2020年6月18日(木)開催 INSURANCE FORUM 保険業界におけるIT革新と業務改革<アフターレポート>

2020年6月18日(木)開催 INSURANCE FORUM 保険業界におけるIT革新と業務改革<アフターレポート>

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2020年6月18日(木)、セミナーインフォ主催「INSURANCE FORUM 保険業界におけるIT革新と業務改革」が開催された。昨今の新型コロナウイルスの影響により、保険会社においても、従来どおりの営業活動や働き方が困難になっている。最新テクノロジーの活用や高度なシステムの導入などデジタル化に対応する動きが求められており、保険業界のビジネスモデルや、働き方に大きな変革が訪れている。本フォーラムでは、第一生命保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社の取り組み事例をはじめ、国内外の事例や先進企業各社による講演を通じ、テクノロジーを活用した保険業務のあり方についてご紹介した。

  1. 第一生命が取り組んだAIを活用したコンタクトセンター改革の舞台裏
  2. 保険業界のNext Waveのシナリオと打ち手
    ~COVID-19の影響もふまえて~
  3. 短期でも効率的にリスクを減らし、品質を上げる!
    保険業務システム移行時の品質向上戦略
  4. デジタル・テクノロジーの活用がもたらす新しい事業チャンス
    ~海外の事例と人材不足解消に向けてのコグニザントの役割~
  5. 三井住友海上のデジタライゼーション推進

第一生命が取り組んだAIを活用した
コンタクトセンター改革の舞台裏

荒木 貴幸
基調講演
【講演者】
第一生命保険株式会社
コンタクトセンター統括部 部長
荒木 貴幸 氏

当社のコンタクトセンターでは、IBM社の協力により、AIの「Watson」の活用・実装をスタートした。今回は、Watson導入における長い道のりで苦労した点などを中心に話をさせて頂く。

当社では2015年から、InsTechという、先進技術活用の各種取り組みを開始した。我々コンタクトセンターにおいては音声によるコミュニケーションと文字によるコミュニケーションにおいて、RPA・AI等を活用した業務効率化に取り組んでいる。音声コミュニケーションでは、お客様からの電話の音声のテキストデータがWatsonに送られ、コミュニケーターを支援するためのQAなどが画面に表示される仕組みだ。

当社のコンタクトセンターが抱える課題として、人員の定着がある。電話応対業務は難易度が高く、マニュアルの分量も全部で1759ページに及ぶ。新人研修は1年もの長期間に及び、新人の定着度に課題がある。ベテランの高齢化も相まって、将来の安定人員確保に危機感があった。

この課題をITで解決するため、2014年から音声認識やAI等の取り組みを開始した。AI(Watson)の導入検討は、2015年から始まり、2020年1月に本格的な実装が完了し、今まさに使い始めたという状況だ。それまでの過程で様々な検討が行われたが、なかでも業務適合性検証などの実証実験に時間がかかった。IBM社の協力で、足かけ3年に渡って実証実験を実施して現在に至っている。

実証実験は3回行われ、ショッキングな発見もあった。まず業務適合性検証で各APIの適合性を検証し、NLCは適合性を確認したが、教育負荷の高さが課題として浮き彫りになった。膨大なマニュアルをAIに読み込ませて活用することも期待していたが、実際にはWatsonにデータを投入しても使えないことが判明。マニュアルの改編を余儀なくされることとなった。さらに、NLCの「正答率」の高さを生かし、約2,000件のQAを作成することに着手したが。QAの検索精度の向上、画面の視認性なども課題であった。

Watson導入の舞台裏として、課題をどのように克服したかについて説明する。まずNLCの検索精度向上については、別途音声認識システムを利用して通話をテキストデータ化した。機械的に「言い回し」となる候補を検索してNLCを教育。この工夫により教育負荷が70%軽減され、NLCの検索精度も高まった。マニュアルをWatsonで読み込ませても活用できない点については、AIが読めるようにマニュアルの作り変えを1.5年計画で実施。意味のある細切れに分割・再編成した。

