- 山口フィナンシャルグループが進める攻めのデータ活用
- データから有効な打ち手を見つける「キーエンス流データ活用術」
~金融機関での活用事例~ - データを顧客中心のサービス改善に活かす
~金融業界でデジタルを起点にCX(顧客体験)向上のためにできること~ - デジタル時代における金融業界のデータ利活用
~ビッグデータの力を最大限に活かすための分析プラットフォーム~ - 【経営企画/営業推進必見!!】
収益力向上/業務効率化を実現するデータとAI活用ソリューション - 住信SBIネット銀行におけるネオバンク事業とデータ利活用について
山口フィナンシャルグループが進める攻めのデータ活用
- 基調講演
【講演者】
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株式会社山口フィナンシャルグループ
IT統括部
副部長高田 敏也 氏
山口フィナンシャルグループは、広島・山口・福岡の県境を越えたエリアに3つの銀行グランドを持つ金融グループである。様々な金融サービスを的確なタイミングで提供し、地域とともに成長していくことを目指している。
成長の柱にデータ活用を据え、まず社内のデジタルトランスフォーメーションに着手したが、二つの課題に直面した。一つ目は、社内コミュニケーション基盤の弱さ。これはMicrosoftのOffice365を導入して解決した。二つ目は、情報のサイロ化。グループ3銀行がそれぞれシステムを保有し、データが散在していた。また、業務部門の担当者が自らデータを分析し、レポートを作成・共有する共通の基盤がなかった。こうした背景から、統合データベースを構築した。
システムの概要を紹介する。サイロ化したデータを統合し一元管理するシステムとして、テキスト、画像、音声、動画などの各種データを未加工のまま蓄積するデータレイクを採用した。主な目的が自由分析のためデータレイクで構築したが、活用しやすいよう殆どのデータには予め構造を定義している。加えて、利用方法が明確なデータは、分解・整理して目的別テーブルを作成している。
システムの構築は、「迅速性」、「柔軟性・拡張性」、「信頼性・セキュリティ」の観点から、パブリッククラウドであるMicrosoft Azure上にPaaSで行った。パブリッククラウドの安全性は高いが、万全の対策として、インターネットとの完全分離、自社による暗号化キーの指定、3段階のアクセス権設定等も行っている。
続いて、具体的な活用方法を紹介する。
第一に、パーソナライズマーケティングについて。第一ステップは、データ分析に基づくファイナンスの進化。ターゲット選定を、従来の残高ベースではなく、統合データベースから抽出した預金の入出金明細等を分析して行う方法にした。また、その後の取引状況・成果をフィードバックし、ターゲティングのPDCAサイクルを実現した。第二ステップは、顧客との非対面コミュニケーションの進化。ターゲットのセグメントを絞った上でマスリテール層にリーチし、顧客の反応を計測。また、顧客に向けて、ニーズに応じたおすすめ情報をアプリ等で通知している。
第二に、経営資源管理のデジタル化について。経営指標を顧客単位で分析できるよう構築。加えて、グループ3銀行の顧客の名寄せを実施し、収益管理用の目的別テーブルと、個社別収益を積み上げたデータを整理。過去データの時系列分析も可能であり、社員全員による共通のデータ活用が実現した。
第三に、現在構築中のBtoBマーケティングについて。主に法人顧客のトランザクションデータを詳細に分析し、商流の把握、信用変化などの予兆管理、ニーズ把握などを基に事業性評価を行う。ビジネスマッチング分野への応用も視野に入れて検討中だ。
この他にも、GPSによる営業担当者の行動評価など、統合データベースを活用した様々な施策に取り組んでいる。
今後は、現在の人力での予測分析から、マシンラーニング・AIを活用したデータの予測やモデル構築の段階に進めていく。中長期的な構想としては、当社が主導して地域データプラットフォームを構築し、地域の情報データを流通させるビジネスモデルを目指している。
更に、蓄積した技術やノウハウをベースに、地域の顧客や企業に対しソリューションを提供していきたい。例えば、当社が構築した統合データベースをそのまま提供する「統合データ構築ソリューション」。Azure資源の販売から基盤構築、Power BIによるビジュアル化まで一気通貫で支援する。他にも、データ活用やWebマーケティングの支援が可能だ。興味のある方は、ぜひお声掛けいただきたい。
