LLMを活用した業務効率化とエンタープライズナレッジマネジメントの高度化
~PKSHAが支援する生成AI × 金融機関での成功事例のご紹介~
-
【講演者】
- 株式会社PKSHA Workplace
- 執行役員
Workplaceビジネス本部 本部長
大西 正人 氏
<PKSHAグループのご紹介>
PKSHA Technologyは、2012年に創業したベンチャー企業である。東京大学・松尾研究室から第1号で上場した企業であり、従業員数は約500名、その約半数がアルゴリズムエンジニアだ。国産アルゴリズムのほか、生成AIもパーツとして活用しながら様々なソリューションを開発している。
代表取締役の上野山は、人工知能技術の研究で知られる松尾研究室の第1号博士であり、大学院の研究成果をもとに弊社を立ち上げた。新しいテクノロジーをいかに社会実装していくかという点に着目し、「未来のソフトウェアを形にする」をミッションに掲げている。ビジョンは、「人とソフトウェアの共進化」だ。人とAIとの対話により、双方に変容が発生し、お互いに拡張していく世界を想定している。
PKSHAの事業は大きく2つの柱からなる。1つ目は、AIを活用したソリューションの提供だ。自社開発のアルゴリズムを幅広くセミカスタマイズして提供している。2つ目は、本日ご紹介するAI SaaSプロダクトの提供だ。
PKSHA Chatbot、PKSHA Voicebot、PKSHA FAQにおいて、AI SaaSプロダクトとしてシェアNo.1である。エンタープライズを中心に、数百社以上の導入実績を誇る。特に金融業界の実績が突出して豊富だ。その理由のひとつとして、地域金融機関でよくあるFAQを共通化・汎用化して提供するプラットフォームがある。また対話エンジンや音声の仕組みを、50行程度に活用いただいている。クレジットカードの巧妙化する不正手口に対する不正検知のアルゴリズムも、日本ではトップシェアだ。
<これからのドキュメント検索>
金融機関の場合には、照会業務、事務手続き、社内ヘルプデスクにおいて生成AIの活用が注目されている。特に社内ヘルプデスクでは、ナレッジマネジメントの観点が非常に重要だ。
2040年には1,100万人の人手不足が見込まれており、生産性向上が必須である。若手社員が減少するため、ナレッジの継承先が無くなりつつある。熟練者のナレッジをどう継承していくかは、1つの社会課題である。競争優位性を維持するために、社内のナレッジの利活用を促進していく必要がある状況下で、生成AIが登場した。生成AIをどう有効活用していくかは、検討すべきポイントである。
また、生成AIが当たり前に活用されていく世界においては、ナレッジの利活用における手順や運用が抜本的に見直されるだろう。「蓄積」においては、ストック型からリアルタイム型へと変わっていく。「共有」においては、1:1キーワードベースから1:N、あるいはLLMベースへ、「更新」においては、属人的、リアクティブな運用から、自動的、プロアクティブにと。LLMベースでの運用環境になると考える。
<AI SaaS「PKSHA AI ヘルプデスク」>
金融機関の現場では、複数のマニュアルがあるために何がどこにあるのかわからない。どれをどこまで更新するのか不明であるなど、非常に煩雑な状況だ。
そこで、PKSHAの独自AI技術とOpenAIのChatGPTを掛け合わせて開発したのが、「PKSHA AI ヘルプデスク」である。これは社内ヘルプデスクを Microsoft Teams 上で実現する、オールインワン型のヘルプデスク向けソリューションだ。社内のコミュニケーションの動線から社内ナレッジ最適化まで、コミュニケーションDXとナレッジマネジメントDXの両方を解決できるソリューションである。プロダクトの中にすでに生成AIを組み込んであるために、すぐに運用・活用できる仕組みだ。
<3step対応で問合せの自動解決を促進>
ハイブリッド型の生成AI対話エンジンと有人チャットの3step対応で、問合せの自動解決を促進していく。問合せに応じて、3step対応で最適なご案内ができる仕組みに設計している。組み合わせによりナレッジ管理コストを最小化し、より多くの問合せを自動化することで問合せ対応コストを最小化できるのだ。
