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FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティングの高度化<アフターレポート>

2020年7月9日(木)、セミナーインフォ主催 「FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティングの高度化」が開催された。2020年以降、5G技術の普及により顧客のニーズや消費行動はさらに多様化していくと考えられる。金融業界においては持続可能な経営、収益力の向上、デジタル化への対応が引き続き求められ、AI/Iot・ビッグデータなどを活用し、最適な戦略を策定していくことが重要となる。本フォーラムでは、みずほ銀行とソフトバンクによる金融マーケティングの最新事例をご紹介いただいた。その他先進企業各社による講演を通じて、金融機関各社のデジタルマーケティングの取り組みの一助となれば幸いである。

FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティングの高度化<アフターレポート>
  1. みずほ銀行におけるマーケティング戦略・施策の今
  2. ポストコロナ時代の金融デジタル戦略とは?
    ~AI×データ活用事例から考える~
  3. 金融デジタルマーケティング 次の一手
    〜データ価値を最大化する方法~
  4. プライバシー規制に準拠した顧客起点のデジタルマーケティング
  5. データから有効な打ち手を見つける「キーエンス流データ活用術」
    ~金融機関での活用事例~
  6. 金融業界における次世代のデータ活用マーケティング

みずほ銀行における
マーケティング戦略・施策の今

竹村 未和
基調講演
【講演者】
株式会社みずほ銀行
個人マーケティング推進部
次長
竹村 未和 氏
角田 卓也
基調講演
【講演者】
個人マーケティング推進部
調査役
角田 卓也 氏

みずほ銀行では、マーケティング戦略は経営戦略の実現手段と位置付け、マーケティング「戦略」「施策企画」「業務プロセス」「人材」「組織体制」「インフラ」の6要素を相互に連関させつつ成立させるという思考でマーケティング活動を実践。本日は主に「施策企画」についてご紹介する。

現在当行では、経営戦略テーマ「人生100年時代のライフデザインパートナー」の下、資産形成コンサルティングや店舗とデジタルチャネルとの融合を強化している。数年前は、お客様に金融イベントが発生した際にコミュニケーションを行うEBM手法(※)とその施策中心の活動だったが、直近の前述経営戦略の下では、行動の結果をキックにコミュニケーションする施策だけでなく、行動自体を促す施策が必要だ。現在はEBM手法より幅広い領域をカバー可能な手法で施策の企画を行っている。

どのような施策構築手法をとるべきかについては、「金融関連行動の結果を捉えられれば良いのか、それとも別の情報から先読みをしたいのか」という軸と、「成約の効率性を重視したいのか、行動自体を促したい(ニーズを喚起・誘導したい)のか」という軸を組み合わせて整理している。

以前は金融関連行動の結果を捉え、成約の効率性を重視していたため、EBM手法と施策に注力していたが、直近は経営戦略の変化とともにお客様の行動を促すニーズ喚起・誘導施策に注力するようになった。

ここからはオウンドメディアを活用したニーズ喚起・誘導施策について説明する。先ほど触れた経営戦略から、「貯蓄から資産形成」というミッションがあり、資産形成ニーズを顕在化し、資産形成を促進する施策について検討することになった。

まず前半の段階でお客様が将来・夢を考え、資産形成への気づきを得る。資産形成の必要性というニーズを顕在化したところで、みずほ銀行WEBサイトや支店に誘導し訪問いただく。当行との接点を持った後は、商品までの導線の改善、商品案内の充実により成約や成約後のアフターフォローをサポート。前半では情報メディアサイトを活用したコンテンツマーケティングを活用。後半では、みずほ銀行WEBサイトの商品案内・成約までの導線改善施策を行う。

ニーズ喚起・誘導施策におけるコンテンツとデジタルコミュニケーション基盤として『未来想像WEBマガジン』を立ち上げた。未来を考え、自分ごと化し、お客様自身で未来を想像していただくためのメディアだ。SNSやメルマガでのコミュニケーションも実施している。

