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超高齢社会の金融サービスの在り方~投資対象の選定から運用管理まで自動実行【ロボアドバイザー編】

2019年5月に金融庁が発表した報告書をきっかけに、長期の資産形成とそのサポートツールに注目が集まっている。今後も高齢社会の深化が予想される中で、金融サービスはどう在るべきか。高齢者と次代の高齢者(若者)はいかに老後に備えていくべきなのか。資産形成層を中心に利用が広がる「ロボットアドバイザー」の提供企業に話を聞いた。

超高齢社会の金融サービスの在り方~投資対象の選定から運用管理まで自動実行【ロボアドバイザー編】
  1. 「投資一任型」と「アドバイス型」
  2. 未経験者は3つの要点を押さえる
※本稿の一部で、ウェルスナビ株式会社のサービスを紹介しております。

「投資一任型」と「アドバイス型」

ロボットアドバイザー(ロボアド)は、コンピュータのアルゴリズムに基づいて資産運用のアドバイスを行うデジタルツールだ。ポートフォリオの提案と投資対象の売買、リバランスなどの運用を行う「投資一任型」とポートフォリオの提案のみを行う「アドバイス型」に大別され、現在ではFinTech企業や金融機関がロボアドを提供している。

ウェルスナビはロボアドが日本で登場し始めた黎明期から、投資一任型サービスの「WealthNavi」を提供している。コアユーザーは30~40代で、老後の生活費に備えるべく早くから行動し始めている人が多いそうだ。他方で、定年退職のタイミングが65、70、75歳と後ろ倒しになることが予想される中、今後は資産運用に取り組む期間が長くなることも予想される。

同社リサーチ&クオンツグループで執行役員を務める牛山史朗氏は、「ロボアドは複数の質問を通じてユーザーにリスク許容度を設定してもらえれば、投資対象の選定からマーケット動向に応じた運用・管理までを自動で行える。スマートフォンやパソコンさえあれば手軽に資産運用に取り組めるので、高齢期が目前に控えている層にとっても意義のあるサービスになるはず」と予想する。

未経験者は3つの要点を押さえる

長年、日本では金融資産を貯蓄という形で保有することが一般的だったため、欧米に比べて投資に取り組んでいる人が少ない。投資未経験者が資産運用に取り組むうえでのポイントは何か?牛山氏は「自分のお金まわりを把握する」「成功体験を得る」「資産運用に適した方法で取り組む」の3つを挙げる。

自分のお金とは保有している資産に限らない。現状の収入や支出、将来やりたいこととそれにかかる金銭的コストなども含まれる。「日本ではお金についてオープンに話すことを避ける文化があったため、お金と向き合う機会が少ないように感じる。なんとなく資産運用を始めるとスタートの時点でつまずきやすく、長く続かない傾向があるので、具体的な金額とともに投資目的をはっきりさせたほうがいい」と牛山氏はアドバイスする。

成功体験とは、「お金が増える」という実感のことを指す。長く続いたデフレにより投資にせよ、預金にせよ、人々はお金からリターンを得るという感覚を持ちにくくなっていると牛山氏は考える。

「リターンが期待できなければ、そもそも投資をしようなんて発想は持てない。少ない金額でお試しの投資を始めてみて、『投資って本当にお金が増えるんだ』という成功体験を得ることが投資の一歩を踏み出すうえで重要になる」(牛山氏)老後に備えるための資産運用に適した方法として、金融機関をはじめ金融庁も推奨しているのが「長期・積立・分散」投資だ。特定の国・地域や資産に偏った投資をすると1つの要因に投資結果が左右されやすいが、長期・積立・分散投資は利益を得ながら投資によるリスク(値動き)を抑える効果が期待できるからだ。

だが、長期・積立・分散投資を実践したくても知識や時間がハードルになったり、さまざまな情報に振り回されたりしてなかなか行動に移せないということは往々にしてあり得る。牛山氏は、「ロボアドは新しいサービスだが中身はシンプルで、オーソドックスな長期・積立・分散投資を自動的に実践しているに過ぎない。しかし、だからこそ、人々の長期の資産運用をサポートしていけると考える」と語る。

▼【特集】超高齢社会の金融サービスの在り方~業界の垣根を越えて共同で 健康寿命と資産寿命を延ばす 【ジェロントロジー編】個人と社会双方で「生涯現役」を実現 【ロボアドバイザー編】投資対象の選定から運用管理まで自動実行
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【 インタビュー 】
ウェルスナビ
執行役員
リサーチ&クオンツグループ

牛山 史朗 氏