1. HOME
  2. ベンダー視点から見るRPA注目の背景とメリット

ベンダー視点から見るRPA注目の背景とメリット

日本政府は「日本再興戦略2016」にてGDP600兆円といった目標を掲げているが、現時点では520兆円程度である。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、日本国内の人口は平成60年に1億人を割る推計となっていて、労働人口の減少が進んでいく状況にあり、GDP600兆円に達するには、いかに生産性を向上させるかが課題となっている。このような状況下で、金融機関や製造業を中心に注目を集めているのがロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)である。今回、The Finance編集部では先日、住信SBIネット銀行へRPAソリューションを納入した株式会社アイティフォー CTI・基盤システム事業部 営業推進部 部長 池上卯太郎氏に話を伺った。

RPAが現在注目されている背景

日本政府は2020年までにGDPを600兆円掲げており現状GDPは520兆円程度であり、残りの80兆円程度をどのように生み出すか。労働人口が減少しており、労働力を確保することや社会問題の解決や国際社会における日本の立場を考える際に、人の作業をロボットに代替することができ、かつ生産性を向上させることがRPAの命題であり、その達成に向けてRPAは起爆剤となる可能性を秘めている。

また、RPAが注目されたきっかけとして海外のRPA事例がバックオフィスとファイナンス業務に関して数多くあり、金融機関のビジネスにおいてはメソドロジー(方法論)が出来上がっており、外資系コンサルティングファームがトレンドメーカーとしてRPAの火付け役となり国内では金融機関にまず認知されていった。現在では金融機関のみならず製造業等からもかなり注目されるようになっている。しかし、まだ浸透、認知されていない業界もあり差があるのが現状である。

RPA導入におけるメリット

一つは、労働力の代替と生産性の向上である。人は24時間365日働き続けることは不可能でありロボットであればそれを可能にすることができ、複数人で行っていた業務を1台のロボットに置き替えることができる。ロボットの性能によるが、日々繰り返し行うルール化された業務を人間の作業時間と比較すると数倍~数百倍の圧倒的なパフォーマンスを発揮することができ生産性が大きく向上される。また、人間の作業ではヒューマンエラーの発生といったリスクが生じるが、これを防止することもできる。今まで人間が行ってきた業務を代替することにより人間はロボットにはできないクリエイティブな仕事を行うことができるようになり、リソースが足りない所への配置転換ができる。

金融機関の中には、新たな金融商品/サービスを開発していくにあたって、ホストシステムを簡単に修正することが難しいことからサービスごとにサブシステムを増やしながら拡大してきたケースがある。さらに付帯サービスを開発した際にシステム開発が金融商品/サービス開発レベルに追随することができず結果、要件から漏れたシステムを使っている状況も一部で見られる。そういった中で、日々業務が変わるものやシステム化されたものに対してRPAで改修をかけていく事が1つの手段になり、商品開発のスピードに追随するためにRPAを活用することができることもメリットである。

RPAは労働力の代替、生産性向上といったところが特徴であるが、法令対応といったRegTech(規制:Regulationとテクノロジー:Technologyを掛け合わせた造語)にも対応することができるという。

また、RPAはバックオフィス業務が適用範囲と認知をされている印象が強いが、バックオフィス業務のみならずミドルオフィス業務、フロントオフィス業務にも適用することができる全方位で使える業務の自動化ツールと考えている。

RPAは金融機関のどのような業務に適しているのか

RPAが金融機関の業務に適しているかというと、RPAはバックオフィス業務から普及してきた。例えば住宅ローンや会計財務に関わる消込作業や契約関連業務、引受および処理業務、監視業務に使われていることが多いが、今後はコールセンターなどフロントオフィス業務にも適用範囲が拡大し、パソコンで操作している業務はすべて繋ぎ合わせて自動化することができる。

実際に、実装の経験を経て適用できなかった業務は無い。ただし導入効果には差異が生じる。ツールによってあるアプリケーションに接続できるが別のアプリケーションに接続できないといったコネクティビティ(接続性)があり、そのツールがアプリケーションに接続できるのであれば自動化することができる。適用する業務も重要だが、テクノロジーの視点からロボットを動かす環境が重要である。

住信SBIネット銀行がRPA導入で得た効果とは

住信SBIネット銀行株式会社はアイティフォーが提供するRPAツール「NICE Advanced Process Automation シリーズ」を導入、2017年6月に稼働開始した。

