目次
本日のポイント
- サステナビリティに関する社会的要請は日に日に強まり、金融機関においても業界を横断した取り組みが始まっている
- 社会への影響力が強い金融機関には、自社のネットゼロと他社のネットゼロの両面から推進する役割が求められている
- 金融機関が社会課題の解決と自社の収益を両立するためには、中長期かつ俯瞰した視点から、戦略・ビジネス・データプラットフォーム・組織人材の4つの観点で取り組み内容を検討する必要がある
金融機関を取り巻くサステナビリティへの要求
持続可能な社会を目指し、サステナビリティに関する行動規範、評価手法などの取り組みが進んでいることは皆さまご存じのことであろう。
業界横断的な取り組みとして、気候関連の情報開示などを検討しているTCFD(気候関連財務情報開タスクフォース)や、長期的に企業価値を高め持続的投資を可能にする新たな会計基準を検討しているIIRC(国際統合報告評議会)などの取り組みがその一例である。
金融業界でも様々なイニシアチブが立ち上がり、脱炭素化(ネットゼロ)に向けた動きが強まっている。2019年にアセットオーナーである保険会社や年金基金などを中心として設立されたNet-Zero Asset Owner Allianceを皮切りに、資産運用会社を中心として設立されたNet Zero Asset Managers、銀行が参加するNet Zero Banking Allianceや保険引受サイドのNeto Zero Insurance Allianceが設立されてきた。これら業界ごとに設立されてきたイニシアチブの枠を超え、金融業界が一体となるGlasgow Financial Alliance for Net Zero(GFANZ)に発展している。
また、日本においてもカーボンニュートラルの実現を目指すことが政策目標となるなか、ESG投資やグリーンボンド等の発行をより推進するために金融庁によるサステナブルファイナンス有識者会議が設置されている。
サステナブルな社会を構築するために、金融機関を取り巻く様々なレイヤーで取り組みが活発化している。
- 寄稿
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デロイト トーマツ コンサルティング合同会社大内 圭介 氏
銀行・証券ユニット ディレクター
- 寄稿
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デロイト トーマツ コンサルティング合同会社梅津 翔太 氏
銀行・証券ユニット/モニター デロイト ディレクター