IFRS第17号の修正に関する公開草案の解説


国際会計基準審議会(以下、IASB)は2019年6月26日、IFRS第17号「保険契約」(以下、IFRS第17号)の修正を提案する公開草案(以下、本公開草案)を公表した。本公開草案は、2017年5月に公表されたIFRS第17号に対して、利害関係者から寄せられた要望や懸念点などを再検討した結果、的を絞った修正を行うこととし、利害関係者からのコメントを得る目的で公表されたものである。本稿では、公表に至るまでの背景と、提出された修正提案における8つの論点を図解で分かりやすく解説する。

  1. 本公開草案公表までの背景
  2. Next Step
目次

本公開草案公表までの背景

IASBは、IFRS第17号のスムーズな導入を支援するため、最終基準化後も移行リソース・グループを設置し適用上の疑問点を検討するなどの活動を行ってきた。この過程でIASBは、IFRS第17号の修正候補として25項目の論点を認識した。修正にあたりIASBは、①情報の有用性を大きく損なう結果にならないこと②既に進められている導入プロセスを過度に混乱させないこと③IFRS第17号の発効日を不当に遅延させないことという要件を設定し、それに沿って審議した結果、8つの論点について修正することとした。本公開草案は、当該8論点に加え、定義や用語の修正も含んだ内容となっている。

Next Step

本公開草案は90日間のコメント募集期間に付され、コメント募集期限は2019年9月25日となっている。IASBに寄せられたコメントを踏まえ、修正後の最終基準であるIFRS第17号が2020年半ばに公表される予定となっている。

25項目の修正候補から8項目に絞った提案であることから、今回の提案以外の項目にもコメントが寄せられることが予想される。

三輪 登信 氏
寄稿
有限責任 あずさ監査法人
三輪 登信 氏
渡辺 伸哉 氏
寄稿
有限責任 あずさ監査法人
渡辺 伸哉 氏
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