1. HOME
  2. FinTech・IT
  3. IoT(モノのインターネット)の課題とトークナイゼーション

IoT(モノのインターネット)の課題とトークナイゼーション

あらゆる物がネットワークで繋がるIoT。タッチパネルの操作で買い物と支払いが完了する冷蔵庫がついに発売された。確かにIoT決済は多くの可能性を秘めている。だが、あらゆるモノに安心してカード情報を預けられる環境は整っていない。このセキュリティの問題に対し、トークナイゼーションは切り札となり得るかもしれない。

IoT(モノのインターネット)の課題とトークナイゼーション
  1. IoTとは?
  2. IoT決済の先進事例
  3. IoTの課題とトークナイゼーション
  4. 日本の決済環境とトークナイゼーション
  5. まとめ
※本稿は株式会社インフキュリオンの許可を得て、転載・編集しています。

IoTとは?

IoTとはInternet of Thingsの略で、モノのインターネットとも呼ばれる。家電や車、建物、道路、果ては衣服など、あらゆる物がセンサーで得た情報をネットワーク経由で共有することで、生活とテクノロジーをシームレスに繋げる。

IoTとは?

Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」などと言われることもある。もともとのコンセプトは、機械同士がネットワークでつながるM2M(Machin to Machine)の考え方から来ている。あらゆるモノがインターネットにつながることによる革新を指す。

例えば、橋や建物などの公共建築物にセンサを取り付け、強度を常に把握することで、適切なメンテナンスができ事故を未然に防げる。サッカー選手のすね当てなどにつけたセンサから、選手の疲労度や戦術の理解度などを測るといった事例も既に出ている。

これまでネットワークとは無縁だったものが対象になるため、今後市場規模が爆発的に大きくなると言われている。

– ZDNet Japan
IoTとは?

▼関連記事 事例で学ぶIoT – 国内外のIoT先進事例とIoTの本質<前編> オープンイノベーションとは?IoT時代の成功事例と変革<後編>

IoT決済の先進事例

IoT決済の先進事例

冷蔵庫のウォレット化

2016年1月、サムスン(Samsung)とマスターカード(MasterCard)は、食品の注文と決済の機能を搭載した冷蔵庫「Family Hub」を発表した。Family Hubは、IoT決済の先進的な事例と言えるだろう。

この冷蔵庫に組み込まれているのは MasterCard が開発したアプリ「Groceries(グローサリーズ)」。ユーザーは冷蔵庫のタッチパネルの操作で食料品の注文・決済を行うことができる。

冷蔵庫内にはカメラが搭載されており、扉を開けることなく、タッチパネルを操作して買いたい食品を選んでいくことができる。選んだ食品はECにおけるショッピングカートと同じ要領で登録されていき、決済ステップを踏むすることで注文を確定することができる。代金はアプリに登録したカードで行い、4桁のPINでの認証のステップが入る。

この冷蔵庫は、決済機能を家電に組み込んだという点で、IoT生活の方向性を示す一つの事例と言うことができるだろう。

自動車のウォレット化

自動車がガソリンの低下を自動検知し、最適なガソリンスタンドへ誘導、自動車に登録されたクレジットカードで自動的に決済が完了する。トヨタなどの自動車メーカーだけでなく、VISAなども自動車へのIoTの導入を進めようとしている。

▼関連記事 ブロックチェーンとスマートコントラクトが創る未来の決済ビジネス ブロックチェーンとは?金融業に革命を起こす新技術 入門編

IoTの課題とトークナイゼーション

IoTの課題とトークナイゼーション

IoT決済が抱えるセキュリティ上の課題

世界的に見てもクレジットカード情報の漏洩や不正利用の被害が多発している。サイバーセキュリティの強化が急務であると叫ばれている一方、サイバー攻撃の手口はますます巧妙になっており、大企業のインシデントも後を絶たない。

