- アクサダイレクト生命の進めるデジタルマーケティング
~集客・UI/UX・契約保全におけるデジタルを活用した取組み~ - 様々な顧客接点を「人軸」で捉え、
一人ひとりに合わせた体験を提供するCX(顧客体験)の考え方とは? - AIを活用した事業拡大のための最新デジタル施策
- 金融業界におけるデジタライゼイションを支援する
Sansanビジネスプラットフォーム - SOMPOのデジタルを活用した新規事業創造について
アクサダイレクト生命の進めるデジタルマーケティング
~集客・UI/UX・契約保全におけるデジタルを活用した取組み~
- 基調講演
【講演者】
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アクサダイレクト生命保険株式会社
執行役員CMO佃 裕史 氏
アクサダイレクト生命は、日本初のネット専業の生命保険会社として2008年に営業を開始。ネットでも検討いただきやすい、シンプルな保障内容で、低廉な保険料にこだわった商品を提供している。
営業チャネルは、ネットを軸としながらも、ダイレクトや比較サイト、グループ会社からの送客、保険ショップ、銀行窓販等とオムニチャネル化を推進。ウェブの利便性や、お客さまとのコミュニケーションはビジネスの生命線であるため、日々、磨き続けている。
ネットビジネスでは、ただ待っていても成果は拡大しない。一方で、全ての施策を数値で計測・評価できる。保険は無形の商材であり、Webでは特に繊細な訴求が必要だ。そのために何をすべきか。課題を定量的に把握してPDCAを迅速に回し続けること。マーケティングに加え商材である保険を深く理解すること。そして、社内外の協力体制の構築が必要だ。
当社は4つのスピード感で動いている。第一に、意思決定の速さ。100名弱のコンパクトな組織で、決裁の手続きも必要最小限である。第二に、商品企画の速さ。各部門を横断して協議し、必要最低限の時間で結論を出す。第三に、コンプライアンス面の速さ。スピーディーな募集文書審査が、迅速なクリエイティブの改善を支えている。第四に、IT開発の速さ。開発は内製がメインであり、迅速に開発を実行できる。時には拙速になることもあるが、経験を糧にPDCAを高速で回してビジネスを推進している。
具体的な取組内容を説明する。まず、集客について。「潜在層」「顕在層」「超顕在層」という3つの顧客層に応じ、それぞれアプローチ方法を分け、日々、最適化している。広告代理店とは、ミーティングを週次で実施し、獲得進捗、運用課題を共有。別途、月次でも中長期的課題を議論している。また、相互理解のために勉強会を実施。当社のコアバリューや目指す将来像、商品のポジショニングについて広告代理店の理解を促進している。多岐にわたるKPIは、常にトラッキングしている。データ分析のダッシュボードを社内の様々なデバイスからアクセスできるようにし、主要KPIをリアルタイムに把握し、即時にアクションを指示している。
次に、UI・UXについて。現在の課題は、CVRの向上であり、各種施策に取り組んでいる。主な施策を挙げると、「3STEP診断」では、顧客情報に応じてプランを提案。また、商品理解の促進のため、特長の要約動画を商品ページに掲載。さらに、ページの閲覧人数のリアルタイム表示により心理的な後押しを実施。お客さまとのコミュニケーションにおいては、2019年9月より有人チャットとロボットアドバイザーを連携し、Webチャットを24時間化した。加えて、コールセンターでは、お客さまのスマートフォン画面を共有し、申込方法をサポートするサービスも提供している。更に、検討するが申込に至っていない顧客に対してはコールセンターからフォローを実施し、申込率の向上につながっている。
最後に、契約保全について。マイページ上でほとんどの手続きが可能。給付金請求の完全なWeb化も2019年7月より対応し、翌8月の利用率(医療保険・がん保険)は、Web経由の請求が半数近くを占めている。また、支払いまでに要する平均日数も速さにこだわっており、お客さまから好評だ。
今後のブランディングとして、より、スピードにこだわっていきたい。また、「SIMPLE」「SPEEDY」「INNOVATIVE」「EXICITING」「FAIR」。この5つの合言葉に基づき、顧客価値向上を推進していく。
様々な顧客接点を「人軸」で捉え、
一人ひとりに合わせた体験を提供するCX(顧客体験)の考え方とは?
