2022年6月22日(水)開催 FINANCE FORUM「金融機関におけるデータ利活用の推進」<アフターレポート>


2022年6月22日(水)セミナーインフォ主催 FINANCE FORUM「金融機関におけるデータ利活用の推進」が開催された。近年では、ビックデータ、AI、IoT、ロボットなどのデジタル技術を通じて、企業に集積された膨大な量のデータを分析することで、様々な社会課題を解決できる可能性が広く認識されるようになった。金融業界では、カード払いや振り込み、毎月の口座引き落としなどを記録した金融機関の決済データなど顧客の日常生活やライフイベントに関する情報が多く、こうしたデータは新たな発見や経営に大きく貢献する可能性を秘めている。本フォーラムでは基調講演として株式会社みずほ銀行、特別講演として株式会社西日本シティ銀行にデータ活用の最新事例をご紹介いただくほか、各先進企業より最新技術をご紹介いただいた。

目次

「地銀・信金のデータ活用事例を一挙紹介!入力機能付きの高機能BIで実現する銀行の業務変革」

加茂 正孝 氏
【講演者】
ウイングアーク1st株式会社
Data Empowerment事業部 金融DX企画部 部長
加茂 正孝 氏

<当社の概要>

当社は2004年3月に創業した国産のツールベンダーで、昨年3月に東証一部上場を果たした。東京・六本木に本社を構え、全国8ヵ所と海外4ヵ所の拠点を有している。当社のソリューションは帳票や文書管理と、データエンパワーメントの2種類だ。本日は金融機関様からの引合も増えている、データエンパワーメントソリューションである「MotionBoard」にフォーカスしてお話しする。累積導入社数は2,800社を超え、BI市場で国内No.1のシェアを獲得している。

<直近のトピック>

まずは直近のトピックとして、2つご紹介する。1つ目は、スルガ銀行様の「お客様情報確認書」におけるAI-OCRの活用だ。「invoiceAgent AI OCR」という製品を活用して手書き回答された情報をスキャナでPDF化すればAI-OCRがDB化まで実現。手入力が不要になり1枚30分が5分程度に短縮され、当初10名予定していた作業人員も約半数で運用が可能になった。結果、年間5,000時間分もの業務負担を削減された。

<MotionBoard>

MotionBoardはクラウド版とオンプレ版があり、ブラウザ上で操作するBIツールだ。データの多彩なグラフィカルな表示をノンコード、ほぼマウスのみの操作で実現できる。複数のデータソースを連携し、データ収集時間を効率化する。また、ExcelやPPTなどの帳票を自動出力することも可能で、報告書作成時間を大幅に削減できる。作業自動化以外にも、可視化・分析機能も優れており、多彩なグラフ・集計表での表現が可能だ。特に他のBIツールにはない特徴である入力機能(DB更新)が特に金融機関に評価されている。

<金融機関におけるデータ活用の課題>

課題の1つであるデータのサイロ化とは、システムや業務プロセスなどが連携を持たず、孤立してしまう状態のことだ。BIツールはサイロ化した様々なデータを仮想統合して画面表示をすることを得意としている。しかし統合して可視化するだけでは、金融機関のニーズを満たせないと当社は考えている。

例えば金融機関における一般的な業務の流れとして、本部で様式を作成して営業店へ配布し、営業店で入力したものを本部で集計し、経営陣への結果共有へと進む業務がある。しかし、個々のExcelベースの書類などはDB化されておらず、集計や分析に使えないことも多い。そこで当社は、システムが持つデータの可視化だけでなく、新たに入力されるデータも合わせて可視化することで、データの入力業務と集計・共有業務を同時に実現し、リアルタイムでデータを捉えることができるよう取り組んでいる。

<BIツール「MotionBoard」の強み>

MotionBoardが選ばれる理由は、入力画面生成とDB更新の機能が優れていることで、他社製品ではなかなか見られない機能だ。可視化ツールを検討される際は、ぜひこの部分に注目して頂きたい。入力機能付きのダッシュボードツールが評価され、最近では地方銀行や信用金庫での導入が加速している。

<最新事例1. 予実管理>

予実管理の分野で導入されたのがりそな銀行様・みずほ銀行様・新生銀行様で、Salesforce連携で活用頂いている。りそな銀行様は当初2,200名で利用されていたが、昨年12月には4,000名以上と約2倍の規模となった。

