- 就任までの経緯について
- 入社後の感触は
- これまでのご経歴を
- 貴社の強みは
- 完全なバイリンガル社員がもたらす価値とは
- 日本の保険業界に向けて注力することは
- CXについては
- そうした施策を実現していくため、社内ではどのようなことに取り組むか
- 今後の抱負を
※本稿は保険毎日新聞に掲載された内容を、保険毎日新聞社の許可を得て、転載・編集しています。
就任までの経緯について
村上:2020年11月に縁あってコグニザントのブライアン・ハンフリーズCEOと話をする機会を得た。彼は19年4月に入社して以降、コグニザントの改革に取り組んでおり、スタートアップ精神で会社を根本から変えていこうという強い熱意に非常に感動した。そこで誘いを受けたことをきっかけに入社を決めた。
私の他にも、この改革のタイミングで入社したメンバーはITサービス業界での豊富な知見を持つ人ばかり。皆、これまでの経験を生かしてこの会社で新しい紙に自分たちの夢を描いていこうという気持ちが強い。そのあたりが共感できるところだと感じている。
入社後の感触は
村上:まだ入って2カ月ほどだが、社内のようすは一通り確認できた。期待どおりの理想的な環境であることが分かり、会社の目指す方向性の確かさと、自分の経験が生かせることを確信した。今は武者震いするような気持ちだ。
これまでのご経歴を
村上:まず日本IBMに19年間在籍し、セールスとセールスマネジメント、最後はサービス事業の責任者を務めた。その後ソフトバンクで法人事業の立ち上げに携わり、08年にヒューレットパッカードに移った。サービス事業の責任者を10年間務め、その間に2度の合併を経験した。さまざまな仕事を経験してきたが、ITサービスが本分だと感じている。
私はサービスビジネスをピープルビジネスと呼んでいる。サービスビジネスは、ハードウエアやソフトウエアのように研究所で開発されて工場で製品化されるといったものとは全く違う。ITサービスは、現場の人間が信頼関係を築きながら知恵を絞って成果を出していくもの。ハンフリーズCEOと出会って、やはり私はサービスビジネスがやりたいと思い、ここを選んだ。
貴社の強みは
村上:グローバルのリソースやデジタルのプラクティスも良いものがあるが、中でも一つ挙げるとすれば「人」。熱意やスキルはもちろんだが、それに加えて、本当の意味でのマルチナショナルな人材がそろっている。
現在コグニザントジャパンの約700人の社員のうち、日本人はその半分。その日本人のうち、6割が完全なバイリンガルだ。完全なバイリンガルとは、英語で考えられる人という意味。また、外国人社員の5割は日本語で考えられる人。外資系企業でも、これだけ完全なバイリンガルがいる会社は日本では他にないと思う。
完全なバイリンガル社員がもたらす価値とは
村上:当社はグローバルカンパニーとして、顧客にグローバルの力を結集したサービスを提供している。その際、世界中のメンバーと正確にコミュニケーションが取れて、それを顧客に適切に届けられるバイリンガルの人間が社内にいることは非常に大きな意味がある。グローバルのメンバーの協力を得ながらプロジェクトをスムーズに遂行するためには、言葉は非常に重要だ。そこにギャップがあると、どれほどの技術力があってもうまくいかない。
また、メンバーが自分のやるべき仕事に実直に打ち込んでいることも当社の魅力の一つだと感じている。政治的な動きや忖度が無いので気持ち良く仕事が進む。これは今後も大切にすべきポイントだと思う。このほかにも、グローバルの事例も含めた豊富な経験と提案力、AIやアナリティクス、IoTなどのデジタル系の高度なスキルも当社の強みだ。
日本の保険業界に向けて注力することは
村上:DXとCXを強力に推進していきたいと考えている。日本では、IT主導の施策が多いが、DXはビジネスを革新するものなので、IT主導ではうまくいかない。「ビジネスの課題をいかに解決するか」という流れの中でテクノロジーによる支援を検討すべきだというのが当社の考え方だ。
海外では、ビジネス主導のデジタル改革の事例があるので、そういった事例を紹介しつつ、ビジネス主導のトランスフォーメーションの価値を伝えていきたい。
CXについては
村上:CXというと、ウェブのUIを変えるとか、チャットボットを導入するといった、入り口部分の改善だと思っている人が多い。それももちろん大事なことだが、保険でいえば既契約者や見込み客がどのような経験をしていくかということを全体的に見て、それに対して何ができるかを考えるのがCX。
見込み客からアクセスがあった時にその内容を分析するだけでなく、既契約者の行動や経験を包括的に認識し、求められていることを洗い出し、いかに改善するかを考えることも重要だ。お客さまにはまずCXについて理解していただき、その上で当社としての具体策を提案していきたい。
そうした施策を実現していくため、社内ではどのようなことに取り組むか
村上:話が戻ってしまうが、そういうことをするために必要なのはやはり「人」。お客さまのDXやCXを推進するためには、企画能力やデジタルベースでプロジェクトを推進する能力のある人の存在が欠かせない。まずは社内でそういった人材を育成すると同時に、外部からの確保も進めたい。
ただし、日本で理想的な人材を確保するのは非常に難しいのも現実だ。そこで、中長期的には、パートナー企業との提携も視野に入れている。日本の顧客とのコミュニケーションはパートナーに任せて、当社はグローバルの技術やノウハウを提供するといった形を模索していけたらと考えている。
今後の抱負を
村上:ビジネスを拡大し、まずは「コグニザントで働いてみたい」と思われる会社にしたい。さらには、お客さまから「CXについてはやはりコグニザントだな」というような印象を持たれる会社にしていきたい。また、グローバルではリブランディングの施策として、1月にはF―1のアストンマーチンのスポンサーになると発表した。2月にはプレジデントカップという米国の選手と米国以外の選手が競い合うゴルフ大会のスポンサーになることも公表している。
こうした施策は、米国以外の国々へのコミットメントを意味している。現在、グローバルでは、北米での売り上げが75%を占めているが、コグニザントとしては、欧州やアジア地域での成長によって、この偏りを解消していきたいという狙いがある。今後は、これまでの経験を生かしながら、柔軟な姿勢で、日本でのブランド力向上に貢献していきたい。
- インタビュー
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コグニザントジャパン株式会社
代表取締役社長
村上 申次 氏IT業界で30年以上にわたりマネージドサービス、
モバイル通信、事業開発、市場参入戦略を統括してきた
経験を有する。コグニザント入社以前は、日本マイクロ
ソフトにおいてエンタープライズ事業本部の執行役員を
務め、さまざまな業種の経営層との関係構築に主軸を置
くセールスチームを率いて、クライアントのデジタルト
ランスフォーメーションの推進を支援。それ以前の10
年間は、日本ヒューレット・パッカードにて常務執行役
員エンタープライズサービス事業統括、DXC Tec
hnology代表取締役社長を務めた。また、ソフト
バンクテレコム、IBMにおいても要職を歴任した経験を持つ。
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