「デジタルファースト時代に求められる顧客体験の変革」
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【講演者】
- 株式会社セールスフォース・ジャパン
インダストリーズトランスフォーメイション事業本部
金融業界担当マネージャー
高橋 博樹 氏<はじめに>
本日は「デジタルファースト時代に求められる顧客体験の変革」というテーマで、顧客体験の変革に求められるさまざまなポイントについて、具体例も交えながら紹介できればと考えている。
当社は「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という信念のもとに、世界中のパートナーのみなさまと一緒に成長を続けるCRMの会社である。これまで当社ではCRM製品をはじめ、顧客のDXを推進し、生産性を上げるのに役立つ各種サービスの提供も行ってきた。さらに、企業のバリューチェーン全体のCO2排出量の可視化や削減などSDGsにも貢献できるようなサービスも提供している。
< コロナ渦で、デジタルファーストの顧客体験が定着>
今回のテーマは「デジタルファースト時代に求められる顧客体験の変革」だが、話を進める前にまずは顧客を取り巻く環境について簡単に確認したい。
顧客を取り巻くチャネルには、リアルとデジタルの2種類がある。以前、リアルとデジタルの間には明確な線引きがあった。しかし、最近はコロナ禍によってデジタル化が加速し、リアルとデジタルの境界が曖昧になってきているという現状がある。面談もオンラインに移行しつつあるし、モバイルアプリに代表される非対面のチャネルやAIの活用も活発だ。そして、顧客接点のデジタル化は今後も進んでいくものと思われる。
コロナ禍でデジタルサービスを利用開始した顧客のうち、75パーセントの方が「コロナによるパンデミックが収束した後もデジタルチャネルを使い続けると回答した」というアンケートデータもある。デジタル化はコロナ禍における一時的な動きではない。コロナの状況に関係なく、デジタルファーストの顧客体験は今後定着していくと考えて間違いないだろう。
< ビジネスの成長には、「シームレスな顧客体験」が不可欠>
以上のような状況にあって、望ましい顧客体験を実現するためのポイントは何か。その答えは「シームレスな顧客体験」という言葉に集約される。デジタルが進んだ世界での顧客体験は、デジタルと対面がシームレスにつながっていなければならない。特に、オンラインとオフラインの世界が分断することだけは避けなければならない。なぜならば、シームレスな顧客体験の提供は売り上げの拡大につながるからだ。
当社の調査によれば、コロナ禍にあって多くの顧客は「金融機関から一貫した顧客体験を受けたい」と望んでいる。また、「よい顧客体験が得られた場合に金融商品を購入したい」という方が圧倒的に多い。ここでいう「よい顧客体験」とは、顧客が一貫した顧客体験を望んでいるということを踏まえて考えるのであれば、シームレスな顧客体験に他ならない。つまり、良質な顧客体験を一貫した形で提供し、顧客満足度が向上すれば金融商品が売れる、すなわち売り上げ拡大につながるということだ。シームレスな顧客体験の提供は、金融機関にとっては自社の売り上げに直結するのである。
< シームレスな顧客体験の実現は容易ではない>
しかし、シームレスな顧客体験の実現は容易ではない。多くの顧客がシームレスな顧客体験を望む一方、当社のアンケート結果を見る限り「現在の金融機関の提供する顧客体験に満足している」と答えた方は約3割にとどまっている。裏を返せば、大半の顧客は現在の金融機関の顧客体験に不満があるということだ。つまり、金融機関としては、貴重な売り上げ拡大のチャンスを逃してしまっている状況にある。
なぜ、顧客体験を提供できないのか。その背景には、社内における部門・業務・システムなどの分断の問題がある。さらに、リアルとデジタルが混在する世界では業務フローも複雑になりがちだ。これでは、顧客のカスタマージャーニーもバラバラになってしまう。たとえば、新しいサービスを顧客が利用開始した際に営業からの情報提供が遅れてカスタマーサポートが答えられない、といったことはないだろうか。もしそうであれば、シームレスな顧客体験実現のために、カスタマージャーニーを顧客視点で見直すべきタイミングといえる。
< デジタルファースト時代に求められる顧客体験の変革>
Salesforceを活用すると、相反関係になりがちな、「一貫通貫でシームレスな顧客体験」と「生産性向上」を、両方とも実現することが可能だ。主なポイントを下記にご紹介する。
①Customer360:顧客の取引関係や全てのチャネルでのやり取りを一元的に、どの部署でも把握し利用することが出来る
➁シームレスな顧客体験:お客様一人一人にパーソナライズされたサービスを提供することで、デジタルと対面でのシームレスなエンゲージメントを実現