また、現場でのヒアリングを行ったところ、マニュアルに記載のない範囲まで網羅したいというニーズがあることも判明した。これに応えるためコミュニケーター疑問点集も整備したが、NCLの検索性能を阻害し、教育に膨大な労力が発生してしまった。一気に広範囲の教育をしようとするのではなく、範囲を限定したQA・マニュアルなどから教育をさせることが大切だ。また通話中に話題が変化した場合、ランキング形式では画面の視認性が悪くなる課題もあった。そこでヒートマップ形式に変更。QAをカテゴリごとに表示し、繰り返し話題になっているカテゴリをヒート表示させた。

今後短期的に期待していることは、コミュニケーターの生産性や定着率の向上、外部リソース活用推進だ。中期的にはWatsonによる在宅勤務者のサポートで、働き方改革の実現にもつながると考えている。

実務の面での苦労として、Watson導入業務とその他の業務を同時に回すことが困難になったことも挙げられる。3年間に渡るQA作成やWatson教育などで膨大な労力がかかったため、品質管理業務の大幅な効率化・省力化も行った。AIや技術だけで業務がすぐ変わることはない。変えた後の仕事でどう活用するかが重要だ。

保険業界のNext Waveのシナリオと打ち手
~COVID-19の影響もふまえて~

青木 計憲
【講演者】
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
インシュアランスセクター パートナー
青木 計憲 氏

COVID-19のパンデミックは経済的・社会的に、21世紀で最大級のショックとなり得る。保険業界にもBCPの機能限界、営業活動の停滞、財務状況悪化というインパクトが出ている。各社とも顧客向けの特別対応を実施しているが、内容に限界がある。

この危機に対し、デジタルコミュニケーションやセルフサービスの加速、BCPの再考・拠点再編やマーケティングの加速が求められる。将来的に危機に柔軟な組織・オペレーション、商品・ポートフォリオ再編も必要となるだろう。

保険会社における脅威と機会は、カスタマー・商品、人材や組織、資産・負債、決算や株主対策の4つのコア領域にまたがる。最も重要なのは、カスタマー・商品だ。

新型コロナウイルスにより消費者行動に大きな変化が見られ、保険会社として対応が求められる。消費者のうち7割がニューノーマルと呼ばれる新たな消費行動にシフトする。顧客サポートは営業職員や代理店だけに任せるのではなく、会社として非対面を中心としてサポートが必要だ。

保険業界では、カスタマージャーニーの全体を捉えられていないことも大きな課題である。消費者の行動を横串で見ることが必要だ。

人材・組織・オペレーションの領域で、本社のあり方について、ある保険会社様と話を進めている。ワークは在宅勤務を中心とし、本社は別の役割を持たせるべきという流れである。

4月にイギリスなど5カ国で実施された調査によると、新型コロナ危機後の消費者セグメントは大きく5つに分類される。30%は新型コロナ以前の行動に戻るが、70%は戻らず新たな行動に移る。このうち34%は支出を減らす方向で生活を送る層であり※、特に経済的に打撃を受けた層と考えられる。保険に対する考え方の変化も予想され、細かく分析する必要があるだろう。

ニューノーマルで重要なポイントとして挙げられるのが、53%の消費者が病気の予防や早期発見に役立つなら個人情報を共有すると回答したことだ※。疾病予防や再発予防のニーズが高まっているため、保険業界にとってもプラス要因となる。

一方で、多くの人は新たな日常生活で人にできるだけ会わない方向にシフトしている。家でネットを利用すれば色々な物が買えることを、若者だけでなく高齢者も知ったことも保険に関する大きな影響となり得る。日本の保険契約は人的ベースが主流だが、消費者の行動変化への対応が必要となるだろう。

保険業界における変化のドライバーとして5つ挙げられる。まずニューノーマル・ニューレガシーへの投資のシフトで、デジタルイノベーションや付加価値創造だ。2つ目はCXの重要性で、対面モデルから非対面もミックスしたモデルへの移行だ。3つ目はエマージングテクノロジーとデータエコシステムで、データ活用から新たな事業へ進出する企業が増えるだろう。そのための人材確保をどうするかが4つ目のドライバーであり、大きな課題だ。最後のドライバーは保険会社に対する社会貢献への期待の増加だ。