データから有効な打ち手を見つける
「キーエンス流データ活用術」
~金融機関での活用事例~
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【講演者】
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株式会社キーエンス
データアナリティクス事業グループ峯尾 翔太 氏
キーエンスは1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値商品を通じて、生産現場の「生産性・品質向上」に貢献してきた。自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において25万社以上のお客様にお取引いただいている。また、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では46カ国220拠点で事業を展開している。
キーエンスは、今まで世の中になかった価値を生み出し続けること、「付加価値の創造」によって社会へ貢献するという考えのもと事業活動に取り組んでいる。おかげさまで、さまざまな業界のお客様に商品をご採用いただき、過去25年間、平均10%を超える成長を遂げることができた。新商品の約7割は世界初、もしくは業界初で、Forbes社の“世界で最も革新的な企業TOP100”には8年連続でランクインしている。
さて、このようなキーエンスのデータ活用の歩みについて説明する。現在、企業では様々なデータを保有している。例えば営業やマーケティングの現場には、お客様のマスターデータや売上データに加え、ウェブサイトのアクセスログや過去の販売施策のデータ、営業活動の記録など多くのデータがある。これらを企業のビジネス課題の解決や改善に上手く使用できれば、より精度の高い意思決定や施策につながることが期待できる。一方で、データを有効に活用し、具体的な施策やアクションにつなげられている企業は多くない。キーエンスでは従来から、企業活動をデータで科学的にとらえ、合理的な判断をおこなうことを心掛けてきた。しかし、データの質や量が増えるにつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。ビジネス部門のユーザーが、データを用いてより良い施策につなげていくにはどうすればよいか。社内での活用を通じ、見えてきたのは、仮説を多く作り出し、ビジネス課題との関係性を明示すること。そうすることによって、実際の施策がデータから見つかるようになった。そして、そんなキーエンス社内での活用経験を元に、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるソフトウェア「KI」を自社開発した。現在はKIを外部にも提供し、幅広い業界・業種の企業に活用いただいている。
続いて、金融におけるデータ活用について説明する。仮に、金融商品の重点営業先を決める時に、預金額一千万円以上を基準にするとする。しかし、一千万円を目安に預金を分散している人が約8割いるため、この基準では多くの優良顧客を取りこぼす懸念がある。隠れた優良顧客を見つけるためには、例えば証券会社との取引履歴から資産運用している可能性を探る方法や、一定額以上の給与振込などが手掛かりになる。こうしたデータは、実際に金融機関において活用されている一方で、課題もある。データが散在していて、事業部とシステム部門の間のやり取りに時間やコストがかかること。そして、現場部門では表やグラフの解釈が難しいこと。こうした課題に対処するため、野村證券様やみずほ銀行様など、多くの金融機関にKIを活用いただいている。KIは、人では思いつくことが困難な切り口を、機械学習を使って無数に自動生成し、効果の高い順に提示する。更に、施策の改善効果をシミュレーションできる。これを踏まえ、費用対効果がある施策かを検討することが可能だ。
金融でのデータ活用で重要なのは、まず、データを活用して優良顧客を見つけ出すこと。もう一つは、現場部門自らがデータを活用して施策を実施すること。こうした状態を実現することを、当社は提案する。
株式会社キーエンス:https://www.keyence.co.jp/ki