第1ステップは、FAQ検索によるFAQ型チャットボットである。AIにより日本語を精度高く認識し、一問一答形式のブレのない回答で自己解決を図る。第2ステップは、社内文書検索によるドキュメント検索型チャットボットだ。生成AIにより、マニュアルを検索し、回答を生成する。第3ステップは、FAQ・社内文書で回答不可の場合には有人チャットへ接続し、人が対応するというものだ。
ドキュメント検索型チャットボットは、あらかじめアップロード・登録された社内文書から質問に対しての回答を自動生成する。社内文書の引用も添付するイメージだ。AIによる回答は必ずしも正しいわけではないことを前提として、回答を受け止めてもらう。
実際に某金融機関部グループのシンクタンクで検証したところ、約30%をFAQ型で解決、約35%をドキュメント検索型で解決、約35%を有人チャットで解決していた。全体の65%は自動で回答できる環境となっている。某地方銀行のケースでは、900件の問合せのうち41%はFAQ型、30%はドキュメント検索型、29%は有人チャットで解決していた。
<社内のヘルプデスクをTeams上で簡単に実装可能>
ナレッジの自動生成・提案も可能だ。AIで未解決の場合には、有人チャットへ接続され、その有人でのやり取りはログとして蓄積されていく。「PKSHA AI ヘルプデスク」を利用して社内ヘルプデスクを運用すると、ログを蓄積できるのだ。
その蓄積されたログを生成AIが分析した上でFAQとして生成し、人が確認して編集・登録するだけでFAQの整備ができる。その結果、FAQの内容検討・作成のコスト低減が可能になる。複数部署を横断的に使う会社様や全社的に使う会社様が増えていることから、今後はダッシュボードを拡充し、問合せニーズのカテゴリー分析や全社横断的な社員のお悩みを見える化できるようアップデート予定である。
<ソフトウェアから話しかける体験が当たり前に>
Teams上での配信見逃しを防ぐ、「プロアクティブチャット」も展開している。ソフトウェアがよりプロアクティブに従業員と「対話(情報を投げ合う)」し、従業員の能力拡張・EX向上を支援するものである。
「困りごとはありませんか?」という質問や、事前リマインド、アンケートなどのやり取りが簡単にできるようになる。人事データベースをもとに最適なアナウンスができるようになれば、お知らせ配信のパーソナライズ化が可能になり、悩むことなく自己解決できる環境を作れると考える。
これからは、ソフトウェアから話しかける体験が当たり前になるだろう。対話によって、AIは学習し進化する。一方、人はソフトウェアを使うことで能力を拡張し、進化するのだ。
<金融機関の活用事例>
企業、部署、ユースケースによって、求められる回答の精度はまちまちだ。「問合せの自動応答化」の費用対効果を見ると、問合せの5割を自動化した結果、年間コスト3.5億円を削減できた事例もある。静岡銀行様は「PKSHA AI へルプデスク」による自動応答プログラムの本番展開を生成AIも含めて、すでに進めている。なおAIヘルプデスクはスモールスタートも可能だ。
第一生命様では、弊社の対話エンジンをセールス4万人が日々利用している。これにより、どこでセールスがつまずいているのかを見える化できる。京都銀行様は、行内&行外でのコミュニケーションDXに取り組んでいる。社内ポータルのトップページに、チャットボットのインターフェイスを設置し、各部署の「よくある問合せトップ10」を表示して問合せしやすい窓口を用意しているのが一例だ。
弊社の技術顧問である松尾先生は、「ChatGPTの登場は、インターネットの発明に匹敵するくらいのインパクトを持っているのは間違いない。」と述べている。生成AIの本格活用に向けて、是非お気軽にご相談いただきたい。
◆講演企業情報
株式会社PKSHA Workplace:https://aisaas.pkshatech.com/aihelpdesk/