お客様の状況にあわせたコンテンツ設計とお客様コミュニケーションをとるために、ファネル定義を行いお客様状態が把握できるようにしている。お客様の状態を資産形成の潜在層から成約までで7分類し(例えばみずほ銀行と接点を持った状態のSuper Hotが7段階中の5段階目にあたる)、の状態にマッチするコミュニケーションチャネル・コンテンツ展開をマッピングし、お客様の動きを作る。『未来想像WEBマガジン』は1段階目のSuper Coldから3・4段階目のWarm・Hotまでが対応領域であり、メールマガジンやシナリオメールも併用し、資産形成に対するニーズを顕在化する。Warm・Hot以降はみずほ銀行WEBサイトにて、金融系コンテンツやWeb予約で対応し、最終的には来店・相談、成約へと至る。各段階からステップアップするためには、態度を変える気づきを得てもらうことが重要だ。

お客様状態把握のため、MAツールやWeb接客ツール等を活用。MAでは状態把握と定量的な施策評価を行う。サイト閲覧のPV回数、メール開封有無等の行動から各層を定義、層別の人数分布や数値の動きを捉える。Web接客ツールはリアルタイムのお客様状態把握と誘導に活用する。

今後『未来想像WEBマガジン』はユーザー共想型のWEBプラットフォーム化を考えており、お客様と共にコンテンツを作り上げる予定だ。

※EBM手法:イベントベースドマーケティング手法

ポストコロナ時代の金融デジタル戦略とは?

~AI×データ活用事例から考える~

髙橋 悠人
【講演者】
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ
取締役
髙橋 悠人 氏

データから紐解く新型コロナによる影響として、まず日本・アメリカともに2020年1月から3月における増益者数の比率が減少した。しかしアメリカのほうが下落度合いは小さい。この裏側には、GAFAをはじめとしたIT企業の存在がある。DX対応が進んでいる企業はコロナ耐性が強い。

オンライン行動では54%以上の人に閲覧するコンテンツの種類に変化があり、69%の人はコロナウィルス関連のニュースやコンテンツを積極的に検索・閲覧している。さらに、普段よりニュースサイトを閲覧している時間が増えた人は71%以上だ。

年代別に利用コンテンツの種類を見ると、18~34歳だけでなく、50歳以上でもeコマースの利用が増加している。若年層はスマートフォンからのネット利用が主流とされていたが、PCからのネット利用時間が増えたのも特徴だ。

Web広告では出稿単価がダウントレンドとなっているが、口座開設・キャッシングなど金融系検索ニーズは横ばい、もしくは上がっている状況だ。ここで広告出稿を弱めることは機会損失につながるのではないかという見方もできる。しかし一方でユーザーは、新型コロナウィルス関連のコンテンツに銀行/ファイナンス/保険カテゴリーの広告が表示されることをネガティブに捉える傾向も見られるので、より適切な場所で広告を表示させる必要がある。SNSに関しては利用時間が増えたユーザーが3割であり、その中で6割が企業のイメージが変わったと回答した。プロモーションについて、自粛をすべきと回答した層は6%にとどまり、大多数は肯定的な考えだ。

このように、デジタルを介した消費者の興味関心や検討行動には明白な変化が起きている。プロモーション自体がネガティブなのではなく、よりユーザーを理解したコミュニケーションが求められている。固定概念を捨て、スピード感をもって戦略を打てるかが重要だ。

ここから、ポストコロナ時代のデジタル戦略として、SEMと顧客体験・(CX)のパーソナライズの2点についてお話しする。まずSEMに関して、新型コロナの流行以降、検索されるキーワードが時系列で変化が見られる。SEMで今後、検索キーワードがさらに重要性を増すだろう。

検索キーワードは消費者の心理に大きく影響を受けるため、興味関心に合わせた配信が重要だ。しかし、検索ワードと表示結果内容が一致していないことがあり、改善が求められる。検索ボリュームは増えているのに、広告が表示される割合が減っている現象も見られる。

