2022年9月15日(木)開催 CAPITAL MARKET WEBINAR「キャピタルマーケットにおけるデジタル化の進展」<アフターレポート>

2022年9月15日(木)開催 CAPITAL MARKET WEBINAR「キャピタルマーケットにおけるデジタル化の進展」<アフターレポート>

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2022年9月15日(木)セミナーインフォ主催CAPITAL MARKET WEBINAR「キャピタルマーケットにおけるデジタル化の進展」が開催された。スマートフォンの普及・新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、顧客のニーズは大幅に変化しており、証券・アセットマネジメント業界においても、顧客のニーズを捉え、テクノロジーを駆使し、柔軟に対応していく事が求められている。本イベントを通じて、皆様にとって今後のDXを推進するにあたり、少しでも有益な情報をお届けできれば幸いだ。

  1. 「顧客本位の証券営業プロセスDXで約定数向上
    〜オンラインで気軽に提案、目論見書交付、約定まで〜」
    ベルフェイス株式会社 西山 直樹 氏
  2. 「ビッグデータ×RPAによる松井証券の取り組み」
    松井証券株式会社 小室 理 氏

「顧客本位の証券営業プロセスDXで約定数向上
〜オンラインで気軽に提案、目論見書交付、約定まで〜」

 

【講演者】
ベルフェイス株式会社
取締役
西山 直樹 氏

<会社概要>

当社は設立から8期目を迎えるITベンチャーで、オンライン営業・商談システム「bellFace(ベルフェイス)」の開発・提供を行っている。新型コロナ以前はIT系や人材系の顧客がメインであったが、現在は大きく変わり、最も多く取引をさせていただいているのが金融業界だ。この2年間で取引を開始した金融機関は約70となり、本日はそこで得た知見や課題なども織り交ぜながらお話しする。

<証券営業における課題>

課題の1つ目は顧客の高齢化で、2019年時点で日本の65歳以上人口は3,589万人となり、総人口に占める割合も28.4%となった。2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると推計されている。富裕層の大半は50代後半以降であり、顧客の高齢化に対応したサービス設計が重要だ。

2つ目の課題は顧客の消費行動の変容だ。当社の調査によると、金融商品の接客について「対面を希望する」と回答したのは約45%、「どちらでもよい」と回答したのは約35%だ。半数近くが対面接客を求める結果となり、今後も対面接客は金融・保険の営業活動において重要な営業手法となる。対面での接客を求める背景は心理的な要因が大きく、難しい話は対面で直接聞きたい顧客が多い。一方でオンラインならではの手軽さやスピード感を重視する人も比較的多く見られる。顧客が真に求めるのは「部分的なオンライン接客」であり、対面とオンラインをミックスした接客で完結したいと考えている。

課題の3つ目はコロナの蔓延化で、感染対策の徹底が求められ、訪問・来店のいずれについても、従来の対面営業のハードルが高くなった。2021年事務年度の金融庁の金融業務方針を整理すると、ポイントは2つで、業務効率化を図ること、顧客データをデジタル管理して効果的な提案を行うことだ。

<課題の具体例>

高齢の方やITに詳しくないお客様も多く、接触の起点となるメールアドレスを保有されていないケースも多い。当社の調査における高齢者個客のメールアドレス保有状況に関して「ほぼ全員持っている」と回答したのはわずか31%に留まる。ITリテラシーもあまり高いとは言えないと考えられる顧客が多い。

高齢の顧客やITを活用できない顧客も多くオンライン化は進めにくい。一方で金融機関では、全顧客を網羅できるオンライン化が必要だ。よって顧客セグメントに合った最適なデジタルチャネルのアプローチが決まらない。

コロナで訪問営業が困難な顧客に対する接点維持の困難さも課題だ。物理的に距離が離れすぎていて対面で接客できない方も多く、さらにオンラインでの面談を受け入れない場合、最後の手段は電話となる。しかし電話の場合、複雑な金融商品を分かりやすく説明したり、株価の長期推移を説明したりするのは困難だ。

よって電話営業のみでは成果を出すのが難しい。口頭のみでは伝わらないことが多く、郵送ではタイムラグが非常に大きく、株価の変動等リアルタイムの情報を伝えづらい。このように、コロナ前では考えられなかったような接客課題に直面している企業は数多く見受けられる。

