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FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティング最前線<アフターレポート>

2019年11月13日(水)、セミナーインフォ主催「FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティング最前線」が開催された。スマートフォン・パソコンなどのデバイスの普及により、顧客のライフスタイルの多様化は進んでいる。金融機関も従来通りの顧客アプローチだけでは対応しきれず、膨大な行動/取引データに対してAIなどの様々なテクノロジーを活用した、より高度なマーケティング活動が求められている。本フォーラムでは、基調講演として横浜銀行によるAIを活用したマーケティング業務事例、特別講演ではLINE Financialから「LINE」を通じたデジタルマーケティングの取り組みをご解説いただいた。その他先進企業各社における、講演を通じマーケティングに関する最新の知見をお届けした。

FINANCE FORUM 金融デジタルマーケティング最前線<アフターレポート>
  1. 横浜銀行のAIを活用したデジタルマーケティング
  2. 金融×デジタルマーケティング再考
  3. メディアデータ活用でサイト来訪ユーザーのインサイトを読み解く。
  4. AIを活用した、事業拡大のための最新デジタルマーケティング施策
  5. りそな銀行がiDeCoのアプリ戦略を選んだ3つの理由
  6. LINE Financial が進める『金融の民主化』
    ~デジタルマーケティングを活用した金融戦略~

横浜銀行のAIを活用したデジタルマーケティング

河野 吉晴
基調講演
【講演者】
株式会社横浜銀行
営業戦略部 マーケティンググループ グループ長
河野 吉晴 氏
永井 笑子
【講演者】
営業戦略部 マーケティンググループ 副調査役
永井 笑子 氏

横浜銀行は、神奈川県内に177店舗、東京都内に25店舗を展開している(2019/3末時点)。2016年4月にグループ会社となった東日本銀行と合わせて、神奈川・東京という人口2000万人以上の巨大マーケットを持つ商業銀行である。

はじめに、一般的なAI普及の背景を説明したい。まず、データ量の推移について。ネットワークの高度化など様々な要因によりトラヒック数は増加している一方、ストレージのコストは大幅に下がっている。これらにより、事業に関連するデータ量は増加し、蓄積も可能になったが、人力での分析・確認には限界がある状況だ。次に、労働人口の減少について。日本独特の人口構造の変化として、全ての地域で生産年齢人口が大幅に減少している。つまり、労働力が減り、銀行に勤める人員も減っているのだ。こうした状 況の中で、AIを活用していくことは必須の流れと言える。

銀行には、顧客の各種残高や取引情報など、豊富な情報資源がある。また顧客ごとの番号をキーとした統合データベースを有していることも、強みだ。しかし、データ量の飛躍的な増加、業務の更なる効率化を求められていることから当行はAIを導入した。

金融機関でのAIは、目的に応じて二つに大別できる。第一に、トップラインの増加。そのため当行マーケティング業務にAIを活用している。将来的には、与信業務にも導入すべきと考えている。第二に、コストの削減。AML業務、途上管理業務、AIチャッ トボット・音声文字化等のプロセス改善を対象にAI導入を進めている。

銀行は、適切なタイミングで顧客ニーズに合った提案やニーズ喚起を行う必要がある。当行では、EBM情報を導入し、従来の優秀担当者の経験や勘を標準化しお客さまにコンサルティングを実践してきた。これに加えてマーケティング領域でAIを導入した 背景には、この着眼点では見つけられなかった新たな顧客をAIが見つけることへの期待がある。

AI活用事例の一部を紹介する。

まず、ディープラーニングの事例。一つ目は、投資型商品の新規顧客成約率について、営業店担当者の経験や勘に基づきアプローチした場合と、AIモデルのスコア上位顧客にアプローチした場合とを比較した事例である。結果、後者の成約率が高かった ことから、このAIモデルは有効だと言える。二つ目は、証券ニーズが潜在化する顧客の推定について、一つ目の例と同様に比較した事例である。銀行とあまり接点がない顧客のニーズをキャッチするため、AIモデルを活用したが、結果、AIモデルが選択した顧 客は営業店担当者が想定している先と成約パターンが近く、想定した先以外からの獲得は殆どできなかった。その要因としては、銀行と接点が少ない顧客に対してあえて当行の関連会社を紹介することは難しく、営業店担当者を動かすためには「その要因を示すこ と」が必要であり、改めてAIは使い方が大切だと分かった事例である。

