CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは?先行国と日本の状況【2022年版】

CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは?先行国と日本の状況【2022年版】

印刷用ページ

デジタル技術の革新が進む中、中央銀行自身が発行するデジタル通貨、すなわち、CBDC(中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency))が注目を集めています。本稿では、CBDCの概要から各国の取り組み状況、今後の課題と展望について、網羅的に解説します。

  1. CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
    (1)定義
    (2)仮想通貨との違い
  2. CBDCの基本原則
  3. CBDCのメリット
  4. 世界のCBDC導入への取り組み状況
    (1)中国
    (2)スウェーデン
    (3)カンボジア
    (4)バハマ
    (5)アメリカ
    (6)EU
  5. 日本のCBDC導入への取り組み状況
  6. CBDCの課題
  7. CBDCの今後
  8. まとめ

CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは

定義

CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは「Central Bank Digital Currency」の頭文字を取ったもので、中央銀行が発行しているデジタル通貨を指しています。
日本銀行ではCBDC(中央銀行デジタル通貨)を下記の3つを満たすものだとしています。

  • デジタル化されていること
  • 円などの法定通貨建てであること
  • 中央銀行の債務として発行されること

参照:中央銀行デジタル通貨とは何ですか

日本銀行では「現時点において、デジタル通貨を発行する計画はない」としていますが、世界ではCBDC(中央銀行デジタル通貨)の検討が加速しています。
端を発したのは、2019年6月にフェイスブックが発表した「暗号資産リブラ構想」です。各国は将来的な「お金のデジタル化」に向け、リブラ構想をきっかけに体制整備を進めています。

仮想通貨との違い

CBDCと仮想通貨の違いは法定通貨であるかどうかです。
CBDCは各国の中央銀行が発行するデジタル通貨のため、国家としての価値が保証されており、国家の経済の影響によって価値が決定します。国家によって裏付けされた通貨のため、CBDCは大きな価格変動が起きないのが特徴です。
一方で仮想通貨は中央銀行以外の民間業者が発行する「プライベートデジタル通貨」です。ビットコインやリップルに代表される仮想通貨には、国家による裏付けのような資産はないため、価値の変動が大きいのが特徴になります。

CBDCの基本原則

CBDCの基本原則は2020年10月、日本銀行を含む7つの先進国中央銀行とBISからなる共同研究グループから下記のように発表されています。

<基本原則>

  1. 通貨・金融の安定を損なわない(無害性)
  2. 公的・民間マネーとの共存・補完
  3. イノベーションと効率性の促進

まずCBDCは公共政策上の目的の達成を支えるために利用され、従来の通貨と同じように通貨・金融システムの安定を損なわないようにすることが原則です。
加えて現在発行されている通貨との共存も原則です。従来の紙幣制度が完全にCBDCに置き換わるわけではなく、相互の領域において補完すべきものとしています。
最後にイノベーションと効率性の促進です。CBDCはデジタル通貨のため、これまでの通貨と決済システムが異なります。決済システムの利便性が低ければ、利用する人々が安全性の低い手段を用いることになってしまうでしょう。そのためCBDCの決済システムを効率的に行えるイノベーションや競争が必要となっています。

参照:「DIGITAL CURRENCIES AND STABLECOINS」

CBDCのメリット

CBDCを活用するメリットは主に下記の3点が挙げられます。

  • 経済全体のコスト低下
  • マネーロンダリングの防止
  • 金融包摂の推進

経済全体のコスト低下とは主に現金に関わるものです。現金は「紙」で発行されるもののため、作成から保管、輸送や警備に至るまで多くのコストがかかっているのが現状です。
店舗に設置されているレジや銀行のATMなど現金を管理しているものは、世の中に多くあります。CBDCが浸透すれば、こうした現金での取引は減少されるので、コスト低下が期待できます。
またCBDCはデジタル通貨のため、「いつ・どこで・誰が」利用したのかの履歴を残すことが可能です。そのため匿名性の高い現金とは異なり、利用者の足跡を追えるのもメリットです。利用履歴を活用することで、脱税防止や犯罪組織への資金流出の防止が期待できます。
最後に金融包摂の推進が挙げられます。金融包摂とは「経済活動に必要な金融サービスを、貧困層や僻地に暮らす人々など誰でも利用できること」です。発展途上国などでは利便性の低い決済手段のみだったため、経済や社会発展が遅れている所も少なくありません。
CBDCによって金融包摂が進めば、たとえ個人や企業が銀行口座を持っていなくてもデジタル通貨を送金できる、融資が行えるなど金融サービスの普及が期待できます。