1. HOME
  2. アクセンチュアの調査によるフィンテック最新動向 ~アジアパシフィック地域への投資額が増加

アクセンチュアの調査によるフィンテック最新動向 ~アジアパシフィック地域への投資額が増加

2017年7月20日 アクセンチュア株式会社は「フィンテック最新動向」についての記者発表を行った。まず、執行役員 金融サービス本部統括本部長 中野将志氏より挨拶があり、アクセンチュアが行ってきたフィンテック調査の流れから前年の振り返りを話された。続いて、2016年の調査データを基に分析した結果について、戦略コンサルティング本部エンタープライズ アーキテクチャ & アプリケーション戦略 マネジング・ディレクターの村上隆文氏より発表された。

フィンテック投資概況

グローバルフィンテック投資全体像

2015年は1,184件であった投資件数が2016年では1,790件と51%上昇しており、順調にフィンテック投資件数が伸びている。フィンテック投資額は全体で10%上昇し、アジアパシフィック地域での投資額が全体の半分を占める状況となった。フィンテック投資は件数が増えていることからフィンテックに対しての期待は続いているが、フィンテックへの過剰な期待が落ち着いてきている状況になってきており、北米、ヨーロッパの主体からグロバールに分散し200億ドルの市場へ成長してきている状況にある。

アジアパシフィック地域でのフィンテック投資

中国が圧倒的にアジアパシフィック地域でのフィンテック投資をけん引している状況であるが、インドの投資件数が大きく伸びてきている。また、フィンテックグローバルを目指している香港、シンガポールも堅調な伸びを見せており、日本も前年から135%増の1.5億ドルへ拡大している状況である。

事業領域フィンテック投資

事業領域では預金口座、決済領域へのは投資件数の伸びは引き続き伸びている。金融の本業である保険・融資・ウェルス&アセットマネジメント・証券の領域でも件数が伸びてきており、特に保険領域では件数が大きく伸び、ウェルス&アセットマネジメントは金額及び件数が大きく伸びてきている。昨年は決済分野が主であったが、2016年は事業領域全般に伸びている状況である。

テクノロジー領域フィンテック投資

テクノロジー領域では、インタラクティブ、モビリティ、アナリティクス、クラウド、セキュリティについては金額的に大きく伸びている。また、新興技術であるAI、ブロックチェーンについては、投資件数が増加傾向にある。

1件当たりの投資金額は落ちつき始めている状況となっているが、スタートアップが既存のビジネスをディスラクティブしながら大きな収益をあげていくモデルから、金融機関や異業種企業等の伝統的企業とスタートアップが組むことによって着実なビジネスをイノベーションしながら作っていくモデルが顕著になってきている状況であることから過剰な投資が落ち着いてきている。

成長戦略としてのフィンテック活用

伝統的企業がフィンテックスタートアップと付き合うことが次の成長につながる手段になるのではないかとアクセンチュアでは考えており、金融機関が問われている一つの課題として金融を中核とした社会インフラ業となるのか、デジタルを活用しながら顧客との接点を握り、顧客に対して顧客の本来のニーズを支えていく立場になるのかが問われている。銀行が融資等で稼ぐのではなく、顧客へのアドバイザーとしての役割を果たす等、顧客との接点頻度を上げていき、サービスを提供していく考え方が必要である。

成長戦略を実行するにあたって、金融機関が単体ではできないことをフィンテックのスタートアップの技術を活用したり、伝統的企業同士で、アライアンスを組み複数社でサービスを提供していくためにはオープンイノベーションを行っていくことがポイントとなる。

オープンイノベーションを行っていくにあたっての重要ポイント

  • インプット:新しいビジネスのシーズをどのようにして確保していくか
  • アウトプット:どのようにして新たな顧客体験・社会創出していくのか
  • マネジメント:不確実性をどう許容していくのか
  • リソース:脱内製至上主義に転換できるのか

4つ枠組みを構築することにより、偶然的ににオープンベーションが起こるのではなく体制が設計された中で転換していくことが重要である。

今後日本市場はどうするべきなのか

フィンテックは金融機関の成長に不可欠な存在になってきており、日本のフィンテック市場は順調に伸びている中でいかに取り込み、成長につなげていくことが重要である。金融機関が取り組んでいくべきこととして、マネジメントの改革、商品開発のプロセス改革、人材改革、テクノロジー基盤改革が必要で、全社的な体制確立が求められる。

新着の記事
金融行政のこれまでの実践と今後の方針~金融実務における主なポイント【後編】

金融庁が公表した「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(平成30事務年度)」。前編では、全体の構成と、平成30事務年度における金融行政の重点施策のうち「デジタライゼーションの加速的な進展への対応」、「家計の安定的な資産形成の推進」、「活力ある資本市場の実現と市場の公正性・透明性の確保」に関する金融実務上のポイントを解説した。本稿、後編ではその他の重点施策について、実務上重要なポイントを解説していく。

Kyash鷹取真一氏が描くキャッシュレス社会の姿とKyashにおける今後の展開

平成30年4月経済産業省は、日本のキャッシュレス社会を推進すべく「キャッシュレス・ビジョン」を公表した。また昨今、異業種の大企業が決済分野に参入するなどプレイヤーが乱立し、キャッシュレス社会に向けた動きが激化している。本稿では、2015年1月に創業しこれまでに総額10憶円を超える資金調達を行い、ウォレットアプリを提供している株式会社Kyash CEOの鷹取真一氏に同氏が描くキャッシュレス社会の姿とKyashにおける今後の展開についてインタビューを実施した。

急増する事業承継におけるM&A~金融機関担当者が押さえておくべき留意点を解説

中小企業における後継者難が顕在化するなか、事業承継を成功させるための有効な手段として、M&Aが考えられている。近年金融機関では、事業承継M&Aの支援を行う部署を新設するなど取組みを強化している。これまでM&Aのアドバイスをあまり行っていない地方金融機関等にとって、M&Aに対する理解・ノウハウを蓄積することは重要だが、事業承継M&Aにおける特有の留意点が存在する。本稿では、事業承継M&Aをサポートするうえで直面する機会が多い点について概観する。

金融行政のこれまでの実践と今後の方針~金融実務における主なポイント【前編】

金融庁は、過去の取組みや現状の課題と、金融行政の方針との関係性をより明確化し、PDCAサイクルに基づく業務運営を強化することを目的に、これまで公表してきた「金融レポート」と「金融行政方針」を一体化させ、平成30年9月26日に「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(平成30事務年度)」公表した。本稿では、金融実務に関わるポイントを解説していく。