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【講演者】
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株式会社プレイド
Sales Director金田 拓也 氏
プレイドは2011年に創業し、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供している。KARTEは、Webサイトへの来訪者の「今この瞬間」をリアルタイムに可視化する。リアル店舗と同様のコミュニケーションがデジタルでも可能だ。個々人のデータの深堀りした分析もできる。来訪者の行動データは全て蓄積され、LPに訪問したが申し込まなかった集団の来訪回数やFAQを見た割合等がわかる。
KARTEの特色は「思いついたことがすぐ試せる」「すぐ結果がわかる」ことだ。多様なテンプレートから選んだアクションを簡単に設定可能。専門的な知識がなくてもボタンひとつで反映できる。アプリでも同様のサービスを用意している。また、あらゆるデータをつなぎ、かつ、分析可能な環境も提供している。
皆様のWebサイトは、来訪者と向き合っているか。例えば、口座開設キャンペーンの案内が出ていても、既存の顧客には有益でない。個別の目的に応じて情報を知ってもらい、それを適切にサポートすることが重要である。
KARTEの使用事例の一部を紹介する。まず、アクサダイレクト生命保険株式会社の講演で紹介された、申込時の「お困りですか?」など個別最適化メッセージの表示。次に、チャットボット機能。某証券会社では、定型の質問や時間外はチャットボット、IPOなど個別の対応が必要なものは有人で対応。顧客の望む内容や運営側の状況も合わせた適切なサポートを実現している。また、満足度や興味を確認する機能も搭載。サービス利用直後など、意欲が高まっているタイミングでNPSなどのアンケートを行うと効果的だ。
そもそもCXとは何か。CXは、商品自体の価値を変えるものではなく、商品にプラスアルファを生み、顧客の受取り価値(心理的・心情的な価値)を高めるものだ。また、CXは事業収益に寄与する。ただし、CXは定義できず、サービスや業界、タイミングによって異なる。数値やKPIではなく、人として捉えることが望ましい。「どういう人に何をしたいか」を考えること自体が、CXを考える上で大切な素地である。
そのための前提は、人を観ること、知ること、想像してみることだ。例えば、閲覧人数の表示を実施することの前提には、最後の後押しをして欲しい人がいるのではないかという想像がある。
加えて、「まず」届けてみること。セキュリティなどのハードルは高くなりがちだが、実行しなければ結果はわからない。意思決定を簡素化し、まずは届けてみる。良いCXを先に定義するのではなく、まずは向き合い、良し悪しは結果論として考えるべきだ。
デジタルもリアルも、「お客様」を主語にすると共通語になる。数値の話では閉塞的になりがちでも、どんなお客様にはどうだという会話になると、アイデアが出てきやすくなる。
当社はKARTEを通じてどのように皆様に役立てるか。使い方は、同じ保険業界でも企業、更には担当者によって異なる。皆様との共創のポイントを紹介する。
第一に、よりお客様に届けやすいこと。組織・部門間での情報格差や、知識・スキル不足といった問題。これを徹底的に溶かすことが当社の役割だ。
第二に、よりお客様を観ること。一人ひとりの実行動を動画で再生する「KARTE Live」を用意している。数字だけでは表せない顧客の情報が可視化され、深い顧客理解からアクションにつなげることができる。
第三に、デジタルだけでなくリアルの場で向き合うこと。現在、NRIデジタル株式会社と実証実験をしている。リアル店舗での顧客の行動情報をKARTEと連携させ、人としての接点をより増やしていくことを目指している。
ぜひ、当社のプロダクトをお使いいただき、皆様の事業の共創に当社が寄与できれば幸いである。
株式会社プレイド:https://plaid.co.jp
AIを活用した事業拡大のための最新デジタル施策
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【講演者】
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株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ
執行役員髙橋 悠人 氏
2億2800万回。この数値は、日本における1時間の検索件数である(Googleの調査より)。同じくGoogleの調査によると、情報が必要な場合に検索を行うスマートフォンユーザーは91%。また、店内で商品を買う前に検索を行う同ユーザーは82%に上る。検索は、日常生活で当たり前の行動になっているのだ。
企業側が顧客へ最適に情報を届けるには、検索型結果画面の上位にサービスを掲載する、など従来にはない方法をとっていく必要がある。検索結果ページの上部は入札式の広告になっているので、いかに上位に掲載させるか、どのキーワードで掲載させるのがいいか、といった改善をしていかなければいけない。その改善には精度が高い機械学習型のAIの活用が有効となってくる。
