2024年3月14日(木)開催 MANAGEMENT WEBINAR「製造業界で進むデジタルと体制整備」<アフターレポート>


2024年3月14日(木)セミナーインフォ主催 MANAGEMENT WEBINAR「製造業界で進むデジタルと体制整備」が開催された。製造業界を取り巻く環境は急速に変化し、昨今の物価上昇や世界情勢の影響もある中で、将来の競争力を促進するための先端技術の活用に注目が集まっている。人材不足の問題や運用コスト等の課題への解決策を導くと同時に生産性向上のため、生成AIやデータをどのように活用していくのか、基調講演にて株式会社デンソー、特別講演にて株式会社リコーに最新事例をお話しいただいた。

目次

データ仮想化プラットフォームで実現する現場で広がるデータ活用

【講演者】
東京エレクトロン株式会社
Corporate Innovation本部
デジタルデザインセンター アプリケーション開発1部
Group Leader
服部 秀郎 氏
【講演者】
NSW株式会社
サービスソリューション事業本部営業統括部第二営業部 部長
島田 雄次 氏

<東京エレクトロン株式会社(TEL)の概要>

当社は半導体の製造装置をつくるグローバルリーディングカンパニーである。半導体製造プロセスの複数工程に対して、自社の装置を提供している点が強みだ。TELグループの人々が、効率的かつ安全にデータを自在に扱える未来を夢みてdenodoを導入した。denodoの利用は1年にも満たないが、denodo導入初期に体験したことをメインに本日はお話しする。

<denodo導入 Before&After めざす姿>

2022年4月より課題の認識および手段の検討を始め、同年9月よりdenodoのPoCを、2023年7月より本番サービスの提供を開始した。denodoの導入によりデータを使う人が試行錯誤しながら自らの手でデータを用意できる環境を目指し、IT・DX技術者の負荷を減らしながら、データセキュリティを全般的に向上していきたいと考えた。

<データ仮想化に着手した理由>

データの物理的な統合は、今も今後も主力のデータ利活用の一つであると思われるが、どうしても専門技術者依存の傾向があり、データ利用のニーズ発生から提供までに時間がかかってしまう。コストと時間で頭打ちが出てしまう事がある。より迅速にニーズに対応していくために、『データ利用のセルフサービス化』を図るべく、データの論理統合(仮想統合)に着手した。

<denodo活用に向けた教育>

denodo導入において重視したのが教育カリキュラムである。我々自身がトレーナーとなり、教育コンテンツも内作をしている。教育の目的は、業務を熟知している当事者が、自らの手でデータを効率的に用いられるようにすることだ。対象者は、IT/DXの技術者でなくても良い。スコープは、スキル習得だけでなく、データ利用倫理も学んでもらう。denodoだけでなく、denodoを介してBIツールやノーコードアプリに繋ぐような応用編まで学ぶようにしている。

<導入後の現状>

オンプレ、パブリックSaaS・PaaSを含む111のデータソースが、denodoに接続している。仮想化したデータの件数は、BV5,167だ。教育を通じて養成したデータの開発者は約100名にのぼる。denodoを介し各データベースに返されるクエリは月間50万件を超え、BIやアプリを通じて間接的なdenodoユーザも増えている状況だ。

<denodo導入の壁>

データ利活用は可用性保護との闘いではないだろうか。誰がどう使ってもデータソースの可用性にダメージを与えぬよう、注意が必要であった。denodoの最大の特徴と思われるが、クエリオプティマイザが最小限のデータをデータソースから取るために、クエリをプッシュダウンしてくれる。この点が一般的なデータ物理統合と異なる点と考えている。

部門ごとの機密性を守るために、denodoでデータを公開することへの抵抗感も強いものがあった。しかし厳しくやっているようでも、人を介したファイルベースのデータのやりとりがあると、データセキュリティのリスクを低減できてはいない。denodoを介したデータの利用にしていく事で、モニタリング可能、つまりデータガバナンスが強化され、リスクも低減されることを説明する必要があった。

<NSW株式会社の概要>

当社は「Humanware By Systemware」を企業理念に掲げ、4つの事業領域でソリューション・サービスを提供している。新たな社会、サステナブルな社会を作るために、顧客のDX実現を目指して活動しているところだ。なお米国Denodo Technologies社とは、パートナー契約を締結している。

<ガバナンスを見据えたデータ環境の整備>

SDGs、ゼロエミッション、「Lightning廃止法案」をはじめとするEUにおける規制など、グローバルで見ると規制や遵守すべきルールが増えている。海外生産を行う企業は、二酸化炭素排出量や生産構成情報といった情報管理が、海外工場を含めグローバルで必要になってくる。

<データ活用の現状>

多くの企業においては、部署・ロケーションごとのデータ活用が中心だ。そのためツールや保存先も統一されていない。業務を熟知した人たちが、業務に必要なデータを使いやすい形式で保存し、分析やレポート作成に使っている状況だ。一方、グローバルで管理する、また様々な情報を組み合わせた判断が求められる状況においては、データのサイロ化は問題を生む。

例えば、EXCELのバケツリレーは時間を要し、かつ加工されたデータの運用に至る懸念がある。依頼フローを経由した情報提供のケースでは、回答に1か月を要するなど、必要な時に必要なデータが揃わない。つまり情報の正確性・鮮度に問題が生じるために、ユーザはデータを使うモチベーションを無くしてしまう。現状の運用では、データドリブン経営の逆を行くことになる。

<情報ガバナンスの整備とdenodo>

情報ガバナンスの整備には「セキュリティとアクセスの確保された情報の管理」、「適切な情報開示と透明性の確保」が求められる。実現にあたっては「出どころが明確な鮮度の高い正確なデータを提供する」という、データマネジメントのガバナンスも必要だ。

目指すべきデータマネジメント基盤は、データ管理における統合ゲートウェイであり、それを提供できるのがdenodoだ。denodoは「リアルタイムでのデータ提供」、「データ所在の可視化」、「アクセス制御」を実現する。「認証認可アクセス制御」、「データマスキング」、「アクセスログの取得」による情報へのアクセス制限によって、ガバナンスを効かせることが可能になるのだ。

また、ユーザがデータを使う気になるように、データカタログを介してどのようなデータがあるか開放していく。Googleのような検索ボックス、新しいコンテンツの表示、AIエンジンにより提供されるレコメンデーションがデータカタログの主な特徴である。

<データマネジメント構想に重要なポイント>

最終目標の設定、データの把握、段階展開の検討といった構想が、最適なデータマネジメント環境には必要になる。さらに状況に合わせた調整や軌道修正も重要だ。DXを成功させる鍵はデータマネジメントにある。そこで顧客のデータマネジメント成功に向け、弊社では140名体制で、構想作成から「使えるデータ基盤」を見据えた伴走支援を行う。さらに顧客に沿ったサクセスプランの策定など、NSW独自のカスタマーサポートも提供している。

<結びに>

人手によるデータ運用は限界であることから、データ活用を活性化させる環境が必要になる。情報ガバナンスの実現には、データの出入りを一元管理することが重要だ。DX成功には、システム部門、DX部門、ユーザ部門、ベンダーまでを巻き込み、一体となって推進していく必要がある。

◆企業情報
NSW株式会社:https://dx.nsw.co.jp/
Denodo Technologies株式会社:https://www.denodo.com/ja

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