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INSURANCE FORUM 顧客接点の多様化と保険デジタルマーケティング<アフターレポート>

2020年10月22日(木)、セミナーインフォ主催「INSURANCE FORUM 顧客接点の多様化と保険デジタルマーケティング」が開催された。昨今の新型コロナウィルス感染拡大により、保険会社、各社でもリモートワークの取り組みが進んでいる。従来までは対面販売が主流であった保険業界だが、「保険」の販売チャネルは多様化し、驚くべきスピードで変革を遂げている。本フォーラムではアフラック生命保険株式会社とアクサ生命保険株式会社の最新の取り組み事例をご紹介いただいたほか、先進企業各社による講演を通じ、最新の顧客接点に関する取り組みとデジタルマーケティングについてご紹介いただいた。

INSURANCE FORUM 顧客接点の多様化と保険デジタルマーケティング<アフターレポート>
  1. AIを活用したお客様接点の最適化
  2. コロナ禍における保険会社のデジタルシフトと顧客接点の360度化
  3. データから有効な打ち手を見つける「キーエンス流データ活用術」~保険業界での活用事例~
  4. 保険業界で重要となる、顧客データ活用の3つのパターン
  5. アクサ生命におけるCX/データを活用したデジタル戦略

AIを活用したお客様接点の最適化

棚橋 健児
基調講演
【講演者】
アフラック生命保険株式会社
デジタルイノベーション推進部
デジタル技術支援課 課長
棚橋 健児 氏

当社のデジタルイノベーション推進部の拠点が、アフラック・イノベーション・ラボだ。ラボ設立の目的は「生きるを創るリーディングカンパニー」となるために、これまでにないサービスを連続的に創造する源となることを目指している。

これまでの保険業界のお客様接点は、テレビCMや募集人による対話が中心であった。現在ではテクノロジーの進化により、お客様接点が多様化している。比較的近い将来には、AIを活用した24時間利用可能なチャットボット、テレビ会議によるオンライン対話の利用が広がり、さらにパーソナライズされたお客様接点にシフトするだろう。

デジタルテクノロジーの発展・普及により、新規ビジネスへの参入障壁が低下したことで、デジタルの破壊的イノベーションの動きが進んできている。Netflix、AirBnBなど、新興企業が短期間で大きな存在となる事例が相次いでいるのだ。Uberはユーザー体験を進化させ、伝統的なタクシー会社からシェアを奪い取った。提供できるユーザーエクスペリエンスが勝者を決定する時代となっている。

デジタルテクノロジーを取り巻く動きは大きく2つある。1つ目はお客様が利用するチャネルの多様化であり、2つ目は流通データの増大だ。世界の90%のデータがこの2年で生まれたものだという調査結果も出ている。多くの企業がデジタルデバイスで様々な情報を収集・利活用しており、お客様一人ひとりの属性やライフイベントに応じたサービスが提供され始めている。

アフラックでもこのようなトレンドを背景に、主に2つの取り組みを実施している。まずはチャネル横断のCXデザインで、アフラックではLINEアカウントでの保険診断、ご契約様専用サイト、セブン銀行ATMでの現金受取サービス、デジタル請求などを展開している。

外部調査によると約8割の人が日常のデジタル化を感じている。また好きな時にいつでもコミュニケーションをとれる企業の評価が高い。このような背景を基に提供サービスを検討する必要があるのだ。ご契約者様専用サイトではデザインを見直し、導線を明示した。この改善取組みにより手続き完了率の改善などの効果が出た。

また当社ではサービス認知から購入後評価までの一連のプロセスを整理。チャネル横断でカスタマージャーニーマップを作成した。浮かび上がったお客様の不便(ペインポイント)を優先して施策を打ち出している。

2つめの事例は、AIを活用したお客様接点の高度化だ。当社では社内データや統計データをサンドボックスに集め、AIで分析できる状態にしている。AIは4つの技術レベルに分類されるが、当社は「レベル3」の機械学習を取り入れたAIを活用している。学習用データからルールや知識を自己学習して自動的に判断するタイプだ。具体的な活用事例として、アウトバウンドコンタクトセンターでは、AIを活用して申込確度が高い順に架電している。オペレータの会話に関しては、AIが内容を解析し、お客様が理解しやすい会話内容を作成。サービス向上や稼働時間の効率化を実現した。