日本におけるAIの導入状況はどうなっているか。ある調査(※)によると、「AIアクティブ・プレイヤー」の割合が、日本は調査対象7か国中で最も低い39%。産業別の割合で見ても遅れを取っている状況だ。
※ボストンコンサルティンググループ「企業の人工知能(AI)導入状況に関する各国調査」(2018年12月)
AI導入の成功要因には大きく3つの特徴がある。第一に、短いイノベーション・サイクル。アイデアを出し、プロジェクト化して、プロトタイプを作る。このスピードを上げること。第二に、プロジェクトの早い段階でのパイロット運用開始。意思決定にかかる時間を短くすること。第三に、クロスファンクショナルチームの活用。全社を挙げて推進すること。企業からは、「時間が足りない、手が回らない」「人材不足で機動的な対応が困難」といった声が聞かれる。だからこそ、AIに強みを持つ外部企業の活用が効果的だ。
Web広告におけるAIの活用について、リスティング広告の事例を紹介する。当社では、昨年9月から、「Adscale」というツールを国内独占で提供している。世界では35か国、6,750社以上で導入。国内でも現在約50社が導入している。
人力ではできない粒度の分析が可能だ。AIは24時間365日、絶えず最適化を続ける。ここにAIの機械学習・分析を使うと、日ごとに濃淡をつけて最適に配分できる。
最後に、AIとSNS広告の掛け合わせについて説明したい。Facebook/Instagram広告の悩みとしてよく聞くのは、まずクリエイティブの良し悪しがわからないこと。次に、最適なセグメントや細やかな調整ができないこと。要因は人の勘と経験への依存だ。当社は、ここでもAIを導入した最適化をし、効率的な運用をしている。
当社でも既に導入実績があり、某ECメーカーでは獲得効率が45%改善した。
当社では、リスティング広告やSNS広告以外にも様々なAIサービスを提供している。当社とともに、デジタルマーケティングに最先端のAIをぜひ活用していただきたい。
株式会社アドフレックス・コミュニケーションズ:https://www.ad-flex.com/
金融業界におけるデジタライゼイションを支援する
Sansanビジネスプラットフォーム
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【講演者】
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Sansan株式会社
Sansan事業部 金融営業部 部長
後藤 直之 氏
Sansan株式会社は、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向け名刺アプリ「Eight」を提供。「Sansan」は業種・規模問わず6,000件の顧客に利用いただいている。名刺は、顧客情報を表す最も正しい情報だ。「いつ、どの部署・役職の人と接触したか」という接点情報・人脈情報としての有用性も高い。加えて、名刺交換の傾向から、名刺所有者の知識や経験のある領域が示唆されることも強みだ。
Sansanの使い方は簡単だ。まず、名刺をスキャンする。専用スキャナでは20枚まで、スマートフォンアプリでは4枚まで同時に読み込み可能。読み込んだデータをAIと人で多重入力。99.9%の精度を保証している。名刺データはデータベース化され、マルチデバイスで活用できる。
Sansanの専用ページについて説明する。名刺と会社情報の検索窓では、ログインした本人に加え、会社全体、他の社員など、名刺を交換した主体のフィルタリングが可能だ。
「Sansanニュース」では3つの情報を通知する。第一に、名刺交換した人に関する人事異動・連絡先変更の情報。第二に、社内ニュース。自分が過去に名刺交換した人と、社内のメンバーが名刺交換をした情報。第三に、企業ニュース。名刺を保有している企業の最新ニュースを主要媒体から独自のシステムにより自動取得したものだ。
スキャンした名刺画像は即時に閲覧可能である。手書きで残した内容も確認できる。データ入力中の場合は、完了予定日を表示。画像から遷移可能な名刺詳細のページでは、名刺記載のデータに加え、参考情報も記録することができる。
Sansanには、交換された名刺の中で同一人物と認識したものを一人の人物として名寄せする仕掛けがある。経歴などの最新情報を人物単位で把握することが可能だ。企業情報については、従来の帝国データバンクの情報に加えて、四季報の各種情報を掲載。更に、株式会社 xenodata lab.のAI決算分析の連携表示機能も追加した。決算発表後、最速当日にSasan上にレポートが配信される。こうした情報はPDF形式で出力可能だ。
Sansanはスマートフォンアプリ内の情報からの架電、メーラー立上げ、Googleマップ立上げなども可能。名刺を交換した相手から着信があった場合、Sansanに交換した名刺を読み込んでいれば、スマートフォン本体に顧客情報が登録されていなくても、Sansanが発信者名を表示することができる。
