SWIFT(スイフト)のメカニズム
SWIFTはSociety for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略である。クロスボーダーでの高額な資金移動の大宗がSWIFTを用いて行われている。
SWIFT自身は、預金口座に関わる資金の出金・着金のオペレーションを行うわけではない。SWIFTは金融機関のネットワークであり、オペレーションの指図として金融機関の間で行き交うメッセージそのものがSWIFTの実態である。SWIFTが管理することで、メッセージのフォーマットが統一されており、取引の効率化や事務処理の電子化が可能であること、メッセージの正確性・完全性・タイムリーな配信を含む、セキュリティの強化が行われていることが、独占的な地位を築くまでに普及した背景であろう。
SWIFTの利用は、クロスボーダー送金がコルレス銀行(correspondent bank)と呼ばれる仕組みに基づいて行われることと関係がある。コルレス銀行を用いる背景としては、銀行が支店のない国において現地の決済システムに加入することはできず代行者を置く必要があること、また、決済においてはしばしば大量の現地通貨が必要となり、現地通貨の調達能力を要するため、それらを有する現地行との連携が必要となること、が挙げられる。
銀行は、支店のない地域への資金送金への対応のため、当該地域に所在する他の銀行とコルレス契約(correspondent agreement)を結び、相互にコルレス銀行となる。コルレス銀行は相互に預金口座を開設し、その口座を用いて現地での資金決済を行う。銀行は、送金を行う地域にコルレス銀行がない場合には、コルレス銀行を介し現地の第三者の銀行を経由して送金を行うことになる。このような複雑な銀行間の関係で成り立っているのが現在のクロスボーダー送金の実態であり、これを成立させているのがSWIFTのネットワークである。銀行は、SWIFTのネットワークと統一化されたメッセージ・フォーマットを用いることにより、コルレス銀行を利用したクロスボーダー送金のオペレーションを実施することが可能となる。
なお、ここではSWIFTの利用例としてクロスボーダー送金を紹介したが、証券市場にアクセスするために現地のカストディアン(ローカル・カストディアン)との連携が不可欠な、クロスボーダーでの証券投資においてもSWIFTが重要な役割を果たすことも重要な点であろう。
- 寄稿
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SBI金融経済研究所村松 健 氏
事務局次長