SWIFT遮断への対抗策
イランでの過去事例をみればわかるように、今回のSWIFT遮断はある意味想定の範囲内と言えなくもなく、ロシアも対抗策を検討していなかったわけではない。ロシアは2014年に、ロシア版SWIFTとしてSPFS(Sistema peredachi finansovykh soobscheniy(System for Transfer of Financial Messages))を立ち上げた。SPFSはロシア版SWIFTであり、ロシア国内を中心に400以上の銀行が参加し、ロシアでの国内送金の20%がSPFS経由で行われている。しかし海外の銀行との接続はベラルーシ、カザフスタンなど周辺国で限定的に行われているにすぎず、ロシア経済が必要とするクロスボーダー取引に耐えうる状況にはないのが現状だ。
なお中国については、同様の趣旨をふまえ、2015年にCIPS(Cross-Border Inter-Bank Payments System)を立ち上げている。SWIFTにはまだまだ及ばないものの、直接間接での参加銀行くは1,200行を上回っており、中国国外の参加者が中国国内の参加者を上回る状況にある。中国はデジタル人民元への取り組みも進めており、SWIFT依存への高い問題意識が感じられる。
上記のようにSWIFT遮断への取り組みは行われているものの、SWIFTの優位性を崩すところまでは来ていない。米ドル取引停止など、その他の金融制裁の効力も相まって、SWIFT遮断は現時点では非常に有効であるものと言えよう。
- 寄稿
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SBI金融経済研究所村松 健 氏
事務局次長