皆様の利便性をより高めるために、「顧客データHub」を構築している。名刺情報、SFA、帝国データバンク、商業登記データ、当社独自で付与したデータを名寄せし、正規化・リッチ化・統合する仕組みだ。当社独自のデータは大きく2つ。まず、役職ランク。「ある企業における役職の位の高さ」を6段階で表示する。次に、部署・職種分類。なお、現時点で顧客データHubが自動連携できるツールは、SalesforceとMarketoの2つである。
最後に金融業界での活用事例を紹介する。某地方銀行の法人営業部門長は、スマートフォンアプリの活用で業務効率が大きく向上したとのこと。日々膨大な数の人々と会うが、Sansanで瞬時に検索し、外出中の時間も有効活用いただいている。また、某保険会社の企業営業部門長は、定期異動時の引継ぎ業務を充実させることができたとのこと。脈々と受け継がれてきた接点情報は、顧客との信頼関係に直結する肝要な情報となっているという声をいただいている。
各社の導入背景に応じて、営業生産性向上、新規開拓強化、デジタルマーケティングへの活用など、Sansanは様々な効果をもたらしている。金融業界の皆様とも距離間の近いサービスであると認識いただければ幸いである。
Sansan株式会社:https://jp.corp-sansan.com/
SOMPOのデジタルを活用した新規事業創造について
- 特別講演
【講演者】
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損害保険ジャパン日本興亜株式会社
執行役員 ビジネスデザイン戦略部 部長中村 愼一 氏
SOMPOホールディングスは、損害保険を中核に、生命保険、介護事業、健康指導・相談事業などユニークな事業ドメインを広く展開している。新規ビジネス創出に向けた体制は、3つの部署で構成。デジタルを活用したR&D部門「デジタル戦略部」。先端科学技術起点「ビジネスクリエーション部」。そして、私が部長を務める「ビジネスデザイン戦略部」。当部が目指すのは、次期中期経営計画の柱となる新規事業の創出。2020年代半ばの利益合計100億円達成(複数ビジネス)が目標だ。
新規事業創出の戦略は、「損害保険領域」と「保険以外の領域」の両輪で展開している。損害保険領域では、市場の変化や温暖化による気候変動など、脅威の予兆への対応に注力。保険以外の領域では、5つのメガトレンド(モビリティ革命、シェアリングエコノミー、ヘルスケア、フィンテック、ライフスタイル)に注力している。こうした展開に重要なのが、自社の強みを明確にし、アライアンス先と交渉しながら事業を創っていくことだ。
SOMPOの強みは、大別して3つだ。まず、2000万件超の顧客データ。次に、顧客へのアプローチ。約5万店の代理店、4000万件の郵送物、デジタルマーケティングの基盤(SOMPO Park)を有する。そして、コアコンピタンス。損害保険やグループ事業は勿論、企業や官公庁への太いパイプやシリコンバレーでのネットワークも大きな強みだ。
この2年間で立ち上げた、6つの新規事業を紹介する。
第一に、新たな顧客体験「LINEほけん」。ユーザー登録すれば、損害保険加入の手続きが最短1分で完了する。現在、LINEほけんの友達数は約920万人、売上も右肩上がりだ。
第二に、少額短期保険会社「MYSURANCE」。プラットフォーマーの要望にスピーディに対応するため、別会社を設立。第一弾の商品は、世界初の「贈るほけん 地震のおまもり」。LINE上で友達に贈る保険だ。レジャー保険やイベント保険などに拡大する予定だ。
第三及び第四に、CtoCカーシェア及びマイカーリース。DeNAと2つの共同事業体を設立。それぞれ、CtoCカーシェアの「Anyca」と、マイカーリースの「SOMPOで乗ーる」を提供している。Anycaは、車を使わない間にシェアしたいオーナーと、必要な時に好みの車を使いたいドライバーをマッチングする。SOMPOは、保有する各種データと保険代理店を活用して、オーナー・ドライバーを飛躍的に拡大させる役割を担っている。一方、SOMPOで乗ーるは、車の定額払いである。サブスクリプションとシェアリングを掛け合わせ、実質負担を軽減させる新しい車の持ち方・価値を提供している。
第五に、防災・減災サービスの事業化。アメリカのAIベンチャーであるone concernと、ウェザーニュースと3社で連携。各社の技術とノウハウを組み合わせ、災害発生前の防災・発生時の被害シミュレーションや、発生後の被害状況のリアルタイム把握が可能なシステムを実現。日本のレジリエンス力の向上と、BCPコンサルティングなど新しいビジネスの構築を図っていきたい。
第六に、顧客コミュニケーション基盤「SOMPO Park」。SOMPOが提供する全サービスのIDを一元化し、顧客の利便性向上及び顧客の見える化を実現。入口を統一することで、セキュリティの高位平準化も実現。会員数の拡大及びアクティブ会員の増加を確立して、データに基づく最適なリコメンドを行い、既存・新規ビジネスの利益拡大につなげていく。
ビジネスデザイン戦略部では、積極的に対外コミュニケーションを取り、失敗を恐れずトライを重ね、スピーディに展開することを重要視している。今後も次々と新規事業を構築していきたい。