データを顧客中心のサービス改善に活かす
~金融業界でデジタルを起点にCX(顧客体験)向上のためにできること~
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【講演者】
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株式会社プレイド
Business accelerator金田 拓也 氏
本文プレイドは2011年に創業し、主なプロダクトとしてCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供している。加えて、CXがいかに事業収益に寄与するかの啓発活動にも取り組んでいる。
そもそもCXとは何か。CXは、商品やサービスの物理的な価値だけではなく、サービスの利用前後を含むあらゆる接点において顧客の「満足感」「喜び」といった感情や体験の価値を重視する考え方だ。優れたCXを実現するためには、顧客一人ひとりを正しく理解した上で、何を提供するべきか顧客目線で突き詰めて取り組む必要がある。
顧客の行動を二つの目線に分けて見てみよう。
まず、サービス提供側の目線。自社のWebサイトへの顧客の来訪、口座開設、取引開始といった流れは、部署ごと
に分断されがちだ。しかし、顧客にとっては、すべて連続した行動である。各段階のデータを「人(顧客)」を主語にして蓄積し、一つのデータとして捉える必要がある。これにより、担当者間や部門間で連携し、顧客に適切なアクションを行うことができる。
次に、顧客側の目線。こちらには、オフラインの動きも入ってくる。顧客はオンラインで情報収集をしてサービスを理解し、必要に応じてリアルの店舗を訪問する。あらゆる顧客接点における体験の向上を意識し、サービスの濃度を上げることが重要だ。
これまでは、困りごとがある顧客への対応は対面が主であった。しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、そもそも人に会う機会が減少している。こうした中、劇的に重要性が増しているのがオンラインでの接客だ。例えば、困っていそうな行動をしている顧客にのみチャットを表示することで、限られた人員で対応でき、顧客も自然と相談できる。後から店舗で接客を行う場合も、蓄積した顧客ごとのデータを予め分析することで、短時間でも濃密なサー
ビスの提供が可能となる。
小売業界では、以前から店舗の価値を見直す動きがあった。店舗・ECの相互送客の関係を改め、店舗・ECが同様に顧客と向き合い、ECでの接客をリアル店舗と同程度に高めることを追求している。今後、金融業界でも同様の動
きが考えられる中、必要なのは、リアル店舗、そしてオンライン上も含め、顧客一人ひとりの状態を知ることである。
当社が提供するKARTEは、あらゆるデータを顧客軸でリアルタイムに解析・可視化し、あらゆる接点で活用するサービスだ。顧客がいつ・どこから自社のWebサイトに流入したのかといった情報から、顧客の目的が透けて見えてくる。データを可視化した上で、Webサイトの中の書き換え、ポップアップやバナーの表示、アプリのプッシュ通知などの顧客へのアクションを実現できる。結果の分析までKARTEでワンストップでできるので、PDCAのサイクルを高速で回すことができる。
金融機関におけるKARTEの活用事例を紹介する。まず、申込フォームでのサポート文言のポップアップ表示。申込手続きの途中で「いつでも変更できます」と案内を表示した事例では、フォームの通過率が向上した。次に、挫折ポイントごとのゴール設定。証券会社の口座開設後になかなか入金しないといったユーザーに対し、次のアクションを促すポップアップを表示している。そして、休眠ユーザーの掘り起こし。最近の取引が少ないユーザーに対し、優待銘柄などお得
情報をログイン時などに訴求している。
今後は、顧客との一つひとつの接点において、文脈を合わせてコミュニケーションを取ることが重要な時代になると考える。その源泉は、顧客を人として捉え、今の気持ちに寄り沿ったサポートを行うこと。そのために、皆様が今後どのように事業展開し、CXを突き詰めていくか。検討の段階から、ぜひ当社にお声掛けいただけたら幸いである。
株式会社プレイド:https://plaid.co.jp
デジタル時代における金融業界のデータ利活用
~ビッグデータの力を最大限に活かすための分析プラットフォーム~