当社では日本の保険業界の8つのマーケットシナリオと戦略オプションを用意した。リアルタイムのリスク可視化、顧客体験の高度化などのシナリオから、各保険会社に適したシナリオを選び、成長実現・収益の維持・拡大のための戦略オプションを提供する。

新型コロナウイルスを機に、保険業界に求められることは急速に変化している。来年や再来年に成長を続けるために何が必要か、投資すべき領域はどこかを再考すべきだ。テクノロジーや業務オペレーションの領域については、様々な観点を考慮し、既存の考え方から軸を変えなくてはならないシーンが確実に増えている。

※出典:EY, EY Future Consumer Index,2020/5/4 https://www.ey.com/en_us/consumer-products-retail/how-covid-19-could-change-consumer-behavior

講演企業情報
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社:https://www.eyjapan.jp/advisory/

短期でも効率的にリスクを減らし、品質を上げる!
保険業務システム移行時の品質向上戦略

石原 一宏
【講演者】
バルテス株式会社
第3ソフトウェアテスト事業部 事業部長
石原 一宏 氏

保険業務システムのモダナイゼーションを行うにあたり、旧来のオンプレミスから新環境にシステム移行を行うことになる。その際によく聞く問題が、システムのテストに漏れ抜けがあったり、テスト工数が膨大になるというものだ。テスト専門ベンダーとして、システム開発のテストを効率化し、品質向上を支援している弊社の立場からこの2つの問題を解決する戦略を3点紹介する。

初めに、システムのテストに漏れ抜けがあるという課題に多く見られるのが、機能追加・改修を繰り返した結果、システム要件を定めた仕様書・ドキュメントが存在しないケースだ。ユースケース・業務フロー・実処理データなど一括して揃っているケースは少ない。あるべき姿がわからなければ、新システムが正しく、これまで旧システムがこなしていた機能を十分に備えているかを確認するのは容易ではない。そこで「そのシステムは何ができればOKなのか」、ゴールを先に考えるテストファーストの考え方が大切だ。つまり、テストの考え方とは、システムの要件を決める開発初期にも有用である。

品質目標の策定の際には、「当たり前品質」に重点を置く。当たり前品質とは、MUST=出来なくてはならないことと、NEVER=あってはならないことの2種類。MUSTに関して想定できる人は多いが、NEVERは充分に想定できないことが多いことに注意が必要だ。またテスト項目では正しく機能すること、という「機能性」がフォーカスされることがほとんどだが、信頼性・使用性・効率性・保守性・移植性も重要な品質のファクタであり、これらも想起することでNEVERについての想定もれを防ぐ一助になる。

次に、テスト工数が膨大になるというという課題には、リスクを抑えながらどのようにテストを削減して効率化できるかがカギになる。特にミッションクリティカルな保険システムの移行では、テストケースの冗長性が開発工数を圧迫する。これに対し、理由と根拠のあるリスク分析によるトリアージで、工数を削減しつつも品質を確保する戦略がリスクベースドテストである。

これはリスクのレベルに基づいてテストを設計し、優先度付けするテストで、完璧を目指すのではなくリスクの高いバグを確実に捉える考え方だ。日本よりアメリカで主流となっているテスト方法で、アメリカ国防総省も採用している。

リスクベースドテストは、リスクランク測定として、リスク項目を業務影響度と発生確率で分類する。この際、担当者で認識に個人差があるので、複数人でリスク測定をすることが重要だ。認識が違う箇所の根本原因は設計書の記載内容のため、設計書の品質向上に繋がる。またリスクへの対策で足りない要件の洗い出し、テストの実施順やテストを重点的に行う箇所の洗い出しにも役に立つ。

最後に、限られたリソースでテストを効率的に実施するなら、テストの自動化は避けられない。自動化導入のポイントは実現可能性を調査するフィージビリティスタディだ。自動化には初期コストがかかり、全てのケースを自動化するのが正解とは限らない。

