2022年の金融政策と金融機関への影響


2021年は世界的な新型コロナウイルス感染症の流行が続く一方で、経済活動は徐々に回復し、世界各国でインフレ率が上昇するなど、2020年とは全く異なる様相を呈していた。また、日本では、新たに岸田内閣が発足するなど、政治的変化も大きかった。本稿では2022年に向けた国内外の金融政策の動向を整理し、日本の金融機関への影響を述べる。

目次

コロナ収束を見据えて金融機関が取り組むべきテーマ

その際、コロナ収束を見据えて金融機関が取り組むべきテーマの一つとして、「グリーン」が挙げられる。世界的に脱炭素に向けた機運が高まる中、日本企業も対応していく必要に迫られている。グローバルに活動する大企業だけでなく、サプライチェーンに組み込まれた中小企業も足並みを揃えてグリーン化を進める必要が出てくるであろう。グリーン化へのステップは業種や企業規模によりまちまちであるため、まずは低炭素・低環境負荷への移行を目指す企業も少なくない。今後は、低炭素への移行を支えるトランジション・ファイナンスが重要となる。企業も手探りでグリーン化に取り組む中、銀行の本来業務である目利き能力を活かし、支援することが可能ではないだろうか。

日本企業のグリーン化を支援するため、日銀は「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(グリーンオペ)」を導入した。金融機関による気候変動対応に資する投融資をバックファイナンスする仕組みで、金利0%で資金を供給する。気候変動対応を推し進めるため、金融機関を後押しする。コロナ収束はまだ不透明な点が多いが、財務状態も良く、さまざまな支援がある今こそ、金融機関にとってポストコロナに向けた戦略を立てる好機ではないだろうか。

中村 文香 氏
寄稿
株式会社大和総研
金融調査部 研究員(担当:金融資本市場)
中村 文香 氏
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