住信SBIネット銀行は、ほとんどの業務がシステム化されているが、なかには紙を扱う業務、情報システムとの連携が不十分な業務があり、手作業で対応しており問題意識があった。「働き方改革」「手作業による業務の効率化」を目的にRPAを導入したという。

まず、住信SBIネット銀行がRPAを導入した業務は、住宅ローンの審査業務、作業量が多く手作業の業務など全11業務を自動化させた。

導入してまもなく効果が見えたという。住宅ローン審査で1件当たり10~15分かかっていた作業が1~2分程度で作業を完了することができ全体で月間1,700時間の削減効果を見込んでいるという。また、作業効率が格段に上がっただけでなくスピーディーな作業によりお客様へのサービス向上にも繋がっている。

この結果を踏まえて今後全社的に100業務以上のロボット化を目指し、7月に「RPA推進室」を設置した。

住信SBIネット銀行がRPAの本格稼働により業務効率化を実現

今後のRPA市場の展望

RPAが今後本格的に定着するには多くの企業が「デジタルトランスフォーメーション(※)」をしなければいけない。今後RPAは、CA(コグニティブオートメーション)へと進化し、人工知能等の認知系技術やIoTと、アナログからデジタルへの変換技術とをマッシュアップさせていくことが将来像だと考える。

人工知能、IoTと連動していく中で今後、多くの業務がロボットに置き換えられる時代になる。その中でロボットを管理する仕事が新たに創出されるがそれ以外にロボットに代替された仕事が何なのかを追求していく事が重要になっていくのではないかと考えており、ロボットを導入することがゴールではなく、ロボット普及後の先を考えていかなければいけない。

今後RPAを導入検討している企業の方々に伝えたいこととして、まずRPAを導入してみて欲しい。RPA導入にかかる費用は生産性が担保するので数カ月から遅くとも2年以内には投資を回収することができ生産性の向上に繋げることができるからだ。

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。(Wikipediaより引用)

株式会社アイティフォーについて

会社名

株式会社アイティフォー / 英文社名 ITFOR Inc.

創業

1972年12月2日

事業内容

「金融機関向けソリューション」「公共機関向けソリューション」「小売業向けソリューション」「ECサイト構築ソリューション」「RPA業務自動化ソリューション」「コンタクトセンターソリューション」の各事業。それらをつなぎ合わせる「基盤ソリューション」、システム導入後の保守、運用を提供する「カスタマーサービス」を提供。

URL

https://www.itfor.co.jp/

新着の記事
金融所得課税一体化の今日的意義

7月7日に、金融庁の「金融所得課税一体化に関する研究会」において、「論点整理」が公表された。本研究会においては、デリバティブ取引への損益通算範囲拡大に関する議論が行なわれている。ヘッジ手段としてのデリバティブ取引と対象となる資産を一体課税の対象とすることで、ヘッジ効果を税務上も享受せんとするものである。一方、トマ・ピケティ以降の世界的な議論の趨勢如何では、貧富の差の顕著な拡大を受け、金融所得一体課税のバックボーンとなっている二元的所得税の考え方が、変化を余儀なくされる可能性も否定できない情勢だ。本稿では、金融所得課税一体化について、金融庁研究会の議論をふりかえりつつ、今後の方向性を検討したい。

投資ファンドに関する最新の法改正動向

投資ファンドをめぐる法制は、投資ビークルとしての利便性の追求と、投資家保護を中心とした理由による規制の必要性との緊張関係から、頻繁に改正を繰り返してきている。今年になって、立て続けに法改正がなされ又はその方向性が定まり、実務に大きく影響する可能性があることから、いずれも未施行の段階ではあるものの紹介したい。

金融機関における新しいストレステストのシナリオプランニング

新型コロナウイルス感染症が世界中に広がり、人々の生活に影響を与えただけでなく、社会・経済のシステムに大きな影響を与えました。こうした「まさか」を想定したリスク管理のアップデートが求められています。本稿では、「まさか」を想定したリスク管理のアップデートに必要なシナリオプランニングについて解説する。

東証新上場区分が株主優待に与える示唆

2021年2月、東証プライム市場の上場基準が発表された。旧東証1部と大きく異なる部分として、株主数基準が挙げられる。本稿では、東証プライム市場上場基準の注目点から株主優待制度に焦点をあて解説する。

注目のセミナー すべて表示する