チャネル横断とAI活用を組み合わせて相乗効果を出すことが、今後の展望だ。お客様にとって最適なタイミングでの保険・サービスの提案など、お客様接点の強化につながる。

そのためには4つの分野の課題解決が必要だ。技術的課題ではAIと人間の棲み分け、環境的課題では社会基盤としての実装がカギとなる。法的課題では、行政や有識者を加えた検討・整備が必要だ。社会心理的課題では、個人情報利活用の透明性と利便性を、社会一般に広く分かりやすく伝えることが求められる。

今後さらにイノベーションを加速させるためには、各企業が強みを持ち寄り、協力し合うことで社会課題を解決することが必要となるであろう。

コロナ禍における保険会社のデジタルシフトと顧客接点の360度化

岩渕 史武
【講演者】
株式会社セールスフォース・ドットコム
デジタルマーケティング事業本部
金融第二営業部 部長
岩渕 史武 氏

生命保険を考える生活者を取り巻く状況は、今年大きく変化した。新型コロナウイルス感染症をきっかけに生命保険加入・検討をした人は73%に及ぶ。一方で来店型のサイト訪問数は、コロナ期間の3カ月間で昨年よりも減少傾向にある。

デジタルマーケティングは、オンラインや非対面での接点を要望するお客様には非常に有効だ。企業のデジタルマーケティング担当者の75.5%がビジネスに貢献しているという調査データもある。しかしデジタルマーケティングだけですべて解決するわけではない。顧客・募集代理店・保険会社の三者が、オンラインでもオフラインでも有効な関係を構築することが重要だ。

顧客が生命保険に求めていくことは主に3つあると考える。安心感を持って相談できること、自分に最適な商品や保障内容がわかりやすいこと、オンラインでも対面でも便利なサービスであることの3つだ。このようなニーズを満たすには、募集人によるオンライン相談への対応、対面機会減少による「真のニーズ発掘」の難しさが課題となる。保険会社では業務効率化に偏ったITシステム、少ない顧客接点と顧客を理解できる情報の不足が課題だ。

当社は顧客を中心として、革新をもたらすプラットフォームの提供を推進している。保険会社の革新としては、顧客理解のためのデータ拡充やNBO/NBAの推進で、代理店への貢献や顧客満足度向上につながる。募集代理店では、顧客360度ビューが可能となり、顧客に合ったサービスを適切なタイミングで提供し、信頼醸成につながる。当社では「Customer360プラットフォーム」の名称でサービス提供している。

ここからはCustomer360のデモストリーを紹介する。医療保険に関心のある生活者のニーズをどうとらえ、多様なチャネルでどのように信頼関係構築ができるのかを描いたストーリーだ。

最初のナーチャリングでは、たとえば感染症への不安をきっかけに、顧客が医療保険について情報収集をする。その後SNSを閲覧中に目にした保険会社のターゲティング広告をクックする。システムの裏側で、セールスフォース・ドットコムのAudience Studioを活用したターゲティング広告の配信が行われる。顧客は興味のある保険商品を閲覧し、そのまま資料請求申込へ。このような行動はリアルタイムで追跡しており、マーケティング施策のインプットに活用できる。アウトバウンドのコールセンターでは資料請求をした顧客の中から、コンバージョン率の高い顧客を優先してアプローチできる。

次のフェーズは営業活動・契約で、オンライン面談の前日に、リマインドをクロスチャネルで自動送信される。当日は営業担当が電話をし、資料を画面で共有しながら保険相談を行う流れだ。ヒアリングした内容を加えて顧客情報をアップデートすることができる。顧客のライフイベントや世帯情報なども管理でき、提案内容の幅が広がる効果もある。

次は契約後コミュニケーションのフェーズだ。契約内容確認活動の1カ月前に顧客に自動通知をする。メールが開封されると、最新の顧客情報に基づいておすすめ商品などのコンテンツが表示される。営業が顧客に会えないときでも、デジタル上での動きから、興味やライフスタイルの変化をキャッチアップ可能だ。