よって、フィージビリティスタディにより、自動化に向く箇所とそうでない箇所を分けることが不可欠だ。これにより、自動化のコスト感を知り、適用できる範囲を特定し、運用・保守が続けられるかを判断できる。

自動化を推奨する箇所として、システムの基本性能、デグレードのリスクが高い機能、単純動作の繰り返しが挙げられる。対して変更頻度が高く、オブジェクトの認識が困難な箇所は自動化を対象外とすべきだ。

その他メンテナンス性、及びテストデータの2点も重要なポイントとなる。

既存業務システムのマイグレーション開発のコスト削減にはこれらのポイントを組み合わせ、適切な戦略を提案できることが重要となる。

講演企業情報
バルテス株式会社:https://www.valtes.co.jp/

デジタル・テクノロジーの活用がもたらす新しい事業チャンス
~海外の事例と人材不足解消に向けてのコグニザントの役割~

竹内 友章
【講演者】
コグニザントジャパン株式会社
代表取締役社長
竹内 友章 氏

新型コロナウイルスは様々な影響をもたらしたが、デジタルテクノロジーで最も大きなトピックとなったのは、在宅勤務やテレワークだ。以前は特定部分に限定した導入が検討されていたが、新型コロナを機に一部の大手企業では全社規模での導入と、予想外のことになった。今後は在宅勤務を標準の勤務体制にすると表明する企業もある。これがいかなる効果をもたらすのか誰も分からない。デジタル・トランスフォーメーションは不可解な要素を多く含んでいるといえる。

デジタル・トランスフォーメーションのプロジェクトは期待通りの成果を上げられないことがほとんどだ。理由として、データ分析の視点や方法論、データの収集方法が誤っていたことが考えられる。現在あるいは将来の国内市場や顧客像は、従来と比べて激しく変化しているのではないだろうか。

まず国内人口の急激な減少で2004年をピークに、今後100年間で100年前の水準に戻っていくと予想される。世代別人口分布を1965年と2020年を比較すると、2020年は若年者層が薄く、高齢化社会である。年齢別未婚率も上昇した。ライフスタイルが多様化し、結婚はあくまで一つの選択肢ということが伺える。

国内自動車販売台数を見ると、1990年に780万台だったが、2018年には518万台と、約300万台が消えてしまった。人口減少に加え、若年層中心とした車所有に対しての価値観の変化も背景だろう。少年ジャンプの発行部数に関して95年頃は600万部以上だが、現在は1/3程に減少している。漫画文化を取り巻く環境にも変化が生まれている。高校生の大学進学率は男女とも上昇しているが、特に女性の進学率上昇が高く、2人に1人は大学に進学している。

年代別金融資産保有割合を見ると、60歳以上で70%以上を占める。20代・30代は10%前後だ。金融機関でもデジタル・トランスフォーメーションはスマートフォンを想定しているものが多いが、高齢者層を考慮すると、スマートフォンに傾倒しすぎるのは、リスクとなる可能性もある。

このように目まぐるしい変化を把握するには、人文科学や社会科学の知識や方法論が必要だ。当社のコンサルタントはデータの専門だけではなく、文化人類学・社会学・民俗学といった領域でトレーニングを受けたスタッフが所属している。

イギリスの金融機関から、どうしたらより顧客に身近な金融サービスを提供できるか依頼を受けた。人はお金について積極的に語らないが、お金は最大のストレスでもある。また利用者は金融機関をあまり理解しておらず、また金融機関も利用者側を理解していないという考察もあった。このような背景を理解したうえで、利用者との乖離を埋める新しいサービスを導入する余地があるとの結論を導き出した。

またフォード社の依頼で、アメリカ中西部の人々が求めるトラックを調査した。人々はキリスト教への信仰が強く、そこで培うコミュニティが重要だ。トラックは利用者とコミュニティとの関係を良好にするツールであると分かった。フォード社は馬力やスピード等トラックの性能に注力していたが、実際のニーズとは乖離があった。

