2022年12月8日(木)開催 MANAGEMENT WEBINAR「テクノロジーを駆使した戦略的人事と組織改革」<アフターレポート>


2022年12月8日(木)セミナーインフォ主催MANAGEMENT WEBINAR 「テクノロジーを駆使した戦略的人事と組織改革」が開催された。近年、働き方が多様化するなかで、社員のワークライフバランスやモチベーション維持を考え、人事戦略や組織体制を変えようとする動きが広がってる。一方で、コロナ禍の長期化の影響で非対面性が重要視されるなど、コミュニケーションが十分に確保できないといった課題点も浮き彫りになっている。こうした中、各企業がITツールとうまく向き合い、バランスの取れた仕事環境の実現に向け、邁進されていることと思う。本ウェビナーでは、三井化学と三越伊勢丹ホールディングスに最新事例をご紹介いただいたほか、協賛企業より人事や組織改革に資する情報をお届けした。

目次

「<戦略的人事を実現する>従業員情報を活用した人材マネジメント」

【講演者】
株式会社SmartHR
事業開発グループ アライアンスユニット チーフ
小杉 和明 氏

<変化する労働市場>

まず労務の効率化が必要となる背景からご説明する。変化の1つ目は労働力人口の減少と労働時間の規制強化で、売上・収益を維持・拡大していくには生産性の向上が必須だ。2つ目の変化は転職の一般化、人材・価値観の多様化で、従業員が働きたい環境を選ぶ労働力市場になりつつある。

労働力人口は10年で800万人減少するという推計があり、1日あたり換算で約1,500人だ。10年で生産性を1.5倍以上に上げる必要がある。人材の流動化や求人倍率の上昇も発生しており、働き手の奪い合いが起きると考えられる。また働き手の多様化に対応する組織づくりが急務であり、具体的には女性活躍推進、外国人労働者の増加、ミレニアル世代やZ世代の台頭が挙げられる。

<なぜ労務の業務効率化が必要か>

人事労務担当者へのアンケートで「業務効率化した先に注力したいことがありますか?」という質問に「はい」と回答した割合は約90%にも及ぶ。実際に行いたい取り組みとして、最も多い回答は従業員満足度の向上であった。デロイトトーマツ社の調査で、企業が働き方改革に取り組む理由について聴取した結果では「従業員満足度の向上やリテンション」が圧倒的な1位となった。

一方で日本は、会社に対しての愛着や貢献の意志が低いというデータもある。クアルトリクス合同会社がエンゲージメントスコアを日本とグローバルで比較した結果、日本はもともとグローバルより大幅にスコアが低く、さらに2020年から2021年にかけて8ポイント減少している。エンゲージメントスコアは売上にも関連する要素であり、スコアを上げていく取り組みが必要だ。

<人材マネジメントにおけるデータの重要性>

人材マネジメントの基本は、正確かつ最新の人事データにある。SmartHRは必要なデータが自然と集まる仕組みにより、人事データをいつでも活用できる状態をつくりだせる。従業員が労務や人事にかかわる情報を直接入力でき、ハンコも紙も不要だ。労務管理の情報を人事データベースとして蓄積し、エンゲージメントやキャリア希望など人材マネジメントに活用できる。人事情報を活用できる状態になるには、前段階として2つのSTEPが必要と考えている。STEP1は労務管理の最適化、STEP2は人事情報の整備だ。

<SmartHRによる人事業務の効率化>

業務効率化のポイントは紙の業務で、印刷、配布、回収、管理のシーンだ。具体的には雇用契約、入社手続き、社会保険、給与明細、年末調整などがある。アナログな業務に時間を取られているケースも多い。

SmartHRはペーパーレスで業務効率化を推進できるシステムで、労務担当・従業員に使いやすいサービスとなっているのが大きな特徴だ。入社手続きは3STEPで行えるようになり、入社情報の提出をメールで依頼し、従業員がスマホ・PCで入力し、書類を自動作成・電子申請を行う。雇用契約書など入社に付随する多量の書類をペーパーレス化し、まとめてメール送付可能だ。送付後の巻き取りも簡単に行える。

