2021年7月15日(木)開催 INSURANCE WEBINAR「ソニー生命の保険事務におけるデジタルを活用した取組について」

2021年7月15日(木)開催 INSURANCE WEBINAR「ソニー生命の保険事務におけるデジタルを活用した取組について」

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2021年7月15日、セミナーインフォ主催INSURANCE WEBINAR 基調講演にてソニー生命保険株式会社 石橋氏にご登壇をいただき「ソニー生命の保険事務におけるデジタルを活用した取組について」ご講演いただいた。

ソニー生命の保険事務におけるデジタルを活用した取組について

石橋 洋平 氏
基調講演➁
【講演者】
ソニー生命保険株式会社
オペレーション企画部 オペレーション企画課 統括課長 石橋 洋平 氏

<はじめに>
ソニーグループに属するソニー生命は、ソニーフィナンシャルホールディングスを持株会社とした生命保険事業会社である。2020年3月末時点で保有契約件数は約770万件、お客さま数は約350万人となっている。当社の特徴として、高度な専門知識を持ったライフプランナー・パートナーによるコンサルティングセールス、コンサルティングフォローをコンセプトとして掲げ、質の高いサービス・合理的な生命保険の提供に尽力している。近年は外貨保険などの販売が好調で、順調に保有契約件数を伸ばしている。今回は、ソニー生命がこれまで行ってきた保険事務におけるデジタル化の取り組み、さらに今後の課題などについてお話しできればと考えている。

<保険事務におけるペーパーレス化 取組の歴史>
まず、当社の保険事務におけるペーパーレス化の取り組みについて紹介する。当社ではコロナ禍の前からペーパーレスに取り組んできた。2012年に個人契約をペーパーレス化し、今では保全や法人契約、さらには自署のペーパーレス化も実現したところである。さらに、2021年にはダイレクト請求サービスをリリースし、基本的にほぼすべての手続きについてペーパーレス化が進んだ状況だ。現在では個人契約の約90%、法人契約・保全手続きの約50%がペーパーレス化するに至っている。なお、現在、新契約/保全についてはウィズコロナ時代をにらみ、2020年にリモート化を実現している。

<保険金・給付金ダイレクト請求サービス>
続いて最近リリースした保険金・給付金ダイレクト請求サービスについて紹介する。これは当社が保険金再構築プロジェクトの一環としてリリースされたシステムであり、保険金・給付金の支払請求手続きのペーパーレス化およびデジタル化による支払査定事務の効率化を実現しようとしたものである。これまで保険金/給付金の請求・支払手続きでは、支払査定業務がマンパワーに依存しやすく、効率的に行われているとは言い難い状況であった。そこで保険金・給付金ダイレクトサービスでは、支払査定事務および周辺業務をシステム化・簡便化し、迅速な支払査定業務および保険金・給付金の支払いを可能にしている。また、ダイレクト請求サービスのリリースとともに、簡易請求範囲の拡大にも取り組んでいる。現在では、70%程度の手術・治療内容が適合範囲となった。さらに簡易請求の適用可否に関する判断を自動化したことで、お客様の請求に対して正確にレスポンスできるようになった。今後はバックオフィスのシステム化を進め、さらなる業務効率化を実現していきたい。

<新型コロナを契機としたリモート化の取り組み>
当社では、ペーパーレス化・業務効率化に取り組むと同時に、リモート化についても各種取り組みを実施してきた。新型コロナを契機として急遽取扱を整備したため、当初は「電話にて説明、申込は紙・郵送で行う」としていたが、その後「Teamsの画面で説明、申込は紙・郵送で行う」という改善を行い、非対面で取り扱える手続きの範囲を大幅に拡大している。
そして、リモートでの各種手続きを実現していくために「C-SAAF Remote(サーフリモート)」という当社独自のプラットフォームを新たに開発し、それを使ってペーパーレスを実現している。「C-SAAF Remote」プラットフォームを用いた新契約では、対面と同じように手続きができるものとなっている。単に画面を共有するだけでなく、お客様への確認(同意)依頼プロセスの確立をしているほか、告知手続きについてはお客さまが画面操作する仕組みを用意し、対面と同じような方式で告知が出来るように工夫している。自署についてもお客さまによる自署画像の撮影をアップロードし反映できる仕組みを用意している。保全についても新契約と同様の仕組みで対応できるよう開発を実施している。 今後改善が必要な検討事項としては、ダイレクト請求サービスのペーパーレス請求の利用が10%に留まっている点や簡易請求の利用が50%程度に留まっている点である。リモートペーパーレスの検討事項としては、高齢者や法人によってはリモート対応できない手続きがあるほか、非対面による取引時確認の負担が大きくなり不備が発生している点が挙げられる。

<さらなる変革に向けた今後の取り組みの方向性>
最後に今後の取り組みの方向性について紹介する。当社が目指すべきオペレーションの全体像は、サービス品質において「シンプル・スピーディ・スムーズ・スマートな事務手続きを実現」していく点、業務運営において「高い生産性・品質向上・適合性順守・事業の継続性担保の観点を満たした業務運営」を行う点を掲げている。こうした目指すべきオペレーションの全体像に対して様々なアプローチを行っている。ペーパーレス化していない手続きが多数残っている点については、ペーパーレス手続範囲の拡大や既存システムの機能拡充を行っていく。手続きや査定処理に時間を要している点については、データ分析の高度化を通じた各種基準の見直し、及びAI/BRMSを活用した判断の自動化範囲拡大、簡易的な人為作業の自動化(AI画像認識・RPA・AI-OCR等の活用)を行っていく。最後に、担当者にとってわかりづらい手続き/取扱方法となっている点については、システムをリリースして仕組みが良くなっている一方で、ナレッジマネジメントの高度化やチャットボットの活用等に加えてシステム自体をもっと寄り添っていくものにしていく必要があると考えている。 目指す姿の実現には多数の問題点が存在しているが、これまでは超えにくかった壁も新たなテクノロジーを活用すれば超えられるという認識でいる。各種技術調査・POC・人材育成等を推進し変革を目指し、お客さまの期待に応えるサービスを開発していきたい。