次に、業務効率化の事例。二つの帳票(「無担保ローン契約申込書」及び「インターネットバンキング申込書」)を対象にAI‐OCRを導入した。結果、合わせて年間約1500時間以上の業務削減に成功した。今後、対象帳票を追加していく方針である。

従来のデータ分析は、特徴が理解しやすい反面、相応の時間を要する。一方ディープラーニングは、分析負担を軽量化し人とは異なる視点での知見を発掘できる反面、要因を特定できない。AIを過大評価せず、ブラックボックス性を許容できる領域に集中的 に活用することが有効だ。

AIの導入で全てが戦略的に解決できる訳ではない。特徴を理解して上手に付き合っていくことが重要である。当行は、マーケティングの基礎である考え方もしっかりと実践しながら、AIの導入を進めていく。

金融×デジタルマーケティング再考

関口 朋宏
【講演者】
株式会社ブレインパッド
取締役 ビジネス統括本部 本部長
関口 朋宏 氏

デジタルマーケティング(以下「デジマ」という。)は、次のように語られることが一般的だ。(※図1)「認知」から「購入」までの顧客数が全体の70~80%を占める一方で、売上シェアはリピート・ファン化させた顧客が70~80%に上る。このため、デジタルチャネルを駆使していかに1to1コミュニケーションを実現するかという話になるが、これは果たして金融業界でも実行すべき「マーケティング」なのか。
※図1https://symposium.jp/brainpad_1.png

マーケティングの基礎に立ち返り、3つの観点で考えてみる。

「Segmentation」は、顧客を細分化して、より良い商品・サービスを提案するために非常に重要だ。デジタルによって進化したのは正にこの部分であり、データ収集・活用の価値は高い。一方で、「Targeting」や「Positioning」は、昨今のFinTech ブームにより考え直さなければならない。既存の金融機関の主戦場が大企業や富裕層であるのに対し、FinTechベンチャーは中流層向けのサービスが中心であり、土俵が異なる。FinTechブームは“中流層向けの領域も金融ビジネスが成立し得る”ことを示した上で、金融機関に向けて「同じ土俵で戦うべきか?」という新たな問いを提起した。仮に、答えを「Yes」とする場合、中流層の生活に密着したデータの獲得が課題となる。(※図2)
※図2https://symposium.jp/brainpad_2.png

しかし、生活に密着したデータの獲得をしたくても消費者は便益がなければ企業への情報提供はしないため、データは簡単には取得できない。そこで、「SNS」「3rdパーティ(パブリックDMP)」「位置情報」「気象情報」といった第三者データの活用が考えられるが、過信してはいけない。例えば、3rdパーティ(パブリックDMP) 上のユーザーと、皆様の自社Webサイトのユーザーが突き合う割合は10 ~ 20%であり、残りは拡大推計するしかないのが実態だ。デジマは手段の一つに過ぎず、闇雲に施策を打っても効果は出ない。手段を有効活用するためには、マーケティングの基本に立ち返り、Positioningをいかに取るのかが重要だ。

続いて、金融機関におけるデジマの使い道について説明する。デジマ業界のツールは数多いが、概ね3つの機能(※図3)に集約される。①顧客行動データを集め、②分析を駆使して施策を考え、③オンライン・チャネルで接客する。実態は、③の配信ツールに依存し、「様々な手段でおすすめ情報を配信しているが、効果が出ないためツールを再検討する」という話が多い状況だ。
※図3https://symposium.jp/brainpad_3.png

小売業のような、「情報更新頻度が高い」「商品のカスタマイズ性が低い」「在庫がある」という特徴を持ち、スピーディに売買が行われる業界にとってはデジマは向いているが、金融は当てはまらない。金融商品は、営業担当者の会話などのリアルチャネルが勝負であり、配信ツールに依存するのではなく顧客理解に重きを置くことが重要である。