また、デバイスと時間帯を考慮した広告表示も重要だ。例えば通勤時間となる朝はスマートフォンでの出稿を中心に、在宅勤務が多い日中はPCを中心にといった方向性が考えられる。とあるお客様の事例でも、時間帯と曜日を掛け合わせて分析すると、広告出稿が効果的な箇所とそうでない箇所が見られる。人力では、このようなデータ分析も最適化もなかなか追いつかないため、DX推進にAIを活用するのが望ましい。

ポストコロナの注目キーワードはニューノーマル、新生活様式である。ECサイトを積極的に活用する行動形式に移行していることはデータから明らかだ。顧客体験(CX)もそれに合わせて最適化しなければならない。

最適化で当社が注目しているのがパーソナライズだ。Adobe、Amazonなど、海外を中心にパーソナライズの取り組みが増加している。

今までのWebサイトはあらかじめユーザー像やシナリオを設定して作成するのに対し、パーソナライズされたWebサイトは消費者の分析やシナリオの設計まで、AIを活用したきめ細やかなカスタマイズが可能なのが特徴だ。

当社では具体的なソリューションとして『dynamic yield』の導入を推進しており、世界の全300社以上で利用されている実績がある。

講演企業情報
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ:https://www.ad-flex.com/

金融デジタルマーケティング 次の一手

〜データ価値を最大化する方法~

関口 朋宏
【講演者】
株式会社ブレインパッド
取締役
ビジネス統括本部長
関口 朋宏 氏

ブレインパッドはデータ活用・分析を専門とし、データを活用して会社を変革したい企業様を支援する、2004年創業のリーディングカンパニーだ。DX推進パートナーとして3事業を展開し、200社以上の企業に当社のサービスをご利用いただいている。

インターネットによって購買行動が変化していることは周知のとおりで、Google様が研究している考え方に、ZMOT(Zero Moment of Truth)がある。顧客はすでに買いたいものを決めていて、事前の情報収集が購買行動を左右するということだ。金融商品はZMOTの影響が特に大きい。消費者は金融商品に関して、営業との会話、体験談や比較記事などを求める傾向が強いからだ。

デジタルマーケティングとは、顧客行動データをかき集め、分析を駆使して施策を考え、オンラインチャネルで実行することだ。昨今では特に、配信ツールの話題がメインとなっている。しかし配信手段よりも顧客理解に重きをおくべきだ。 デジタルマーケティングでのKPIとしてCVRは高いことが推奨されるが、一方で購買目的でない顧客にとっては” 望ましくない”コンテンツになるリスクがある。またCPAが低いほうが購買意欲の買い顧客にリーチできているが、既存顧客ばかりで新規獲得効率は良くないともいえる。KPIはさまざまな解釈が可能なため、KPIの意味とその裏側を紐解くことが重要だ。金融機関は組織やデータ管理が縦割りであり、KPIを管理している部門もバラバラであることも課題だ。しかしこのようなサイロ化はあくまで企業側の論理であり、顧客にとって良いものは何かを考えながらKPIを管理する必要がある。

KPIの設定方法は、顧客の理想の動きに合わせるべきだ。顧客がどのような状態になるのが理想になるかを考えればKPIが自動的に決まる。

デジタルマーケティングの本来の狙いは、データを活用した意思決定によりパーソナライズされたチャネル別に最適なアクションを取り、顧客・消費者データをフィードバックすることだ。見るべきKPIは顧客育成フェーズで決まってくる。顧客獲得、顧客育成、顧客維持のそれぞれの段階で適切なKPIを見ることが重要となってくる。また施策の実行組織は分かれていても、データ収集と分析は組織の壁を越えて連携・統合すべきだ。

これまでデジタルはリアルの補完的な役割だったが、今後はデジタルがリアルを含有する時代となる。デジタルマーケティングの役割もシフトするだろう。具体的にはチャネルの顧客育成フェーズごとの役割分担だ。例えばリードナーチャリングはオンラインで行い、クロージングを営業・店舗で行う流れだ。

