予算編成の効率化から始める、グループ経営管理DXの実現
~トップ企業が次々採用するCCH Tagetikとは~
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【講演者】
- Tagetik Japan株式会社
ディレクター
妹尾 顕太 氏
<Tagetik Japan概要>
Tagetik Japanは、専門的な情報とソフトウェア並びにサービスの世界的リーダーであるウォルターズ・クルワーグループの子会社で、経営管理とESG事業に属し、経営管理/業績管理のソリューションCCH Tagetikの日本市場での展開を担っている。ウォルターズ・クルワーグループは、経営管理とESG事業の他、財務と会計、コンプライアンス、法務、ヘルスという5つの事業領域でプロフェッショナルサービスを提供している。Tagetik Japan設立から6年間で日本のマーケットでも経営管理プラットフォームとして大手企業を中心に採用いただき、急速にビジネスが拡大している。日本でのビジネスパートナー数は50社以上となり、日本の売上トップ10の企業の半数の5社に採用されている。
<DXの現状と進め方>
経済産業省の「デジタルガバナンスコード2.0」では、「競争上の優位を確立すること」を最終的なゴールとし、そのためにデータとデジタル技術を活用して、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することと定義されている。また「持続的な企業価値の向上を図っていくために」という部分でも、「ITシステムとビジネスを一体的に捉える」、「効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず」などいささか耳の痛い内容である。効率化、省力化だけが変革の目的ではなく、その先の新たな収益や既存ビジネスの付加価値向上が最終目標になっている。競争上の優位がゴールであるDXは業務プロセス、企業文化の変革も組織一体で取り組むべきだとしている。
<中外製薬株式会社様の事例>
中外製薬様は東京証券取引所に上場している企業の中から選定された「DXプラチナ企業2023ー2025」のひとつであり、全ての項目において高評価を獲得している。中外製薬様の長期経営計画によると、DX化をまず「デジタル基盤の強化」からスタートした。ITシステムが部門ごとに最適化されておらず、全社的なアーキテクチャ、それに基づくシステム構成がされていないという課題があった。そこから脱却するために、デジタル基盤を全社的に強化した上で、すべてのバリューチェーン効率化を進めた。工場や治験のデジタル化、定型的な業務をロボットに任せるRPAを導入して、最終的に付加価値を高め、競争力を高めるためにデジタルを活用した革新的な新薬創出に取り組み、DXを浸透するための組織風土改革を続けている。
<多くの企業が抱える課題>
中外製薬様のような先進事例がある一方、多くの企業ではDXがなかなか進まないという声も多い。日本企業は過去20年以上にわたり、ERPなどの大規模なIT投資を行ってきたが、マネジメント層にとっては、経営の意思決定に必要な情報が、必要な粒度・タイミングで確認できないという不満がある。1つの原因として、現場のシステムが分断されているだけでなく、データの粒度、精度、整合性に課題がある。各部門に最適化されたシステムが乱立し、システムがサイロ化してデータドリブン経営が実践できていない。その課題を解決するヒントが、「デジタルガバナンスコード2.0」にまとめられている。
最初のビジョン・ビジネスモデルでは、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、経営ビジョンの策定と実現に向けたビジネスモデルの設計を行うことが柱だ。確かなシナリオを作成し、経営方針及び経営計画においてDXの推進に向けたビジョンを掲げることが記されている。2番目の戦略では、DXを推進するための戦略の具体化、経営状況や事業の運営状況を把握できるシステムやそこから得られるデータを踏まえた意思決定の実施、データドリブン経営の実践が打ち出されている。
3番目の組織づくり・人材・文化に関する方策では、デジタル技術を活用する戦略推進に必要な体制の構築や、経営層や現場でもDXを推進する人材に役割と権限を与えることが規定されている。4番目のITシステム・デジタル技術活用に関する方策はIT技術活用環境の整備に向けた方策を示す。情報システムの全社最適を目指し、全社のデータ整合性を確保すると共に、事業部単位での個別最適による複雑化・ブラックボックス化を回避することを注意喚起している。5番目ではKPIをもった評価と目標設定がされている。6番目はガバナンスシステムについて言及する。以上の指標だけならば、どの項目をどこから手をつけていいのか分からないため次項で最適な手順を紹介したい。