➂ビジネスプロセスの自動化:インテリジェントな自動化ワークフローにより、あらゆる顧客サービスをプロセスの最初から最後までフル自動化
➃従業員の生産性向上:オムニチャネルの顧客ニーズを予測し、スキルに応じた対応者をアサインし、最適なリソースプランの作成を支援
➄サービスの品質の把握とボトルネック特定:顧客満足度調査などを活用して、顧客のサービスニーズへの対応状況の把握や、業務のボトルネックの特定を支援
< ビジネスの成長には、「シームレスな顧客体験」が不可欠>
以上のような状況にあって、望ましい顧客体験を実現するためのポイントは何か。その答えは「シームレスな顧客体験」という言葉に集約される。デジタルが進んだ世界での顧客体験は、デジタルと対面がシームレスにつながっていなければならない。特に、オンラインとオフラインの世界が分断することだけは避けなければならない。なぜならば、シームレスな顧客体験の提供は売り上げの拡大につながるからだ。
当社の調査によれば、コロナ禍にあって多くの顧客は「金融機関から一貫した顧客体験を受けたい」と望んでいる。また、「よい顧客体験が得られた場合に金融商品を購入したい」という方が圧倒的に多い。ここでいう「よい顧客体験」とは、顧客が一貫した顧客体験を望んでいるということを踏まえて考えるのであれば、シームレスな顧客体験に他ならない。つまり、良質な顧客体験を一貫した形で提供し、顧客満足度が向上すれば金融商品が売れる、すなわち売り上げ拡大につながるということだ。シームレスな顧客体験の提供は、金融機関にとっては自社の売り上げに直結するのである。
< 顧客体験変革を推進する上で重要となる4つのポイント>
顧客体験変革を推進する上での重要ポイントは、次の4つである。
1つ目はデジタルファーストである。カスタマージャーニーを中心に、デジタルチャネル戦略の最適化の視点からどの顧客接点やプロセスをどうデジタル化していくかを考えていく必要がある。実際にデジタル化を進めるにあたっては、セルフサービス、AIによるサービス、エージェントによるサポートの3つの視点で検討を進めるのが有効だ。顧客が自分で調べてわかることはポータルやヘルプセンターで自己解決してもらい、それで対応しきれない場合はAIを利用したインタラクティブなチャットボットなどのツールを活用する。そして、これらのデジタルな手段で解決できない複雑な問題についてのみ、エージェントがサポートを実施する。簡単な問題をAIに任せることで、エージェントは人でしか解決できないような複雑な事案に集中して時間を割くことができる。
2つ目は従業員の生産性である。適切なツールの活用とトレーニングによって、賢く、共感力のあるエージェントを育成していくことが求められる。そのためには業務を効率化し、雑務に伴う各エージェントへの負荷を減らすことが重要だ。業務の自動化ツールやAIを活用して各従業員の負荷を減らせれば、その分の時間を重要な顧客対応やナレッジの共有、社内教育といった重要なタスクに集中させることができる。エージェントの実力を高め、付加価値の高い提案を行うことで、顧客満足度の向上につなげる必要がある。
3つ目は、業務プロセスの統合である。部門間での連携を進めることで、オペレーションの効率化による生産性向上、さらにシームレスで最高の顧客体験を演出して顧客満足度を向上させることが可能になる。
4つ目はデータ利活用である。定期的に顧客サービス利用状況を分析して顧客満足度や生産性を測り、継続的に改善していくことが重要だ。改善するための施策を打った場合には、顧客体験に関するKPIをチェックして改善するというPDCAを高速で回すことが組織の機動力を上げてくれる。結果的に顧客体験変革の成果も出やすくなるだろう。
< まとめ >
コロナ禍にあって、非対面のチャネルの持つ重要性は増している。しかし、非対面で進めるコミュニケーション・業務運営には、金融機関と顧客、あるいは部署と部署、業務とシステムといった部分で分断が起きやすい。非対面化を進めるにあたっては、分断されがちな箇所を意識的につなぎ、シームレスな顧客体験を提供することが重要だ。なぜならばシームレスな顧客体験の提供は売り上げ拡大につながるからである。
さらに、今回は顧客体験の変革においては4つのポイント、すなわちデジタルファースト、従業員の生産性向上、業務プロセスの統合、データの利活用が重要であるという話もさせていただいた。
当社ではこれらの業務変革の取り組みに役立つさまざまなソリューションを提供し、また実際多くの企業様にご採用いただいている。日本の地域金融機関でもSalesforce採用が拡大してきている。今後、CX向上取り組みの施策を進めていく上で当社のソリューションをご活用いただければ幸いだ。
◆講演企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/
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