これはABM(Account Based Marketing)の考え方でもある。ABMはBtoB(法人営業)だけでなくBtoCでも充分活用できるだろう。ただしABMはリードの評価や絞り込みの段階でトラブルの発生が多い。原因はデータの断絶と情報不足だ。デジタルマーケティングツールやCRM、SFAなど各ツールが優秀でもそれぞれバラバラになると個別最適になってしまうのだ。 具体的な顧客の像を把握するには、コンテンツの内容を顧客の興味のデータに変換するエンジンが役立つ。自然言語処理をし、顧客が投資信託や保険などどの分野に興味があるかを明示し、顧客セグメントを分かりやすく立体的に区分できる。このような情報を提供することで、営業のクロージングにも役立つだろう。

ツール導入のその先は、統合力とデータの解釈力が必要だ。当社のデータマネジメントプラットフォームの『Rtoaster』は、データ収集~分析~施策実行をワンストップでできるように進化した。データ活用の阻害要因を排除するには、データ運用ルールの統制や共通コードの整備といったデータガバナンスも重要となる。日本にはCDO(Chief Data Officer)がほとんど存在しないが、今こそCDOが求められているといえる。

講演企業情報
株式会社ブレインパッド:https://www.brainpad.co.jp/

プライバシー規制に準拠した顧客起点のデジタルマーケティング

石垣 謙
【講演者】
Tealium Japan株式会社
シニアアカウントエグゼクティブ 
石垣 謙 氏
吉村 彩
【講演者】
ソリューションコンサルタント 
吉村 彩 氏

ティーリアムの顧客は海外1000社、国内50社以上に及ぶ。バークレイ様・ロイズバンク様といった大手の金融機関にも導入いただいている。G2Crowdという、ビジネスソフトウェアを実際の利用者が評価をするプラットフォームでは、当社のタグマネージャーとカスタマーデータハブが優良ベンダーであるとの評価をいただいている。

デジタルデータとマーケティングプラットフォームの広まりにより、皆様も様々なマーケティングツールを利用されているだろう。ティーリアムのカスタマーデータハブは、他社サービスとバッティングしない独自のポジションを築いており、各マーケティングツールのデータをつなぐ役割を担う。PC、スマホ等のブラウザ、アプリデータ等様々な接点からデータ収集し、1人のユーザプロファイルデータとして統合、マーケティングツールのハブとなり、様々なツールと連携をしてマルチチャネルで活用可能となる。

カスタマーデータハブでは顧客の同意取得、同意内容の管理、同意に基づく施策実行管理を一元的に行うことも可能だ。ここで重要なのがクッキーで、サイトを訪問したブラウザのデータを記録するための仕組みだ。クッキーはアクセス解析・広告のターゲティング・ユーザー体験の向上等様々なシーンで利用される。

しかし消費者の個人情報に対する危機感の高まりに伴い、クッキー等のデータ規制が世界的に強化される潮流であり、企業活動と個人のデータ保護のバランスが求められる時代になっている。

日本でも、某社のデータ販売問題を機に2020年6月に改定個人情報保護法が成立。クッキーの第三者提供や同意取得、同意管理等に関して厳格に問われていくことになるだろう。

ティーリアムのカスタマーデータハブではウェブやモバイルからユーザーの同意の取得だけでなく、各ツールへ連携してガバナンスを強化するところまでを一元的に実行できる。広告へのデータ活用やパーソナライゼーション等にユーザーが同意を示せば、その部分についてはデータが利用可能になる。逆に非同意を提示された項目はデータ活用ができなくなるが、ティーリアムで一元的に状況の管理が可能だ。この同意管理機能は海外では2年前のGDPR対策の流れで普及が進んでおり、ロイズバンク様・HSBC銀行様・ルフトハンザ様等で導入されている。

商品のキャンペーンを実施する際、銀行を例にあげると、年齢、残高、取引有無、Web行動等の条件を元にSQLを使ってターゲットセグメントを抽出する流れになる。このセグメント、リスト抽出した対象者に対して、同一内容を同一タイミングで実施するのが一般的だ。それに対してティーリアムでは、顧客1人1人の行動に基づいてバッジ(ワッペン)をリアルタイムに付与しプロファイルを行う。Webの行動に基づくため、顧客ごとに関心のある領域のバッジが付いたり外れたりする。

