2021年9月9日(木)開催FINANCE WEBINAR「銀行をデザインする」

2021年9月9日(木)開催FINANCE WEBINAR「銀行をデザインする」

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2021年9月9日、セミナーインフォ主催FINANCE WEBINAR基調講演にて株式会社琉球銀行 伊禮 真 氏にご登壇をいただき「銀行をデザインする」についてご講演いただいた。

銀行をデザインする

伊禮 真 氏
基調講演
【講演者】
株式会社琉球銀行
営業統括部 メディア戦略室 室長伊禮 真 氏

<琉球銀行におけるコミュニケーションデザイン>
コミュニケーションデザインとは、お客さまとのコミュニケーションをより良いものにするための設計やデザインである。コミュニケーションツールはデジタル、アナログを両方活用し、全てのチャネルで必要なものだと考える。また、お客さまのみならず、従業員間のコミュニケーションやOBや家族とのコミュニケーション、これから我々の仲間になるようなリクルート、中途入社の皆さまとのコミュニケーションも重要だと考える。そのためには、何らかの驚きが必要であり、ポジティブな驚きを、相手方に伝えられるよう意識している。

<タッチポイント毎のコミュニケーション>
メディア戦略室では、仕事が多岐にわたっており、テレビ、ラジオ、新聞など、マス広告を全般担っている。デジタル施策、ウェブ広告、メールマーケティングは内製化で行っており、LINE、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNS運営やソーシャルリスニングいわゆるエゴサーチを毎日行い、重要なものについては、役員にフィードバックし、担当部署を通じて改善する仕組みを構築している。

「りゅうぎんGO」というアプリ開発・運営やオリジナルのテレビ・ラジオ番組も毎週3本制作している。世の中のささやかなニュースを5分間に圧縮して上映するテレビ番組やカード加盟店の売り上げ支援を図るためのテレビ番組、遠隔でも取材できるラジオ番組を運営している。その他、「りゅうぎんロボ」のキャラクター運営、店内BGMや行内印刷の内製化なども行っている。

インターナルコミュニケーションとしては、社内SNS「Workplace」を導入している。特に銀行はSNSに対する恐怖心があり、SNSに対するネガティブなイメージを払拭、また社員同士のコミュニケーションの深度を深くすることを目的に導入している。なおWorkplaceは一定の役割を果たしたとみなし、2021年7月からはoffice365の活用に合わせteamsへ移行した。

コーポレートサイトの運営については、2018年にAWSに基盤を移行している。2012年頃からクラウドおよびAWSに興味があり、当時のコーポレートサイトの障害も相まって、代替するサービスとしてAWSに移行を検討し、2012年から銀行内のエバンジェリストとして活動を始めている。2015年に、当時の上司への紹介および琉球銀行のIT関連会社に対し、クラウドについての勉強会を開催した。2017年には、役員の勉強会にてAWSのエバンジェリストを招聘し、クラウドの現状と日本においてのAWSの活動などを説明した。同時にメガバンクでAWSへの移行に携わっていた方が入行してきたため、コーポレートサイトのクラウド移行に向け、動き出しを始めた。3カ月後には役員会で決裁を頂き、2018年にコーポレートサイトのクラウドへの移行が実現した次第だ。

また、お客さまからの電話に集中する受電集中システムを作るという課題が経営層にあり、2019年にAmazon Connectというサービス使い、システム構築に動き出しを始めた。その際、ユーザー部門にプログラムを書ける60歳を超えた嘱託の喜納氏という方がいたため、プログラム構築できる環境を整備したところ、約1カ月でコールセンターまでシステム構築をした。このような実績から、AWSの講演会などでご講演する機会も頂いた次第だ。

<何のために銀行をデザインしているのか>
タッチポイント毎のコミュニケーションを図るにあたり、重要視している事はエンゲージメントである。エンゲージメントには、段階がある。お客さまと取引先、企業という関係性からファンになって頂き、フレンド、最終的にはベストフレンドになって頂くことが大切だと考える。ベストフレンドとは、耳の痛いことを言ってもらえ、お客さまに最適なことを我々も提案する仲になっていく事であり、これがベストなエンゲージメントであると考える。

本当に大切なことは、上司や役員といった「上や、他社・ライバルなどの「横」を意識することではない。まっすぐに正面にいるお客さまだけを見ることが重要だ。誰のためにデジタルを活用するのか、誰のためにアナログを活用するのか、誰のためにクラウドに移行するのかを一生懸命考えることが、非常に大切であり、そのためにお客さまと接するこの瞬間を大切にしてほしいと思う。