当社はこのようにデータ・データ分析方法を定義し、顧客に必要な経営戦略・事業戦略等を提案する。さらに新しい商品やサービスの開発・運用も、国内・海外の優れたAIコンサルタント及びエンジニアを活用して実行可能だ。当社の中心はインドであり、20万人以上のエンジニアを配置している。その他にもアメリカ・カナダ、イギリス・欧州など、世界のデリバリー拠点から、最適なソリューションサービスの提供が可能だ。

講演企業情報
コグニザントジャパン株式会社:https://www.cognizant.com/ja-jp/

三井住友海上のデジタライゼーション推進

本山 智之
特別講演
【講演者】
三井住友海上火災保険株式会社
デジタル戦略部長
本山 智之 氏

当社のデジタライゼーションは現在、2018年から2021年の4年計画で推進している。その基本的な考え方は、保険分野でデジタル化を推進することにより、お客様の役に立ち、社会的な課題解決に貢献することだ。なお当社におけるデジタライゼーションは、あくまで本業で展開するものであり、他分野への進出を図るものではない。

具体的な取り組み内容は、3つの領域とそれを支える3つの基盤で構成されている。まず1つ目の領域であるDX(デジタルトランスフォーメーション)は国内の既存ビジネスを改革し、競争力の強化や業務効率化を実現するものだ。2つ目の領域がDI(デジタルイノベーション)で、国内のデータやデジタル技術の活用、人財拡充によって新たなビジネスを創造する。DG(デジタルグローバリゼーション)が3つ目の領域で、国内・海外で蓄積したノウハウを相互に展開し、グローバルベースでDXやDIを展開する取り組みだ。

DXの領域では、AIを活用した代理店営業支援システムである『MS1 Brain』をリリースした。お客様のニーズに合わせた商品を提案するため、代理店が保有するお客様情報、保険会社が保有する契約・事故データ、企業情報などの外部データを分析する。またアポ取りからアフターフォローまで一連の営業プロセスを体系化し、進捗状況を可視化する。またAIが分析したおすすめプランを、お客様へパーソナライズド動画でお届けする機能も備えている。経営者向けメニューとして、営業成績・指標分析なども用意している。『MS1 Brain』はお客様本位の営業を展開するために開発を進めてきたものであり、個人の経験や知見に頼ることなく高品質のサービス提供が可能だ。

もう1つのDXの領域がRPAで、当社でも様々な事務作業で活用している。事例として、自然災害時の保険金支払い登録業務がある。2019年度には台風15号で70,754件、台風19号で57,210件の受付件数があった。大量の入力業務をRPAが代替し、業務効率化を実現した。

DIの領域の事例としては、まず『Built-in Connect』がある。保険申込から保険金支払いまでスマートフォンで完結し、フルデジタル化された新しいサービスだ。実際の事例は『ヤフオク!修理保険』であり、落札された商品の保険として販売されている。

DI領域でのもう1つの事例が『RisTech』で、当社とお客様がそれぞれ保有するデータ、外部の統計データを掛け合わせて分析し、お客様の経営課題や社会課題の解決に結びつける取り組みだ。またオープンイノベーション推進として、先進的なスタートアップと協業し、新たなビジネスモデルを創造している。協業事例として、東大発のベンチャーであるArithmer社と、ドローンとAIを活用した水災損害調査がある。

DGに関しては、東京・シリコンバレー・シンガポールでネットワークを構築。ご紹介したような国内での取り組みをアジアでも展開していくのが当社のDGの基本的な体制だ。取り組み事例として、シンガポール初となる完全オンライン専業銀行の免許獲得を目指すコンソーシアムに、日本の保険会社として唯一参画している。アジアで得たノウハウを日本に持ち帰り、日本で開発したソリューションをアジアで展開する流れだ。

デジタル人材育成の領域では、東洋大学の情報連携学部と提携して専用のプログラムを作った。当社のリアルデータを活用しながら、プログラミングやビジネスモデルの構築に取り組んでいる。今年度は、IoTデバイスやドローンなどの機器を使い、どのようなデータを収集できるか体験できる新たなプログラムも用意する予定だ。今後は社内でデジタル学習ツールの導入も予定している。パーソナライズドされた動画を配信し、社員が自分のレベルに応じて、24時間好きなときに自己学習できるツールだ。