某銀行様では、ティーリアムを活用したアウトバンドコールを実施。無担保ローンでのWebサイト離脱後に、時間帯を分けてアウトバンドコールを行った。結果として、離脱後から早いタイミングでコールしたほうが契約獲得に寄与すると判明した。

また、あるカード会社様では、顧客起点のライフイベントを捉えたマーケティングにティーリアムを活用。匿名状態からユーザー属性情報を取得し、明確なユーザー像を構築。結果、効果の高いOne to Oneマーケティングの実行が可能となった。

デジタル広告予算の最適化について、ティーリアムでは媒体を横断した配信先を制御できる。抑制条件に該当したユーザーをリアルタイムに除外することで、広告の無駄打ちの抑制につながる。

ティーリアムは、顧客中心に考えられたプラットフォームであり、金融企業様の顧客体験の課題解決となるソリューションの提供が可能だ。

講演企業情報
Tealium Japan株式会社:https://tealium.com/ja/

データから有効な打ち手を見つける
「キーエンス流データ活用術」
~金融機関での活用事例~

峯尾 翔太
【講演者】
株式会社キーエンス
データアナリティクス事業グループ
峯尾 翔太 氏

キーエンスは1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値商品を通じて、生産現場の「生産性・品質向上」に貢献してきた。自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において25万社以上のお客様にお取引いただいている。また、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では46カ国220拠点で事業を展開している。

 キーエンスは、今まで世の中になかった価値を生み出し続けること、「付加価値の創造」によって社会へ貢献するという考えのもと事業活動に取り組んでいる。おかげさまで、さまざまな業界のお客様に商品をご採用いただき、過去25年間、平均10%を超える成長を遂げることができた。新商品の約7割は世界初、もしくは業界初で、Forbes 社の“世界で最も革新的な企業TOP100”には8 年連続でランクインしている。

 さて、このようなキーエンスのデータ活用の歩みについて説明する。現在、企業では様々なデータを保有している。例えば営業やマーケティングの現場には、お客様のマスターデータや売上データに加え、ウェブサイトのアクセスログや過去の販売施策のデータ、営業活動の記録など多くのデータがある。これらを企業のビジネス課題の解決や改善に上手く使用できれば、より精度の高い意思決定や施策につながることが期待できる。一方で、データを有効に活用し、具体的な施策やアクションにつなげられている企業は多くない。キーエンスでは従来から、企業活動をデータで科学的にとらえ、合理的な判断をおこなうことを心掛けてきた。しかし、データの質や量が増えるにつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。ビジネス部門のユーザーが、データを用いてより良い施策につなげていくにはどうすればよいか。社内での活用を通じ、見えてきたのは、仮説を多く作り出し、ビジネス課題との関係性を明示すること。そうすることによって、実際の施策がデータから見つかるようになった。そして、そんなキーエンス社内での活用経験を元に、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるソフトウェア「KI」を自社開発した。現在はKIを外部にも提供し、幅広い業界の企業に活用されている。

 続いて、金融におけるデータ活用について説明する。まず、営業活動において、お客様理解の重要性が高いことを強調しておく。各種調査では、顧客が金融機関に求めることとして、法人の場合「貴社や事業に対する理解」、個人の場合「あなたに合った商品の提案」が、ともに上位にある。このように重要なお客様理解に対し、データ活用が有効だ。例えば、金融商品の重点営業先を決める時、預金額500万円以上を基準にするとする。しかし、当然該当者のなかには、投資に積極的な層と消極的な層が混在している。そのため、この基準では営業効率が落ちてしまう。投資に積極的な層を見つけるには、例えば運用商品履歴や入出金明細、ネットバンキングのログなどが手掛かりになる。こうしたデータは、実際に金融機関において活用されている一方で、課題もある。データの前処理に手間がかかること、手掛かりに関する仮説立案とその絞り込みが難しいことだ。こうした課題に対処するため、野村證券様やみずほ銀行様など、多くの金融機関にKIを活用いただいている。KIは、人では思いつくことが困難な切り口を、機械学習を使って無数に自動生成し、効果の高い順に提示する。更に、施策の改善効果をシミュレーションできる。これを踏まえ、隠れた優良顧客のリスト化などにつなげることが可能だ。