このような環境下、重要な個人情報であるクレジットカード番号を、家電や自動車など、多数の身の回りの「モノ」に入力することを躊躇する消費者も多いのではないだろうか。

事実、どれほど信用力のある企業の製品だったとしても、ネットワークに接続する以上、情報漏えいのリスクが完全にゼロにはならない。

トークナイゼーションで安全な決済が実現される

そこで威力を発揮するのが、Apple Pay、Android Pay、Samsung Pay などモバイル決済サービスで活用されているトークナイゼーションである。

トークナイゼーションとは、クレジットカード番号などの機密データを代理の値であるトークンに変換する仕組みのことで、EMVCo の仕様に基づいて国際ブランドなどが提供している。

トークナイゼーションでは、機密情報を家電などの機器に登録する際、当該機器でしか使えないトークンに置き換え、以降の決済ではトークンのみを利用することで、安全な決済を実現する。

IoTのトークナイゼーション対応例

前述の Family Hub 冷蔵庫は、2016年末までにEMVCo型トークナイゼーションに対応するという。冷蔵庫はクレジットカードの情報は一切保有せず、代理の値であるトークンのみ保有するため、もしも情報流出が起こったとしても、クレジットカードの情報は守られる。

トークナイゼーションを利用することによって、IoTが抱えるセキュリティ上のリスクが大幅に減少し、ユーザーの不安も払拭されていくことだろう。

日本の決済環境とトークナイゼーション

日本の決済環境とトークナイゼーション

IoTのセキュリティを劇的に改善するトークナイゼーションは、世界的に導入が進んでいる。一方、日本では未だスタートすらしていない。

その背景にあるのは、独自に発展してきたカード決済インフラの事情だ。

トークンサービスの不在は、Apple Payなどのトークン型モバイル決済サービスの導入を遅らせるばかりか、IoTの発展を遅らせる一因となる。独自の環境が足枷となり、日本のIoT産業が大きく出遅れることにならないよう、1日も早いトークナイゼーションの開始を期待したい。

まとめ

IoTやブロックチェーン、スマートコントラクト、人工知能にビッグデータ。あらゆる産業を飛躍的に発展させるパワーを持つテクノロジーが、相互に係わり合うことで、次の産業革命が起ころうとしている。革命の瞬間は来たる未来ではなく、今まさに、目の前にこそある。

この激変の時代において、日本は一歩出遅れたと言っても過言ではないだろう。トークナイゼーションをはじめ、これらの技術を花開かせるため、土壌となる制度や環境の整備が急務である。

転載元:infcurion insight(株式会社インフキュリオン)

FinTech・ITカテゴリのオススメの記事
FinTech最新調査~技術革新に直面する日本の金融機関が向かうべき方向

PwC Japanが1,300人以上を対象に行った最新のフィンテックグローバル調査で、日本とグローバルではFinTechへの取り組み姿勢が大きく異なることが明らかになった。日本の金融機関は大きく出遅れたと言って良い。本稿は全5回連載の最終回として、調査結果を踏まえ、日本の金融機関におけるFinTechの現状と今後の可能性を示す。

シンギュラリティとは?シンギュラリティ時代における法務戦略

シンギュラリティ(技術的特異点)が目前に迫ってきた。シンギュラリティにより既存の仕組みは破壊され、再定義を経て飛躍的な成長を迎える。本稿では、シンギュラリティ大学院の数少ない修了生である弁護士が、シンギュラリティが与えるインパクトと今後の法務サービスについて、予想を交え説明する。

FinTechと将来の監査業務~AIとビッグデータが変える監査業務

監査は将来、AI監査としてデータから監査対象企業の取引の傾向等を分析し、テスト条件を提示して自動的に異常な取引を識別することが可能と考えられる。本稿では全5回連載の第4回として、FinTechの監査への影響と、テクノロジーを活用した監査自体の将来像について考察する。

ブロックチェーンの応用が解決するサプライチェーンの課題

FinTech分野の中で大きく注目を集めるブロックチェーン技術。多くの金融機関が実証実験を実施し、本格化が見えてきている状況だ。また、金融分野だけでなくさまざまな領域でも注目を集め始めている。本稿では全5回連載の第3回として、ブロックチェーンの可能性からサプライチェーンプラットフォームの構築、課題、解決策を紹介する。

【 編集 】

The Finance 編集部

The Finance をフォローする