金融業界の環境変化と、銀行の取り組み実例から考える「顧客に届けるべき新しい体験」

金融業界の環境変化と、銀行の取り組み実例から考える「顧客に届けるべき新しい体験」

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【PR】社会全体のデジタルシフトが急速に進み、金融業界を取り巻く環境も変化しています。目まぐるしい変化の中で、銀行が届けるべき顧客体験はどのように変わっていくのでしょうか。Japan Digital Design株式会社(以下、JDD)代表取締役CEOの河合祐子氏と株式会社三井住友銀行(以下、SMBC)リテールIT戦略部の大内伸幸氏に、事例を交えながら銀行の取り組みをお聞きします。モデレーターはトレジャーデータ株式会社の堀内健后が務めました。

  1. JDD河合氏が見る、金融業界に訪れた環境変化とは
  2. すべての業界がデジタルシフトする時代がきた
  3. 顧客にとって必要な情報を適切に届けるための3つのポイント
  4. 「売りたいものを売る」から、顧客理解へ
  5. 顧客理解を深め、ひとりひとりに合わせた唯一の体験を
※本記事は、日本経済新聞社、金融庁主催「FIN/SUM2022」(2022年3月開催)でトレジャーデータ株式会社が行ったセッションをもとに編集しました。登壇者の肩書などは、イベント開催当時のものです。

JDD河合氏が見る、金融業界に訪れた環境変化とは

堀内:河合さんが代表を務めるJDDは、三菱UFJフィナンシャルグループの一員です。大内さんは三井住友銀行からお越しいただきました。Treasure Data CDPの活用方法をご紹介いただくなど、PLAZMAにも何度か登場いただいています。

本日は2つの金融機関で働くお二人に、業界における変化についてお聞きします。よろしくお願いします。

早速ですが、河合さんはどのような環境変化が起こっていると感じていますか?

河合:端的に言えば、金融業界にも「データの時代」が到来しています。スマートフォンの保有率が大きく伸び、顧客がオンラインで行動する機会が増えました。取得できるデータの質や量がまったく変わってきていると感じています。

堀内:CDPに蓄積されるデータの件数もすごい勢いで増加しています。あらゆる業界でデータの質や量は変化していますね。

河合:変化したデータをどのように扱い、データをサービスにどう転換するか、また展開したサービスをどう評価するかを考えなければならない時代になりました。

金融機関が扱うデータには、顧客の金融取引のデータや属性データ、マクロ統計や金融市場のデータもあります。また、衛星データやGPSデータ、オンライン行動データなどのオルタナティブデータも最近増えてきています。

堀内:その膨大なデータを、どのように分析・活用していくべきでしょうか。

河合:データ分析で大切なのは「何を求めて分析するのか」です。「データがあるから分析しよう」では本末転倒ですね。私たちは「お客様を理解すること」「お客様の役に立つこと」を目的とし、需要の把握や予測、与信判断などにデータを分析・活用しています。また、データの基礎的な理解のため、各種データの突き合わせも行っています。

データを用いた顧客理解から始まり、仮説・検証→ロードマップ作成→1次リリース→再検証→2次リリース……というのが分析の一連の流れです。

堀内:その顧客理解に基づいた顧客体験を提供する場の一例が「Money Canvas」ですよね。

河合:はい。「Money Canvas」は、三菱UFJ銀行が2021年12月にリリースした、顧客向けの資産運用情報プラットフォームです。資産運用に関する情報提供から金融商品の購入まで、顧客のさまざまなアクションをサポートします。

ここでデータを取得し、それを元に第2次リリース、第3次リリースとグレードアップを図ります。

すべての業界がデジタルシフトする時代がきた

堀内:続いて、SMBCの大内さんにお話をお伺いします。データを用いて顧客体験を変えていく活動をテックR&D会社として切り出したJDDに対し、SMBCでは大内さんの所属するリテールIT戦略部が社内で行っています。

大内:顧客体験を設計する最初の企画の段階から社内のUXデザイナーに入ってもらい、取り組んでいます。

堀内:大内さんは、先ほどの河合さんのお話をどうお感じになられましたか?    

大内:河合さんからは「金融のデジタルシフト」についてお話しいただきましたが、オフラインを主戦場にしている他の業界でも、金融と同じことが起きていると感じます。

例えば自動車業界。ひと昔前ならば、車を買うまでには販売店に何度も足を運び、店員さんの話を聞いたり試乗したりしていましたが、最近では購入をほぼ決めてから販売店に来るお客様がほとんどで、1回や2回の来店で購入を決断するケースが多いのだそうです。

堀内:自動車販売店への平均来店回数は2回を切っていると聞きます。 2人に1人は初回来店で「買おう」という判断をしているのではないでしょうか。

大内:金融も自動車も単価が高く、それほど簡単には購入を決断できない部類の商品です。にもかかわらず、少ない来店回数で決断に至っているのは、AIDMAモデルでいう「アテンション」や「インタレスト」はデジタルの世界で済んでいることが多いのではないかと思っています。

立場が変われば私自身も消費者なのでよく分かりますが、消費者の購買行動自体がデジタルシフトしているんですよね。タイミングやレベル感の差はあれど、どの業界も顧客行動の変化に合わせて等しくデジタルシフトしていくのではないでしょうか。