年末調整も、従業員が質問に回答することで自動的に書類を生成できる。紙の準備や郵送・回収の手間の大きな削減が可能だ。また外国人労働者が多い企業の場合、従業員用の画面を多言語対応にすることもできる。

<労務領域のデータの重要性>

各企業には既に集まっているデータがあり、それが労務データだ。具体的には入社日や配属先と言った従業員情報、残業時間や休暇取得状況などの勤怠情報、基本給や残業代といった給与情報だ。人材マネジメント推進においては、手続きと連動して生まれる労務領域のデータが重要な役割を担う。

労務データをSmartHRでしっかり整備すると数々のメリットがある。たとえば従業員数、平均年齢、性別の平均勤続年数などのデータをダッシュボードで閲覧できる。SmartHRと勤怠システムの連携により作成可能な勤怠レポートでは、平均労働時間や残業時間、部署・雇用形態別の人員構成などを表示できる。上場企業で開示が義務付けられているデータもSmartHRで可視化が可能だ。たとえば管理職の女性比率、男女間の給与格差、男性の育児休業取得率等である。

SmartHRでは、労務の手続きや業務を通じて、自然な人事データの収集・蓄積が可能だ。他社のシステムとも柔軟に連携し、給与データや勤怠データなどと紐づけることができる。分析レポートを活用することでPDCAが加速する。雇用形態別人員構成や離職率などのデータを通じ、採用戦略や人員配置、働き方改革などの施策につながる。実際に結果になったのかを改めて分析することでPDCAサイクルを回していける。

<組織や従業員に関するサーベイの実施>

SmartHRでは、組織や従業員の状態を把握したり改善したりするためのサーベイを簡単に実施できる。組織改善であればエンゲージメントサーベイ、入退社であれば新入社員に対するオリエンテーション・1カ月後・受け入れ後のサーベイや退職サーベイがある。人事評価では浸透度合いや運用改善のアンケートを取ることもできる。その他にもキャリア・研修、就労環境に関する匿名のサーベイも実施可能だ。SmartHRでは、データベースに登録された従業員情報を使って簡単にサーベイを実施・分析できる。人事データとサーベイが連動するため、データの突き合わせから解放されるのもメリットだ。

<SmartHR導入・活用事例1.ハクブン様>

美容業を営まれている企業で、パートを含め約3,612名の従業員の方が勤務している。労務管理の効率化が課題で、すべてのやり取りが紙であったそうだ。また離職率が19.2%で、離職防止も課題となっていた。そこでペーパーレス化に加えサーベイも実現可能なSmartHRを採用。導入効果として、紙のコストを5,000万円削減することに成功された。またサーベイ結果をもとにコミュニケーションの見直しに取り組んだところ、離職率が18.2%と1ポイント減少した。

同社におけるサーベイ成功のポイントは3つあり、サーベイ結果と改善アクションの従業員への共有、店舗のサーベイ結果の多店舗の店長への公開、現場に近い管理職から分析を行ったうえでの分析結果の上層部へのエスカレーションだ。会社が改善の姿勢を示すことで従業員全体が会社を良くしようと改善に前向きになり、退職率低下の効果につながった。

<SmartHR導入・活用事例2.ウェルカム様>

卸売・小売を営まれている企業で、従業員数はアルバイトを含め1,957名だ(2021年4月時点)。SmartHRの活用により入退社手続き業務は10分の1に短縮した。また退職時の情報も貯まり、店舗ごとのアルバイトの定着状況も分析レポートで簡単に把握できるようになった。その結果、A店舗はB店舗より退職者数が多いが、長く働いてほしい主婦の退職はB店舗のほうが多いことが判明した。人事情報を分析することで、定着してもらいたい層に向けて行うアクションにつながった事例だ。

<最後に>

働く人や社会背景の変化に合わせ「働きがい」「働きやすさ」の醸成が必要だ。業務効率化を通し得られる人事データに加え、サーベイのデータを組み合わせることもポイントとなる。人事データ×サーベイによりエンゲージメント向上に本腰を入れることが可能だ。

◆講演企業情報
株式会社SmartHR:https://smarthr.jp/

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