金融商品に関する顧客行動はオンラインとリアルを行き来する場合が多いが、リアルチャネルのデータは欠落しがちである。リアルのデータを埋めるためには、営業データの活用が近道だ。ただし、営業担当の習慣や性格による影響で、営業データ(SFA)と 実態の乖離が生じやすい。そこでAIを活用すると、日報や見積もりなど各種データで営業データを補正し、正確な顧客理解とアクションが可能となる。

近年、データ分析の民主化が進み、「拡張分析」という新たな概念が生まれている。ブレインパッドでも「VizTact」という拡張分析ツールを最近リリースした。従来のBIツールのように実態を可視化するだけでなく、要因の分析も可能だ。高度な知識がなくても、機械学習や統計的な分析ができる世界が広がりつつある。

データを使う際に重要なのは、顧客の目線に立つことである。顧客からデータをもらうために、どのような便益を返せるのか。デジマには様々なツールがあるが、その前にマーケティングの骨格を考え、金融機関だからこその戦い方を突き詰めていくことが望ましい。

講演企業情報
株式会社ブレインパッド:https://www.brainpad.co.jp/

メディアデータ活用で
サイト来訪ユーザーのインサイトを読み解く。

橋本 智明
【講演者】
株式会社オールアバウト
メディア事業部
橋本 智明 氏
小林 広紀
【講演者】
トレジャーデータ株式会社
マーケティングマネージャー
小林 広紀 氏

株式会社オールアバウトは、日本最大級の総合情報サイト「All About」を運営するとともに、コンテンツマーケティング事業を展開している。コンテンツの種別は大きく2つ。まず、「メディアタイアップ」。コンテンツ数は累計7400本に上る。次に、「オウンドメディア支援」。累計約40のメディア立上げを支援している。

2018年からは、コンテンツマーケティングプラットフォーム「All About PrimeAd」を提供している。機能は大別して2つある。第一に、メディアの活用。2019年9月時点で、100メディアとアライアンスを組んでいる。生活者が、「All About」を含む100メディアを介して広告主である企業のサイトに遷移する仕組みだ。各メディア上での行動データはCDPに蓄積され、広告配信やレポートに活用。なお、オールアバウトの保有データには、提携している株式会社NTTドコモの契約者情報の一部(年齢・性別等、NTTドコモがお客様から同意を得た範囲に限る)も含まれる。第二に、データの活用。「All About」のデータ基盤として「Arm Treasure Data CDP」を使用。特徴は、共通のIDをフックにCDP導入企業間でのデータ連携を容易に行えることだ。また、期間無制限でデータを保持できる。ユーザーを最も深く理解できると考え、このCDPを選んだ。

CDPを用いたメディアデータ活用の事例を2つ紹介する。まず、某保険会社の事例。目的は、自社サイト来訪ユーザーのアクション率向上だ。保険会社が保有する自社サイトの閲覧行動やCVのデータと、オールアバウトの保有データを紐づけ、自社サイト来訪ユーザーが「All About」で読んだ記事のカテゴリーを、年齢別や資料請求した商品別などに分けて分析。加えて、資料請求をしたユーザーの個別分析を行った。「All About」と保険会社のサイトの閲覧行動を一連の時間軸で見ることで、ユーザーの検討状況や保険ニーズの背景となるインサイトを推察した。こうして見えてきたインサイトに、「All About」のユーザーや保険会社の顧客の傾向を掛け合わせて検討し、これまで考えていなかった新たなターゲット層を発見した。このターゲットに対してコンテンツマーケティングの施策を実施することで仮説の検証を行っている。具体的には、まず「All About」でターゲット向けのコンテンツを制作し、そこから保険会社のサイトに送客を実施。現在、その先のサイト回遊やアクション率を検証中だ。

次に、某自動車メーカーの事例。目的は、ロイヤル客の増加・アップセル・離反防止だ。この自動車メーカーでは、以前は顧客・購買・車体などの各種データが社内で分断されていたが、「Arm Treasure Data CDP」の導入によりデータが統合された。これらのデータをいくつかのセグメントに分け、オールアバウトの保有データとの紐づけを実施。「All About」の記事のうち「自動車」のカテゴリー、特にメンテナンスの記事を読んでいる人の割合は、一般客よりロイヤル客の方が高いなどの傾向が見られた。また、個別分析も実施。この事例では一定期間中の閲覧行動を分析したところ、週末ドライブの数日前に「All About」の温泉・日帰り旅行の記事を閲覧するなど、カーライフのインサイトが見えてきた。メーカーでは持ち得ないこのような情報を基に様々な仮説を作り、共に議論しながら、誰にどのようなメッセージを配信するかといった施策を検討しているところだ。