予実管理画面では、目標(EXCEL等)、実績(勘定系/情報系等])、見込先(セールスフォース/CRM等)など異なるデータソースを統合し一元管理を行う。エリア別/ブロック別の集計選択、担当者別などの切り替え、また、前月報告との差分を表示するスナップショット機能を搭載している。見込の確度/金額/件数の変化を確認することが可能だ。

<最新事例2. コロナ支援融資管理ボード>

コロナ支援融資管理ボードは、追加融資が必要かどうかを既存の融資先にヒアリングし、担当者が入力するものだ。担当者は自分の欄の未処理をクリックすると顧客名のリストが表示され、使途・保全・希望月・期間・融資金額などを入力することができる。リストは集計され、支店別の状況等を把握できる。リアルタイムで集計されるので、ボードを開けば最新情報に反映された状態で閲覧可能だ。

<最新事例3. 期日管理>

こちらはタスク管理の画面で、従業員一人ひとりが自分でタスクを入力・管理するツールだ。ボードを開くと自分のタスク一覧が表示され、クリックするといつまでに何をしなければならないのかを把握できる。1つのデータベースにリアルタイムで書き込みをしており、本店・営業店で同じ情報を共有できる。

<最新事例4. 貸出金平残>

金融機関様から多くご依頼いただいている、貸出金の期中平残をシミュレーションするボードだ。全営業店が1つのボードのURLを共有して利用するため、営業店へのEXCELシートの個別配布などが不要になり、開けば最新の状態、つまりはリアルタイム集計が実装できる。実行や回収などの見込等の情報はCRMから引っ張ってくることができる。ホストコンピュータから約定返済テーブルや貸出残高を参照すれば、自動で期中平残まで計算される。

<最新事例5. 簡易ワークフロー>

WEB完結型ローンの融資部門ワークフローで、関連する部署/営業店でリアルタイム共有が可能だ。審査受付・仮審査・本申込などの各工程で、処理後に工程にチェックすれば処理日時が登録され進捗表に〇が付いていく。部署をまたぐような全体のワークフローを共有することで、各部署で仕事のピークがいつ来るのかも予測できる。集計/グラフ表示以外に、遅延する業務間を特定し改善に向けた計測も同時に行う。

<最新事例6. 人材最適化シミュレーション>

預金・ローン・投資信託など、個々人のスキルをチャートで可視化するボードだ。個々人の能力不足項目への計画的な育成指導、営業店全員の平均スキルを把握し営業店の弱点項目に対しての強化指導につなげることができる。また長在化した人材の異動や流出時に備えた事事前把握にもご活用頂ける。

<最新事例7. エリア分析>

店舗の特性分析に役立てられるボードで、顧客住所データを緯度/経度に変更して地図上にプロットする。レイヤーを重ね合わせることもできるため、市区町村別の人口データなどを重ねて表現することも可能だ。検索は項目単位で自由設計が可能で、視覚的なエリア分析にご活用頂ける。

エリア分析でよく利用される項目が年齢・預金残高・貸出金残高等で、例えば50歳以上で預金残高が2,000万円以上ある富裕層がどのエリアにいるのかを、地図上で表現することも可能だ。また支店の統廃合のトピックに合わせて、支店ATMの流入エリアを見ることで、どのエリアから来店しているのかをマップで把握できる。

<内製化を目指すPoC/定着化サポート>

直近では、内製化についてお問い合わせいただくことも多い。当社は内製化を目指す金融機関様へのサポートメニューも充実させている。EXCEL等の集計作業のリアルタイム化、金融事例を参考にしたボード作成など、PoCを無料で提供させて頂いている。もし再現したいメニューがあれば、気軽にお声掛け頂ければ幸いだ。

また定着化も重要で、ハンズオンセミナー、トライアル版、オンボーディングプログラムなど、お客様に合わせた形で無料でご用意している。定着化に関しては、国産ベンダーだから実現できる手厚さが重要な要素だ。今後DX化を図るうえで可視化ツールの需要があれば、ぜひMotionBoardをご検討頂きたい。

◆講演企業情報
ウイングアーク1st株式会社:https://www.wingarc.com/index.html

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