2021年7月15日(木)開催 INSURANCE WEBINAR「アフターコロナ時代の保険会社DX:顧客&従業員の「体験」を再設計する」


2021年7月15日、セミナーインフォ主催INSURANCE WEBINARにてServiceNow Japan合同会社 津留崎氏にご登壇をいただき「アフターコロナ時代の保険会社DX:顧客&従業員の「体験」を再設計する」についてご講演いただいた。

目次

アフターコロナ時代の保険会社DX:顧客&従業員の「体験」を再設計する

津留崎 厚徳 氏

【講演者】
ServiceNow Japan合同会社
ソリューションコンサルティング事業統括
第二SC統括本部 統括本部長
津留崎 厚徳 氏

<はじめに>
今回は顧客、従業員双方の体験を高めていくことが、なぜDXにとって重要なのかについて、お話しできればと思っている。

<保険業界を取り巻く現状>
まず、現在の保険業界を取り巻く現状について振り返ってみたい。現在の保険業界には、業界そのものがかつてない規模でテクノロジー技術に左右されているという側面があるように思う。具体的にはテクノロジーの進歩に伴って、社会におけるリスクの変容、InsurTechの進展による新ビジネスの登場、顧客接点の変化といった大きな変動が起きつつある。

<リスク環境の変化>
保険というものは、そもそもリスク管理の手段の1つである。当然、社会を取り巻くリスクが変われば、保険業界のビジネス環境そのものが変わるということになる。たとえば自動運転技術の進展は、長期的に見れば損害保険業界の一番の収益源である自動車保険のニーズ減少につながる。その一方で、シェアリングエコノミーの台頭によって、これらの保証はどうあるべきか等も考えるべき必要がある。そのほかにも、サイバーセキュリティ、コンプライアンス、プライバシーといった従来では考えられなかった新しいリスクも登場している。今後、損害保険に対する需要、補償対象も含め、大きく変動しうるところだ。

<デジタルを活用した柔軟な保険商品やサービスの設計>
InsurTechの市場規模は向こう2年で約2倍になっている。テレマティクス型の自動車保険やIotと連動した保険、健康増進型保険などビッグデータの活用進んでいる。また多くの顧客がスマートフォンを保有しているため、スマホ完結型の保険やアプリのインストールを基に保険を売り込んでいくようなGAFAが取り組んでいるようなプラットフォーム戦略に取り組むなど、デジタルファースト戦略が行われている。そのほか、先進技術を活用し、保険業務だけでなく、サービス業務の加速させていく動きも増え、ドローン・ARを活用した損害査定やAIによる引受審査、不正請求の自動検知などが様々な取り組みが行われている。

<顧客接点の変化~顧客が保険会社に期待すること>
顧客接点についても、テクノロジーによって昨今大きな変化が生じている。ウィズコロナ・アフターコロナの時代にあって非接触経済が急速に進展する中、オンラインのチャネルが台頭してきている。また、欧米を中心にアグリゲーター(比較見積もりサイト)のチャネルとしての存在感も増してきている。
現在、デジタルが当たり前の時代となっており、モノ消費からコト消費へと変化している。情報流通の爆発的増加に伴う、アテンションの奪い合いの競争の激しさは増している。また顧客同士もSNSで繋がっているおり、情報の収集は容易となり、会社に対してGAFA水準のエクスペリエンスを期待している。
エクスペリエンスとは、サービス期間内の全顧客接点の平均ではなく、強烈に記憶に残る「嬉しかった瞬間」や「いやな思いをした瞬間」である。以下に顧客に対し、良い瞬間を与えることができるかが重要だ。実際には、顧客からのリクエストに対し、サービスの成果として速度や品質が求められているが、最近では進捗状況の可視化が重要である。しかしながら、顧客からのリクエストに対し、会社側では、従業員が様々な社内ビジネスプロセスを経て対応しており、情報システムやデータをバケツリレーしながら、最終的なサービス成果に繋げているため、進捗の可視化をすることは容易ではない。見方を変えると、顧客のエクスペリエンスをあげるためには、これらに対応する従業員のエクスペリエンスを上げることも重要である。顧客は利用のしやすさ、わかりやすさなども求め、従業員は効率的なオペレーション/コミュニケーション、不備率低減など追及する。この両面を同時に進めることで、デジタル投資に対するROIを最大化できると考える。

<保険会社のデジタル化の状況>
生命保険協会の調査より、保険会社において、顧客接点業務のデジタル化は相応に進んでいる。今後は必要書類が多い業務についてもデジタル化の検討が進む。オンライン完結業務の増加には、顧客接点と社内プロセスの両面のデジタル化が必要である。

<デジタル化された保険会社のオペレーションモデル>
保険会社においても、銀行同様「APIエコノミー」というキーワードが業界でも出てくるようになっている。すなわち、保険機能やデータ資産の組み合わせ、API経由でデジタルサービスを提供するビジネスモデルが増えていく。このような時代には改めてサービスを定義し、標準化する必要がある。保険会社が提供するサービスをAPI経由でエコシステムに対し、提供するのか、または対人サービスで顧客に提供する形になるが、サービスにはいくつかの構成要素が必要である。それらの構成要素は、業務プロセスや、サービス提供に必要なテクノロジー、関与する組織・従業員、顧客にとっての価値、サービスレベルの定義(SLA)、サービスの運用・変更などのライフサイクル管理であり、これらを個々のサービスに対し、回していく必要がある。
ここで我々が提唱したいのが「ハイパーオートメーション」という考え方である。これは最新のテクノロジーを使って自動化できるところは自動化してしまおうというものである。契約申し込みはチャットボットで無人で受け、会話ログからAIが適切な種別を判断し、適切な担当者をアサインする。その後、意思決定に必要な情報をシステム連携し、複数の選択肢をAIが提示をする。そして、適切な権限を持った意思決定権者が承認を経て、一連のプロセスの進捗を管理することができる。かつこれらのプロセスは自動ですべてログを記録しているため、各タイミングで正しい選択ができているのかを分析をしながら、業務プロセス全体の改善、監査の容易化といった効果が期待できる。また、このハイパーオートメーションの考え方は、部門・顧客・外部企業またいで、業務が流れる(workflow)ところであてはめることができ、デジタルトランスフォーメーションしていく余地がある。

<金融機関向けに提供している4本の柱>
当社では、単一のプラットフォームとして「Now Platform」上に、4本の柱として業務アプリケーションを持っている。1つめが、金融サービスオペレーションであり、対顧客接点業務であり、新規契約のお申込みや保険の契約者情報の更新などを行っている。2つめは統合リスク管理であり、金融規制に準拠したリスク・コンプライアンス管理のさらなる強化のためのツールだ。3つめに従業員ワークフローであり、社内間でバックオフィスとの連携をデジタル化するためのツールである。4つめはIT部門向けのツールであり、ITの企画・開発・運用を一体管理し、コスト削減やアジリティ向上のためのツールだ。

<まとめ>
保険会社様にとって、デジタル化はビジネスそのものを左右しかねない非常に大きな経営課題になってきている。その中で、顧客・代理店・従業員に提供している業務をサービスとして再定義し、サービスの申し込みから提供までを自動化することで、関係者全員のエクスペリエンスを改善する。これが、デジタル投資の投資対効果を最大化する方法である、というように我々としては考えている。ServiceNowでは対社内・対顧客向けの業務改善に役立つ様々なソリューションを用意している。ご興味ある方は、ぜひご相談いただければ幸いだ。

講演企業情報
ServiceNow Japan合同会社:https://www.servicenow.co.jp/

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