最後は保全~請求のフェーズだ。顧客が住所変更の保全手続きをWebから実施すると、募集人も内容をリアルタイムで把握し、ライフイベントを更新できる。保険金請求の不明点をチャットボットで問い合わせると、コールセンターではボットからシームレスに引き継ぎ、迅速な問い合わせ対応が可能だ。

セールスフォース・ドットコムは顧客接点を360度で捉え、顧客視点でお客様に寄り添う「Customer 360」プラットフォームとしてさまざまな業界を支援している。

講演企業情報
株式会社セールスフォース・ドットコム:https://www.salesforce.com/jp/

データから有効な打ち手を見つける「キーエンス流データ活用術」
~保険業界での活用事例~

峯尾 翔太
【講演者】
株式会社キーエンス
データアナリティクス事業グループ
峯尾 翔太 氏

キーエンスは1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値商品を通じて、生産現場の「生産性・品質向上」に貢献してきた。自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において25万社以上のお客様にお取引いただいている。また、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では46カ国220拠点で事業を展開している。

キーエンスは、今まで世の中になかった価値を生み出し続けること、「付加価値の創造」によって社会へ貢献するという考えのもと事業活動に取り組んでいる。おかげさまで、さまざまな業界のお客様に商品をご採用いただき、過去25年間、平均10%を超える成長を遂げることができた。新商品の約7割は世界初、もしくは業界初で、Forbes 社の“世界で最も革新的な企業TOP100”には8年連続でランクインしている。

さて、このようなキーエンスのデータ活用の歩みについて説明する。現在、企業では様々なデータを保有している。例えば営業やマーケティングの現場には、お客様のマスターデータや売上データに加え、ウェブサイトのアクセスログや過去の販売施策のデータ、営業活動の記録など多くのデータがある。これらを企業のビジネス課題の解決や改善に上手く使用できれば、より精度の高い意思決定や施策につながることが期待できる。一方で、データを有効に活用し、具体的な施策やアクションにつなげられている企業は多くない。キーエンスでは従来から、企業活動をデータで科学的にとらえ、合理的な判断をおこなうことを心掛けてきた。しかし、データの質や量が増えるにつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。ビジネス部門のユーザーが、データを用いてより良い施策につなげていくにはどうすればよいか。社内での活用を通じ、見えてきたのは、仮説を多く作り出し、ビジネス課題との関係性を明示すること。そうすることによって、実際の施策がデータから見つかるようになった。そして、そんなキーエンス社内での活用経験を元に、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるソフトウェア「KI」を自社開発した。現在はKIを外部にも提供し、幅広い業界の企業に活用されている。

続いて、金融におけるデータ活用について説明する。まず、営業活動において、お客様理解の重要性が高いことを強調しておく。各種調査では、顧客が金融機関に求めることとして、法人の場合「貴社や事業に対する理解」、個人の場合「あなたに合った商品の提案」が、ともに上位にある。このように重要なお客様理解に対し、データ活用が有効だ。

例えば保険業界では、お客様理解を高め、営業活動の再現性を高める際に、「属性データ」だけの活用では、表面的なお客様理解にとどまってしまう。一方、商品情報、ヒアリング履歴、申込履歴、営業活動履歴などの「履歴データ(トランザクションデータ)」も活用できれば、お客様の理解が格段に深まる。こうしたデータは、実際に金融機関において活用されている一方で、課題もある。データの前処理に手間がかかること、手掛かりに関する仮説立案とその絞り込みが難しいことだ。こうした課題に対処するため、野村證券様やみずほ銀行様など、多くの金融機関にKIを活用いただいている。KIは、人では思いつくことが困難な切り口を、機械学習を使って無数に自動生成し、効果の高い順に提示する。更に、施策の改善効果をシミュレーションできる。これを踏まえ、隠れた優良顧客のリスト化などにつなげることが可能だ。

