置いてきぼりのDX化が顧客離れを加速させる。本質的なDX化を実現するためには

置いてきぼりのDX化が顧客離れを加速させる。本質的なDX化を実現するためには

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本稿では、金融業界全体の市況感から課題を把握し、DX化を実現するために必要なことを解説していく。

  1. 現状(金融業界全体の市況感)
  2. 金融業界における課題と現状
  3. DX化は急務。しかし、なぜ金融機関でDX化がうまくいかないのか
  4. プロセス全体をDX化していくこと、顧客体験をDX化していくこと
  5. 電話スキーム×デジタル化に活路がある
  6. 最後に

現状(金融業界全体の市況感)

金融業界に限らずコロナにより大きく市場変化が起きている

誰もが肌で実感しているとおり、コロナにより大きく企業活動に影響がでているのは言うまでもない。ワクチン接種は日本ふくめて欧米諸国では6割を超え、景気回復と防疫の同時並行による施策が進んでいる。コロナ禍で積み上がったコロナ貯蓄の行く末が2022年は気になるところだが、引き続き大きく企業活動において動乱の時期であることは間違いないだろう。

そんな中であらゆる金融機関が新しいチャレンジをしていかなければいけない岐路にたっている。

金融機関ではインターネットバンキングのさらなる推進、リモートによる接客など、デジタルシフトが進んでいる。三菱UFJでは2023年度末までに全支店の過半数が「窓口なし」店舗に、という意思決定がされている。

一方で、金融業界のDX化はうまくいっているところもあれば名ばかりDXになっているところもある。記憶に新しいがみずほ銀行ではシステム人員を2割増強し、相次ぐ障害に対する対策がうてる体制を構築するとしたが、そもそもDX化の前に自社インフラの強化や体制強化を進める企業も少なくはない状態だ。

金融機関がどこもシステム投資、整備、体制と力をいれはじめたものの、世の中の動きは待ってはくれず、金融機関に限らずDX化の波はきているわけだが、社内に適切なテクノロジー知識やノウハウをもった人材がおらず、とりあえずツールを導入するといった「本質的な吟味をできていないシステム導入」も進んでいるように思う。また金融領域のDX化により、人手に頼った業務が効率化されることで、大規模な人員が浮くこともわかってきており、人材の最適化とDX化を同時に考えながら、顧客が求めるDX化をどうしていくかを考えなければいけない状況でもある。つまり金融業界のDX化は複合的な課題となっており、他業界に比べて困難であると言えるだろう。

だからこそ、現場だけの判断でDX化を部分的にすすめることができない、経営的な意思決定のもとに進めなければ実行できないレベルまできているといっても過言ではない。各社が経営課題として現場任せにせず、役員がおりてきて対応をしているだろうか。全てではないが、現場を理解しきっている経営層はそうそう多いわけではなく、現場感と経営の乖離が起きているという点もこのDX化がうまくいかない理由の1つでもあるだろう。今求められているのは部分最適や部分改善ではなく、全体最適や一貫性のあるDX対策なのだ。日本は部分最適や改善が得意な国でもあり、そういった風土が本来すべき全体最適での施策・企画を捻じ曲げてしまっているともいえるだろう。