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【講演者】
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株式会社セールスフォース・ドットコム Tableau Software
Regional Vice President, Sales福島 隆文 氏
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【講演者】
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株式会社セールスフォース・ドットコム Tableau Software
Lead Solution Engineer武部 祐紀 氏
「Tableau」は、ビッグデータに対応した分析プラットホームである。特徴は、直観的なマウスの操作で簡単にデータを可視化することだ。部門・業務内容を問わず、データの集計及び分析業務を改革できる。
Tableau Softwareを含むSalesforceでは、「Customer360」というストラテジーも展開している。Customer360は、「人」を中心に捉え、その人物に関する情報を総合的に集約・分析するツールだ。Customer360(ビジネスプロセス
支援)とTableau(データ分析)の両輪により、BtoB、BtoCの両分野において、あらゆるビジネス領域におけるデータ利活用を支援している。
ビッグデータの利活用がどれだけのインパクトをもたらすか。株式会社NTTドコモの事例を紹介する。以前は、データの抽出やレポート作成といった分析前の作業や、紙のレポートを使った打合せ・合意形成に長時間を費やしていたが、データウェアハウスを一新するとともに、Tableauを導入。レポートは自動作成され、Tableauのダッシュボードで確認しながら打合せを行うことで、データ分析からアクションまでのプロセスを迅速化した。加えて、リモートでの対応も可能となり、本社の働き方改革も実現した。
金融業界におけるデータ活用の障害は、概ね次の3要素に集約される。
第一に、アクセス権や利用スキルが一部の人に限定されていること。また、顧客行動の変化をデータで捉えられず、得られる結果に自信がないこと。
第二に、利用するデータの範囲は、同種のデータばかりダウンロードし、データ分析もルーチン・ワークに止まること。また、データにリモートでアクセスできないこと。
第三に、ビジネス課題の解決に最適なツールをビジネス部門で利用したくても、適切な支援が得られず、独学に頼らざるを得ないこと。仮に他部門での利用があっても、自力では見つけにくいこと。
このような問題が今般のCOVID-19対応で改めて露呈した。一つずつ確実に解決していくことが唯一の道と言える。
一方で、海外ではデータ利活用を積極的に行う企業が続々と登場している。事例を2つ紹介する。
まず、Progressive社。自動車保険を取り扱う損害保険会社である同社は、Tableauによる迅速なビッグデータ分析を基に、最適な保険プランを提案。顧客満足度が飛躍的に向上し、離反顧客が激減した。
次に、Visa社。世界中に加盟店を持つ同社では、データの準備作業に多くの時間がかかることや、ビジネス部門の能力を活かしきれないことが課題であった。Tableauの導入により、レポートの自動更新が可能となり、数億・数千万行のデータに直接集計をかけられるようになった。また、ビジネス部門のユーザー自身による専門性を活かした分析が可能となった。
これらの先進企業は、ビジネスのPDCAの流れにデータ利活用を埋め込み、検証を続けることで、様々な効率化、コスト削減、収益増を実現している。
COVID-19と同様の危機は今後も発生する可能性が高く、過去の経験や勘が益々通用しづらくなる。ビジネスの断続を防ぐためには、ビッグデータの利活用が不可欠だ。ポイントは、リモートから分析環境へアクセスできること、集計処理は不要で分析から入れること、分析結果を容易にシェアできることである。
データ利活用を着実に組織に浸透させるためのフレームワークとして、「Tableau Blueprint」を2019年にリリースした。世界各国・延べ数千社の取組から収集したノウハウとアイデアを、「戦略(計画)や体制」「システム」「人」「文化」という4つの観点で体系的にまとめている。