マーケティングの成功には、顧客を正しく理解することが重要である。そのためには質の高いデータが必要だ。まずは、最も質の高い自社の保有データを、埋没・分断させずに使える状態にすること。その上で、外部のデータを上手く組み合わせると、より解像度の高いユーザー分析が可能になる。

データから見えるのはあくまでヒントであり、仮説や答えを導き出すには人の想像力が必要だ。常に生活者と向き合っている「All About」のようなメディアを活用していただけると幸いである。

講演企業情報
トレジャーデータ株式会社:https://www.treasuredata.co.jp/

AIを活用した、事業拡大のための
最新デジタルマーケティング施策

髙橋 悠人
【講演者】
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ
執行役員
髙橋 悠人 氏

マイクロソフトとIDC Asia/Pacificが共同実施した調査(※)によると、AIの活用を開始している日本国内の企業は約3分の1。残りの3分の2の企業は、AIの市場が成熟するのを待っている、あるいはAIを戦略としてまだ考慮していない状況だ。
※「Future Ready Business : AIによるビジネスの可能性について」(2019年3月)

AIの導入が進まない理由は何か。日本・米国・英国・ドイツの4か国を比較した総務省の調査では、回答割合が最も高い理由は「AIの処理結果の質を担保できない」、次いで「有用な結果が得られるか不明」となっている。また、「AIの導入を先導する組織・人材不足」の回答割合は、日本が突出して高い。

AI導入の成功要因の特徴は大別して3つある。第一に、短いイノベーション・サイクル。アイデアを出し、プロジェクト化して、プロトタイプを作る。このスパンを短くすること。第二に、プロジェクトの早い段階でのパイロット運用開始。意思決定にかかる時間を短くすること。第三に、クロスファンクショナルチームの活用。特定の部門に任せるのではなく、全社を挙げて推進することだ。

企業からよく聞く課題は、特にデジタルマーケティングの領域で優位性をどう出していくかだ。ポイントを順に整理する。まず、「クリエイティブ」。広告表現の規制は年々厳しくなっている。次に、「メディア」。効果的なメディアやキーワードを取り合い広告費の単価が高騰している。そして、「テクノロジー」。テクノロジー以外では差別化が困難な状況下で、このテクノロジーの活用こそ、優位性を確立・強化するキーワードになる。

WEB広告におけるAI活用事例を紹介する。

まず、リスティング広告の事例。当社では、「Adscale」というAIソリューションを活用し運用している。世界では35か国、6,750社以上、国内でも多くの企業が導入している。特徴は、「人力での限界を超えた分析・予測・提案が可能」「24時間365日のAIによる実施内容の記録」「事前に導入効果を把握することが可能」の3つ。導入企業全体で件数拡大の実績がすでに出ている。導入前の相談などは無料なので、是非ご検討いただきたい。

次に、パーソナライゼーションの事例。当社では、AIを利用して個々の顧客に合わせたプロモーションを行う「Dynamic Yield」というAIプラットフォームを、日本販売代理店第一号として2019年秋から導入。海外の某ECサイトでは、トップページ・商 品ページ・購入段階のそれぞれにおいて、来訪ユーザー個別の趣向や過去の動作、季節などに応じた表示切替え及びレコメンドを行い、購買を促進している。すべてのデバイスで同期するため、最適なユーザー体験を提供できる。

最後に、SNS広告の事例。Facebook/Instagram広告の悩みとしてよく聞くのは、「クリエイティブの良し悪しがわからないこと」「最適なセグメントや細やかな調整ができないこと」である。人の勘と経験に依存している中で、AIをいかに活用していくかがポイントとなる。

