2024年3月14日(木)開催 MANAGEMENT WEBINAR「製造業界で進むデジタルと体制整備」<アフターレポート>


2024年3月14日(木)セミナーインフォ主催 MANAGEMENT WEBINAR「製造業界で進むデジタルと体制整備」が開催された。製造業界を取り巻く環境は急速に変化し、昨今の物価上昇や世界情勢の影響もある中で、将来の競争力を促進するための先端技術の活用に注目が集まっている。人材不足の問題や運用コスト等の課題への解決策を導くと同時に生産性向上のため、生成AIやデータをどのように活用していくのか、基調講演にて株式会社デンソー、特別講演にて株式会社リコーに最新事例をお話しいただいた。

目次

アバナードが考える製造業DX

【講演者】
アバナード株式会社
シニアディレクター
播磨 隆弘 氏

<アバナード株式会社の概要>

当社は米国で2000年、アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社として創業し、日本法人は2005年に設立した。グローバルで60,000名以上の従業員を抱え、日本国内では1,500名以上が在籍している。26カ国92拠点からの対応が可能であり、5,000社以上のクライアント企業とのプロジェクト実績を持つ。

製造業DXにおけるアバナードのケイパビリティ

事業の2つの軸は、「テクノロジー」と「ビジネス戦略を実現するアドバイザリー」だ。3,500名のインダストリーエキスパートを有し、ワールドワイドで製造業クライアントのDX推進を支援している。ワールドワイドでの製造業・小売業のクライアントは、1,000社以上である。

<アバナードによる製造業DX支援>

当社では、守りのDXとして「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」を、攻めのDXとして「デジタルイノベーション」を推奨している。

デジタイゼーションは、Power Platformの利用やコミュニケーション基盤の刷新・利活用促進を通じて各種情報のデジタル化を支援するものだ。デジタライゼーションは、デジタルツィンやHoloLensを利用し、業務変革から実現する業務の効率化やコスト節約を、主に業務プロセスの可視化・分析の視点から支援するものだ。

デジタルイノベーションは、デジタル技術を活用し、ビジネス変革や革新的な製品サービスの創造を通じ、新たな価値の創出を目指す。シミュレーション高度化・計画精度向上による収益性向上を、高度なAI、BI、CI等を通じて支援している。

<日本の製造企業が体感する変化とは>

日本の製造企業は、「オペレーションエクセレンスの変化」と「提供価値の変化」に直面している。

<オペレーションエクセレンスの変化>

旧来のオペレーションエクセレンスでは「Speed」が求められていた。サプライチェーンやエンジニアリングチェーンにおける商流、物流、情報流のスピードアップのために、各々の主管部門が主導するオペレーションの効率化を行なっていた。

一方、これからのオペレーションエクセレンスに求められる重要な要素は、「Agility」と「Velocity」である。Agilityとは、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンを取り巻く内外環境の変化への俊敏な対応力のことだ。Velocityとは、競合に対し、圧倒的な優位性を築けるグローバルサプライチェーンでの付加価値創造力のことであり、結果として個客ごとに最適化されたオペレーションサービスを提供できるようになる。

Velocityの実現には、スマートテクノロジーの活用が必須だ。具体的には、オペレーションサービス提供基盤としてのプラットフォームの確立やパーソナライズされたインテリジェンスを提供するAIモデルの構築といった施策が必要になる。

<提供価値の変化>

製造企業の伝統的な価値観は、性能や品質といった製品そのものの価値が、価格を上回っていることであった。一方、デジタル時代においては、製品、サービス、個客体験が形成するエコシステムで勝負することになる。つまり製品およびアフターセールスの体験が、価格を上回っていることが重視されるのだ。

<テクノロジーのトレンド>

アクセンチュア社が公表した「テクノロジービジョン 2023」によると、リアルとデジタルの融合がキーワードだ。4つのテクノロジートレンドがテクノロジー、仮想と現実、顧客と企業の連続性をサポートするとも述べている。そのトレンドとは、「デジタルアイデンティティ」「私たちのデータ」「一般化するAI」「フロンティアの果てへ」だ。スマートテクノロジーの観点では、AI領域が非常に重要である。

<データドリブンの重要性>

ワールドワイドでもデータドリブンの潮流は高まりを見せており、「個客理解のためのデータ活用」、「ビジネス継続のためのデータ活用」、「データ活用ビジネスへの参画」の3つの潮流がある。特に個客理解のためにデータを活用し、カスタマーインテリジェンスを強化している企業の勝率は86%にものぼる。

データドリブン型製造業の変革ステップは、分析レベルにおいてはデータに基づく予測を、データ活用度においては事業・拠点横断および外部のデータ活用を目指すことが重要だと考える。データドリブン型製造業は、サプライチェーン横断での予測型事業管理に到達することで初めて、全社DX、つまりビジネスモデルの変革を推進できるようになる。

全社DXによるビジネスモデルの変革

全社DXを推進することによって、コネクトテッド、インテリジェント、スケーラブル、スピーディといったケイパビリティを獲得可能だ。中でもコネクトテッドとインテリジェントは、特に重要である。

今後、製造企業がDXを推進するためには、デジタル基盤の構築を進めるとともに、データドリブン型製造企業に変革することが必要になる。DX推進によって製造企業が実現したいことは、「経営管理基盤の再構築」、「サプライチェーンのデジタル化」、「販売・個客接点のデジタル化」、「AIによるコパイロット・業務再編支援」である。

<アバナードが考える製造業DX>

製造企業は、上述の変化に適応していくために、スマートテクノロジーを利活用し、エクスペリエンス向上、オペレーション変革、大規模なイノベーションに取り組む必要がある。この3つの領域を支援するサービスを、アバナードは提供している。

製造業DXを強力に推し進めるには、スマートテクノロジー利活用をベースとしたスマートデジタルマニュファクチャリングの構築が必要である。スマートテクノロジーの利活用は、「Integrated」「Scalable」「Open」を可能にする。スマートテクノロジー利活用が進む背景には、既存改善手法の限界、さらなるパフォーマンス向上機会の提供、DX基盤構築の必要性の3つがある。スマートテクノロジー利活用によってオポチュニティがあるのは、リライアブルなオペレーション、デジタル品質、サスティナビリティおよびエネルギーの最適化、サプライチェーン最適化、労働生産性の領域だ。

新たな価値を創出すべく、デジタルツィンやAI等のスマートテクノロジーを柔軟に使いこなすとともに、データドリブン型製造業に変革することこそ製造業DXの足掛かりとなる。IoT、データ、AIが「スマートデジタルファクトリー」の実現を可能にするのだ。未来のデジタルファクトリーは、デジタルマニュファクチャリングプラットフォーム、データ、AIを利活用することで透明性を確保し、生産パフォーマンス、アセット活用、品質、コストを最適化するほか、自律的なオペレーションへと変革していく。

<価値創出と成功を約束するアプローチ>

当社では、製造業DXを加速的に進めていくには、3段階のアプローチを踏むことが重要だと考える。最初のステップは、大きく考えることだ。明確な戦略・ビジョン・ロードマップを策定して、関係者間で共有することが重要になる。次のステップは、小さく始める、MVP・スケールポテンシャルだ。1つの拠点の1つのラインから小さく始め、1つのユースケースに分析を集中していく。そこで確実に成果を刈り取っていくこと、成功体験を得ていくことが重要になる。最後のステップは迅速に拡大、アジャイルでの価値実現だ。製造ライン、ファクトリー、ネットワークの3段階で、パイロット後にスケーリングしてくことが重要である。

◆企業情報
アバナード株式会社:https://www.avanade.com/ja-jp

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