 データ活用によりお客様の理解を深め、より効率的な営業活動を展開することを、当社は提案する。

講演企業情報
株式会社キーエンス:https://www.keyence.co.jp/ki

金融業界における次世代のデータ活用マーケティング

藤平 大輔
特別講演
【講演者】
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
副本部長
藤平 大輔 氏
中川 太
特別講演
【講演者】
デジタルマーケティング事業第1統括部
ストラテジックプランニング室
室長
中川 太 氏

今年のキーワードの1つはキャッシュレス決済で、当社グループのPayPayは2,800万人超のユーザーを獲得した。今後に関して携帯キャリアであるソフトバンク、メディアであるYahoo! JAPANと合わせ、スマホを中心とした新たな金融会員基盤の確立を目指す。

もう1つのキーワードはやはり新型コロナで、関連する経営課題として例えば営業がある。日本企業ではこれまで対面営業が中心であったが、ウェビナーやオンライン営業などデジタル化が進んでいる。当初は戸惑った方もいたと思うが、現在はほぼ当たり前の行動になっているのではないだろうか。当社のトップと重要顧客の複数人がオンライン会議をするという、従来ではあり得なかった新しい取り組みも生まれている。

ここからは、次世代のマーケティングでどのような課題があるか、金融業界の課題とは何かについてお話しする。ネット広告費が大きく伸長して2019年にテレビ広告費を抜いた。一方でCCPAや改正個人情報保護法など法律や規制整備も加速し、データを活用する土壌が2023年に向けて整いつつある。

次世代に向けた課題として、金融業界の営業スタイルは対面型と非対面型で二分されるが、デジタル化・次世代スタイルへの変革はどちらも急務だ。

そのための課題が4つあり、まず金融業界でのマーケティングは静的データが主流であることが挙げられる。顧客のデモグラフィックデータは口座開設時のままの静的データであり、金融取引データだけでは現時点でのライフスタイルを反映しきれない。

次に、オンライン完結していないという点がある。消費者の決済行動はオフラインが中心で、金融での利用に関してはわずか2割しかない。データに残らず、AIによるマーケティング最適化が困難だ。

CPAを基準としたマーケティングに関して、金融商品では顕在ニーズの獲得に偏ってしまう傾向だ。突発的な資金ニーズによって初めて自分事化するので、顕在化したニーズの刈り取りに偏ってしまう。よってなかなか市場拡大が進みにくい状況である。

最後の課題はCookieに依存したマーケティングだ。世界的に見てもGDPR/CCPAといった法律改正、ITPによる規制強化の潮流があり、データへの向き合い方を大きく変える必要に迫られている。実際の事例として、アメリカでCOPPA(自動オンラインプライバシー保護法)が成立し、子ども向け動画のパーソナライズド広告が配信停止になった。この影響で数多くのユーチューバーが廃業に追い込まれることになった。

これら4つの課題の解決策について、オンライン完結しない状況に対しては、来店のデータ化が重要だ。位置情報の技術を活用することにより、オンライン・オフラインを隔てることなく通しで捉えることができる。

静的データ、自社データの限界に関しては、外部データとの連携が解決策になる。ビッグデータと連携してライフステージ情報を把握し、真のLTV向上の取り組みにつながる。

CPA偏重型マーケティングに対してはCDPの活用を推奨する。各部門・各グループ企業で個々に管理する顧客情報をCDPで連携・統合。顧客を共通IDで管理することにより、顕在層への育成が可能だ。CDPにより、部門・グループ・提携企業をまたぐ共通IDを設定し、セキュアな環境で管理できる。より長期的なLVV目線での効率的なマーケティング、収益への貢献につながるだろう。

最後にお話しするCMPは、改正個人情報保護法への対応として重要なツールだ。今後、同意取得はオプトアウト型からオプトイン型へ移行し、またパートナー企業ごと、利用目的ごとで同意を管理する必要があるだろう。同意取得を管理する役割を果たすのがCMPで、CDPなどと連携しながら管理することになる。

会場写真
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