1. HOME
  2. RPA業界大手UiPath社のCRO(チーフ・ロボティクス・オフィサー)に聞く~今後のRPAの可能性~

RPA業界大手UiPath社のCRO(チーフ・ロボティクス・オフィサー)に聞く~今後のRPAの可能性~

RPA(Robotic Process Automation)が注目され続けている。そこで今回The Financeでは、2005年にルーマニアで設立され(本社米国)、現在金融機関をはじめとする多くの大手企業へRPAツールを提供し、RPA分野において世界をリードするUiPath社でRPAの製品開発を統括しているChief Robotics Officer(CRO)のBoris Krummrey氏に今後のRPAの可能性について話を伺った。

RPAは先進企業にもマッチするレベルに

テクノロジーが大幅に進歩したおかげで、いまやRPAは世界の先進企業のニーズにも応えられるレベルへと到達している。

これまでルールベース(マニュアル等)でオペレーションが定型化されている業務については比較的簡単にRPAで自動化することが可能であった。しかし、これまでの定型化された業務を行うRPAから、今後は少量かつ複雑で、完全な定型業務ではない非定型な処理についてもロボットが自律的に処理をするようになる。

具体的には、画像処理のOCR(光学文字認識)アプリケーションと連携し紙の帳票等を読み取り、記入されている内容を基にRPAを利用して顧客や取引先データベースと照合をすることでOCRアプリケーションだけでは不完全な読み取り処理を補足したり、手書き文字に対してマシーンラーニング(機械学習)をRPAと組み合わせることで、数値的な処理を行わせ、読み取り正答率を向上させることができると考えている。

RPAとAI/コグニティブの連携

RPAとAIやコグニティブとの連携への期待が最近高まっている。そこでポイントとなるのは、最初にRPAそしてその次にAI/コグニティブに取り組むという考え方だ。順番は決して逆ではない。まずは現場の自動化が必要である。それをしないことにはAIやコグニティブ、OCR、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)などが活躍するための十分なサンプルデータが揃わず、いくら良いエンジンツールをそろえたとしてもその実力を発揮することはできない。

例えばUiPathはMicrosoft社のクラウドサービスAzureと連携しており、Microsoft Azureの機械学習で得た情報をUiPathに連携させることにより、業務システムのフローを自動化している。

さらに、ヒューマンインターフェイスとしてのAIを活用するケースとしては、近年話題を集めているチャットボット・AIスピーカーなどといった言葉を相手にするソフトウエアと連携することによって、今までPCに人がデータを入力しインプット作業を行っていたことが、これからは自然言語がインプットとなり、この情報から業務処理を流すことが可能になるという。

金融分野では、資産運用のポートフォリオの情報から資産構成の提案したり、履歴データから分析を行い様々な投資判断材料を提供することがAIと連携することで可能になると期待されており、RPAとAIの連携が期待されるという。

これからのRPAに求められるビジョン

AIなどとの連携も行いRPAが企業のデジタル・ワークフォースを支え「エンタープライズRPAプラットフォーム」として活用されるために、以下の3つのビジョンからの製品開発を進めているという。

3つのビジョン

Point1:ケーパビリティの向上へのビジョン

RPAが人間のような知覚力を持つことにより、複雑な自動化を実現することを目指す。RPAによる広汎なシステムへのアクセスが可能になり、機械学習を用いた最適化処理が組み込まれ、自然言語処理がRPAによる自動化に利用されるようになり、業務処理ログの解析機能を持つことよりプロセスを解析してRPAが人間のように自動的にプロセス開発を行えるようにして、自動化の可能性向上を目指す。

Point2:アジリティ向上へのビジョン

RPAがプロセス、ノウハウを共有し、AIなどと接続することで敏速に簡単に自動化を実現する。先端技術を扱うにあたり、専門家が使えるのは当たり前だが一般のビジネスユーザーも使えるように、より簡易に人間が自動化しやすくすることで、より迅速な自動化を目指す。

Point3:スケーラビリティ向上へのビジョン

様々なセキュリティレベルの強化、クラウド化により大規模稼働を実現する。すなわち、シンプルなタスクを自動化するのではなく、コンプライアンスの強化などを通じ組織全体での自動化を実現し、RPAによる自動化が組織全体での労働力として活用されることを目指す。