データ活用によりお客様の理解を深め、より効率的な営業活動を展開することを、当社は提案する。

講演企業情報
株式会社キーエンス: https://www.keyence.co.jp/ki

保険業界で重要となる、顧客データ活用の3つのパターン

若原 強
【講演者】
トレジャーデータ株式会社
エバンジェリスト
若原 強 氏

当社は多種大量なデータの収集・統合・分析・活用を容易にし、ビッグデータから価値を引き出す基盤となるTreasure Data CDPをSaaS型で提供している。簡単に言うと、企業活動で得られるデータを簡単に貯めて分析できる「箱」を、企業向けに貸し出しているのが当社だ。

昨今注目を浴びている「データ活⽤による顧客理解」がなぜ重要なのか、その理由は複数ある。急激なデジタルシフトに伴う顧客活動の多様化に企業が追随し切れていないこと、またその顧客の生活様式や価値観もコロナ禍を経て大きく変わりつつあることなどだ。この状況下でも顧客を深く理解していくには、あらゆる顧客データを活用していくことが重要だ。当社のTreasure Data CDPがその解決策となる。

「データを活⽤した顧客理解」についてもう少し具体的に、SUBARU様の事例を通してお話しする。SUBARU様はTreasure Data CDPを導入し、様々な顧客接点データを統合。顧客ごとの「カスタマージャーニー」をすべて明らかにした上で、成約に至った顧客のジャーニーから購買見込みの予測モデルを作成。前述したデジタルシフトにより、顧客が成約に至るまでの平均店舗来訪回数は2回以下に激減する中、来訪者のオンラインでの行動履歴を購買見込み予測モデルと照らし合わせることで購買見込みを高精度で類推し、店舗での接客最適化を実現している。店舗での接客が最適化することで、全体の成約率も向上した。

保険業界でのデータ活⽤による顧客理解パターンは主に3つある。1つ目は、見込み顧客の理解による、契約獲得支援だ。SUBARU様の事例もこのパターンで、データを活用してカスタマージャーニーを分析し、資料請求・窓口相談・契約などへの誘導を最適化していく。また、少額短期保険を活用したナーチャリングモデルも考えられる。

2つ目のパターンは、既存顧客理解による、追加/見直し提案の支援だ。他業界の活用事例として、クレジットカード業界では、契約者の行動履歴からリボ払いやキャッシングなどへの需要を推測して、提案に役立てている。保険業界では、引っ越し・結婚など保険契約者のライフステージの変化に対応した提案に役立つ。

3つ目のパターンは、既存顧客理解による解約防止支援だ。食材宅配業界における事例では、退会した人のカスタマージャーニーをモデル化し、解約確率の高い顧客をリスト化している。洗い出した顧客に対して、解約防止の施策を打っている。保険業界でも、契約者の解約または他商品へのスイッチの予測にデータを活用し、解約防止施策を体系化していくことに利用できるのではないか。

3つのパターンに共通しているのは、データ活用により顧客理解を深め、適切な顧客体験を生み出すことで、LTVの向上につながる点だ。顧客理解が進むと、商品設計の拡大の可能性も生まれる。具体的には保障・補償範囲の統合や拡大、パーソナライズ、リスクの動的マネジメントなどだ。

データ活⽤に⽴ちはだかる課題として、社内でのデータの散在、多種のデータ統合の困難さ、爆発的に増加し続ける大量データの処理、データ基盤構築のコスト、パーソナライズの実現性がある。これらの課題を解決するのがTreasure Data CDPだ。多種大量データを蓄積・統合し、柔軟かつ高速に処理できる。生涯にわたる顧客理解と精度の高い個別対応を実現する。基盤を自社で構築するよりもリーズナブルかつスピーディーに進められるのも提供価値だと考えている。

保険業界における顧客データ基盤のあるべき姿とは、複数の事業を横断して顧客データがまとまり、セグメントや予測に利用でき、施策を打てる状態だ。データ収集側とビジネス構想側をCDPでつなぎ、データ基盤を構築することが重要だ。