<DXの進め方>
DXを進める上で重要なことは、システムが個別最適にならないよう、全社レベルの視点でビジョン・戦略等を検討した上で、個別のシステム化を検討することだ。まずはビジョン・ビジネスモデル、戦略などのハイレベルな項目、組織、人、文化に関するマネジメントレベルの検討からスタートし、方向性を示した後に、はじめてIT活用を検討する。その後、情報システムの全社最適を目指し環境を整備していく。あとはプロジェクトが始まった後、定期的に評価する指標やガバナンスを整える。
予算編成におけるプロセスの改善事例を紹介する。改善前はいわゆるエクセルバケツリレー形式の予算編成で、多くの労力をかけるものの、手戻りや不整合が多く見られた。複数の手が加わる間に、勝手に計算式の挿入や改変があり、正しく計算ができなくなる。修正が重なって、最新版を受け取る都度、再集計する必要があるなど、正確性に欠ける。それが重なり、決算準備などの大きな資料を作成する場合に初歩的なミスが原因で数字に不整合が発見されることも多かった。
業務フローも含めてシステムを改善する場合、例外処理をなくして、全て標準化するのがポイントだ。標準化した上でシステム化をして、ワークフロー管理も含めて可視化することで、数値作成の精度・速度が大幅に向上した。担当者が数字を作る前段でも、グループの中のデータを外部システムと連携し、プロセス管理をして次の人に渡していく。不整合が起きない仕組みを構築する。
対応領域でも予算データを作成する上で、販売計画、要員計画、設備投資計画などが加味されてはじめて予算データになる。この前段も含め全てをシステムに取り込むことで、業務の可視化、標準化を実現し、プロセスを改善した。これらの改善を実現するのがCCH Tagetikである。
<経営管理ソリューション CCH Tagetikとは>
CCH Tagetikは予算管理、管理会計はもちろん、非財務データも含めてグループ経営管理に必要な情報を全て一元的に管理し、ワンプラットフォームでサポートする。1つのプラットフォームでCPM領域全体をカバーする唯一の製品だ。最初のデータ収集から、データの格納処理、データ出力の全体の流れが外部のシステムとの連携を含め標準機能として実装されている。そしてそれら全てを管理するワークフロー機能管理を実装している。
CCH Tagetikは二層構造でデータを保持している。上部のファイナンシャルワークスペースは主に会計系のデータをキューブ型に保持している。そのため必要な項目や分析軸によりデータ分析を容易にしている。下部のアナリティカルワークスペースは、自由設計できる領域だ。各会社が、必要なデータを必要な形に無制限に持つことができる。この2層を双方で行ったり来たりできる構造だ。
<CCH Tagetik実際の流れ>
予算編成プロセスでも一覧画面で各会社の進捗状況が確認できる。それらと連動して各会社の各部門の数字を画面で確認できる。また各社ごとの締め切り日を設定でき、管理者が管理しやすい仕組みになっている。業務フローに従っていくだけで、自然に最終画面まで辿り着ける。マニュアルを見なくても、スムーズに業務を進められる。表計算画面でも入力可能なセルだけが動くので入力を間違えることはない。
業務フローの一角をクリックすると、クラウド上に表計算データが出現する。編集可と編集不可のセルが色分けされているので入力を間違うことはない。単価入力する場合は単価表からデータを引っ張りだすことができる。通常であれば合計は編集不可になっているが、スプレッド機能を使うと入力でき、また表に数字を反映できる。
エクセルバージョンでは全ての計算式を保存する機能を使うと、次回以降も保存した計算式で入力することができる。また表を一旦オフラインにダウンロードし、編集をして数字を作ることもできる。計算式だけを取り出すこともできる。レポート作成ではCCH Tagetikに集まったデータをレポート化する。
KPIのサマリーレポートは複数に配置されたレポートのレイアウトも自由に設計できる。KPIの計算式を設定することで元となる情報が更新されたらリアルタイムでエクセルレポートが更新されて表示される。またダッシュボードも視覚的に設計されており、簡単な設定で、見たい情報がリアルタイムで確認できる。業務フローをシステム化することで、数値作成の精度・速度が大幅に向上する。マネジメントを伝えるプロセスを簡素化できるのがメリットである。
◆講演企業情報
ウォルターズ・クルワー│CCH Tagetik:https://www.wolterskluwer.com/ja-jp/solutions/cch-tagetik