<bellFaceについて>

bellFaceの商品としてのカテゴリーは「オンライン商談システム」に分類されるが、音声はあくまで電話を利用する。bellFaceは、営業担当者とお客様が電話で話すシーンで利用することで、対面と変わらない環境で金融商品の説明を行えるツールだ。

<どのような証券営業DXが必要か>

前述した課題の解決策は3つあり、いずれもbellFaceで提供可能だ。まずどんな環境・どんなITリテラシーでも即座に商談をスタートできることが重要だ。次に目論見書をオンライン交付することで営業生産性が向上する。3つ目として、オンライン商談・オンライン交付に留まらず、最終的な約定までをオンラインで完結することだ。

<証券DXを実現するための解決策 ①即座に商談をスタートするサービス>

bellFaceではお客様の利用端末がPCの場合、4桁の接続ナンバーを電話口で確認するだけで簡単に接続可能だ。スマホの場合もSMSを送信し、お客様がタップすることで接続し、アプリのインストール等は必要ない。

接続した後は「資料共有機能」により、最新の販売用資料等をワンクリックで顧客へ表示できる。事前に承認した資料だけを画面に表示したり、資料をセットする人を限定したりすることで、よりセキュアな環境での提案が可能だ。関係のない画面を共有してしまうリスクを排除でき、安全な資料管理が可能となる。ダウンロード機能で資料の郵送・送付工数の排除に繋がる。

<証券DXを実現するための解決策 ②目論見書のオンライン交付>

bellFaceはメールアドレス不要で、目論見書等の各種資料のデータ送付ができる。管理画面上で共有したい目論見書を事前にセットアップし、商談にてダウンロードボタンをクリックすると、顧客側にダウンロード案内が表示され、顧客はPCやスマホに資料を保存することができる。この方法も、メール経由で目論見書を送る方法と同じ法的拘束力を持ち、オンラインで交付したことになると金融庁からも認められている。資料の準備や送付の時間の削減により、創出された時間で他の顧客対応を行い、収益向上へと繋げることが可能だ。

<証券DXを実現するための解決策 ③約定までをオンラインで完結>

商談だけをオンラインにしても、本質的なオンライン化は実現できず、約定・契約までオンラインで完結させる必要がある。また契約・約定の手続きに関して、当社の調査では約8割の人が「申し込み手続きの際に面倒を感じたことがある」と回答した。

この課題を解消するべく開発したのが「リモートコントロール機能」で、営業側が契約書などを画面で共有し、操作権限を与えることでお客様側が情報を入力できる。権限を戻せば営業側が入力することもでき、どちらがどの項目を入力したのか等の履歴も保存される。お客様側でソフトのインストールをすることなく、電話の会話の延長でオンライン申し込みまで完結できるのがbellFaceの強みであり、特許も取得している。

<証券営業DXの成功事例>

大手金融機関におけるbellFaceの活用シーンは主に3つで、支店営業のオンライン商談、本部からのリモート支援、リモート専属部隊だ。具体例を2つご紹介すると、まずSMBC日興証券様では、資産運用コンサルティングおよび無人営業所で活用されている。営業店の中に非対面部隊を構築し、電話営業の際にbellFaceを活用して、説明資料などの画像を顧客と共有できるようにしている。訪問を重ねるよりも電話で連絡するほうが効率よく営業しやすいとのご感想もいただいた。

次にご紹介するのはふくおかフィナンシャルグループのFFG証券様で、bellFaceを活用した目論見書のオンライン交付を実施していただいている。営業生産性を高めた「非接触対面型営業」を実現したいとの想いから導入いただいた。bellFaceでの目論見書の交付を、メールと同様にオンライン交付であると認められるよう金融庁と交渉していただけたのがFFG証券様だ。我々としても非常にありがたい取り組みで、大変感謝している。目論見書のオンライン交付が可能となったことで、これまでの訪問営業を前提とした営業効率が劇的に改善された。目論見書のオンライン交付はFFG証券様の専用機能ではないので、他の金融機関にも同様にご案内している。ご興味のある方はぜひご連絡いただきたい。

◆講演企業情報
ベルフェイス株式会社:https://bell-face.com/