たとえば、画像の内容や広告コピー、配色などの要素を分解してレポーティングするものや、複数パターンの広告を用意し、セグメントに合わせて高頻度で配信し、クリエイティブを24時間最適化するものなど課題に合わせて導入することで改善が見込め る。国内の某ECメーカーでは、獲得効率45%改善という実績が出ている。

AIという武器を使って日々の業務を行うことは、海外ではすでにスタンダードだ。アドフレックス・コミュニケーションズでは、海外のAIソリューションの中でも実績のあるものを目利きして導入し、皆様の事業拡大に貢献できるよう尽力している。

講演企業情報
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ:https://www.ad-flex.com/

りそな銀行がiDeCoのアプリ戦略を選んだ3つの理由

下坂 泰造
【講演者】
株式会社りそな銀行
信託ビジネス部 グループリーダー
下坂 泰造 氏
島袋 孝一
【講演者】
株式会社ヤプリ
コミュニケーション部 マーケティングスペシャリスト
島袋 孝一 氏

ヤプリは、2013年に創業し、クラウド型アプリ開発プラットフォーム「Yappli」を提供している。特徴は、短期間で簡単にアプリを開発することができることだ。対応可能な領域は、マーケティング販促、営業支援・社内向け、人事・採用など幅広い。現在までに、業態問わず約300社がYappliを利用し、開発されたアプリの累計ダウンロード数は3500万件に上る。本日は、マーケティングには様々なファネルや施策がある中で、りそな銀行がiDeCoの推進にYappliを使ったスマートフォンアプリ戦略を選んだ 理由を紹介する。

まず、りそな銀行がiDeCo及びiDeCo+を推進する背景を説明したい。日本の企業の殆どは中小企業であり、従業員数も半数以上を中小企業が占めている。一方、企業年金制度を設けている企業は、従業員数1000人以上の場合は66.8%であるのに対し、100人未満の場合は13.9%と少ない(※)。りそな銀行では、主な顧客である中小企業を取り巻く、人材確保や福利厚生といった経営課題や、従業員の老後不安を解決していく必要があると考えた。特に力を入れているiDeCo+は、企業も掛金を拠出する点が特徴であり、従業員のニーズが高く中小企業の事業主にも好評な商品となっている。
※厚生労働省「平成30年『就労条件総合調査』」より

次に、デジタルマーケティングの考え方を紹介する。りそな銀行では、顧客行動の過程をフェーズ分けしたマーケティングファネルをベースに、施策のプランニングを行っている。具体的には、認知段階の顧客にはSEOや運用型広告を、情報収集・検討段階の顧客にはランディングページやオウンドメディアをといった、各ファネルごとに適切な施策を実施している。

マーケティング活動におけるメディア戦略の考え方に、「トリプルメディア」がある。様々なメディアを「ペイド」「オウンド」「アーンド」の3種に分類するフレームワークだ。例えば、テレビ広告やネット広告は一般層向けのペイドメディア、SNSはファン層向けのアーンドメディア、自社サイトや自社アプリは顧客層向けに所有するオウンドメディアである。事業の課題に応じてバランスよく施策を打っていくことが望ましい。

りそな銀行では、オウンドメディアとして、iDeCoに関する情報を発信するWEBサイトを2016年10月にリリースした。徐々に増えていくサイトのリピート客との接点をいかにして強化するか。戦略として、りそな銀行はスマートフォンアプリを選び、2018年2月にリリースした。アプリを選んだ理由は3つだ。

第一に、利便性。ユーザーは時間・場所を問わず情報を得られる。また、アプリインストールの獲得を、既存のオウンドメディア(WEB)上へのバナー設置や会員向けメール配信などで行うことで、広告費がゼロで済む点も利点だ。第二に、情報の伝わりやすさ。通常のWEBサイトと比較すると、次のコンテンツへの推移が2倍、平均滞在時間が3倍など大きな違いが出ている。第三に、アクションにつながる仕組み。金融商品については、リアル店舗での相談のニーズが非常に高い。アプリの中に店舗の情報や予約案内を設けることで、情報収集から誘導まで一貫して行うことができる。