上記ビジョンの中でも特に重要視しているのがアジリティであるという。いかに操作性を高め、UiPath製品を使いやすく直感的にワークフローを作れるかというところを機能拡充している。また、SAPやORACLEといったサードパーティの製品との連携性の強化を進めている。

今後、RPAに代替される業務は増えていくが、中にはどうしても人にしかできない業務がある。その中でUiPath社は一連の業務の中で部分ごとに人とRPAに役割分担をさせシームレスに行えるよう機能強化を行っているという。

最後に

「働き方改革」を越えて新しいビジネスモデルを創り出す

これからRPA業界は更に面白い展開になるだろう。従来の人間の仕事を代替する「働き方改革」の範疇にとどまらす、RPAを導入することでこれまでは考えられなかったビジネスモデルを創り出すことができるようになる。(例えばサンプル抽出によるマーケティングではなく、RPAによる大量高速処理により真のone to oneマーケティングを実践するなど)

その際には、人間の仕事とRPAの仕事がどのように連携しながら仕事を進めていくのかということや、RPAとの付き合い方が大きな議論になってくるが、ロボットは決して人間の役割を奪うものではない、人間と一緒に新しいビジネスを創り出していくパートナーである。新たにビジネスモデルが創造される中で人間に求められる役割はいくらでもあると考えている。

金融機関では大量の深度ある顧客情報に根差して真に顧客に価値のあるサービスを提供することが求められている。RPAという新しいツールを利用して従来は想像もしなかった、大量トランザクション処理により成り立つ、新しいビジネスモデルを創り出すことができる面白い時期に金融機関は直面しているのではないかという。

UiPath社について

UiPath社は、お客様の業務プロセスを効率的に自動化するための一体化されたソフトウェアプラットフォームを提供する、世界有数のRPAベンダーです。米国を本社とし、日本、英国、ルーマニア、フランス、ドイツ、インド、シンガポール、香港、オーストラリア等に拠点を持ち、大手企業で約700社のRPAによる自動化実績を有しています。

日本法人(本社:東京都千代田区 代表取締役CEO 長谷川康一)は2017年2月に設立されました。日本はUiPathの最重要投資拠点となっており、設立後1年で、既に三井住友フィナンシャルグループ、損保ジャパン日本興亜、日本取引所グループをはじめとする200社(2018年3月末現在)を越えるお客様及び約50社のパートナー企業に支持されている。

より詳細な情報は同社のウェブサイトを参照。 https://www.uipath.com/ja/

新着の記事
【初心者向け】機械学習とは ~理研AIP副センター長が解説

AIの能力の進化が凄まじい勢いで進んでいる。囲碁や将棋の世界では人間はAIに勝てなくなり、シンギュラリティという言葉も現実味を帯び始めてきた。レントゲン画像の正確かつ高速な診断や、ロボット投資アドバイザーなど、各業界へのAIの進出もますます進んでいる。本稿では、理化学研究所 革新知能統合研究センターの上田氏が、機械学習の概要から可能性まで、わかりやすく解説する。

生産性向上特別措置法(前編) ~規制のサンドボックスとは何か

2018年6月6日、生産性向上特別措置法(以下、「法」という。)が施行された。同法は、我が国における規制の在り方を根本的に変え得る「規制のサンドボックス」(Regulatory Sandbox)制度を創設するものとして注目を浴びている。本稿では、規制のサンドボックス制度に加え、同法が規定するデータ共有・連携のためのIoT投資減税等及び中小企業の生産性向上のための設備投資の促進の各制度のポイントについて弁護士が解説する。

規制業種における独禁法上の企業結合審査のあり方 ~諸外国の例を参考に

金融庁レポートにて、金融機関の経営統合に対する競争の観点からの審査について、現在のシステムは経営統合を用いた地域貢献の余地を狭め、地域金融インフラの確保や金融仲介の質の向上に負の影響が懸念されると示された。今後のあるべき銀行の企業結合審査とは何か。諸外国の法制にも目を配りつつ、論じる。

5年間で3.75倍に!? 世界中で進むデジタルペイメントを読み解く

銀行のスマートバンキング化の動きが加速している。その中でも特に注目すべきは「デジタルペイメント」だ。日本政府も2018年4月に「キャッシュレス・ビジョン」を公表し、デジタル上での資金のやり取りの重要性は高まってきている。デジタルペイメントは現在どの程度世界で活用されているのか、銀行や顧客にとってのメリットは何なのか、今後銀行はこの流れにどのように対処していくべきか解説する。