講演企業情報
トレジャーデータ株式会社:https://www.treasuredata.co.jp/

アクサ生命におけるCX/データを活用したデジタル戦略

齋藤 裕美
特別講演
【講演者】
アクサ生命保険株式会社
執行役員デジタル&マーケティング本部長
兼 チーフデータオフィサー
齋藤 裕美 氏

当社ではもともと、デジタル・カスタマーエクスペリエンス(CX)・データの部門がそれぞれ別に存在していたが、2018年に新たな部門としてデジタル&CXが誕生し、CXとデジタル部門が統合された。協業の結果、親和性が高く成果も上げやすい領域だと判明。2019年にはさらにデータチームも統合し、3部門が一体となった組織が発足した。CXは現在さらに活動範囲を広げるため、CMO直下の組織となったが、引き続き緊密な連携を保っている。

デジタルとデータの一体化はこの数年で強まっており、データ抜きのデジタル施策は考えられない。デジタルとCXの組み合わせでは、CXが顧客体験上の課題を抽出すると、デジタルが素早く解決策を実行できるのが利点だ。CXとデータの連携によって、データによるアプローチで、CX施策の効果測定や向上結果が可視化できるようになった。デジタル・CX・データの3部門の協働により、今後、アクサ生命ではパーソナライズドアドバイスを進めたいと考えている。デジタルによる1対1のコミュニケーションを図るのが狙いだ。

NPS®とは「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティを数値化した指標だ。アクサでは2017年からグループ全体の経営指標のひとつとしてNPSを採用。アクサ生命では顧客満足度を測る指標として活用している。

当社でのデータ分析により、NPSの向上には、批判者上位(スコア5・6)をいかに中立者(7・8)にするかが鍵となることが判明。顧客のコメントを分析すると、「かんたん」「スピード」「分かりやすい」が必要な要素として抽出され、デジタル活用の可能性が出てきた。また、何も接点がないセグメントも大きな割合を占めており、スコア向上の鍵となるため、フォローアップ強化が必要であることも明白になった。これらを踏まえて各種施策を展開し、確実にNPSは向上してきている。一方でNPSはあくまでCXの現状を測定するためのツールであり、手段を目的化しないことを肝に銘じる必要がある。

CX/データとデジタルによる戦略実行には、全社の経営戦略との合致、関連部門との連携、推進スピードが必要だ。CXとデータをうまく活用することにより、プランニング、エグゼキューション、モニタリングの要素を補完できる強力な武器になる。

ここから実際の事例をいくつか紹介する。まずLINE公式アカウントの活用で、NPS分析による顧客のニーズを踏まえ、2020年3月にアカウントを開設した。これまでの分析に基づき、あくまで既契約者へのサービス向上を主目的として設定。プロモーションはほぼ行わなかったが、友だち数は36,000人を突破し、最大の目的であるトランザクションの増加も予想を大きく上回っている。

2つ目にQRコードを活用した契約者マイページ登録の実例を紹介する。「My アクサ」(旧既契約者向けマイページ。現在は「Emma by アクサ」にリニューアル)の登録が煩雑で、NPSのスコアを下げる要因になっていたことがこの施策の背景だ。個別のID・パスワードを埋め込んだQRコードを発行する仕組みを構築し、発送物に同梱したり営業社員が顧客に提示したりできるようになり、登録者増加に大きく貢献した。

3つ目に紹介するのは、NPS向上がもたらすビジネス効果をデータで証明した実例だ。顧客のNPSスコアが上がるほど契約件数が上がり、追加契約の獲得割合が増え、解約率が下がることをデータで具体的に示すことができた。顧客視点のみならず、ビジネス観点でもCXの重要性が社内で認識される一助となった。

デジタルを取り巻く環境は大きく変化し、デジタル部門を中心とした全体戦略を考える方向に向かっている。新型コロナがもたらした「ニューノーマル」もデジタル推進の追い風だ。今後デジタル部門は、パーツから、会社戦略の中核ともいえる存在になるだろう。

3つの部門の混成チームを率いたことで、マネジメントに関する発見もあった。メンバーには様々なバックグラウンドがあり、真の意味でのダイバーシティとインクルージョンが必要。また、デジタル戦略の成否の鍵となるのは、どれだけサイロを打破できるかであり、リーダーの突破力が問われる。

※NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標又はサービスマークである。

※11/11よりMyアクサはEmma by アクサにリニューアルした。

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