最後に、Yappliの強みを紹介する。まず、プログラミングが不要で、エンジニアではない社員でも直観的な操作だけでアプリを開発できること。次に、OSやハードのバージョンアップへの対応が追加費用なく自動で行われること。そして、プッシュ通知を迅速に行えること。外注することなく、自社スタッフのパソコンの管理画面で更新して即時反映することができる。ヤプリでは、アプリリリース後もカスタマーサクセス部がフォローし、皆様のビジネスの成功をお手伝いしている。無料個別相談会を随時実施しているので、ぜひ皆様のお悩みをご相談いただきたい。

講演企業情報
株式会社ヤプリ:https://yapp.li

LINE Financial が進める『金融の民主化』
~デジタルマーケティングを活用した金融戦略~

岩田 慎一
特別講演
【講演者】
LINE Financial株式会社
Marketing Communicationチーム マネージャー
岩田 慎一 氏

LINEグループのミッションは「CLOSING THE DISTANCE」世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることだ。2011年にリリースしたコミュニケーションアプリ「LINE」は、老若男女問わず多くの人に、毎日のように活用いただいている。

LINEグループは、いつでもどこでも最適な距離でシームレスにLINE上ですべてが完結する世界「スマートポータル」構想を掲げ、オンライン・オフラインを問わず、情報、サービス、企業、ブランドをシームレスに繋げるために様々な商品やサービスを展開している。戦略事業として、Fintech、コマース、AIに重点的に取り組んでおり、2019年6月には、「Life on LINE」という新たな世界観を発表した。人に24時間365日寄り添い、生活に密着したサービスの展開を進めている。

金融サービスをインターネット、特にスマートフォンで展開する場合、いくつかのハードルを超える必要がある。一つ目は、そもそも自分には金融サービスは難しい、向いていないと感じる心理的なハードル。二つ目は、小さな画面上での操作やセキュリティへの不安といったデバイス固有のハードルだ。これに加えて、事業主側の課題もある。特に若年ユーザーとの接点が希薄化していること。また、スマートフォンに最適化していないといった、技術対応の遅れ。こうしたユーザーの心情と事業者側の課題が、特にスマートフォンで金融サービスが浸透していく上での大きな壁となっているのではないか。

では、なぜLINEは金融事業を推進するのか。我々には3つの強みがある。第一に、コミュニケーション。月間利用者8200万人という「LINE」ユーザーを有している。第二に、テクノロジー。スマートフォンに最適化され、ストレスなくアクセスできる金融サービスを提供する技術力がある。第三に、デザイン。「LINE」は、サービス開始当初から、スマートフォンに適した操作性や画面を分析しながら開発を行ってきた。こうした強みを活かして、LINEグループなら壁を越えられると考え、Fintechの事業に参入した。

LINEグループの金融サービスを主に提供しているのが、私が所属するLINE Financial株式会社だ。2018年1月に設立され、「金融が変わる。LINEが変える。」をミッションに掲げている。これまで金融機関に足を運んでいたことが、スマートフォンで全て完結するような「手のひら金融」、言わば「金融の民主化」の実現を目指している。

LINEが提供する金融サービスについて、一部を紹介する。

まず、「LINE Pay」。「LINE」を通じて、送金や決済に利用できるサービスだ。日々の買い物を便利にお得にする仕掛けを豊富に設けている。次に、「LINE家計簿」。「LINE」上で簡単に収支の記入・管理ができ、無料の家計簿・資産管理サービスだ。そして、「LINEスマート投資」。ジャンルを選んで投資する「テーマ投資」と、500円から始められる「ワンコイン投資」を提供している。そして、LINEの利用傾向とライフスタイルに関する質問からスコアを算出し、スコアに応じた特典を提供する「LINE Score」、LINE上からいつでも、必要なときに、必要な分だけ借り入れや返済ができる「LINE PocketMoney」。最後に、プロが厳選した有名企業300社の銘柄とETF15銘柄の取引が可能で、投資をより身近かつ手軽に行える「LINE証券」だ。

これらの金融関連サービスは、「LINE」のウォレットタブに全てラインナップされている。各サービスごとに友だち登録の機能があり、登録したユーザーに対し様々なプッシュ通知を実施。効果的にユーザーに情報を届けている。

LINEグループは、常に挑戦し、強みを活かしながら、金融サービスが普段の生活空間の中にある世界の実現を目指していく。

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