、様々な取り組みに活用している。

< 終わりに >
当社はグローバルにデジタライゼーションを推進し、社会課題の解決に向けた取り組みに積極的に取り組んできた。今後も各拠点を通じてデジタライゼーションを推進し、世界中のお客様に新たな価値を提供していきたいと考えている。

成功事例から学ぶ!金融機関のデータ活用最前線!

鈴木 彩乃 氏

【講演者】
株式会社ランドスケイプ
営業本部 企画グループ 執行役員

鈴木 彩乃 氏

< はじめに >
ランドスケイプは創業当時からデータベースマーケティング支援事業をメインに行っており、国内最大規模の法人マスターデータベースLBCをもとに、各企業様の顧客データの名寄せ、クレンジングなどの業務を支援してきた。幸い業種業界問わず、リーディングカンパニー様中心にご採用いただいている。本日は弊社の成功事例から、データ活用についてお話しさせていただければと思っている。

< 法人マスターベースLBCの特徴 >
弊社ではデータベースを活用したソリューションを提供している。そこで、まずは弊社の法人マスターデータベース「LBC」の3つの特徴についてご紹介させていただきたい。
1つ目は、日本最大規模の820万件という網羅性を誇ることである。
2つ目が本社と事業所、あるいは親・子・孫といった形で、法人間の資本関係に注目した紐付け階層化を実現していることである。
3つ目は過去情報の蓄積・構築もしているため、ナレッジを利かせてデータベース構築ができる企業情報であるということである。
この3つの特徴を生かし、弊社では皆様から顧客情報を預かりデータのマッチングを行い、さらにデータをクレンジングして情報の名寄せ・一元化を実現している。これまで蓄積してきたデータの一元化が実現できれば、各企業様のデータベースを定期的にメンテナンスすることも可能になる。加えて、最近はデータベースの利活用というのも企業にとっては重大な課題である。弊社ではデータに企業属性を付与し、データベースを活用しやすい土台を作り上げるところまで一貫した支援を行っている。

< セールステックにおけるデータの重要性 >
新型コロナウイルス感染拡大をはじめとする社会情勢の変化に伴い、金融機関様ではさまざまな動きをされており、近年の金融業界では、パンデミックをきっかけとした非対面チャネルへのシフト、交通業界や通信業界といった他業種の金融業界への新規参入、さらにシナジー効果をねらった近隣業種などとの連携強化といった動きが起きている。特に注目すべきは、業界全体におけるDX推進の加速化である。クラウドの利用、最近ではAIの活用やオートメーション化もテーマになっている。そして、このDXを推進する上での鍵となるのが、データの利活用だ。そのためにも精度の高いデータが求められている。我々はDXというキーワードを「データトランスフォーメーション」という言葉に置き換えて、皆様にデータ活用のあり方についてご提案している。
現在、金融機関が抱える、顧客データの共通課題は、いくつかある。統一コードが存在しないため、システムごとにサイロ化している点やデータの粒度がマスタによって異なるという事象も発生している。そのほかにもSFAの中の情報や各部門や営業担当が独自に管理しているExcelの古い情報があるなど、データ精度・鮮度が異なっていることが多いのも現状だ。
データの分析や改善施策に活用が進まない理由として、業種、規模、決算月などの属性の不足や自社サービスへの興味関心度合いなどポテンシャルが不明なこともあり、アクションができないという状況をお伺いしている。

< 成果に繋がるデータ活用の仕組化について >
我々は「顧客データの一元化」をするために、収集したデータのクレンジングを行い、データの精度を上げることにより、データ連携を容易にすることが可能だ。
その後、先述のLBCを用いることにより、顧客データの名寄せを行う事ができ、多様なデータを整理・一元化し、実際の営業活動や取引実績の分析、効果的なターゲティングなどに活用できるようにしている。さらに、最近では、売り上げ拡大施策として、LBCを母数に一元化された取引データとリード情報を連携させ、顧客のホワイトスペースの可視化、重点アプローチ先の選定に役立てている。
また、自社の取引実績の分析も大事であるが、ターゲティングも重要であり、「sideSonar」を活用し、CRM/SFAとも連携し、高精度なターゲティングを行う事ができる。新規企業・既存企業の過去実績に伴う営業の可否、サービスへの興味・関心などを可視化することができ、営業のバッティングの回避や提案漏れ企業の軽減につながる。そのほかにも、ターゲティングの軸は500種類以上あり、取引先企業と似たような属性を持った企業やニュース情報、WEBサイトへの来訪企業の可視化など、様々な角度から企業のピックアップができ、新規のアプローチやフォローアップ、アップセル・クロスセルなど効率の良い営業展開の実現が可能だ。

< 金融機関の事例紹介 >
りそな銀行では、基幹システムに商材や用途ごとにデータを登録しており、企業情報の重複や更新に、滞りや陳腐化などが起こっていた。そのため、データの活用にあたっても、工数が多い、精度が正しいかわからないなどの課題があった。改善策として、スマートフォンを活用した、名刺情報のデジタル化と顧客情報の一元化を行い、これらをCRM/SFAに連携をし、データを有効活用するためのシステム基盤を構築し、リアルタイムなデータ活用を実現した。
日本生命では、従来までは、既存企業の深堀営業が中心であったが、中堅法人マーケットの新規開拓のため、デジタルツールによる営業支援の取り組みをしており、日々の営業活動で、つながる可能性の高いアプローチの実施と訪問準備にかかる「手間」と「時間」の削減という改善要望があった。
sideSonarを活用し、「配属職員」「系列会社」からのつて探しや「最新ニュース」「企業Webサイト」からの話題づくりで活用し、工数削減・活動数増加につながった。

< まとめ >
セールステックを活用し、成果につなげるためには顧客データベースの一元化が非常に重要なテーマになっている。データの活用の仕組み化ができれば、業務効率化や売上拡大につながりやすくなり、皆様のDXの実現に貢献できる。もっとも、「データの活用と言われても、何から手を着けたらよいのかわからない」と不安になっている方もいるかもしれない。そうした方のために、弊社では顧客データの診断レポートを提供している。ご興味のある方はぜひ一度お声がけいただければ幸いだ。

講演企業情報
株式会社ランドスケイプ:
https://www.landscape.co.jp/

 

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