SWIFT遮断~そのメカニズム、インパクトと将来~


SWIFTとは国際銀行間通信協会の略称であり、1973年にベルギーで設立された協同組合を指す。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた米国および欧州連合主導の金融制裁強化の流れの中で、2月26日にロシアの大手銀行をSWIFTから排除することを決定した。本稿では、足元のウクライナ情勢を念頭に、過去事例などを紐解きながら、SWIFT遮断について考えると共に、金融技術革新の与える将来的な影響について考察したい。

目次

SWIFT遮断への対抗策

イランでの過去事例をみればわかるように、今回のSWIFT遮断はある意味想定の範囲内と言えなくもなく、ロシアも対抗策を検討していなかったわけではない。ロシアは2014年に、ロシア版SWIFTとしてSPFS(Sistema peredachi finansovykh soobscheniy(System for Transfer of Financial Messages))を立ち上げた。SPFSはロシア版SWIFTであり、ロシア国内を中心に400以上の銀行が参加し、ロシアでの国内送金の20%がSPFS経由で行われている。しかし海外の銀行との接続はベラルーシ、カザフスタンなど周辺国で限定的に行われているにすぎず、ロシア経済が必要とするクロスボーダー取引に耐えうる状況にはないのが現状だ。

なお中国については、同様の趣旨をふまえ、2015年にCIPS(Cross-Border Inter-Bank Payments System)を立ち上げている。SWIFTにはまだまだ及ばないものの、直接間接での参加銀行くは1,200行を上回っており、中国国外の参加者が中国国内の参加者を上回る状況にある。中国はデジタル人民元への取り組みも進めており、SWIFT依存への高い問題意識が感じられる。

上記のようにSWIFT遮断への取り組みは行われているものの、SWIFTの優位性を崩すところまでは来ていない。米ドル取引停止など、その他の金融制裁の効力も相まって、SWIFT遮断は現時点では非常に有効であるものと言えよう。

村松 健 氏
寄稿
SBI金融経済研究所
事務局次長
村松 健 氏
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