2023年11月21日(火)開催 FINANCE WEBINAR「金融機関におけるデジタルを活用したタッチポイントの最適化」<アフターレポート>

2023年11月21日(火)開催 FINANCE WEBINAR「金融機関におけるデジタルを活用したタッチポイントの最適化」<アフターレポート>

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2023年11月21日(火)セミナーインフォ主催 FINANCE WEBINAR「金融機関におけるデジタルを活用したタッチポイントの最適化」が開催された。金融機関の顧客とのコミュニケーションはデジタルへシフトしており、対面型のサービスだけでなく、アプリを介した取引やオンライン上での相談など非対面サービスが増えている。技術の進化やデジタルトレンドの流れが急速に広がるなかで、持続的な開発と改善が求められている。基調講演では、株式会社みずほ銀行より継続的なUI/UX改善へのお取組みについて、特別講演では、株式会社鹿児島銀行のデジタル戦略や非対面チャネルの活用へのお取組み状況についてご講演いただいた。

  1. みずほダイレクトアプリの継続的なUI/UX改善活動と機能追加
    株式会社みずほ銀行 山口 剛 氏
  2. 鹿児島銀行のデジタル戦略とデジタルタッチポイントの最適化
    株式会社鹿児島銀行 徳留 直人 氏

みずほダイレクトアプリの継続的なUI/UX改善活動と機能追加

基調講演
 
【講演者】
株式会社みずほ銀行
デジタルマーケティング部
マーケティングプラットフォームチーム 調査役
山口 剛 氏

<1.お客さまとのタッチポイントとしてのスマホアプリ>

スマホアプリは、時間場所を問わずお客さまとの接点確保ができる重要チャネルの一つ。アプリを通じた能動的なデジタルマーケティング・コミュニケーションの他、店舗・他サービスとの連携も意識し、トータルで良い顧客体験を構築していくことが、ますます重要になってきている。

<2.みずほダイレクトアプリのストア評価推移と継続的なUI/UX改善活動>

2022年2月にみずほダイレクトアプリ(以下、アプリ)をリニューアルした。リニューアル前のアプリストア評価は1.5点程度であったが、直近では4.5点に改善している。改善の成功要因は、お客さまの声(VOC)への対応を中心とした継続的なUI/UX改善活動だ。継続的なUI/UX改善活動とは、①リリース後のきめ細かいスマホアプリ開発と②開発を伴わない活動の2点。これらを日々繰り返してくことが、非常に重要である。

以下、継続的なUI/UX改善活動の事例を2つご紹介する。

①リリース後のきめ細かいスマホアプリ改修
「アプリから突然WEBブラウザに遷移する」「操作の途中でログイン認証を求められる」といった声をいただいた。そこで、ログイン認証が必要ということを暗黙的に示すマークを該当箇所に表示するようにした。以降、同様の不満の声を聞くことがなくなった。

②開発を伴わない活動
アプリ開発を伴わないお知らせやHP・FAQ等の微修正・新規作成によっても、お客さまに内容をご理解いただけるよう様々な工夫を凝らしている。例えば、アプリのアップデートの告知をしたところコールセンターへ「どのようにアップデートをすればよいか分からない」という意見が複数寄せられたため、「みずほダイレクトアプリのアップデートの方法が知りたい」というFAQの新規掲載を直ぐに行った。この結果、コールセンターへの同様の問い合わせは減少し、FAQのアクセス数・解決率、アンケート回答状況にて、対応の満足度向上に繋がったことが分かった。

<3.継続的なUI/UX改善を可能とする仕組み>

アプリリニューアル後は組織体制も強化している。UI/UX改善の専任担当を配置し、VOC等の定性データ、アクセスログ等の定量データ両方を収集し、定点的な観測(≒アプリの健康診断)を行いながら打ち手を議論している。

また、UI/UXデザイナーも銀行内部で抱え、各人の専門性を融合させた取り組みを進めている。成果創出を最大化するために、どう行動すればよいか?各人が自発的に考える雰囲気を重視している。

<4.みずほダイレクトアプリのポジティブフィードバック>

改善活動では、お客さまからのネガティブな声ばかりを見てしまいがちになる。そこで、モチベーションアップ、自己肯定感アップ、チーム一体感醸成等を目的として、ポジティブなVOCも抽出し、関係者に展開・共有している。支店の行員、コールセンター、バックオフィスのチームなどとの一体感を醸成するには、ポジティブフィードバックもしっかり見ていくと効果的である。

ポジティブフィードバックは四半期に1回ほど抽出している。我々にとっても大きな勇気になり、もっと良いアプリに成長させていこうというモチベーションに繋がる。お客さまから実際にポジティブな声も頂いているのがファクトだと考えており、チーム内のコミュニケーションの材料にもなる。これは、ボトムアップで生まれたチーム独自の取り組みの一つだ。

<5.最後に>

チームで仕事を進める以上、根底にあるのはコミュニケーションだ。コミュニケーションさえしっかりしていれば、難しい課題もワンチームで乗り越えていけると信じている。