Embedded Financeの今後の可能性


Embedded Financeとは「組み込み金融」を指し、「金融以外の事業を展開する非金融企業が、既存サービスに金融サービスを組み込んで提供する」こととされている。規制緩和やFintech企業の躍進により、金融の新たな可能性を開くサービスとして昨今注目されている。本稿では、従来型金融とEmbedded Financeの違いや、今後の可能性および課題につき考えてみたい。

目次

Embedded Financeの行方

本稿では、欧米から拡大するEmbedded Financeの潮流を紹介した。銀行業の規制緩和に伴い、多くの非金融企業が金融ビジネスへの参入を検討する中、日本でも顧客基盤を生かす仕組みとして、既存の業務フローに金融機能を組み込むEmbedded Financeが注目されている。Embedded Finance自体は基本的に顧客の利便性を高める取り組みであり、非金融企業の顧客基盤を活用した新たな商品性として、大いに期待すべきであろう。 一方、Embedded Financeの主たる担い手が、ライセンスを有する既存の銀行ではないことには留意が必要ではないか。融資業務など、金融ノウハウを要する業務を非金融企業などが円滑に運営していけるかは、不透明な面もある。日本における今後の展開に注目して行きたい。

【参考図書】

  • 「エンベデッド・ファイナンスの衝撃」 城田真琴 東洋経済新報社、2021
  • 「消費者トラブルからみる立替払い型の後払い決済サービスをめぐる課題」国民生活センター、2020

本稿中、意見に係る部分は筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を示すものではない。

寄稿
SBI金融経済研究所 https://sbiferi.co.jp/
事務局次長
村松 健 氏
1996年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、株式会社日本興業銀行(現みずほ銀行)入行し、2021年11月より現職。著書に『銀行実務詳説 証券』、『NISAではじめる「負けない投資」の教科書』、『中国債券取引の実務』(全て共著)、論文寄稿多数。日本財務管理学会所属。
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