ぜひ、皆様が保有する、また、これから保有していくビッグデータを最大限に活かして、ビジネスを伸ばしていただきたい。
株式会社セールスフォース・ドットコム Tableau Software:https://www.tableau.com/ja-jp
【経営企画/営業推進必見!!】
収益力向上/業務効率化を実現するデータとAI活用ソリューション
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【講演者】
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ウイングアーク1st株式会社
Cloud事業部 金融ソリューション開発部
担当部長加茂 正孝 氏
ウイングアーク1st株式会社は、大きく2つの事業を展開している。ソフトウェア基盤事業のうち帳票基盤ソリューション「SVF」は、国内シェアの約7割を占め、金融業界でも多くの導入実績がある。データエンパワーメント事業では、本日紹介する「MotionBoard」など各種BIツールを提供しており、開発から販売まで自社でおこなう、国産のソフトウェア専業メーカーである。
業務効率化を叶えるBIダッシュボード「MotionBoard」は、株式会社りそな銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社あおぞら銀行などで導入・活用されており、今回はその特徴についてご紹介する。
まず一つ目として、SalesforceやExcelなど複数のデータソースを連携し、まとめてダッシュボードで集計が行える。また、ExcelやPower Pointのデータを自動生成し、報告書等の帳票を自動出力する機能もある。これらの自動化により、データ収集や帳票作成の時間をゼロにできる。二つ目は、可視化・分析として、多彩な表現のグラフや集計表の作成が可能である。加えて、実践的な各種ユニーク機能もあり、例えば「地図機能」では、データに住所や緯度・経度の情報がある場合、地図へのプロットが可能で
あり、動的・視覚的に分析できる。
MotionBoardでは、金融業界に特化した各種テンプレートを用意している。
まずは業務テンプレートについてご紹介する。第一に、業績管理として預かり資産管理テンプレートを使用することで、点在する複数のデータソースを一画面で表示することが可能であり、複合的なグラフや過去データとの比較表現により、現状把握や今期の着地点の予測ができる。この他に、主に経営者や本部管理向けの予実管理テンプレートもある。進捗が遅れている項目を視覚的に発見でき、早期解決が可能となる。第二に、リテールスクリーニングとして勘定系など複数のマスターデータの結合が可能である。自
由検索に加え、項目の加筆・修正も容易に行えるため、検索結果を出力して営業先リスト等を作成できる。顧客の様々な情報を結合すると、より詳細な顧客分析も可能となる。第三に、マネーフォワードなどの家計簿アプリとAPI 連携している金融機関を対象に、顧客が登録した他行等の残高を把握できる。入出金明細は自動でカテゴライズされ、項目別の収支状況も把握可能だ。第四に、事務評価・リスク発見テンプレートとして、本社の各部が行っている事務評価データをリアルタイムに一覧で表示が可能である。
例えば、評価のランキングを基に営業店を表彰、または事務ミスの状況を把握して早期の対策が可能である。第五に、従業員活動分析として、営業店や本部のチームスキルを可視化し、人事異動時のスキル過不足をシミュレートすることができる。これにより支店/担当者単位で不足スキルを計画的に育成することができ、項目軸を獲得実績に変えることでセールススキルの可視化に応用することも可能である。攻/守スキルの可視化は人事評価に流用することも可能である。
続いて、AI in BIテンプレートについて、利用例を2つご紹介する。第一に、投資信託の購入予測である。株式会社新生銀行が出資するセカンドサイト株式会社のAI分析製品と連携し、見込み先を発掘する。過去購入者のデータをAIに学習させ、未購入者について価格ごとの購入確率を予測。予測理由はデータ項目影響度として明示されるため、生命保険やローンの可否判断などにも応用可能である。第二に、テキスト分析である。Google CloudのNatural Language APIと連携を行い、前後の文脈から重要単語をAIが選定する。例えば、特定の業種における重要単語を顧客との交渉記録から調査し、関連情報を調べて次回営業時の会話に使うといった活用ができる。
