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LGBTとは?13人に1人が抱える「性の多様性」の問題と企業の対応

最近、「LGBT」(性的少数者)に関する話題を耳にする機会が増えてきているが、その内容を正確に知っている人は少なく、ともすれば「自分たちとは別の世界の住人」と考えがちなのではないだろうか。しかしながら、LGBTの問題は、もっと身近な問題であり、どの企業においてもLGBTの問題に真剣に取り組まなければならない時代はすぐそこまできている。そこで本稿では、LGBTとは何か、また企業においてLGBT社員がどのような課題をかかえているのか、課題に対して、我々が何をすべきかについて解説する。

LGBTとは?13人に1人が抱える「性の多様性」の問題と企業の対応
  1. LGBTとは
  2. LGBT社員の抱える問題
  3. LGBT社員に対する企業の取り組み
  4. まとめ

LGBTとは

LGBTとは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字を取った性的少数者に対する総称である。しかし、実際には、上記の4類型にとどまるものではなく、「性の多様性」を広く包摂する概念である。

性の多様性

「性の多様性」は、以下3点から考えられることが多い。

  • 身体の性
    生物学的な男性、女性であり、身体的な特徴によりある程度客観的に判断される。いわゆる「男女」の性別はこの身体の性に基づいている。
  • 性自認
    主観的な認識としての性別であり、自分自身のことを「女である」あるいは「男である」と認識することをいう。
  • 性的指向
    恋愛感情や性的な関心が主にどの性別に向いているかを示している。

見た目の「女らしさ」「男らしさ」を示す「性表現」を含める場合もある。

トランスジェンダー(T)は、「身体の性」と「性自認」が一致していない人(身体の性は男性だが性自認としては女性、身体の性は女性だが性自認としては男性)をいう。

レズビアン(L)やゲイ(G)はそれぞれ「性的指向」が同性に向いている人を、バイセクシュアル(B)は性的指向が両方の性に対して向いている人のことを指す。

また、「性の多様性」は様々な要素が組み合わさっており、上記4類型以外にも、以下のような類型もみられる。

  • インターセックス : 身体の性が男性、女性に明確に分かれていないケース
  • Xジェンダー : 性自認がどちらでもないと認識しているケース
  • アセクシュアル : 性的指向が存在しないケース
  • パンセクシュアル : 性別に関係なく人が性的指向の対象になるケース

このように、LGBTと言っても様々なタイプが存在しているし、性自認や性的指向の程度も一様ではない。このことを考えれば、「性の多様性」とは、単に「性」の問題にとどまらず、一人一人のアイデンティティに関わるものといえよう。

▼筆者:安倍嘉一氏の関連著書
労働訴訟 (【企業訴訟実務問題シリーズ】)
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LGBT社員の抱える問題

LGBT社員の抱える問題

LGBT社員の実態

調査によれば、日本国内でLGBTと認識している人は、人口の約7.6%、人数にして13人に1人であるとされている。したがって、ほとんどの企業においては、複数のLGBT社員が身近に働いている計算になり、本来は何ら特別な存在ではないはずである。

電通ダイバーシティ・ラボ「電通LGBT調査2015」より

しかし、多くの企業では、いまだにLGBT社員の存在を意識することは少ないのではないか。その理由は、多くのLGBT社員が、自らLGBTであることを公表(カミングアウト)できずに、LGBTであることを隠して働いているからにほかならない

なぜカミングアウトができないのか

これは、企業社会においてLGBTに対する無知や偏見がいまだに根強く残っており、LGBT社員がカミングアウトすることで、却って嫌がらせを受けるなど精神的な負担を受けたり、退職を余儀なくされるなど厳しい状況に置かれたりすることを恐れているからである(社会人になる前にLGBTである(あるいは「LGBTらしい」)という理由でいじめられた経験を持つ方も多いと聞く。)。

実際にも、LGBTの社員からは、性的指向や性自認を理由に解雇、内定取消し、退職強要を受けた、カミングアウトしたら「ホモ、レズだから気を付けろ」などと言いふらされたといった不利益な取り扱いや嫌がらせを受けたという報告が寄せられている 。

カミングアウトしないことによるストレス

また、現段階では、いまだに身体的な「男女」の性別に基づく二者択一の区別が行われており、LGBTを受け入れる態勢が整っていない企業がほとんどである。その結果、LGBT社員は、カミングアウトしなかったとしても、人知れずストレスを感じている。

例えば、同性カップルであっても、多くの企業では異性婚者と同じような福利厚生(結婚休暇、遺族補償の受給資格、死亡退職金の受給資格等)を受けられないし、周囲からは独身と思われ「まだ結婚しないのか。」などと言われて辛い思いをすることもあるため、自然と私生活に関する話題を避けるようになり、周囲から「人付き合いが悪い」などと誤解されることがある。

LGBT法連合会「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第2版)」より引用

また、トランスジェンダー(T)の場合には、性別欄に記載された「男・女」の記載(自分は男性なのか女性なのか、躊躇してしまう。)、男女別の更衣室、制服、トイレなど、企業で業務に従事する上で、自分の自認する性とは異なる対応をしなければならないケースが多い。

LGBT社員にとって、カミングアウトせずに生活を続けることは、いわば偽りの自分自身を演じ続けることにほかならず、そのこと自体大きなストレスとなっているのである。その結果心身に不調をきたして休職してしまい、退職を余儀なくされてしまうケースもあると聞く。LGBT社員にとっては、カミングアウトしないで社会生活を送ることも大きなリスクなのである。

LGBT社員に対する企業の取り組み

LGBT社員に対する企業の取り組み

企業での取り組み

企業の中には、こうしたLGBT社員の問題に対して、積極的に改善に取り組むところも見られる。現在はまだ外資系の企業が中心ではあるが、LBGTフレンドリーな企業であることを宣言したり、従業員がアライ(ALLY=支援者)であることを明示したり、LGBTを支援するイベントの企画や参加等を通じて、LGBTに対する理解を深め、支援の輪を広げようとするところもある。

自治体での取り組み

平成27年11月に東京都渋谷区で同性カップルに対するパートナーシップ証明書が発行されるようになり、国会でもLGBT差別禁止法の制定に対する動きがみられるところである。

しかし、こうした取り組みはまだ一部にとどまっており、社会全体が理解を得るためにはまだ時間がかかると思われる。

まとめ

現在LGBT社員がかかえる問題は、企業や同僚がLGBTを理解しようとせず、受け入れる姿勢が十分整っていないところにその原因の一つがある。

そこで、まずは少しでも多くの社員が、LGBTの同僚が身近におり、受け入れるべき存在であることを理解することが、LGBTの課題を克服するための第一歩であると考える。

そのためにも、企業が、LGBT社員に対するハラスメントや差別を許さないという姿勢を明確に打ち出したり、社員に対し、研修等を通じてLGBTの理解を深めたりすることは重要である。

また、最近では、こうしたダイバーシティに寛容であることは、企業評価の一つの指標となりつつあり、LGBTの理解を深める活動を行うことは、企業自身にとっても積極的に取り組んでいくだけのメリットがあると考えられる。この記事を読んだ方が、少しずつでもよいからLGBTに対する理解を深め、受け入れる姿勢を持ってていただければ、うれしく思う。

文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解を述べるものであり、筆者が所属する法律事務所の見解ではありません。

▼筆者:安倍嘉一氏の関連著書
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安倍 嘉一 氏 【 寄稿 】
森・濱田松本法律事務所
弁護士

安倍 嘉一 氏

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