MotionBoardのテンプレートは、導入後に自由にカスタマイズ可能である。当社では、BIツールなどのソフトウェア提供だけでなく、活用定着化に向けたサービスも展開している。短期間での複数ボード構築などの相談も承っているので、ぜひ気軽にお声かけいただきたい。
ウイングアーク1st株式会社:https://www.wingarc.com/
住信SBIネット銀行におけるネオバンク事業とデータ利活用について
- 特別講演
【講演者】
- 直海 知之 氏
執行役員 ネオバンク事業部長
Dayta Consulting株式会社 代表取締役社長
住信SBIネット銀行株式会社は、2007年に開業したインターネット専業銀行である。口座数・預金残高は順調に伸び続けており、インターネット専業銀行における預金残高は№1だ。
「API」 「モバイル」「クラウド」「AI/ビッグデータ」、そして「ブロックチェーン」。こうした金融におけるテクノロジーのトレンドを捉えながら、当社は数多くのAPIを開放してきた。また、邦銀初のモバイルセキュリティ認証を実現。オンライン口座開設サービスを2019年7月に開始した。更に、邦銀初の法人向けレコメンド型融資サービスを2018年8月に開始。予め入出金の動き等を把握して、借入可能額や借入金利をオファーする仕組みだ。特に中小企業の手間を減らすため、AIを活用してオンライン化を進めている。
現在、Fintechの先のサービスとして、ネオバンク事業を推進している。顧客が必要とするのは、銀行自体ではなくバンキングの機能だ。金融のアンバンドリング化が加速する中、今後、異業種での金融のリバンドリングが進むことは必然である。
銀行の機能を開放しただけでは異業種における活用は難しい。当社のネオバンク事業では、銀行の主要な機能だけでなく、事務的な機能も含めて一体的に銀行インフラを提供している。当社インフラの活用により、企業は銀行ビジネスに参入し、自社をネオバンク化することができる。
ネオバンク事業の第一弾は、日本航空株式会社との取組みだ。同社と共同で設立した合弁会社を介して決済機能を提供し、プリペイドカード事業を2018年11月に開始した。2020年4月には、JALマイレージバンク会員向け銀行サービス「JAL NEOBANK」を
開始。足元で口座数は順調に伸びている。顧客は、銀行と接点がなくても、普段接しているブランドの銀行サービスには興味を持つことを実感している。
他方、AIを使ったデータ利活用も進めている。株式会社日立製作所との合弁会社としてDayta Consulting株式会社(以下「DC社」という。)を2019年5月に設立。同年10月から、金融機関に対し、日立製作所の人工知能と当社のデータハンドリング技術・ノウハウを組み合わせたAI審査サービスを提供している。現在は住宅ローンが対象で、今後、法人向けのトランザクションレンディングなどに拡充する方針だ。
AIの活用に当たっては、シグナルノイズ学習により過学習を抑制し、予測根拠提示によりブラックボックスを解消。また、AIは多様なデータの学習によって予測精度が高まるため、地域銀行と協力し、コンソーシアム型(集団参加型)で審査モデルを構築している。このAI審査モデルの主な導入メリットは、顧客ごとの信用リスクのシャープな計測、及び、工数の削減による審査時間の短縮であるが、そのためには多岐に渡る検討とノウハウが必要だ。DC社及び当社では、審査システム全般に関するコンサルティングも実施している。
データの量が価値を生み、データの多様性が意味のある分析を可能にする。当社が目指すのは、ネオバンクによるデータ収集にAIの分析を掛け合わせて、新サービスの創造と顧客利便性の拡大を実現することだ。そのために、ネオバンク基盤を外部に開放し、業界横断的なデータ蓄積を進めている。異業種の事業者に加え、今後は他の金融機関にも開放する予定である。
今後、銀行の優位性・差別化の維持は困難になるだろう。グローバルでも金融事業の垂直統合化の動きは顕著であり、銀行が力を合わせて対抗すべきだ。当社及びDC社は、自社の知見とノウハウをオープン化することでアライアンスを推進し、パートナー企業
を通じた顧客利便性の追求と、パートナー企業の価値増大に努めていく。